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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない 129 |
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管理番号 | 1059799 |
審判番号 | 無効2000-35443 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-07-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2000-08-22 |
確定日 | 2002-05-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2262591号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2262591号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和62年6月16日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第29類「ダージリン紅茶」を指定商品として、平成2年9月21日に設定の登録がされたものであるが、その後、商標権の存続期間が満了し、同13年6月13日に本件登録の抹消の登録がされている。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第12号証を提出した。 <無効理由> 約150年前から、インドの西ベンガル州に位置するダージリン地方の山の斜面に広がる茶畑において栽培され生産されている茶は、当該地理的位置の特殊な気候条件により特有の品質と香味を有し、インド及び世界中の茶を飲む公衆の中で「Darjeeling Tea」として名声を博し、世界的な評価を得ている(甲第3号証ないし同第7号証)。 したがって、本件商標のうち「DARJEELING TEA」の部分は、原産地表示またはダージリン特産の紅茶として一般需要者・取引者には捉えられており、商標として何ら顕著性のない部分である。 そして、本件商標より「DARJEELING TEA」「ダージリン・ティー」「原産国インド」の文字を除けば、残るところインドの地図のみとなり、この部分も、もともと識別力のないものである。 このような地図について、インド政府と何ら関係のない日本国に住所を有する一私人が、商標として使用することは、取引者・需要者にインド国と何らかの関係がある者の取り扱いに係る商品であるかの如く誤認を生じさせるので、インド国の権威と尊厳を損ね、ひいては国際信義に悖るものであり、このことは、とりもなおさず、我が国の公序良俗を害する行為となる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 3 被請求人の答弁 被請求人は何ら答弁していない。 4 当審の判断 本件商標は、別掲に示すとおりの構成よりなるところ、請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するものである旨主張している。 しかして、ある商標が商標法第4条第1項第7号に該当するというためには、その商標が矯激、卑猥な文字、図形からなるものである場合、商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般道徳観念に反するような場合、あるいは、他の法律によって、その使用が禁止されている商標、国際信義に反するような商標である場合等を挙げることができる。 そこで、請求人の主張する事由により、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するものであるか否かについて判断する。 本件商標は、インド国の地図、磁石、飾りのついたリボン枠で囲んだ「DARJEELING TEA」の文字等を縁の所々が擦り切れた古い巻紙風枠内に表し、その下に「ダージリン・ティー」及び「原産国 インド」の文字を書してなるものであって、全体として文字や地図の図柄を古い巻物風に表した特異な商標として認識し、把握されるものである。 ところで、本件商標は、その構成中に「DARJEELING TEA」の文字及びインドの地図を有するものの、それのみにより構成されるものではなく、前記したとおり、それらの文字や地図を構成要素の一つとして古い巻物風に表した標章よりなるものである。そして、「DARJEELING TEA」の文字及びインドの地図は、指定商品との関係からみて「ダージリン紅茶」の生産地及び商品の品質を表すための表示として使用されたものとみるべきであるから、これをもってインド国の国民感情を害するものとはいえず、また、「ダージリン紅茶」の生産地がインド国ダージリン地方であることを表すために必要に応じて普通に使用される表示といえるものであるから、該文字及び地図の使用は、インド国の権威と尊厳を何ら損ねるものではなく、国際信義に反するものとはいえない。 してみれば、本件商標の使用がインド国の権威と尊厳を損ね、国際信義に反するとして、これを理由に本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するものとする請求人の主張は採用することができない。 その他、本件商標は、矯激、卑猥な文字、図形からなるものでないことはいうまでもなく、社会公共の利益に反し、又は社会の一般道徳的観念に反するものと認めるに足る証拠もなく、他に公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に当たるとする格別の事由も見当たらない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではないから、同法第46条第1項により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別掲】 本件商標 |
審理終結日 | 2001-12-04 |
結審通知日 | 2001-12-10 |
審決日 | 2001-12-25 |
出願番号 | 商願昭62-69744 |
審決分類 |
T
1
11・
22-
Y
(129)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小宮山 貞夫、能條 佑敬、小川 宗一 |
特許庁審判長 |
涌井 幸一 |
特許庁審判官 |
小川 敏 野上 サトル |
登録日 | 1990-09-21 |
登録番号 | 商標登録第2262591号(T2262591) |
商標の称呼 | ダージリンティー |
代理人 | 山本 秀策 |