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審決分類 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 036
管理番号 1061523 
審判番号 審判1999-35750 
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-08-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-12-17 
確定日 2002-06-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第3045476号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3045476号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第3045476商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成4年9月18日に登録出願、第36類「生命保険契約の締結の媒介,損害保険契約の締結の代理」を指定役務とする特例商標(附則(平成3年法律第65号)第5条第1項による使用に基づく特例の適用がされた商標)として、平成7年5月31日に設定登録されたものである。

2.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第39号証(枝番を含む。)を提出している。
本件商標は、商標法第4条第1項第8号(他人の著名な略称を含む。)に該当し、附則(平成3年法律第65号)第7条第2項で読み替えて適用する同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。
また、本件商標は、附則(平成3年法律第65号)第7条第2項で読み替えて適用する同法第46条第1項柱書き(「商標登録を受けた者・・・がその商標登録出願前から日本国内において指定役務についてその登録商標の使用をしていた場合において当該使用が不正競争の目的でなされていたとき」、以下「不正競争の目的でなされた」と略称する。)に該当し、無効とされるべきものである(請求人は、上記「附則」について「昭和62年法律第27号」と記載しているが、これは「平成3年法律第65号」の誤記と認められる)。
(1)本件商標の要部「保険代行」は、通常「保険契約の締結の媒介」といわれるものであるから、その指定役務との関係から、本件商標の要部は、「AIG」の部分にあることが明らかである。
なお、被請求人会社は、昭和50年1月11日に藤原巌と廣瀬浩二を共同代表として設立されたものであり、昭和52年3月24日付で廣瀬浩二の単独代表の会社となっている(甲第2号証)。
(2)商標法第4条第1項第8号関係
(ア)本件商標の要部である「AIG」は、請求人であるアメリカン インターナショナル グループ インコーポレイテッド(英文表記:American International Group,Inc.)(以下「AIG社」と略称する。)の著名な略称である「AIG」と同一である。
また、請求人は、被請求人に対して、請求人の著名な略称「AIG」の使用について何等許可を与えていない。
(イ)被請求人が第26類を指定して出願した同じ(構成態様の)商標「AIG保険代行」に関する(付与前の)登録異議申立についての決定の中で、請求人の略称「AIG」が遅くとも昭和59年10月23日(甲第3号証)には、既に著名になっていたことが認定されている。
(ウ)請求人は、その略称を「AIG」とする米国法人であり、世界145カ所(甲第5号証及び同第6号証)、国数にして130数か国(甲第7号証)に保険会社を主とする系列会社を傘下に置く、一大統括会社であり、保険会社としては、例えば、AIU社(日本でも昭和21年以来、損害保険会社として活動し、いうまでもなく著名である、甲第12号証)、アリコ社(日本でも昭和47年以来、アリコジャパンとして著名な生命保険会社である、甲第13号証)、アメリカンホームアシュアランス社(日本でも昭和35年以降、アメリカンホーム保険会社として著名な損害保険会社である、甲第14号証)等の世界的に著名な保険会社をその傘下に置いている。
甲第6号証の2に示されているように、米国、カナダ、その他の各国の政府を初めとして、あらゆる分野に取引を持ち、その契約高も巨額に達している。ちなみに、フォーチューン誌1982年7月12日号によれば、AIG社は、全米金融企業のビッグ50に入っている。
また、ビジネスウイーク誌によれば、1996度には、全米企業の第18位にランクされている。
AIG社は、日本においても著名であり、例えば、昭和62年には、東証に外国企業として上場され(甲第10号証)、それ以後、新聞紙上の株式欄にその略称「AIG」をもって掲載されている。
