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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 041
管理番号 1059792 
審判番号 審判1999-31390 
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-07-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-10-12 
確定日 2002-05-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第3095081号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3095081号商標(以下「本件商標」という)は、「新学社」の文字を書してなり、平成4年9月30日に登録出願、第41類「試験問題の作成・採点及び添削指導,成績診断資料の作成及び情報の提供,教育及び教材用ビデオテ―プの制作,教育・教材用ソフトウエアを組み込んだ電子計算機の操作に関する教授,学習塾における学習指導,教育に関するセミナ―の企画・運営又は開催」を指定役務として、平成7年11月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標は、その指定商品中「学習塾における学習指導及びこれに類似する役務」について、その登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ証拠方法として甲第1号証提出した。
被請求人である株式会社新学社は、請求人が独自に調査した結果、本件商標を過去3年にわたって請求に係る指定役務「学習塾における学習指導及びこれに類似する役務」のいずれについても日本国内において使用した事実がないことが判明した。
また、商標登録原簿謄本(甲第1号証)からも、専用使用権者または通常使用権者が登録されている事実も見受けられず、かかる者が本件商標を前記指定役務のいずれにも使用した事実がない。
さらに、本件商標を指定役務のもいずれにも使用していないことについての正当な理由があるとも考えられない。
よって、本件商標の登録は、請求に係る商品について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第14号証を提出した。
請求人は、本件商標にかかる指定役務のうち「学習塾における学習指導及びこれに類似する役務」についての取り消しを求めている。
しかしながら、被請求人は審判請求前3年以内に日本国内において本件商標を当該指定役務中「試験問題の作成・採点及び添削指導」について使用しており、現在も継続して使用している。
(1)まず、答弁の前提として取り消しの請求に係る指定役務「学習塾における学習指導及びこれに類似する役務」の範囲を明らかにしておく。
乙第1号証の特許庁ホームページ「商品・役務名リスト」によれば、本件商標の指定役務である「試験問題の作成・採点及び添削指導」が「学習塾における教授」と同じ類似群(41AO1)に属しており、問題の「学習塾における学習指導及びこれに類似する役務」にはこの「試験問題の作成・採点及び添削指導」が含まれることが分かる。従って、以下に当該役務についての使用証拠を提出し、本件審判請求に理由のないことを証明する。
(2)乙第2号証は、学習図書を広く扱う被請求人会社・株式会社新学社の1998年の図書総目録である。ここにあるように同社は幅広く問題集などを児童・生徒向けに作成・販売しているが、「試験問題の作成・採点・添削指導」をも行なうものであり、乙第2号証の図書総目録では「習熟度診断問題」(第6頁)及び「診断と定着」(第7頁)などがこの役務に相当する。これらはいずれも同社の作成に係る試験問題を生徒達が解き、希望により依頼があれば採点までを行なうもので、目録でも明らかなように試験用紙代・資料代のほか「採点代(250円)」が定められており、問題作成から採点までの一連がひとつのサービスとなっているものである。
乙第3号証は、これらに対応する価格表であるが、採点料を独立に設定していることで、これらが単なる「試験問題の販売」の付随的サービスにとどまらない、歴としたサービスであることを示している。
(3)以上は被請求人・新学社が試験問題の作成から採点までを行なっていることの証明であるが、次に商標の使用も含め、上記サービスの流れを使用証拠とともに詳しく説明する。
まずこのサービスには構成として、学校一特約店一新学社一採点者というつながりが存在する。新学社が作成した問題集は特約店を通じて学校に納入販売され、そこで生徒達によって解かれた解答用紙が特約店を通じて新学社へ戻り、さら新学社が委託する採点者へと送られそこで採点がなされる。採点が済むと再び新学社に問題が戻され、解答用紙及び集計結果などのデータを添えて、採点結果は最終的に特約店を通じ学校へ送付される。特約店は学校から、新学社は特約店から、そして採点者は新学社からそれぞれ代金の支払いを受け、利益を得ることとなる。
乙第4号証は、1999年の図書総目録であり、表紙に商標「新学社」が表示されているほか、「学習の診断」(第3頁)・「習熟度診断問題」(第6頁)及び「診断と定着」(第7頁)にこのサービスをみてとれる。
乙第5号証は、このうち「学習の診断」また乙第6号証は「習熟度診断問題」の実物見本であるが、いずれも表紙には商標「新学社」の表示がなされている。
