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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 014 |
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管理番号 | 1060030 |
審判番号 | 審判1999-312 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-12-28 |
確定日 | 2002-05-17 |
事件の表示 | 平成6年商標登録願第20184号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「ポロアンドクリケット」及び「POLO&CRIKET」の文字を二段に横書きしてなり、第14類「貴金属,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製喫煙用具,身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,時計」を指定商品として、平成6年3月3日に商標登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の趣旨 原審において、登録異議の申立があった結果、原査定は、「本願商標は、その構成中に、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の『ザ ポロ ローレン カンパニー リミッテッド パートナーシップ』が商品『紳士服,ネクタイ,眼鏡』等に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標『POLO』『ポロ』と同一の文字をその構成中に有するところ、本願商標が全体として常に一体不可分のものと把握認識しなければならない事情もなく、トータルファッションが流行している昨今においては、その指定商品に使用した場合、これが恰も上記会社或いはこれと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1.当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。 (1)(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング 昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典 ’84 ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバン等のデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服のデザインにも進出、服飾業界の名誉ある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」で主演したロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。わが国においても、そのころからラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by Ralph Lauren」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形の標章及びこれらを組み合わせた標章(以下「ポロ標章」という。)が用いられ、これらの標章は「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されて紹介されていた。 (2)(株)洋品界 昭和55年4月発行「海外ファッションブランド総覧 1980年版」における「ポロ/Polo」の項、ボイス情報(株) 昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項及び同63年10月29日付けの日経流通新聞には、わが国においては、ポロ・ファッションズとの契約に基づき、西武百貨店が昭和51年にポロ・ファッションズから使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始した旨記述されている。 (3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、「dansen男子専科」(株式会社スタイル社 1971年7月発行)、前出「男の一流品大図鑑」、「世界の一流品大図鑑 ’79年版」(株式会社講談社 昭和54年5月発行)、別冊チャネラー「ファッションブランド年鑑 ’80」(株式会社チャネラー 同54年9月発行)、「男の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社講談社 同55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」(株式会社講談社 同55年6月発行)、「MEN’S CLUB 1980.12」(婦人画報社 同55年12月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社 講談社 同56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、「流行ブランド図鑑」(株式会社 講談社 同60年5月発行)において、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」、「ファッションブランド年鑑 ’80」、「男の一流品大図鑑 ’81年版」において、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の標章の下に紹介されている。 (4)ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の標章について、上記事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡、判例時報1401号)及び東京地方裁判所の判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日言渡、判例時報1619号)があるほか、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同第268号、同289号(以上11年12月21日言渡)等の一連の判決がある。 (5)ポロ標章を模倣した偽ブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付け朝日新聞夕刊、同4年9月23日付け読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付け読売新聞(大阪版)朝刊、同11年6月8日付け朝日新聞夕刊等において報道されている。 (6)前記(1)ないし(5)の事実を総合すると、「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(ポロ標章)は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においても継続しているものと認めることができる。 2.商品の出所の混同のおそれについて 本願商標は、「ポロアンドクリケット」及び「POLO&CRIKET」の文字を二段に横書きしてなり、その外観上,語又は句等を並列に連綴するための略記「&」を介した2個の英単語と、それらから生ずる読みを表す片仮名から成るものであって,ポロ標章の略称と同一の「ポロ」「POLO」の語と、「クリケット」「CRIKET」の語とを組み合わせた結合商標である。また、本願商標は,全体として常に一体不可分の既成の概念を示すものとは認められないし、前記外観及び称呼が極めて短いものともいえない商標であることから、簡易迅速性を重んずる取引の実際においては、その一部分だけによって簡略に表記ないし称呼され得るものであるということができる。 一方、前認定のポロ標章も、「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されているものである。 また、本願の指定商品は、「貴金属,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製喫煙用具,身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,時計」であり、これらの商品は、トータルファッションが流行している昨今においては、ポロ標章が需要者に広く認識され著名となっている商品群と同様に、ファッション関連商品ということができるものである。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、前記ポロ標章の周知著名性の程度の高さや,本願商標とポロ標章とにおける商品の類似性並びに取引者及び需要者の共通性から、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「ポロ」及び「POLO」の文字に注目し、前記ポロ標章を連想し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 3.以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、本願商標は、登録すべきものとすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別 掲 ポ ロ 標 章 |
審理終結日 | 2002-03-01 |
結審通知日 | 2002-03-12 |
審決日 | 2002-04-01 |
出願番号 | 商願平6-20184 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(014)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 涌井 幸一、村上 照美 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
中嶋 容伸 今田 三男 |
商標の称呼 | ポロアンドクリケット |
代理人 | 石原 庸男 |