なお、最近では、AIG社が、閉業した山一證券の従業員800人を雇用するとして(甲第11号証)、その大きさがアピールされたところである。もちろん、前記のAIU、アリコジャパン、アメリカンホーム等の日本における保険契約の獲得、宣伝活動、求人などを通じて、これらの会社とともにAIG社そのものも広く知られるに至っているものである(甲第12号証ないし同第16号証)。
以上のとおり、請求人であるAIG社は、世界屈指の保険グループを統括する会社であり、その略称「AIG」は、世界において著名であり、もちろん日本においても、少なくともAIU、アリコジャパン、アメリカンホーム等が日本における活動を開始して、10年ないし20年経過した昭和50年代後半には、既に著名の域に達していたものであり、東証に上場して約5年後である本件商標の出願時(平成4年9月時)には、著名となっていたものである。
なお、AIG社は、本件商標の登録の際はもちろん、現在も存在しており、さらに著名となっている。
(3)商標法附則(平成3年法律第65号)第7条第2項で読み替えて適用する同法第46条第1項柱書き(不正競争の目的でなされた)関係
被請求人会社の代表者であり創業者でもある廣瀬浩二は、その経歴からAIG社をよく知っており、当該廣瀬浩二の被請求人会社における本件商標の使用は、AIG社の知名度に只乗りしようとするもので、不正競争の意図をもって使用した商標であるから、商標法附則(平成3年法律第65号)第7条第2項で読み替えて適用する同法第46条第1項柱書き(不正競争の目的でなされた)に該当し、無効とされるべきである。
甲第17号証にみられるとおり、廣瀬浩二は、昭和47年当時、AIUの従業員であって、広島支店に所属しており、AIG社の従業員投資会に入会し、AIG社の株主として株式を所有していた(甲第18号証)ものであるから、AIG社が世界的に著名な保険グループの統括会社であることをよく知っていたことは明らかで、その後、昭和50年に被請求人の会社オールインシュアランスグループカンパニーを設立したものである(甲第2号証)。
この会社名は、All Insurance Group Companyであり、頭文字を並べると「AIG」となり、AIG社の略称と同一である。すなわち、頭文字をとると、自分のかって勤務した会社の有名な親会社の略称「AIG」となる社名を自己の経営する保険代行会社に命名し、本件商標を使用してAIG社の知名度に只乗りしようとしたことは明白である。
さらに、廣瀬浩二は、甲第19号証(廣瀬浩二名義の誓約書)にあるように、昭和50年2月28日に元の勤務先であるAIU社の常務に対し、「A.I.G.及び貴社類似の商標及びそれらに類似の商号及び商標を今後一切使用しないこと」と誓約しながら、自己の経営する会社において、その会社の業務を表す「保険代行」の上に「AIG」を冠した本件商標を使用することは、まさに不正競争を意図したものにほかならない。
(4)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)商標法第4条第1項第8号関係
請求人は、「AIG」が自己の著名な略称であることを証する補強証拠として、甲第20号証ないし同第36号証を提出する。
既に提出の甲第1号証ないし同第16号証及び今回追加した甲第20号証ないし同第36号証から明らかなように、請求人であるアメリカン インターナショナル グループ インコーポレイテッドは、世界的に著名な法人(である請求人)の名称であり、「AIG」は、その略称である。
したがって、本件商標は、他人の著名な名称の略称を含むものである。
(イ)商標法附則(平成3年法律第65号)第7条第2項で読み替えて適用する同法第46条第1項柱書き(不正競争の目的でなされた)関係
(a)被請求人は、その業務が請求人の業務と異なるから、混同は生じないと主張している。
請求人(であるAIG社)が、たとえ、平成4年当時、持株会社であったとしても、甲第23号証及びその他の証拠に示すとおり、子会社であるAIU社等が保険業務を行っており、請求人も間接的に保険業を営んでいるといえるので、保険業の営業主体が全く異なっているというものではない。
仮に、AIG社とAIU社のように営業主体が異なっていたとしても、以下の理由により、「AIG」と本件商標との間には混同が生ずる。すなわち、附則第7条第2項における“不正競争の目的をもって”とは、他人の信用を利用して不当な利益を得る目的(主観的意図)をいい、商標法第26条第32条第52条の2に規定されている「不正競争の目的」と同義であると解する。
当該不正競争の目的は、例えば、「公序良俗、信義衡平に反する手段によって、他人の営業と同種又は類似の行為をなし、その者と営業上の競争をする」という意であるが、最高裁判決(昭和35年4月6日)では、その意をもっと広く柔軟に解している。
また、不正競争防止法第2条第1項第1号にいう不正競争行為とは、周知な他人の商品等表示を使用して、他人の商品・営業と混同を生じさせる行為(混同惹起行為)をいうが、この「混同」の解釈には、広義の混同が含まれる。すなわち、営業主体が同一であると誤認させる狭義の混同だけでなく、両者の間に経済的又は組織的に何らかの関連があると誤認させる広義の混同も含まれる。
