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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議200290871 審決 商標
無効200589053 審決 商標
無効200689047 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない Z30
管理番号 1056983 
審判番号 無効2000-35300 
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-05-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-06-06 
確定日 2002-03-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4275896号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4275896号商標(以下「本件商標」という。)は、「マヨラーズ」の片仮名文字(標準文字)を書してなり、平成10年2月13日登録出願、第30類「マヨネーズソース、その他の調味料」を指定商品として、同11年5月21日設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が、本件商標の無効理由に引用した登録第4203903号商標(以下「引用商標」という。)は、「マヨラー」の片仮名文字を書してなり、平成9年2月5日登録出願、第30類「調味料」を指定商品として、同10年10月23日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第40号証を提出している。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
(2)本件商標は、「マヨラーズ」のカタ力ナ文字よりなることから、「マヨラーズ」の称呼が生じること明らかである。
他方、引用商標は「マヨラー」のカタ力ナ文字よりなるものであるので、「マヨラー」の称呼を生ずるものである。
そこで、まず、「マヨラーズ」と「マヨラー」の両称呼の類否について比較検討するに、両者は、称呼における類否判断上重要な要素を占める語頭部から「マヨラー」の部分までを共通にし、相違点といえば、語尾に位置する「ズ」の音の有無に過ぎない。そして、「ズ」の音は、摩擦音であることから、一般的に「マ」「ヨ」「ラー」からなる他の各構成音に比して極めて弱く聴取されるばかりでなく、語尾に位置した場合には、より一層明確には聴取されがたい音となるものといわざるを得ない。
すなわち、上記両称呼の類否を比較検討した場合、語尾に位置する「ズ」の音の有無は軽微な差異に過ぎないので、両称呼の全体の語感は極めて近似したものとなること明らかであり、聴者をして聞き誤らしめるおそれが十分にある。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼において互いに類似する商標というべきものある。
なお、請求人の上記主張は、審決例からも明らかである。(甲第3号証ないし同第24号証)
(3)次に、両商標の観念について検討するに、本件商標中、「マヨラー」の語は、わが国において、「何にでもマヨネーズをかけて食べる人」を指す造語として一般に親しまれている。(甲第25号証ないし同第38号証)
そうとすると、本件商標に接する取引者・需要者をして、語尾に位置する「ズ」は、特定の観念を有する「マヨラー」部分の複数形または所有格を表わす付帯的な語として認識されるに過ぎず、専ら「マヨラー」部分に着眼するというのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その観念においても互いに類似する商標というべきである。(甲第39号証)
(4)被請求人答弁に対する弁駁。
(ア)被請求人は、答弁の理由において、「本件商標『マヨラーズ』の末尾音『ズ』は、前者『ラ』音の長音の後に発せられる音であり、明瞭に発音されるものとみるのが相当で、末尾音『ズ』の有無が称呼全体に及ぼす影響は大きいことから、両者は称呼において非類似」と主張している。
しかしながら、上記主張は失当である。
すなわち、「ズ」の音は、これが単語の末尾に位置したときは、長音の後に発せられるからといって明瞭に発音されることは一般的ではなく、むしろ明瞭には聴取され難いものとなる場合が多いものと思料する。
a)上記事実は、開文社出版株式会社発行「英語逆引辞典」において、末尾音が「ズ」であり、かつその直前の音が長音である単語は、たとえば「overseas(オーバーシーズ)」や「proceeds(プロシーズ)」のように、すべて末尾音「ズ」が弱く発音かつ聴取されるものであったことからも明らかである(甲第40号証)。
b)また、上記は請求人が既に提出した各号証、すなわち「ベビーズ」の称呼と「ベビー」の称呼を互いに類似するとした審決(甲第5号証)、「アッシャー」の称呼と「アッシャーズ」の称呼を互いに類似するとした審決(甲第7号証)、「マスター」の称呼と「マスターズ」の称呼を互いに類似するとした審決(甲第12号証)、「フライデーズ」の称呼と「フライデー」の称呼を互いに類似するとした審決(甲第13号証)、「コーデンインダストリーズ」の称呼と「コーデンインダストリ一」の称呼を互いに類似するとした審決(甲第16号証)、「フライディーズ」の称呼と「フライディー」の称呼を互いに類似するとした審決(甲第17号証)、「スパイアー」の称呼と「スパイアーズ」の称呼を互いに類似するとした審決(甲第22号証)、「ビューリーズ」の称呼と「ビューリー」の称呼を互いに類似するとした審決(甲第23号証)、「ランナー」の称呼と「ランナーズ」の称呼を互いに類似するとした審決(甲第24号証)によっても明らかである。
(イ)被請求人は答弁の理由において、「本件商標は『マヨネーズ』という普通名称の第3音『ネ』を『ラ』に代えて、語感の面白さを狙った造語であり、一般の消費者は、本件商標『マヨラーズ』が、その主たる指定商品『マヨネーズ』に使用された場合、『マヨネーズ」の語を変形した造語であると連想するのが普通であり、請求人の主張するように、人を指し示す造語とされる『マヨラー』に複数形又は所有格を表す『ズ』なる語が付加された造語を連想すると考えるのは、一般の日本人が英語の所有格や複数形に無頓着であることを考慮すれば、妥当ではないと思われる。」と主張している。しかしながら、上記主張は失当である。
すなわち、請求人の調査によれば、本件商標が「マヨネーズ」の語を変形した造語として使用されている事実は見出せず、そうとすると、本件商標は上記造語として解されることがあったとしても、わが国において親しまれた「マヨラー」の観念を想起させることを否定するものではない。 さらに、一般の日本人が英語の所有格や複数形に無頓着であるとの主張は、我が国において英語の所有格や複数形は中学校程度の教育で学習することに鑑みれば、到底受け入れ難いものであると言わざるを得ない。

