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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z0321
管理番号 1057306 
異議申立番号 異議2001-90186 
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2002-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-03-16 
確定日 2002-02-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第4439672号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4439672号商標の指定商品中、第3類「化粧品」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4439672号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成12年2月8日に登録出願され、「プリズムホワイト」の文字を標準文字とし、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き」及び第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。),電気式歯ブラシ,デンタルフロス,香炉」を指定商品として、平成12年12月15日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、昭和53年2月24日に登録出願され、「プリズム」の文字と「PRISM」の文字を二段に横書きしてなり、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和58年1月28日に設定登録された登録第1563923号商標(以下、「引用商標」という。)と称呼を同じくする類似の商標であり、また、その指定商品中、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,歯磨き」及び第21類「歯ブラシ」は引用商標の指定商品と抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
したがって、上記の商品についての本件商標の登録は、取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由
本件商標は、「プリズムホワイト」の文字よりなるところ、構成中の「ホワイト」の文字部分は、その指定商品中の「化粧品」との関係においては「美白効果を謳う化粧品」を表す商品の品質・効能表示若しくは色彩表示とみられるものである。そうとすれば、本件商標は、その指定商品中の「化粧品」については、構成中の「プリズム」の文字部分より生ずる「プリズム」の称呼をもって、取引に資される場合も少なくないものというべきである。
他方、引用商標は、「プリズム」と「PRISM」の文字を二段に併記した構成よりなるものであるから、これよりは「プリズム」の称呼を生ずるものと認められる。してみれば、本件商標と引用商標とは「プリズム」の称呼において類似する商標であり、かつ、両商標はその指定商品中に「化粧品」を含むものである。したがって、本件商標は、その指定商品中の「化粧品」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対して、意見を要旨次のように述べている。
本件商標は、カタ力ナ文字で「プリズムホワイト」と横一連に書して成るもので、「プリズムホワイト」と称呼、認識されるものである。
取消理由通知書には、本件商標の「プリズムホワイト」から「ホワイト」の文字部分が省略され、残された「プリズム」の文字部分から「プリズム」の称呼が生ずると判断されている。
しかしながら、本件商標の「プリズムホワイト」から「ホワイト」の文字部分が省略されるものではない。
即ち、本件商標の「プリズムホワイト」は、ある種の観念を想起させるもので、本件商標を構成する文字全体として一体感のあるものである。
そのある種の観念とは、「プリズムホワイト」という色彩である。「プリズムホワイト」は、色彩として確定されたものではなく、それ故直感される具体的な色としては漠然としている。また、想起される具体的な色彩は、想起する人によって幅があるが、概略的に述べると、ホワイトを基調にし、あたかもその外側にプリズムを配したかのように、見る角度によって基調のホワイトと虹の七色である赤、燈、黄、緑、青、藍、紫の各色が変化し、ぼやけたり、またかすかに見られるというものである。
この「プリズムホワイト」の色は、実際に商品にも使用されている。例えば携帯電話(PHS)のボディカラーとして使用されている(資料1)。
これらは、「角度により紫色や白に変化して〜」、「光の加減でパールホワイトのトップパネルが淡いパープルに変わるという〜」及び「ノーマルなホワイトと違って、プリズムを名乗るように光の加減で赤紫〜」などと表現されている(資料2)。
また、J-PHONE社が販売しているJ-P02(Panasonic、松下通信工業株式会社製)がある(資料3)。さらに、システムキッチンの扉等の色彩として、株式会社TOTOが製造販売しているMAプリズムホワイト(Mタイプ)がある(資料4)。ここでは、「透明感のある光沢とメタリックな縁取りが〜」などと表現されている(資料4及び資料2)。
この様に本件商標の「プリズムホワイト」は、直感される具体的な色彩としては抽象的で漠然としているが、創作したデザイナーやメーカーによって、表現する色彩については幅を持ちながらも、見る角度により変化する光沢のある色彩を想起させるものを示しているものであり、本件商標を構成する文言全体として一体感のあるものである。
よって、本件商標の「プリズムホワイト」における「ホワイト」の文字部分は、本件の指定商品中の「化粧品」との関係においては、「美白効果を謳う化粧品」を表す商品の品質等の表示になるとはいえず、それ故本件商標の「プリズムホワイト」から「ホワイト」の文字部分は省略されず、「プリズム」の称呼が独立して生ずるものではない。
したがって、本件商標は、引用商標と類似するものではないから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

5 当審の判断
本件商標は、前記に示したとおり「プリズムホワイト」の片仮名文字よりなるところ、商標権者より提出された資料1ないし資料4によれば、携帯電話、システムキッチンの扉等の色彩を表示するものとして「プリズムホワイト」の文字が使用されていることが認められるとしても、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、該「プリズムホワイト」の文字が使用されているとする事実は認められない。
しかして、申立人より提出された甲第3号証によれば、「ホワイト」の文字は、本件商標の指定商品「化粧品」を取り扱う業界において、その商品の色彩を表示するもの又は肌の美白効果を謳う品質、効能表示(例えば、「〇〇〇ホワイト」の如く表示し使用している。)として、広く一般に使用されている事実が認められる。
してみれば、商標権者の意見及び提出の資料を併せて検討するも、本件商標をその指定商品中「化粧品」に使用するときは、その構成中の「ホワイト」の文字部分はその商品の品質、効能、色彩を表示したものと認識、理解され、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
そうとすると、本件商標「プリズムホワイト」に接する取引者・需要者は、「プリズム」の文字部分をもって取引に当たる場合も決して少なくないものと判断するのが相当であるから、本件商標は、全体として「プリズムホワイト」の称呼を生ずるほか、単に「プリズム」の文字に相応して「プリズム」の称呼をも生ずるものといわざるを得ない。
これに対して、引用商標は、前記したとおり「プリズム」及び「PRISM」の文字を併記してなるものであるから、その構成文字に相応して「プリズム」の称呼を生ずること明らかである。
そうとすれば、本件商標をその指定商品中「化粧品」に使用するときは、引用商標と「プリズム」の称呼を共通にする称呼上類似の商標というべきである。
したがって、本件商標の指定商品中「化粧品」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
しかしながら、本件商標の指定商品中、第3類に属する「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,歯磨き」及び第21類に属する「歯ブラシ」に使用するときは、本件商標は、一連一体のものとして看取、理解されるものであるから、「プリズムホワイト」のみの称呼を生ずるものであり、引用商標より生ずる「プリズム」の称呼とは明らかに聴別し得るものである。また、外観、観念においても非類似商標と認め得るものであるから、上記の商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-12-19 
出願番号 商願2000-9433(T2000-9433) 
審決分類 T 1 652・ 262- ZC (Z0321)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 土屋 良弘 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 涌井 幸一
高野 義三
登録日 2000-12-15 
登録番号 商標登録第4439672号(T4439672) 
権利者 株式会社ファンケル
商標の称呼 プリズムホワイト、プリズム 
代理人 瀬戸 昭夫 
代理人 成合 清 
代理人 藤沢 則昭 

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