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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない(当審拒絶理由) 020
管理番号 1058638 
審判番号 審判1996-16411 
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1996-09-27 
確定日 2002-05-01 
事件の表示 平成 5年商標登録願第107264号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 本願商標は、「valentino elegance」の欧文字を横書きしてなり、第27類「自動車の座席用尻敷きクッション,その他の敷き物,壁掛け(織物製のもを除く。),畳類,洗い場用マット,人工芝,体操用マット,プラスチック製の壁板・タイル及び床板,リノリューム製の壁板・タイル及び床板,壁紙」を指定商品として、平成5年10月22日に登録出願されたものであるが、商品の区分及び指定商品については、平成7年11月8日付け手続補正書で第20類「自動車の座席用尻敷きクッション」と補正したものである。
これに対して、当審において、「1 本願商標は、『valentino elegance』の文字よりなるところ、その構成中には、後記に示すとおり、イタリア国在住の『VALENTINO GARAVANI』(オランダ国在の関連企業『バレンチノ グローブ ベスローテン フェンノートシャップ社』)が「紳士・婦人服」等に使用している著名な商標『VALENTINO』の文字を含んでなるものである。また、本願商標『valentino elegance』が、一般に親しまれた特定の熟語を表すものとか、特定の人名を表すものとして知られているとかの事情は認められない。
2 ところで、『VALENTINO GARAVANI』(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)について職権により証拠調べを行ったところ、下記の証拠により以下のとおりの事実を発見した。

(1)『世界の一流品大図鑑ライフカタログVOL.1』(昭和51年6月5日株式会社講談社発行)において、『ヴァレンティノ・ガラバーニ』が、『イタリアファッション界の旗手と呼ばれ、女性を最高に美しく見せるデザイナーとして高く評価されている。』こと、及びその経歴等を紹介する内容とともに『ブラウス、セーター、ネクタイ』の商品の写真が掲載されていること。
(2)『EUROPE一流ブランド』(昭和52年12月1日株式会社講談社発行)において、『ヴァレンティノ ガラバーニ』の所有する店舗の紹介と簡単な経歴が『婦人服』の商品と共に掲載されていること。
(3)『服飾辞典』(昭和54年3月5日第1刷文化出版局発行)の、ヴァレンチィーノ ガラヴァーニ[Valentino Garabani、1932?]の項に、『イタリア北部の都市(ヴォゲラ)に生まれる。17才でリセオ(中学)を中退、パリに行く。スチリストになるため、パリのサンジカ(パリ高級衣装店組合の学校)で技術を身につける。1951年、ジャン・デッセ(オート・クチュール)のもとで5年間アシスタントとして仕事をする。その後2年間、ギ・ラローシュのアシスタントをし、1958年独立、ヴァレンティーノ・クチュールの名でローマに店を開いた。このころ、イタリアのモードは世界的に有名になりつつあった。彼の最初の仕事は、フィレンツェのピッティ宮殿でのコレクションである。このコレクションは、〈白だけの服〉という珍しい演出であったが、その美しさはジャーナリストの間で評判となり、「ニューズ・ウィーク」「ライフ」「タイム」「ウィメンズ・ウェア・デイリー」各誌紙で取材、モードのオスカー賞を獲得した。1967年、ヴァレンティーノの名は世界に知れわたった。1972年には紳士物も始め、その他アクセサリー、バッグ、宝石類、香水、化粧品、家具、布地、インテリアと、その仕事の幅はたいへん広いが、すべてヴァレンティーノ独特のセンスを保っているのはみごとである。ヴァレンティ?ノの洋服に対する考えは、まず個性が第一で、彼のコレクションからは、デテールでなくそのエスプリをくみ取ってもらうことに重きをおく。ローマの高級住宅地、アッピア・アンティカに母親とたくさんの犬と暮らしている。仕事でパリとローマを行き来するが、世界中を旅行するなど忙しい日々である。物をつくる人は誰でも波があって、いつも傑作が続くとはかぎらないが、ヴァレンティーノは現在、ローマのオート・クチュール界で最も好調なデザイナーといえる。以前から東洋風なエキゾティシズムが好きで、時によってトルコ風、アラブ風の特色がみられるが、最近はキモノのセクシーさを1950年代のハリウッドの雰囲気に表現、あやしく美しいヴァレンティーノの世界をつくり出している。』との紹介記事が掲載されていること。