以上の理由により、被請求人の主張は認められるべきでないことは明らかである。
(b)被請求人は、過去25年間、本件商標をその指定商品に使用していても平穏無事であり、一般世人が請求人との間に混同を生じたということは全く聞いていないと述べているが、仮に、過去25年間、請求人との間に実際に混同を生じたという事実がなくとも、客観的に混同のおそれがあれば、不正競争の目的があったものと推認できるとの見方が常識である。
また、過去25年間、被請求人の商標の使用は、平穏無事であったということはなく、むしろ、請求人は、一貫して、その使用を停止するように求めてきたものであるが(甲第18号証、同第37号証、同第38号証等)、被請求人は、これを無視し続けてきたものである。
(c)被請求人は、株券(甲第18号証)に「AIG」という表示がないと主張しているが、「AMERICAN INTERNATIONAL GROUP」なる表示の上部に「AIG」の標章が表示されている。
さらに、株券購買申込書(甲第17号証)の上部には、「AIG関連会社従業員投資会」と表示されており、(被請求人の代表取締役である)廣瀬浩二がAIG社の株を購入したこと、したがって、その際、既に「AMERICAN INTERNATIONAL GROUP」の略称が「AIG」であることを(廣瀬浩二が)知っていたことは明らかであり、これを否定する証拠は何もない。
しかも、廣瀬浩二は、株券購入時に、AIG社と組織的に関係のあるアメリカン インターナショナル アンダーライタース株式会社の従業員であったという事実からすれば、「AMERICAN INTERNATIONAL GROUP」の略称が「AIG」であることを知っていたことは容易に推認できる。
なお、被請求人は、甲第18号証の株券記載の名義が廣瀬浩二と異なると主張しているが、廣瀬浩二が同株券の所有者であること、同株券記載の「Hiroese.Koji」が誤記であることは、甲第39号証にあるとおりであって、廣瀬浩二自身が認めて訂正を申し入れしていることから明らかである。
(d)甲第19号証ばかりでなく、甲第37号証及び同第38号証、あるいは、甲第3号証及び同第4号証から明らかなように、請求人から被請求人に対して、「AIG若しくはそのグループ内の法人名、略称と同一若しくは類似でないものへの変更」を求めており、被請求人に対して、警告を行っていることは紛れもない事実であり、甲第19号証の誓約書への廣瀬浩二の署名が脅かされてしたものか否かに拘らず、また、企業ぐるみで署名させたか否かに無関係の事実である。
(ウ)不正競争の意図関係
被請求人は、乙第11号証の2、乙第45号証の2、甲第38号証及び甲第39号証において、(その名称を)「AIG保険代行」若しくは「オール・インシュアランス・グループ」ではなく、「AIG」、「AIGカンパニー」として表記している。
このことは、請求人会社の略称である「AIG」を自己の会社名として使用しようとする意図の表れであり、請求人の使用停止の申し入れにも拘らず、これを無視して、本件商標の使用及び登録の取得をしたことが、不正の目的であったことを証する事実にほかならない。

3.被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第85号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第8号関係
(ア)請求人は、米国国際集団会社の意を有するものであり、商号中に保険を意味する文言を有しないので、自ら保険業務を行なう会社ではなく、専ら中小の会社を寄せ集めた持株会社の一種である。
そして、その中には、保険会社も含まれている。このように、請求人傘下の系列会社の売上高の集計が、フォーチューン誌に記載され、発表されているのであって、請求人は、関係会社の売上集計によって大企業のイメージを与えようとしている如きものである。しかし、傘下の個々の会社の業績は、それほどでもない。
したがって、請求人は、自ら商品又は役務の業務を行っていないし、わが国において、自らの宣伝広告をする必要もないので、わが国で知られているものではない。ましてや、その略称「AIG」が著名であるなどということはあり得ない。
請求人は、その商号の略称が著名であることの証拠として、登録異議申立の決定謄本の写しを提出しているが、当該商標は、その後、査定不服の審判請求によって原査定が覆され、登録されている(乙第46号証)。
請求人は、自己の会社が著名であると主張しているが、わが国において、著名であるという証拠は殆どなく、請求人提出の甲第5号証ないし同第8号証(枝番を含む。)は、請求人が自ら米国で発行したものであって、しかも、全文が英語で表示されていることから、わが国の一般世人に全く馴染みがなく、わが国の取引者、需要者の間において、どの程度披見されているか明らかでない。したがって、これらの証拠価値は殆どない。
甲第9号証は、請求人が自ら発行したものであるが、これ(チラシ)のみで、その略称が著名であるということはできない。
