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審判番号(事件番号) データベース 権利
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取消200630137 審決 商標
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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 128
管理番号 1059903 
審判番号 審判1999-30951 
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-07-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-07-21 
確定日 2002-05-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第2100186号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2100186号商標(以下、「本件商標」という。)は、後掲に示したとおり、「よろこんで」の平仮名文字を横書きした構成よりなり、第28類「酒類」を指定商品として、昭和61年5月8日に登録出願、同63年12月19日に設定登録され、その後、平成11年2月9日に存続期間の更新登録がされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の全指定商品についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出している。
1.請求の理由
請求人の調査した限りにおいて、少なくとも本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれにおいても、上記指定商品について本件商標が使用された事実は存在しない。
2.弁駁の理由
被請求人の平成12年1月19日付提出した答弁書に対して、つぎのとおり弁駁する。
(1)被請求人の提出に係る乙各号証は、「株式会社神戸酒心館」による商標の使用について立証するものであって、その使用主体を通常使用権者として立証するものであるなら、使用権の許諾の事実自体が疎明されない限り、乙各号証をもって通常使用権者の使用とは認め得ない。
(2)仮に、通常使用権者の存在が将来にむけて容認できる事情が生じたときの停止条件により、「株式会社神戸酒心館」を通常使用権者とし、その使用権の許諾範囲を指定商品中の「日本酒」に特定、登録商標の使用始期を「1997年(月日不明)から(終期不明)」との取決めがあったと推測して、乙各号証の証拠能力について検討する。
乙第1号証(写真)は、日本酒及びその包装を撮影対象とした写真(6カット)であって、具体的な取引の状態、時期、場所などが何等明らかにされていないものであり、実際取引の場における本件商標「よろこんで」の現実の使用事実を証明する根拠とはなり得ない。また、これらの写真が示すものは、本件商標の構成文字と他の構成文字とが混在、結合して表示された構成態様から、本件商標とは明らかに別個の商標というべきでものあり、この点で、被請求人も本件商標の使用を立証すべき事実と理由を明らかにしていない。
乙第2号証-1ないし同第2号証-3の各号は、「送り状(控)」と題する伝票の写しで、株式会社神戸酒心館(神戸市、所在)から納入先の(株)ぬ利彦 江東倉庫(東京都、所在)、外に宛てた「(19)97年2月26日及び同年5月19日」の発行とされ、「商品CD 164003」、「商品名 よろこんで」、「容量 1,8 0 0」、「入数 6」、「 《備考》 酒類売上と必着日(発行日の翌日を印字)」とそれぞれ各項目欄には同一書体の文字が画一的に印字表記されている。
しかしながら、上記送り状の「商品名 よろこんで」の印字部分は、当該送り状の表示全体からみれば、他の「商品CD、容量、入数」の項目欄に表示のものと同列であり、出荷品の種別と品目・等級・規格などを説明した慣用的で、記述的部分にすぎず、普通の表示方法で画一的に表示されたものであるから、社会通念上、この部分が本件商標の現実の使用態様を証明するものとはいえない。
乙第2号証-4ないし同第2号証-7の各号は、「庫出指図書」と題する伝票の写しで、株式会社神戸酒心館からの納入先の(株)ぬ利彦 江東倉庫、外に宛てた「(19)98年1月13日、(19)99年12月16日及び同月21日」の発行で、「商品CD」、「商品名」、「容量」、「入数」 及び「《備考》 」の項目欄を設けて、当該欄の表記が同書体で印字されたものであることは、上記「送り状(控)」とその仕様、内容をまったく同じくする。
そして、乙第2号証-6及び同第2号証-7として提出した「庫出指図書」は、「(19)99年12月16日及び同月21日」発行のもので、取消審判請求の予告登録後の受注に係るものであるから、その証拠能力はなく、本件審判事件において取り消しの妨げとなるものでない。
また、受注元が使用許諾を受けた通常使用権者である以上、控えとはいえ、これら送り状のすべてが受注当事者である担当責任者の記名、捺印がなく、受注後の確認、照会の対処にも不都合といえよう。
このように、受注段階では送り状が誰によって作成されたものか、さらに、受注品が神戸市在の受注元から出荷先の東京・茨城・千葉地域へ受注日の翌日「必着」納入とあるも、出荷後の納入段階が明らかでない。
してみれば、本件商標の使用について、被請求人の答弁を立証する乙第1号証-1ないし同第2号証-7によっては、果たして、表示された当該発行日に受注の事実があったのか、受注の際、商標使用が現実にあったのかなどの疑念は否めない。
(3)したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者もしくは通常使用権者のいずれもが指定商品「酒類」についての本件商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定に該当し、その登録の取り消しを免れないものであることは明らかである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証(枝番を含む。)を提出している。
答弁の理由
被請求人は、取引のある株式会社神戸酒心館に本件商標権についての通常使用権を許諾し、株式会社神戸酒心館は、商品「日本酒」について商標「よろこんで」の使用をしている(乙第1号証ないし乙第2号証-7)。
添付の商品の写真(乙第1号証)は、最近撮影したものであるが、取引の事実を証明する取引書類の写し(乙第2号証-1ないし乙第2号証-7)と合わせると、少なくとも1997年以降には商品「日本酒」について商標「よろこんで」が使用されていたことは明らかである。