(4)『朝日新聞』(昭和57年11月20日夕刊)において、世界の服をリードする3人のうちの1人として『バレンチノ』の紹介記事が掲載されていること。
(5)『男の一流品大図鑑’85年版』(昭和59年12月1日株式会社講談社発行)において、『VALENTINO GARAVANI』『ヴァレンティノ・ガラヴァーニ』の文字と共に、『スーツ、ブルゾン、シャツ、ネクタイ、ベルト及びバッグ』の商品が掲載されていること。
(6)雑誌『non-no』1989年 No23号(平成元年12月5日株式会社集英社発行)及び『marie claire』(1996年2月1日中央公論社発行)において、『ヴァレンティノ ガラバーニ』が単に『ヴァレンティノ』と略称され、商品『婦人服』等と共に掲載されていること。
(7)『英和商品名辞典』(1990年株式会社研究社発行)[Valentino Garavani]の項において、『イタリア Romaのデザイナー Valentino Garavani(1932?)のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー・婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など。Roma,Firenze,Milanoなどにあるその店の名称はValentino(vは小文字でかくこともある)。・・・ 』との記事及びデザイナーとしての紹介記事が掲載されていること。
(8)『世界の一流品大図鑑’93年版』(平成5年5月20日株式会社講談社発行)において、『VALENTINO』ブランドの香水が掲載されていること。
(9)『世界人名辞典』(1997年11月21日株式会社岩波書店発行)の[ガラヴァーニ]の項において『ヴァレンティノ Garavani,Valentino通称ヴァレンティノ Valentino(伊 1933?)服飾デザイナー・・・・』との紹介記事が掲載されていること。同じく、[ヴァレンティノ Valentino]の項において、『ガラヴァーニ、ヴァレンティノ』を見よとの表示があること。
3 以上の事実よりすると、『VALENTINO』『valentino』(ヴァレンティノ)『VALENTINO GARAVANI』『valentino garavani』(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)よりなる商標(以下「引用商標」という。)は、VALENTINO GARAVANI氏がデザインした婦人服、紳士服、アクセサリー、バッグ等のファッション関連の商品におけるデザイナーブランドとして、少なくとも本願商標の出願前において、わが国の取引者、需要者の間の広く知られていた事実が認められる。
4 他方、本願商標は、その構成中に『valentino』の文字を有するものであり、前記3において認定したとおり、『valentino』は、周知、著名なものであるから、これに接する取引者、需要者は、その構成中の『valentino』の文字部分に自ずと注意を惹かれ強く印象づけられるものと認められる。そして、本願商標の指定商品と、引用商標が使用されている商品とは、ともにファッション関連の商品というべきであって、需要者を共通にする場合が多いものといえる。
そうすると、『valentino』の文字を含む本願商標を、その指定商品について使用した場合、取引者、需要者をして、周知、著名である引用商標を連想させ、本願商標が付された商品が、引用商標の一種ないし兄弟ブランド、ファミリーブランドであるかの如く誤認し、その商品があたかも上記デザイナーあるいは、同人と何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」との新たな拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人は、何等応答するところがない。
そして、上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-02-14 
結審通知日 2002-02-26 
審決日 2002-03-11 
出願番号 商願平5-107264 
審決分類 T 1 8・ 271- WZ (020)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田代 茂夫田口 善久門倉 武則 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 茂木 静代
野本 登美男
商標の称呼 バレンチノエレガンス、バレンチノ 
復代理人 朝倉 悟 
代理人 平田 義則 
復代理人 石井 良和 
代理人 綾田 正道 
復代理人 今村 定昭 

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