甲第10号証は、東洋経済の会社四季報に掲載された請求人の略称が記載されている頁であるが、これも一般世人には縁遠いものである。
また、被請求人は、甲第11号証の記事のとおりに請求人が山一(證券)の従業員を800人も採用したとは聴いていないし、AIUもアリコも現在、従業員のリストラを実施中であるから、この記事との整合性はない。そして、当該証拠も本件商標の登録出願後のものであるので、証拠価値がない。
甲第12号証の1及び2(件外AIU株式会社の会社案内)の記事中に散見される請求人の略称と称するものは「AIG Inc」であって、請求人の主張と異なる。
甲第13号証(件外Alicoの会社案内)中に見られる請求人の略称と称するものを(請求人が)取引書類に掲載し始めたのは、Alico Japanの取引書類における平成9年5月7日のものからであって(乙第8号証)、平成9年4月15日の取引書類には、モノグラムのマークしか見当たらない(乙第9号証参照)。
しかも、当該マークは、他人の取引書類に表示されていることから、これに接する一般世人は、これが何のために表示されているのかわからず、むしろ、該マークは無視されていると思われる。
(イ)ところで、請求人の略称が著名であるとすれば、現在、殆どの企業が所有しているインターネットのドメインネームにも使用されているものと解し得るところ、その電話帳ともいえる乙第4号証のいずれの頁をみても、請求人のアドレスは見当たらない。
一方、被請求人のアドレスは、「AIG保険代行会社」として掲載されている。
このことは、被請求人会社が全国的なインターネット電話帳に掲載されるほどの企業になっていることを裏付けている。
ちなみに、本件商標を構成する文字のうち「AIG」の部分は、被請求人の商号中の単語のイニシャル「A」「I」「G」(であって、これら)を繋げて語呂のよい「AIG保険代行」とし、被請求人会社の設立当時から使用している(乙第1号証ないし同第4号証、同第12号証、同第13号証、同第21号証、同第44号証)。
被請求人の所在する中国地方においては、当該名称が風変わりなこともあって、比較的覚えやすく、取引者、需要者の間においても広く認識されているので、何人も(AIGを)保険は無論目立った事業を行っていない請求人の商号の略称等とは認識していない。
したがって、請求人は、保険会社の「AIU」や「アリコジャパン」の株を所有しているのみで、他人の事業によって専ら自己の事業を運営しているから、わが国において知る人が少ないのである。まして、20数年前の知名度たるや想像するに難くない。
(ウ)前述のとおり、アリコジャパンの保険契約のためのパンフレット(甲第13号証:1989年10月4日発行)には、モノグラム化された図形が表示されていたところ(乙第5号証)、1999年5月2日発行の同契約のためのパンフレットには、「AIG」の表示が突如表されている(乙第7号証)。
この(ことからもわかる)ように、請求人が他人のパンフレットに「AIG」の文字を表示し始めたのは、ごく最近であって、被請求人を意識して初めて表示したものであることは明らかである。
(エ)本件商標の経緯について
(a)本件商標は、所謂サービスマークであって、その登録制度がこれまでなかったことから、過去20数年間、役務について本件商標を使用していたとしても、その権利を取得することができなかったところ、当該制度の施行によって登録することができるようになった。本件商標は過去20数年間使用していたことから、その(著名性の)判断基準時は、実際に使用を開始した時とすべきである。
(b)それ(当該制度の施行前)まで、被請求人は、自己の商標を旧第26類に登録出願(昭和50年)して登録し(乙第50号証、以下「第26類商標」という。)、権利を有していた。
そうして、莫大な宣伝費を投じ保険関係の取引書類は勿論、カレンダー、はがき、封筒、シール、日記帳、便箋、卓上カレンダー、メモ帳、爪切り、ボールペン等の全てに、当該商標を附して広告し、また、テレビ、新聞、雑誌又は催し物等のパンフレットなどに広告を掲載し、宣伝した結果、被請求人の所在する中国地方は勿論、関西・四国・九州方面の取引者、需要者間に極めて広く認識されるようになり、その間、何の支障もなく平穏無事に使用を続けてきている。
このように、何の支障もなく、勿論、悪意もなく平穏無事に永年に亘り使用している商標の登録を、その略称が著名でもない外国企業のために、無効にされることは、被請求人(商標権者)は勿論のこと、国家的見地からみても損失を免れない。
(オ)さらに、請求人は、持株会社であって、商品又は役務の業務を行っていないことから、その略称を使用しても何の宣伝にもならない。
そうとすれば、請求人の引用する「AIG」の略称が日本国内において、著名(ということ)はおろか周知であるという証拠も見出せない。
したがって、本件商標は、他人の著名な略称を含むものではないから、その商標登録出願に際して、請求人の承諾を要するものではなく、また、被請求人が悪意をもって本件商標を使用しているものでもない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号の規定には該当しない。
