• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z29
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z29
管理番号 1058730 
異議申立番号 異議2000-90802 
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2002-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-02 
確定日 2002-04-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第4380313号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4380313号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4380313号商標(以下、「本件商標」という。)は、「イソフラボーン」と「Isoflabone」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成11年5月18日に登録出願、第29類「肉製品,加工水産物(「かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり」を除く。),加工野菜及び加工果実,乳製品,食用油脂」を指定商品として、平成12年4月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標は、大豆等に含まれる効用物質としてよく知られた「イソフラボーン」及びその英字表記であるから、その指定商品中「イソフラボーン(イソフラボン)を配合或いは含有した商品」に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。また、本件商標をその指定商品中前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

3 本件商標に対する取消理由(要旨)
本件商標は、その指定商品中「イソフラボン含有の商品」について使用するときは、単にその商品の品質、原材料を表示するにすぎないものであって、前記商品以外の商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見(要旨)
本件商標「Isoflabone」は、アルファベット「Isofla」と「骨」を意味する「bone」とを組み合わせた本件商標権者の創造した造語である。
そして、本件商標は、「Isoflabone」であって、食品の成分として構成文字が一字異なる例は多数あり、成分においては、「isoflavone」とは異なるものと認識されるものである。また、本件商標は、「骨」を意味する「bone」を構成要素としており、全体としてのみ意味のある「isoflavone」(「vone」は意味を持たないもので、全体として意味のあるものである。)とは、本件商標が後半に意味のある「bone」を有する点において異なるものである。
つまり、本件商標は、前記のように、カタカナとアルファベットで二段に書してなるものであり、「isoflavone」とは、その構成が異なり十分に識別性を備えているものであるから、その指定商品の産地、販売地、品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ではない。
また、本件商標は、手続補正書により、その指定商品を「isoflavoneを含有してなるもの」に減縮したので品質の誤認を生ずるものではない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当するものではない。

5 当審の判断
本件登録異議申立人の提出に係る甲各号証を総合勘案すれば、「イソフラボン」又は「イソフラボーン」の語は、マメ科、アヤメ科、バラ科等の植物からの遊離及び配糖体として見出されているイソフラボノイド(isoflavonoid)といわれる一群の化合物で、種々の生理活性をもつものもあるといわれている物質を指称するものということができる。
そして、「イソフラボン(isoflavone)」は、「豆腐、高野豆腐、味噌、納豆」等の大豆製品に多く含有されていて、骨粗鬆症、更年期障害、乳がん等に薬理効果があることから、新規の機能性食品素材として期待され、また、近時、食品を取り扱う業界において、「イソフラボン」又は「イソフラボーン」の文字が「大豆胚芽茶、麦茶、豆乳ヨーグルト、コーヒー入り豆乳飲料、清涼飲料、イソフラボンを成分とする加工食品(栄養補助食品)」等の商品の成分表示として使用されている事実も認めることができる。
そうとすれば、本件商標は、前記「イソフラボーン」とその英文字表記と認められる「isoflavone」に酷似する「Isoflabone」の文字よりなるものであるから、これに接する取引者・需要者に、食品の成分として知られる物質名「イソフラボン」又は「イソフラボーン」(isoflavone)を表示したものとして把握、理解されるとみるのが相当である。
なお、商標権者は、「本件商標は、アルファベットの『Isofla』と『骨』を意味する『bone』とを組み合わせた創造語であって、『isoflavone』とは、その構成が異なるものであるから、自他商品の識別機能を有するものである。」旨主張する。
しかしながら、本件商標は、その構成中下段の「Isoflabone」の文字が食品の成分表示として知られる物質名「isoflavone」とは、10文字中の7文字目における前者の「b」と後者の「v」の1文字に相違があるにすぎず、その称呼も同一といい得るものであって、取引者・需要者に、「isoflavone」を表示したものと誤認される場合も少なくないとみるべきであるから、商標権者の前記主張は採用の限りでない。
加えて、平成13年1月5日付の商標権者提出に係る「手続補正書」による補正は、商標法第68条の40の手続の補正の対象外の補正であるとして、平成13年3月27日付でその手続の却下処分がなされ、確定しているものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「イソフラボン含有の商品」について使用するときは、単にその商品の品質、原材料を表示するにすぎないものであって、前記商品以外の商品について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならないから、本件商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものとして、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものであるから、結論のとおり決定する。
異議決定日 2002-02-19 
出願番号 商願平11-43208 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (Z29)
T 1 651・ 272- Z (Z29)
最終処分 取消  
前審関与審査官 瀧本 佐代子 
特許庁審判長 為谷 博
特許庁審判官 平山 啓子
高野 義三
登録日 2000-04-28 
登録番号 商標登録第4380313号(T4380313) 
権利者 山之内製薬株式会社
商標の称呼 イソフラボーン、アイソフラボーン、フラボーン 
代理人 森田 拓 
代理人 吉原 弘子 
代理人 長井 省三 
代理人 矢野 恵美子 
代理人 吉原 省三 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