第4 当審の判断
1.本件商標は、後掲に示すとおり「よろこんで」の平仮名文字を横書きした構成よりなり、指定商品は「酒類」とするものである。そして、本件審判請求は、本件商標の全指定商品について、商標法50条第1項の規定によりその登録の取り消を求めるものであって、その予告登録は平成11年8月11日にされているものである。
なお、本件商標の商標権者の名称は、平成11年2月4日に表示変更の登録により、株式会社レストラン西部から株式会社西洋フードシステムズに変更されている。
2.商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができるとされているものであり(商標法第31条)、これは当事者間の契約に基づいて発生するものである。してみれば、爾後的に作成されたものとはいえ、同日付で本件商標に対し、本件審判と同様の趣旨及び理由をもって請求された取消審判事件(平成11年 審判第30952号)に第3号証として提出された「本件商標の商標権について1989年1月1日より継続して現在に至るまで、『地域 日本全国 期間 商標権の有効期間中(更新登録後も同様) 範囲 日本酒』を範囲とする通常使用権を許諾していること」を内容とする証明願を援用してみれば、被請求人(商標権者)と「株式会社神戸酒心館」とは、その証明内容の範囲内において、本件商標の商標権について通常使用権の契約があったものといわざるを得ない。
したがって、株式会社神戸酒心館は、本件商標権の通常使用権者というべき者である。
3.被請求人が、本件商標を本件審判の取消対象商品中「日本酒」について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した乙第1号証ないし同第2号証-7をみるに、
(1)乙第1号証は、一升瓶の清酒とその包装箱を撮影した写真6葉であって、これら写真には、瓶のラベルに標章「よろこんで」の記載を認めることができるほか、「神戸市東灘区御影塚町1丁目8番17号」と「株式会社神戸酒心館」の表示、及び「製造年月99.11C」の各記載より次の点が証明される。
(ア)ラベルの標章「よろこんで」が、他の構成文字と混在、結合して表示された構成態様であるとしても、商取引の実際において登録商標が他の構成要素とともに配列又は配置されて使用されることは、商品「清酒」に限らず各種商品において普通に行われているところであり、本件の係る構成における該標章の使用は、商品識別標識として他の構成要素と独立しても機能しているというべきであるから、その使用に係る標章は、本件商標と取引上実質的な差異はなく、社会通念上同一と認められる商標である。
(イ)ラベルに印刷の住所・名称の表示は、上記2において認定した通常使用権者の住所・名称と同じくするものであるから、通常使用権者である「株式会社神戸酒心館」は、標章「よろこんで」を付した商品「清酒」を本件審判請求の予告登録日(平成11年8月11日)以降といえ、ラベルに表示の「製造年月99.11C」の記載からみて、少なくとも1999(平成11年)年11月に当該清酒を製造していたことが明かであり、かつ、酒造メーカーと認められる者である。
(2)乙第2号証-1ないし同第2号証-5は、「送り状(控)」又は「庫出指図書」とする取引書類の写しであって、この伝票の取り扱い商品は、各項目欄に表示の「商品名 よろこんで」、「容量 1,800」及び「《備考》 酒類売上」の各記載からして、乙第1号証に係る商品と銘柄を同じくする「清酒」と推認できる。
そして、この取引書類からは、株式会社神戸酒心館と株式会社ぬ利彦、株式会社新六本店、株式会社藤屋、及び株式会社榎本の各取引先との間において当該「清酒」についての商取引がなされたとみて差し支えないといえるものであって、その取引書類は本件審判請求の登録前3年以内に発行(1997年2月26日、同年5月19日及び1998年1月13日)されたものと認められるものである。
4.以上、2及び3で認定したとおり、被請求人(商標権者)は、審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者によりその請求に係る指定商品中「日本酒」の範疇に属する「清酒」について、本件商標の使用を証明し得たものといわなければならないから、本件商標の登録を取り消すことができない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件審判の取消請求に係る全指定商品について、その登録を取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


審理終結日 2002-03-28 
結審通知日 2002-04-02 
審決日 2002-04-16 
出願番号 商願昭61-47394 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (128)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 栫 生長為谷 博 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 高野 義三
原田 信彦
登録日 1988-12-19 
登録番号 商標登録第2100186号(T2100186) 
商標の称呼 ヨロコンデ 
代理人 涌井 謙一 
代理人 信太 明夫 
代理人 鈴木 正次 

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