(2)商標法附則(平成3年法律第65号)第7条第2項で読み替えて適用する同法第46条第1項柱書き(不正競争の目的でなされた)関係
(ア)請求人は、被請求人会社の代表者であって創業者でもある廣瀬浩二がその経歴からAIG社の知名度に只乗りしようとして、不正競争の意図のもとに本件商標を使用しているから、前記法条に該当し、無効とされるべきであると主張している。
しかしながら、この規定は、周知又は著名な商品等表示について、他人の業務上の信用に只乗りする行為を禁止するものであると解されるところ、本件商標は、自己の商号の略称に保険代行の文字を結合させてなる普通の商標であるので、これをその指定役務に使用しても、何ら請求人の業務上の信用に只乗りするものではない。
何となれば、請求人の本来の業務と被請求人の業務は異なるものであり、両者に競業関係を生ずることはない。
請求人は、傘下に保険業者(商標名は異なる)を有しているため、間接的に競業関係を作り上げ、不正な競争をしているものの如く主張しているが、被請求人は、請求人の業務に連なる他社の株を大量に取得する持株会社でもなく、投資、管理、買収、統括、運営等の業務を行うこともないので、請求人の業務上の信用に只乗りする行為は一切していない。
また、請求人は、被請求人が本件商標をその指定役務に使用した場合に、如何なる不都合が生ずるかを明らかにしていない。
被請求人は、過去25年間、本件商標をその指定役務に使用してきたが、平穏無事であり、一般世人が請求人との間に混同を生じたということも全く聞いていない。
むしろ、本件商標は、被請求人の商標として極めて広く認識されている。
したがって、被請求人が本件商標をその指定役務に使用しても、請求人の知名度に只乗りし、その信用を失墜させるおそれは毛頭なく、不正競争の意図など全く存しない。
請求人は、これに関して、被請求人の代表者を誹謗する主張をしているが、当該主張は、本件審判事件には関係がない。
(イ)若干、その当時の事情を述べると、廣瀬浩二は確かに請求人のいう当時のアメリカンインターナショナル アンダーライタース株式会社という日本の会社に勤務していた。
しかし、当時、同社の代理店の中で協業化の問題があり、経費の節約あるいは事故の救済などのことで、新しい会社を創立し、代表者に藤原巌、もう一人の代表者に斎厳守を就任させる予定であったが、金銭的あるいは各代理店の事情などもあり、話し合いが一本化しなかった。何れにしても、新会社をつくろうということで、廣瀬浩二が設立の手続をした。そのために、当時の商標登録出願に際しては、藤原巌を代表者としたのであって、故意に廣瀬浩二の名を隠したものではない。
甲第18号証(請求人の株券と見られるもの)に記載されている「KOJI HIROEOSE」は、廣瀬浩二のものではなく、廣瀬浩二のものは「KOJI HIROSE」である。
さらに、当該株券を子細に検討してみるに、「AMERICAN INTERNATIONAL GROUP,INC.」の表示はあるが、その略称と称する「AIG」の表示は見当たらない。
このことよりすれば、請求人の略称がどのようなものであるか、当時においては想像もできなかった。
(ウ)また、請求人は、甲第19号証をもって、廣瀬浩二がAIU社と誓約書を結んでいる如く主張しているが、その誓約書は、一方的に当時の常務が事務員に文書を作らせ、これに署名しなければ退職金を支払わないと威され、止むなく署名したものである。
また、その当時の代表者であった藤原巌よりは誓約書をとらず、廣瀬浩二のみから誓約書をとったことは、その当時より計画的に廣瀬浩二を落し入れようとする企業ぐるみの作戦であったといえる。
以上のとおり、本件商標については、不正競争の意図は全くないから、商標法附則(平成3年法律第65号)第7条第2項で読み替えて適用する同法第46条第1項柱書き(不正競争の目的でなされた)の規定には該当しない。
結局、本件商標は、請求人主張の法条には該当しないので、商標法第46条第1項第1号並びに同項柱書きの規定により、無効とされるべきものではない。
(3)請求人の弁駁に対する答弁
(ア)請求人は、弁駁書において、甲第20号証ないし同第36号証を補強証拠として提出している。
しかしながら、請求人提出に係る甲第20号証ないし同第36号証をみるに、甲第20号証を除く甲第21号証ないし同第35号証の全てが被請求人の会社設立及び前記「第26類商標」の出願より後のものであるので、証拠価値がない。
さらに、これらの新聞記事は、新聞社が積極的に取材して搭載した記事ではなく、請求人が自ら新聞社に売り込んだものとみられる。
甲第20号証は、被請求人会社設立及び「第26類商標」の出願より以前のものであるが、これはアメリカでのものであって、日本には全く関係がない。
甲第21号証から甲第33号証の記事は、1年ないし2年に一度散発的に掲載されているものの寄せ集めであって、しかも、これらの記事を掲載している新聞もたった1紙にすぎない。相当ニュース性のある事件であっても、現在においては一月も経てば、人々の記憶から消えていくので、持株会社である請求人に関心を有する者は殆どないといっても過言ではない。したがって、請求人の略称が著名等ということはできない。