4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び同第2号証を提出している。
(1)本件商標と引用商標の類否を対比するに、まず称呼について、請求人は、語尾に位置する「ズ」の音の有無は軽微な差異に過ぎないので、両称呼の全体の語感は極めて近似したものとなること明らかであり、聴者をして聞き誤らしめるおそれが十分にあるので、本件商標「マヨラーズ」と引用商標「マヨラー」とは、その称呼において互いに類似する商標である、と主張している。
しかしながら、本件商標「マヨラーズ」の末尾音「ズ」は、前音「ラ」音の長音の後に発せられる音であり、明瞭に発音されるものとみるのが相当で、末尾音「ズ」の有無が称呼全体に及ぼす影響は大きいことから、両者は称呼において非類似である。
(2)また、観念について、請求人は、「マヨラー」の話は、本件商標の登録査定時において既に「何にでもマヨネーズをかけて食べる人」を指す造語として一般に認識されるに至っており、また、現在においても上記の如く認識されていること明らかなので、本件商標「マヨラーズ」に接する取引者・需要者をして、語尾に位置する「ズ」は、特定の観念を有する「マヨラー」部分の複数形または所有格を表わす付帯的な語として認識されるに過ぎず、専ら「マヨラー」部分に着眼するので、本件商標「マヨラーズ」と引用商標「マヨラー」とは、その観念においても互いに類似する商標である、と主張している。
しかしながら、本件商標は「マヨネーズ」(英語の綴りは、mayonnaiseであり、「マヨネー」という単数形は存在しない。乙第1号証「新英和中辞典」第946頁参照。)という普通名称の第3音「ネ」を「ラ」に代えて、語感の面白さを狙った造語であり、一般の消費者は、本件商標「マヨラーズ」が、その主たる指定商品「マヨネーズ」に使用された場合、「マヨネーズ」の語を変形した造語であると連想するのが普通であり、請求人の主張するように、人を指し示す造語とされる「マヨラー」に複数形又は所有格を表す「ズ」なる語が付加された造語を連想すると考えるのは、一般の日本人が英語の所有格や複数形に無頓着であることを考慮すれば、妥当ではないと思われる。
(3)このことは、本件商標に対する登録異議の申立て(平成11年異議第91234号)について平成12年2月18日になされた異議の決定において、「両者は、語尾音において『ズ』の音の有無に差異を有するものであり、たとえ、該差異音が語尾に位置する音であるとしても、特定・固有の一般名称(名詞)等の所有格形や複数形を表すものとはいい難く、かつ、前音が長音であることから、該音の差異は比較的明瞭であって、その差異が両者の称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえないから、両者は、全体の語調、語感が相違し、彼此紛るおそれはないとみるのが相当である。」(乙第2号証「異議の決定書」第2頁参照)と認定されている。
(4)さらに、外観についても、両商標は上記のとおりの構成であるから、両者の有する観念が、上記(2)のとおり著しく相違することも作用し、両者は、全体として観察すれば、互いに区別し得る差異を有するものである。
(5)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼・観念・外観の点で区別し得る差異を有していることから、両者は相紛れるおそれのない非類似商標である。
よって、本件商標は商標法4条1項11号に該当するものではない。

5 当審の判断
本件商標と引用商標の類否について判断するに、本件商標及び引用商標の構成は上記のとおり、本件商標が片仮名文字5文字(長音を含む)であり、引用商標は片仮名文字4文字(長音を含む)であって、両者は外観上区別し得る差異を有するものといえる。
次に、称呼上よりこれをみるに、本件商標及び引用商標の構成はそれぞれ前記のとおりであり、本件商標からは「マヨラーズ」、引用商標からは「マヨラー」の称呼が生ずるものであること明らかである。
そこで、両称呼について検討するに、両者は、末尾において「ズ」の音の有無に差異を有するものである。ところで、語尾における「ズ」の音は、特定・固有の一般名称(名詞)等の所有格又は複数形を表すものとして用いられる語であることは認められるとしても、本件商標及び引用商標は、特定の意味合いを有するものとして一般に知られた語よりなるものとは認められず、かかる造語における末尾の「ズ」の音は所有格又は複数形を表したものとは理解されず、本件商標より生ずる「マヨラーズ」の称呼はそれぞれの音が一音一音明確に称呼され得るものである。また、「ズ」の音が末尾に位置するとしても、その前音が長音よりなる構成にあっては、該音は比較的明瞭に発音されるものと認められる。
そうとすれば、両商標の称呼において「ズ」の音の有無の差異が称呼全体に及ぼす影響は大きく、両商標は称呼において相紛れるおそれはないものと判断するのが相当である。
更に、本件商標と引用商標は、特定の観念をもって取引に資するものとは認められないものであるから、観念においては比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とはその外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたとはいえず、同法第46条第1項第1号によってはその登録を無効とすることはできない。
なお、請求人が援用する審決例は、本件と事案を異にするものであるから、それに基づく請求人の主張も採用の限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-10-30 
結審通知日 2001-11-05 
審決日 2002-01-23 
出願番号 商願平10-10819 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (Z30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内藤 順子 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 中嶋 容伸
吉田 静子
登録日 1999-05-21 
登録番号 商標登録第4275896号(T4275896) 
商標の称呼 マヨラーズ 
代理人 大橋 良輔 
代理人 大橋 勇 

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