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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 025
管理番号 1055538 
審判番号 取消2000-31378 
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-11-17 
確定日 2002-03-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第3358158号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第3358158号商標(以下、「本件商標」という。)は、後掲に示したとおりの構成態様からなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成7年6月9日に登録出願、平成9年11月14日に設定登録されたものである。

2.請求人の主張
請求人は、本件商標の全指定商品についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、請求人において指定商品の使用状況を調査したところ、その登録に係る全指定商品である「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について、継続して3年以上日本国内において使用された事実は発見できなかった。また、商標登録原簿(甲第1号証)を見ても、専用使用権通常使用権の登録はなされていない。よって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
被請求人は、本件商標の使用証拠として乙第1号証を提出し、その写真に示す品番”R999”が付された商品が「靴」であり、該商品の靴中底及び包装用箱に本件商標が使用されているとし、他方、登録第2556498号商標に対する取消審判事件(審判2000-31345)の答弁書(甲第2号証)においては、被請求人は該登録商標の使用証拠として本件乙第1号証と同一の証拠を提出し、該証拠の写真に示す品番”R999”が付された商品が「体操用靴」であり、該商品の靴中底及び包装用箱に当該登録商標と同一性を有する商標が使用されている旨を各主張している。
しかしながら、取引上の通念を考慮すると、別異の商品に同一の品番を付すことはあり得ないことであり、また乙第1号証の写真と甲第2号証の写真とを対比してみても該写真で示された商品が同一の商品であることは明らかである。
それにもかかわらず、被請求人は同一の品番”R999”が付された同一の商品について、本審判においては「靴」と主張し、他方の審判においては「靴」とは全く別異の商品である「体操用靴」と主張しているのである。
したがって、同一の証拠に基づいてなされた本審判における被請求人の主張と他方の審判事件における被請求人の主張とが矛盾することは明らかであり、それゆえ乙第1号証の使用証拠としての信憑性も大きく疑われるものであると思料する。

3.被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)答弁の理由
本件商標は、乙第1号証に示す通り、本件審判の請求の登録前3年以内にその指定商品について日本国内において商標権者である被請求人により使用されている。
乙第1号証写真に示す体操用靴(品番R999)は、被請求人会社が企画し靴メーカーに発注して製造させた商品であり、該商品の靴中底及び包装用箱には本件商標と同一態様ではないが「Good Enough」の文字よりなる本件商標と同一性を有する商標を使用している。
本件商標と被請求人の使用商標との態様の相違は、パリ条約5条C2に規定されているところの商標の識別性に影響を与えない程度の表示態様の変更であり、商標法第50条にいう社会通念上同一と認められる範囲をでないものである。即ち、本件商標は、請求人が記載している如く、「G」の横棒と「E」の上部横棒を兼用させるように「G」と「E」を連結して一体化すると共に、「G」の右方に「OOD」を、「E」の右方に「NOUGH」の英文字をそれぞれ配した態様からなるものであるから、英語の「GOOD ENOUGH」を若干図案化して表したものであることが一見して看取されるものであり、「グッドイナフ」の称呼と「とてもよい、充分よい」等の意味合いが直感されるものである。従って、「GOOD ENOUGH」を一連に書して成る上記使用商標と本件商標は同一の称呼、観念を生ずる商標であるから、態様において若干の相違があるとはいえ、社会通念上同一の商標であると認められて然るべきものである。
上記本件商標を付した商品は、1998年1月10日から1999年2月18日までの期間、被請求人の本社ショールームに展示されており、販売店に卸売りされている。
乙第1号証納品書は2000年7月14日に当該商品を販売店に補充販売した際、被請求人が発行した納品伝票の写しである。同納品伝票には本件商標が表示されていないが、商品の品番”R999”が記載されており、この品番の商品が本件商標を付した靴であることは、乙第1号証写真の当該商品の包装用箱に付されている品番“R999”と一致していることから明らかである。
(2)弁駁に対する答弁の理由
本件商標を使用している乙第1号証の写真に示す品番”R999”の靴は、乙第2号証に示す通り(a)靴底接地面が平底であり、同接地面が滑り止め成形されており、(b)甲のつま先部分及びかかと部分の外周面がゴム製テープにより補強されており、(c)甲締め部分が紐締めとなっている靴であり、被請求人が卸売りした当該靴は靴店のスポーツシューズコーナーで販売されており、スポーツ用品専門店に卸販売したこともある。ちなみに当該靴は輸入品の関税率に関する商品の解釈に従えば「体操用等に供する履物」に該当する。