甲第34号証及び同第35号証は、本件商標の出願後のものであり、証拠価値がない。
甲第36号証は、請求人の商標を世界各国に登録していることを示したものであるが、被請求人の会社設立後の登録が殆どであり、また、本件商標の登録出願時より後のものも多く見られる。
わが国に登録されたものをみるに、「AIG」の商標は、その出願が本件商標の登録出願より後であり(乙第59号証)、また、「AIG」(デザイン)として登録されているものからは、特別の称呼は生じない(乙第60号証)。
乙第61号証は、請求人以外の外国法人(ドイツ)であって、「AIG」の略称をもって、わが国において宣伝している平成4年3月24日付の日本経済新聞の掲載例であるところ、これをもって、「AIG」の略称が請求人のみのものでないことを立証する。
さらに、請求人は、米国における保険機構の総帥である旨しばしば述べているが、世界的に著名で信用を博している会社の例を挙げている冊子には、請求人が紹介されていない(乙第62号証)。
請求人は、不正競争の目的の意について、最高裁判決を引用し、本件がこれと同一である如く主張しているが、具体的にどのような商標関係のものであるかを明示せず、解説書の中の請求人に都合のよい文言のみを引用しているにすぎない。
勿論、これは本件と事案を全く異にするものであるので、参考とすることはできない。本件商標を取得し、使用していることが、不正競争の目的をもってなされているか否かについて、請求人が新たに提出した証拠である甲第37号証(申し入れ書)に対して、(被請求人は、)乙第72号証の如き返書を出した。
(請求人提出の)甲第38号証に用いられている便箋には、「AIGカンパニー」と表示されている。
しかしながら、請求人傘下のAIU保険株式会社の正式な設立以前(被請求人の会社設立時)から、被請求人は、「AIG」をその商号の略称として使用しているのみで、何らやましいところはない。
このことは、請求人が被請求人会社の設立時より「AIGカンパニー」の標章を使用し、周知されていた事実を認めていることにほかならない(請求人が「AIG」の標章を使用し、周知されていたわけではない)。
(イ)株券購入時のことについて
甲第39号証の書面は、「Hiroese」の表示(も自分のものであるということですから、)を変更して下さいという当然のレターであった。請求人は、この証拠で請求人に不利になるところを、黒く塗りつぶしているので、これも証拠価値がない。
反面、当該証拠は、この当時、既に被請求人が「AIGco」又は「AIGカンパニー」という標章をその略称として使用していた事実の証拠となるものである。
請求人は、前述のとおり、自ら保険業務を行っていないことから、保険業務を行っていない者の保険業務を代行することが不可能なことは自明であり、全く関係がない。
不正競争の目的で使用することとは、請求人が述べるとおり、「他人の信用を利用して不当な利益を得る目的」で使用することであるのは、いうまでもない。
しかるに、請求人は、持株会社であって、わが国において、あまり知られていない会社であるほか、傘下の会社間において再保険契約をさせ、合法的な脱税を計画しているかの如き会社であるから、果たして、一般に信用されているか疑わしい。したがって、そのような会社の信用を利用することはありえない。
請求人は、甲第18号証の株券に「AIG」の文字が存すると主張しているが、当該証拠からは、「A」及び「G」の文字がそのように判読できるとしても、中間の「I」と主張するものは、「T」の文字を逆さにした如き図形で、通常の知識を有するものには、「A」と「G」を区切った図形とみられるのが相当である。したがって、これは、「AIG」を表示したものではない。
請求人は、被請求人に対して執拗に、本件商標「AIG保険代行」の使用を停止するよう求めているが、請求人の略称が周知でもなく、ましてや、著名でもないのに、どのような権限を持って、他人が平穏に採択使用している商標の使用を停止させるのか理解に苦しむ。
ちなみに、乙第73号証ないし同76号証のパンフレットは、請求人傘下の保険会社アリコジャパンのものであるが、同社は、被請求人と取引があり、被請求人が同パンフレットに、その商号及び本件商標を掲載することを認め、何らトラブルもなく平穏無事に使用してきている。
さらに、乙第77号証ないし同80号証は、昭和55年及び同56年頃のALlCOの広島支社ニュースの新契約上位15のランキングであるが、そこには、被請求人の表示が「(有)AIGカンパニー」又は「(有)AIG」と表示されており、アリコジャパンの会社自体が、その頃より被請求人をそのように略称していた。
乙第65号証は、昭和53年9月に被請求人が賞された表彰状の写しであるが、そこにも被請求人の「A.I.G」の表示がある。
以上詳述するように、請求人が著名であるとの各甲号証は、数年に1,2回とか、被請求人の設立後相当の日時を経過したものとか、本件商標の登録出願(平成4年9月)後のものとかであって、証拠価値がないか、あるいは、少ないものであるので、到底、著名の域に達していたものとはいえないし、不正競争の事実もない。

