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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Z16
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z16
管理番号 1057245 
審判番号 無効2001-35071 
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-05-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-02-19 
確定日 2002-03-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第4371501号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4371501号商標(以下「本件商標」という。)は、「求職ジャーナル」の文字を横書きしてなり、平成10年11月18日に登録出願され、第16類「新聞,雑誌,定期的に刊行される小冊子・ニューズレター」を指定商品として、同12年3月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1005856号商標(以下「引用商標」という。)は、「就職ジャーナル」の文字を横書きしてなり、昭和46年1月19日に登録出願され、第26類「雑誌」を指定商品として、同48年3月26日に設定登録、その後、2回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これをを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む)を提出している。
請求の理由
1 本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものである。
2 本件商標を無効とする理由の詳細
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標の構成及び指定商品等は上記したとおりである。
引用商標の指定商品「雑誌」と、本件商標の指定商品「新聞,雑誌,定期的に刊行される小冊子・ニューズレター」は、ともに類似群コード「26A01(印刷物)」に属する商品であって、互いに同一・類似することが明らかである。
そこで、まず本件商標と引用商標の称呼について比較すると、本件商標はその態様から「キュウショクジャーナル」の称呼が生じるのに対し、引用商標は「シュウショクジャーナル」の称呼が自然に認識される。両者の全体の音数は同一で且つやや冗長である上、後半の「ュウショクジャーナル」の部分が完全に一致している。さらに、唯一の相違点である「キ(キュ)」と「シ(シュ)」は、母音「イ(ウ)」を共通にしているため、両者を隔離的に観察した場合、非常に紛らわしい印象がある。称呼の識別上重要な位置を占める語頭の相違とはいっても、全体の音数が短くまとまっているという程ではないため称呼全体への影響がさほど大きくはない。また、「求職(就職)」と「ジャーナル」という別々の観念を有する2つの言葉を結合してなるため、「求職(就職)」の部分と「ジャーナル」の部分を区切るように読まれ、「ジャーナル」の「ジャ」の部分にもアクセントをつけて発音されるため、相対的に語頭の子音の相違は非常に小さいものとなるはずである。よって、本件商標と引用商標は称呼において類似するものである。
また、本件商標と引用商標は観念的にも極めて相紛らわしく類似するものである。一般に「求職」は「職(仕事)を求めること」の意味であって、「就」は「職(仕事)に就くこと」を意味するので、「求職」及び「就職」については厳密にいえば異なる観念を有するものである。しかし、例えば「就職活動」といった場合には、「就職するために仕事を捜し求める(即ち求職)活動」の意味であり、一般に「求職活動」とは殆ど意味的な区別がなされてない。このことと同様に、「求職ジャーナル」及び「就職ジャーナル」の場合には、いずれも需要者には「職探しに必要な情報を提供する刊行物」と認識されるものであって、両者は観念的に殆ど同一に把握されるものである。
よって、迅速を尊ぶ現実の取引において、両者が常に混同なく識別されるものとは到底言えず、称呼及び観念を総合的に勘案した場合、本件商標と引用商標は明らかに類似するものであり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、引用商標を指定商品「雑誌」について大々的に使用してきている。当該雑誌は主として大学の卒業予定者を対象に発行されており、様々な企業等の紹介や、就職活動における留意点、先輩の体験談など、就職に関する幅広い情報を掲載したものである。この雑誌は1968年7月25日に創刊され、現在まで30年以上もの長期に亘って発行され続けている。このような大規模かつ長期間の使用の結果、現在では、いわゆる就職関連誌の代表的な存在として、「就職ジャーナル」は出願人の発行に係る雑誌の題号(商標)として需要者・取引者の間で周知・著名となっている。
また、雑誌「就職ジャーナル」(以下「本件雑誌」という)は1968年7月に月刊誌として創刊され、既に30年以上もの長期にわたり発行され続けており、請求人が発行する様々な市販誌の中でも現存するものとしては最も長い歴史を誇っている。請求人はそれ以前から、多数の企業等の募集概要をまとめた書籍(現在の「リクルートブック」)を発行し、学生に配布していたが、本件雑誌は就職希望者の立場に立って編集されているものであり、当時としては全く新しいジャンルの雑誌であった。その後請求人は、中途採用の専門誌(現在の「ビーイング」)や女性向けの転職情報誌「とらば一ゆ」、アルバイトの求人情報誌「フロムエー」など多くの就職関連雑誌を発行してきているが、これらの根幹となっているのが本件雑誌である。
