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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z03
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z03
管理番号 1055460 
審判番号 審判1999-17700 
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-11-01 
確定日 2002-02-06 
事件の表示 平成10年商標登録願第 36730号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「新・素肌感触」の文字を横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、平成10年5月6日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、『新(新しい)・素肌のような手触り、肌ざわり』の意を容易に理解させる『新・素肌感触』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるところ、これを本願指定商品中上記文字に照応する商品、例えば『せっけん類、化粧品』について使用するときは、使用感が『これまでになかった素肌のような感触』の商品であることを認識させるに止まり、単に、商品の品質、効能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品について使用するときは、同法第4条第1項第16号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張
本願商標「素肌感触」は、請求人が独自に考え出した新しいフレーズであり、これよりは単に漠然とした商品のイメージが浮かぶのみで、直接・具体的に商品の品質・効能が認識されるものではないこと原審提出の意見書に述べる通りである。
通常、「感触」ということばは,他のことばにつなげて「〜感触」として用いられることはなく、どのような品質・効能を表す場合にも「素肌感触」という表現はなされない。似たところでは「感覚」ということばがあるが、こちらは「色彩感覚]「時代感覚」「平衡感覚」のようにしばしば「〜感覚」として用いられるため、例えば「素肌感覚」とした場合には、これが品質等を表示していることになるかもしれない。しかし、「感触」ということばは通常このような結合はなされないため、「素肌感触」とした場合には今までにない新しいフレーズを生んでいるといえ、「新・素肌感触」の全体である程度漠然とした商品のイメージが浮かぶことはあっても、決して直接、具体的に商品の品質等を表示したことにはならない。
また、原審では、追って、使用後に肌の突っ張り感がない本来の健やかな素肌の感触の洗い上がりになる洗顔料、素肌感を損なわないように自然な仕上がりになるようなパウダーファンデーション、素肌の感触を良くする衣類の家庭用柔軟剤といった商品が市場に存することよりすれば、本願商標全体からは「これまでになかった新しい素肌の感触がする商品」であることを把握、理解するものであると述べられている。
確かに、上記のような商品が市場にあるであろうことは否定しないが、果たして「突っ張り感のない洗い上がり」「自然な仕上がり」「素肌の感触が良い」という意味が、「これまでになかった新しい素肌の感触」という意味に結びつくものであるかどうかは疑問である。およそ「突っ張り感」「自然」「良い」という意味が、「これまでになく新しい」という意味に結びつくことは考え難いのである。そして、この「これまでになかった新しい素肌の感触」という意味自体もやや漠然としているのであり、「新・素肌感触」と表された本願商標はさらに直接的な品質等表示とは離れるものである。よって、上記のような商品があることをもって本願商標が品質等表示とみなされることはない。
さらに、「せっけん」や「化粧品」といった商品分野においては、ある程度のイメージは漠然と浮かぶものの、それが直接商品の品質等表示とならない商標は、十分に自他商品の識別標識としての機能を有し、暗示的で魅力的な商標となること、多くの登録例と共に原審意見書に述べる通りである。
したがって、本願商標は品質等表示にはあたらず、それゆえ商品の品質等の誤認を生じるおそれもないので、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当することはない。
なお、原審提出の意見書の理由及び証拠方法を本件審判請求の理由及び証拠としてすべて援用する。

4 当審の判断
本願商標は、「新・素肌感触」の文字を普通の書体で表してなるところ、構成中の「新」の文字は、 「旧来のものがあらたまること、以前とは違ったものであること、新しいもの」を意味(以下、何れも「広辞苑」。)し、商品については、「新型」「新商品」であることを示唆するものとして一般的に使用されているものであり、「素肌」の文字は、「衣服、特に下着や、おしろい等をつけていないはだ(肌)」を意味する語であり、また、「感触」の文字は、「外界の刺激に触れて感ずること」のほか「てざわり、はだざわり」を意味する語として一般的に親しまれたものであるから、これらを一連に「新・素肌感触」と表してなる本願商標は、本願指定商品中素肌に使用する商品、すなわち、例えば「せっけん類、化粧品」に使用するときは、当該商品を使用したことによって、これまでになかった素肌の感触が得られるとの意味内容を直接的に認識させる記述的にすぎないものというべきであり、単に商品の効能、品質を表す以上に格別顕著なところはなく、また、上記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというを相当とする。
請求人は、意見書において、「人類」と「新人類」、「世界」と「新世界」、「リーダー」と「ニューリーダー」、「素材」と「新素材」等の例を挙げて、単に新しいだけでなく、従来の用語の意味を越えた異質の世界、人物、物体などを「新」あるいは「ニュー」の語が的確に表現していると述べているが、これらはすべて、「新」あるいは「ニュー」の文字を結合することにより新たな観念の成語を形成する場合であるのに対し、本願商標は、その構成中の「素肌感触」の文字に「新」の文字を結合して「新・素肌感触」と表してみても、この「新」の文字の結合によって、該「素肌感触」の有する語意が損なわれあるいは変質するような新たな観念を生じさせるものではないから、これらと同列に論ずることはできない。
また、請求人は、実際の使用態様を示す(甲第6号証)として、本願商標の「柔軟剤」についての使用態様を示しているが、そこに表されたものは、本願商標「新・素肌感触」の文字とともに「肌にやさしいやわらかさ」「ソフランC」「植物原料の柔軟剤」の各文字よりなるものであるところ、当該商品は、構成中圧倒的顕著に表された「ソフランC」の文字が特に需要者の目を引き、これをもって識別されるものであること明らかであるから、本願商標の当該使用によっては、これが他社商品との識別を図っているとはいい難いものである。

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「素肌感触を得られる商品」以外の商品について使用するときは、同法第4条第1項第16号に該当するものと認められ、これと同趣旨で本願商標を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-11-15 
結審通知日 2001-11-27 
審決日 2001-12-10 
出願番号 商願平10-36730 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z03)
T 1 8・ 272- Z (Z03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 茂久堀内 仁子 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 井出 英一郎
柳原 雪身
商標の称呼 シンスハダカンショク、スハダカンショク 
代理人 小谷 武 

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