4.当審の判断
(1)本件商標は、「AIG保険代行」の文字よりなるものであり、その指定役務が第36類「生命保険契約の締結の媒介,損害保険契約の締結の代理」であることからすると、「AIG保険代行」の文字は、「AIGという保険に関する契約等の代行をすること」、あるいは、「AIGの取り扱いに係る保険に関する契約等の代行をすること」の意味合いを容易に認識させるものと認められる。
(2)請求人に係る「AIG」標章の著名性について
(ア)昭和47年10月17日付「日本経済新聞」(甲第20号証)には、「米AIGと提携 日動火災海上」の見出しのもと、「日動火災海上は16日世界的な保険組織を持つ米国のアメリカン・インターナショナル・グループ(略称AIG)と業務提携すると発表した。」、「AIG(本社ニューヨーク)は・・・営業網は世界百三十か国に及んでいる。」との記載がされている。
昭和50年11月27日付「日刊工業新聞」(甲第21号証)には、「中国と協定締結 米保険グループのAIG」の見出しのもと、「米国の保険グループであるアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は・・・中国人民保険公司と互恵協定を結んだと発表した。米国の保険機関で中国保険公司と直接的な業務関係を樹立したのはAIGが最初である。」との記載がされている。
昭和51年2月14日付「朝日新聞」(甲第22号証)の「情報ファイル」欄には、「がん保険に負けぬ」の見出しのもと、「大同生命は・・・米国の保険会社を傘下におさめた『アメリカン・インターナショナル・グループ』(本社ニューヨーク)=A・I・G=と提携して、損害保険と生保を組み合わせた保険を出して成功している・・・」との記載がされている。
昭和52年4月12日付「日本経済新聞」(甲第23号証)には、「米AIGグループ3社・・・」の見出しのもと、「・・・わが国に進出している外国損害保険会社で最大手の米AIGグループの三社は・・・。」との記載がされている。
昭和54年8月22日付「日本経済新聞」(甲第24号証)の「ワールドビジネスマン」の欄には、「アメリカン・インターナショナル・グループ社長モーリス・R・グリーンバーグ氏」について、「日本にもなじみの深いAIU、アメリカンホームをはじめ、十四の保険会社を傘下におさめる一大保険帝国の総師。」との記載とともに、「AIGは、他の大手保険グループと異なり・・・」との記載がされている。
昭和59年9月25日付「日本経済新聞」(甲第25号証)の「海外メモ」欄には、「NY証取へ上場申請」の見出しのもと、「アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) 株式会社形態の保険会社としては第7位の大手である同社はこのほど、NY証券取引所への上場を申請・・・」との記載がされている。
昭和61年7月15日付「日本経済新聞」(甲第26号証)には、「大同生命 米社と提携拡大」の見出しのもと「大同生命保険は米国の総合保険会社AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)との提携を拡大・・・」との記載がされている。
昭和62年5月22日付「日本経済新聞」(甲第27号証)には、「米AIG、東証上場へ」の見出しのもと、「米国の大手保険会社であるアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は、このほど東証上場申請を決めた。」との記載がされている。
平成3年3月6日付「日経金融新聞」(甲第28号証)には、「富士火災 AIU社と提携・・・」の見出しのもと、「AIU社はAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)の傘下の保険会社。」との記載がされている。
平成3年3月7日付「日経金融新聞」(甲第29号証)の「IBES米主要企業100社業績予測」欄には、会社名として「AIG」が掲載され、また、「海外決済」欄には、米国企業として「AIG」が掲載されている。
平成3年5月27日付「日経金融新聞」(甲第31号証)には、「エクイタブル生命に出資検討AIG会長会見・・・」の見出しのもと、「米大手保険会社AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)・・・」、「AIGは損害保険を中心に130か国以上で生命保険、リース会社を展開している。総合金融会社としては全米7位(フォーチュン誌)の資産を持つ。」、「AIGは1946(昭和21)年から日本で事業展開している。」との記載がされている。
平成3年5月31日付「日経金融新聞」(甲第32号証)には、「スイスの大手と保険を共同販売 米AIG」の見出しのもと、「米大手保険持株会社AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)はスイスの大手保険会社ウィンターサーと組み・・・」、「AIGは損害保険を中心に世界130カ国に進出する大手保険会社。」との記載がされている。
