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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) 027 |
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管理番号 | 1058750 |
異議申立番号 | 異議1998-91724 |
総通号数 | 30 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2002-06-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-08-24 |
確定日 | 2002-04-19 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4139470号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4139470号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4139470号商標(以下、「本件商標」という。)は、商標の構成を「VALENTINOPIA」の欧文字と「バレンティノピア」の片仮名文字とを二段に横書きにし、指定商品を第27類「体操用マット,プラスチック製の壁板,タイル及び床板,リノリューム製の壁板・タイル及び床板,壁紙」として、平成8年4月12日に登録出願、平成10年4月24日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 本件登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、異議申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第61号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)本件商標は、申立人の著名な略称を含む商標であるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (2)本件商標と商標登録第1315877号(「VALENTINO/ヴァレンティノ」)及び商標登録第2128580号(「VALENTINO GARAVANI」)とは、称呼上、類似する商標であり、また、両者の指定商品は抵触するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 (3)申立人の引用する「VALENTINO GARAVANI」、「VALENTINO」は、商品「婦人服、紳士服、ネクタイ、バンド、バッグ類」等に使用され、本件商標の登録出願の日前より著名であることは明らかであるから、本件商標を商標権者がその指定商品に使用した場合、その出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 3 本件商標に対する取消理由の通知 登録異議の申立があった結果、商標権者に対して示した本件商標の取消理由(平成13年11月20日付取消理由通知書)は、要旨次のとおりである。 <取消理由> (1)「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)は、1932年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院で デザインの勉強を開始し、その後フランスの有名デザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Oscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。以来、同氏は、イタリア・ファッションの第一人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで広く知られる国際的デザイナーの一人と認められる。 (2)わが国において、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)の名称(氏名)または標章(以下、「申立人商標」という。)は、前記1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞を契機に知られるようになり、同時にその製作・発表に係る作品群、すなわち、その取扱いに係る婦人服その他の衣料品、かばん類、はき物類ほかファッション関連各商品を表彰するいわゆるデザイナーズキャラクターブランドとして、ファッション関連雑誌、新聞等により屡々日本国内にも紹介されてきたことが認められる。また、この間、日本及び極東地区総代理店として昭和49年に設立された「株式会社ヴァレンティノヴティックジャパン」の事業展開と相俟っていわゆるヴァレンティノ(VALENTINO)製品の輸入、販売及びその広告・宣伝活動が活発に行われてきた状況を窺うのに十分である。 これら事情よりして、前記デザイナーの氏名ないしその作品群またはそれら取扱いに係る商品を表示する申立人商標は、わが国において、少なくとも昭和50年代前半においてすでにわが国の需要者一般に広く認識せられるに至ったいわゆる著名商標と認め得るものである。 (3)前記デザイナー名称または申立人商標は、一方において、前出新聞、雑誌の記事や見出し中において、単に「VALENTINO」または「ヴァレンティノ」の省略形または略称(以下、「略記商標」という。)をもって取り扱われている事実があり、ファッション関連分野において「VALENTINO」(ヴァレンティノ)といえば前記デザイナーに係る商品を表示するものとして、申立人商標と同様に需要者間に広く認識せられるに至ったものと認められる。 すなわち、当審において調査するに、申立人商標はわが国において、「VALENTINO」、「ヴァレンチノ」または「ヴァレンティーノ」の略記(略称)をもって取り扱われていることが田中千代著同文書院1981年発行「服飾辞典」、山田政美著株式会社研究社1990年発行「英和商品辞典」、金子雄司ほか著岩波書店1997年発行「世界人名辞典」の当該各項の記載に徴して認め得るところであり、このほか、女性雑誌等においても、たとえば、「marie claire」(マリ・クレール)1996年2月号、「non-no」(ノンノ)1989年12月号における当該記事の見出し表示等よりして、その状況が十分に窺われる。 (4)前述わが国への進出時期と前後する昭和43年頃から同49年にかけて、申立人会社は、「VALENTINO GARAVANI」または「VALENTINO」商標のわが国における使用権確保と他人による使用を排除すべく、被服、布製身回品、寝具類、はき物、装身具類、かばん類、宝玉類、喫煙用具その他いわゆるファッション関連各商品分野において商標登録出願を行い(爾後、商標登録済み。)、その後も引き続き関連商標について商標登録し権利確保を図ってきた状況が認められる。 以上、(1)ないし(4)の各点よりして、略記商標は、申立人商標と同様に、国際的デザイナーの一人に数えられる前記デザイナーまたは申立人会社に係る婦人服、紳士服等の衣料品、かばん類、宝玉その他装身具類、はき物類及び喫煙用具等の各商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時(平成8年)はもとよりそれ以前においてすでにわが国の需要者間において広く認識せられたいわゆる著名商標と認め得るものであって、その状況は本件商標の登録査定時である同10年4月24日の時日においてもなお同様であったものと認められる。 ところで、本件商標はその構成前記のとおり、「VALENTINOPIA」、「バレンティノピア」の各文字よりなるところ、これら文字構成(綴り)を常に一体のものとして把握しなければならないような特段の事情は見出せない一方、その構成冒頭部にあって強く印象づけられる部分というべき「VALENTINO」(ヴァレンティノ)の文字部分は前記認定の略記商標と同一の文字綴りである。そして、服飾等をデザインするものとして著名な各デザイナーが、ファッション関連商品だけに限らず、各種商品をデザインすることは日常一般に行われるところであり、本件商標の指定商品における敷き物、壁紙等、或いはホテル等の内装のデザインを担当すること少なく、かつ、その指定商品は申立人商標または略記商標の使用に係る敷き物、壁紙ほか関連各商品を含むものと認められる。 そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者は、前記各事情よりして、略記商標または申立人商標を容易に想起するとともに、その商品があたかも上記デザイナーまたは申立人会社ないしはその関連会社の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を来すおそれが少なからずあったとみるのが相当である。 してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。 4 当審の判断 本件商標についてした先の取消理由の通知(前記3)は妥当であって、その登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ない。そして、商標権者は、この取消理由の通知に対して、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べていない。 してみれば、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2002-03-01 |
出願番号 | 商願平8-39852 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(027)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小田 明 |
特許庁審判長 |
小松 裕 |
特許庁審判官 |
高野 義三 涌井 幸一 |
登録日 | 1998-04-24 |
登録番号 | 商標登録第4139470号(T4139470) |
権利者 | 中村 豊意 |
商標の称呼 | バレンティノピア |
代理人 | 杉村 暁秀 |
代理人 | 末野 徳郎 |
代理人 | 杉村 興作 |