4.当審の判断
(1)本件商標は、商標の構成を後掲に示すとおり、「Good」及び「Enough」の各欧文字を段を違えて上下に配置し、各文字の「G」及び「E」の頭文字部分についてはモノグラム風にアウトラインにより表しその左側を黒塗りの幾何的矩形図形とを組み合わせた態様からなり、指定商品を第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とするものである。そして、本件審判請求は、本件商標の全指定商品について、商標法50条第1項の規定によりその登録の取り消を求めるものであって、その予告登録は平成12年12月13日にされているものである。
(2)被請求人が、本件商標を本件審判の取消対象商品中の商品について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した乙第1号証及び乙第2号証をみるに、
(ア)乙第1号証に添付の「納品伝票」の各欄には、商品名として「エバー R999 070010679」、取引先名として「(株)コマリヨー」及び納入指定日として「00年07月14日」の各記載が認められるところであり、これより、被請求人(株式会社コマリヨー)と「株式会社チヨダ」との間に上記各欄に記載の取り引きがされたものと推認させる。
(イ)同じく、乙第1号証に添付の3葉の写真は、商標法施行規則 別表の「第25類 三 履物 (一)靴類」に属するものとして例示の日常の歩行ないしは軽い運動用の履物である「運動靴」と認められる靴と、その個包装箱とを写したものであり、その靴の中底及び個包装箱には「Good」及び「Enough」の各欧文字が半角程度の間隙を介し横一連に付されていること、そして、該個包装箱の「NO.」とする欄に「R999」の記載が認められる。
(ウ)以上を総合してみると、本件商標の構成は、別掲のとおり「Good」及び「Enough」の各文字を上下二段とし、その頭文字部分についてはモノグラム風に表したものであって、「Good Enough」と横一連に表して使用する商標とは、その構成態様を異にするものであるとしても、商取引の実際において登録商標が配列又は配置その他の態様について少なからず変更を加えて使用されることは、商品「履物」に限らず各種商品について普通に行われているところである。
そして、両者のかかる構成において商品識別標識として機能する要素は、我が国において馴染まれた平易な英語といえる、「グッド」と読まれ「良い」の意味を有する「Good」の文字と、「イナフ」と読まれ「じゅうぶんな」の意味を有する「Enough」の文字との結合によるものと認め得るところであり、本件商標は後掲に示すとおり、やや図案化されてなるとはいえ、該結合文字以外に商品識別標識として機能する点は見出せない。
してみれば、両者は、該結合文字により構成される商標として認識し把握され、これより生ずる「グッドイナフ」の称呼をもって取引に資されるものとみるのが商取引の実際に照らし相当である。
そうすると、本件商標とその使用に係る標章は構成態様において異なる点があるとしても、商標本来の機能である自他商品識別標識としての実質的な差異はなく、社会通念上同一と認められる商標であるといわなければならない。
さらに、乙第1号証に添付の取引書類からは、被請求人と「株式会社チヨダ」との間において、当該商品記号「R999」によって表された「運動靴」についての商取引がなされたとみて差し支えないといえるものであって、その取引書類は本件審判請求の登録前3年以内に発行(納品指定日 2000年7月14日)されたものと認められるものである。
そうすると、被請求人(商標権者)は、審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品中「靴類」の範疇に属する「運動靴」について、本件商標の使用を証明し得たものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、本件審判の取消請求に係る全指定商品について、これを取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


審理終結日 2001-12-26 
結審通知日 2002-01-04 
審決日 2002-01-18 
出願番号 商願平7-57803 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (025)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 旦 桂子村上 照美 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 高野 義三
高橋 厚子
登録日 1997-11-14 
登録番号 商標登録第3358158号(T3358158) 
商標の称呼 グッドイナフ 
代理人 竹内 裕 
代理人 清末 康子 
代理人 岸本 瑛之助 
代理人 岸本 守一 
代理人 日比 紀彦 
代理人 渡辺 彰 

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