平成3年8月2日付「日本経済新聞」(甲第33号証)の「米企業決算」欄には、「AIG」が掲載されている。
1992(平成4)年3集/夏季号「東洋経済 会社四季報」(甲第10号証)には、「AIG American International Group,Inc.」の表示がされており、同欄には、「米国大手保険グループ、損保部門は世界第3位」であり、上場は「昭和62年9月」である旨が記載されている。
(イ)以上の事実によれば、請求人である「アメリカン インターナショナル グループ インコーポレーテッド」は、生命保険会社、損害保険会社などを傘下におく米国の総合保険グループ会社として、わが国において、昭和21年(甲第31号証参照)から事業展開していたことが推認できる。
そして、請求人は、昭和47年当時から世界各国で広範に業務を行っており、わが国においても、日本の保険会社と業務提携などをすることにより、請求人傘下の保険会社が昭和52年には、外国損害保険会社で最大手に位置付けられていたことが認められる。
また、請求人に関する前記新聞報道には、請求人の名称とともに、カッコ書き、あるいは、略称として、「AIG(A・I・G)」の表示がされており、また、読者に注目される見出しにおいても、昭和47年には、「米AIGと提携」、昭和50年には、「米保険グループのAIG」、昭和52年には、「米AIGグループ3社」、昭和62年には、「米AIG、東証上場へ」、平成3年には、「富士火災AIGと提携」、「AIG会長会見」、「米AIG」というように、請求人を「AIG」という略称で表示しており、さらに、平成3年の新聞には、企業の業績予測などにおいて、企業名(会社名)として請求人を「AIG」と表示していたことが認められる。
新聞は、その平均的な読者層が理解し得る表現を用い、読者の関心を寄せる内容を掲載するのが通常であるといえるから、前掲の新聞記事が1年ないし2年に一度1紙に散発的に掲載されたものであるとしても、新聞に掲載される記事内容は、当該新聞の読者間の関心事であるといえ、その記事中において、会社名を略称で記載することなどの事情は、当該新聞の読者間にも浸透している一般的な事情というべきである。
そうすると、請求人会社は、昭和47年当時、既に「AIG」と略称されていたことが認められ、そのように略称することが可能な程度に「AIG」の文字が請求人を表すものとして保険に関連する取引者、需要者の間において認識されていたものというべきである。
また、それ以降も、「AIG」の文字は、請求人を表示するものとして、新聞報道又は紹介され、昭和62年には、東京証券取引所に上場されるなどした結果、少なくとも、本件商標の登録出願時(平成4年9月時)には、「AIG」の文字は、請求人の名称の略称として、取引者、需要者間において広く認識され、著名であったものと判断するのが相当である。
被請求人が主張する請求人と被請求人との間における「AIG」の文字を含むインターネットのドメインネームの所有の有無の事実は、上記判断を左右するものではない。
してみれば、被請求人の述べる諸事情、すなわち、被請求人会社が昭和50年1月に設立され(甲第2号証)、同月に登録出願した「AIG保険代行」の文字からなる(本件商標と同一の構成態様の)商標の登録を受け(乙第50号証)、あるいは、その商標中の「AIG」の文字が被請求人の名称(英語表記)の頭文字から採択したものであり、また、(それと同一の構成態様よりなる)本件商標がサービスマーク登録制度の施行後6月以内にされた特例商標として登録されたこと等の点を考慮するとしても、本件商標の構成が前記4.(1)のとおりであって、その指定役務も請求人傘下の保険会社が行っている業務と密接に関連している役務であること及び前記4.(2)に示す請求人会社に係る「AIG」標章の著名性等の諸事情を総合勘案すると、本件商標は、請求人の名称の著名な略称を含む商標であって、請求人の承諾を得ていないものといわなければならない。
(3)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法附則(平成3年法律第65号)第7条第2項において読み替えて適用する同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標

審理終結日 2002-04-17 
結審通知日 2002-04-22 
審決日 2002-05-07 
出願番号 商願平4-189629 
審決分類 T 1 11・ 23- Z (036)
最終処分 成立  
前審関与審査官 和田 恵美鈴木 慶子 
特許庁審判長 原 隆
特許庁審判官 鈴木 新五
小池 隆
登録日 1995-05-31 
登録番号 商標登録第3045476号(T3045476) 
商標の称呼 エイアイジイホケンダイコー、エイアイジイ、アイグ 
代理人 土屋 豊 
代理人 後藤 洋介 
代理人 山本 格介 
代理人 池田 憲保 

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