本件雑誌はその性格上、購読者が主として大学の卒業予定者で就職を希望するものに限られていることから、一般大衆向けの雑誌などと異なり、発行部数には自ずと限度がある。しかし、そのような限られた市場であるにもかかわらず、記録が残っている1985年以降でみても、毎月1万部から数万部もが販売されている。ばらつきが大きいのは、就職活動の時期との関係である。そして、いわゆるバブル経済が崩壊し、学生の就職活動が厳しさを増した1991年以降には本件雑誌の販売部数が急増し、1998年のピーク時には月に15万部近くが発行され、現在も月平均で毎月9万部程度が発行されている。これは、大学の卒業予定者数から考えると驚異的な部数といえる。
さらに、請求人は長年にわたり巨額の費用を費やし本件雑誌の広告宣伝に努めてきている。主な広告媒体は日本経済新聞、朝日新聞などの全国紙や、山手線や中央線、京浜東北線などのJR線や地下鉄、私鉄の通勤電車を対象とした電車の中吊り広告などである。近年は不況の影響を受けたことなどもあって広告宣伝費が減少傾向にあるものの、首都圏版だけでみても広告宣伝費の総計は、平成7年度に8,798万円、平成8年度に1億3,966万円、平成9年度に1億7,084万円、平成10年度に4,366万円、平成11年度には1,620万円にも上っている。
そして雑誌月刊メディアデータ2000年11月号(甲第12号証)によれば、様々な名称の就職・求人雑誌が発行されているが、本件雑誌と多少なりとも類似性が感じられるものは皆無である。「ジャーナル」を含むものを探しても、本件雑誌のみであって、いずれの雑誌も本件雑誌「就職ジャーナル」と近似する印象は全くない。したって、本件雑誌の題号(商標)である「就職ジャーナル」の類似ないし混同の範囲は、その周知・著名性とも相まって広く解釈されるべきであり、上述したように本件商標と明らかに近似する「求職ジャーナル」の標章をその指定商品について使用した場合には、取引者・需要者は当該刊行物が請求人発行の「就職ジャーナル」の姉妹誌であるか、または「就職ジャーナル」と同一の出所あるいはこれと何らかの関係を有する者の出所に係るものと誤認するであろうことは明らかである。さらに、本件に係る主な需要者は社会経験の乏しい学生であるため、より出所混同のおそれは大きいとみるべきである。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
以上詳述したとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、同法第46条の規定によりその登録を無効とされるべきものである。

第4 被請求人の主張
被請求人は何ら答弁をしない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「求職ジャーナル」の文字よりなり、「キュウショクジャーナル」と称呼され、一方、引用商標は「就職ジャーナル」の文字よりなり、「シュウショクジャーナル」と称呼されるものと認められる。
ところで、両商標の構成中の「ジャーナル」の文字部分は、「日刊新聞、定期刊行の新聞または雑誌」等の意味を有する語であって、本件商標の指定商品である「新聞,雑誌,定期的に刊行される小冊子・ニューズレター」、また、引用商標の指定商品である「雑誌」との関係においては、その種類、品質を示す自他商品識別力が薄い文字というべきである。
また、本件商標中の「求職」の文字部分は、「職をさがすこと。」を意味する語であり、引用商標中の「就職」の文字部分は、「職につくこと。」(株式会社岩波書店発行 広辞苑参照。)を意味する異なる語であるから、その観念が明らかに相違するものというべきである。
そこで、本件商標の「キュウショクジャーナル」の称呼と、引用商標の「シュウショクジャーナル」の称呼とを比較するに、称呼の聴別上最も重要な語頭音において「キ」と「シ」の明瞭な差違を有するものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標は、上記した事情、即ち(1)それぞれの構成中の「ジャーナル」の文字部分の自他商品識別力の薄さ、(2)両商標の称呼における語頭音の明瞭な差違、(3)「求職」と「就職」とが意味の異なる語であることが相まって、その称呼が十分区別され、互いに紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、本件商標と引用商標は、それぞれの構成よりみて外観上十分に区別し得るものであり、観念上も、その構成の先頭部分の「求職」と「就職」が上記のとおり意味の異なる語であることにより、十分区別できるものといえる。
したがって、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点よりみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
2 商標法第4条第1項第15号について
引用商標が、本件商標の登録出願時には請求人の業務に係る商品「雑誌」の題号(商標)として取引者・需要者の間において広く認識されていたものと認められるとしても、本件商標と引用商標とは、上記したとおり、その称呼、観念及び外観のいずれからみても十分に区別し得る商標であるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれのないものである。
3 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-01-25 
結審通知日 2002-01-30 
審決日 2002-02-15 
出願番号 商願平10-98584 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (Z16)
T 1 11・ 271- Y (Z16)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 和田 恵美 
特許庁審判長 為谷 博
特許庁審判官 上村 勉
柳原 雪身
登録日 2000-03-31 
登録番号 商標登録第4371501号(T4371501) 
商標の称呼 キューショクジャーナル、キューショク 
代理人 原島 典孝 
代理人 鈴木 知 
代理人 一色 健輔 
代理人 黒川 恵 
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