乙第7・8号証の「セミナーの確認問題A・B」は、「中学セミナー」についてのテストであり、目録に採点代は記載されていないが、同様に問題作成から採点までが行なわれるものである。これらも表紙には「新学社」の表示がなされている。
乙第9号証は、上記テスト問題に関し実際に採点までが行なわれていることを示すもので、新学社から採点者への採点料の支払いデータである。ここでは「添削料」として、新学社から会社あるいは個人に「習熟度診断問題」及び「中学セミナー」関連の「学習の診断」「確認問題A・B」についての添削料が支払われていることが分かる。なお、明細では内容欄に「採点・原票」と記載されているが、「採点」は文字通り採点について支払われる対価であり、「原票」は成績表に採点データを入力する際の対価である。
乙第10号証は、新学社から特約店(吉宗勉強堂)への請求データであり、採点代としての請求が特約店に対してなされていることが分かる。このうち印をつけた部分は、甲第9号証の支払いデータに対応する部分であり、採点件数など新学社が渡辺氏に支払った件につき、同時に特約店に請求していることの対応が示されている。もちろん新学社は渡辺氏に支払う料金に一定額を上乗せした形で特約店へ請求をしており、ここで採点処理等についての利益を得ることとなる。
乙第11号証は、新学社が請求書を作成する際のもととなるリストであり、これをもとに特約店への請求書が作成される。前記請求書との関係で言えば、印を付けたところが対応しており、リスト全体をみれば、全国の学校に広く当該サービスを展開していることとが分かる。以上の資料はすべて平成11年5月分のものであり、審判請求前3年以内に「新学社」が当該サービスについて使用されていたことは明らかである。
さらに乙第12号証は、「全日本家庭教育会(全家研)」が提供する「ポピー添削ゼミ」である。この全家研は被請求人会社新学社の下部組織であり新学社と同視できるもので、実質的には新学社が「ポピー添削ゼミ」の問題の作成・採点から添削指導をおこなっているものである。表紙にあるように本サービスは問題を生徒達が家庭で解き、これを採点・添削した上で成績表を出すもので、生徒達からの質問による指導もおこなわれている。裏表紙には「新学社」の表示もなされている。
乙第13号証は、「ポピー添削ゼミ」に関して、新学社(厳密には新学社添削研究センター)から採点者へと支払われた添削料の支払いデータであり、乙第14号証は新学社から全家研の支部への請求データである。これらの資料も全て平成11年5月分のものである。
なお、全家研には各地に支部があり、この支部が上の説明に照らし合わせれば特約店に位置するところである。
(4)以上の証拠方法、理由により、本件商標が審判請求日前3年以内に日本国内で指定役務につき使用されていたことは明らかである。

4 当審の判断
被請求人が本件商標の使用事実を示すために提出した乙第1号証(特許庁ホームページ「商品・役務名リスト」)、同第2号証(被請求人会社1998年用図書総目録)、同第3号証(平成10年度新学社版テスト要項)、同第4号証(被請求人会社1999年用図書総目録)、同第5号証(テスト問題集「学習の診断」)、同第6号証(テスト問題集「習熟度診断問題」)、同第7号証(テスト問題集「セミナーの確認問題A」)、同第8号証(テスト問題集「セミナーの確認問題B」)、同第9号証(被請求人会社社内用支払いデータ「習熟度診断問題・中学セミナー関連」)、同第10号証(被請求人会社社内用請求データ「習熟度診断問題・中学セミナ一関運」)、同第11号証(被請求人会社社内用請求先リスト「習熟度診断問題・中学セミナー関連」)、同第12号証(テスト問題集「ポピー添削ゼミ」)、同第13号証(被請求人社内用支払いデータ「ポピー添削ゼミ関連」)、同第14号証(被請求人社内用請求データ「ポピー添削ゼミ関連」)を総合勘案すれば、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、その指定役務中、取り消し請求に係る指定役務の「学習塾における学習指導に類似する役務」に含まれる「試験問題の作成・採点及び添削指導」について使用していたものと認めることができる。
そして、請求人は、被請求人の答弁に対し何ら弁駁するところがない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の取り消し請求に係る「学習塾における学習指導及びこれに類似する役務」について商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-03-13 
結審通知日 2002-03-18 
審決日 2002-04-01 
出願番号 商願平4-278083 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (041)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 良弘小林 薫小川 きみえ 
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 滝沢 智夫
中嶋 容伸
登録日 1995-11-30 
登録番号 商標登録第3095081号(T3095081) 
商標の称呼 シンガクシャ、シンガク 
代理人 小谷 武 
代理人 大西 孝治 
代理人 大西 正夫 

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