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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消200030574 審決 商標
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取消2012300362 審決 商標
審判199930327 審決 商標
取消200230131 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 030
管理番号 1053980 
審判番号 取消2000-30826 
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-07-13 
確定日 2002-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第3293795号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3293795号商標の指定商品中「みそ」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3293795号商標(以下、「本件商標」という。)は、「味工房」の文字を横書きしてなり、平成5年3月16日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、同9年4月25日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、継続して過去3年以上「みそ」について不使用である。よって、前記商品については、商標法第50条の規定に基づきその登録の取り消しを求める。
(2)弁駁の内容
(イ)乙第1、2号証は、本件商標の通常使用権者である株式会社味工房の納品書(控)であって、ここに納品者表示として、株式会社味工房の表示があることは認める。
(ロ)しかし、この納品書における「株式会社味工房」の表示は、商品「みそ」類似群コード:31AO1(特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」中の「類似群コード」をいう、以下同じ。)ではなく、加工された「みそ」であることは、「魚がしからし酢味噌」及び「ダシ入りネリ味噌」の表示から明白である。したがって、乙第1、2号証は、その取り消しを求めている類似群コード:31AO1の「みそ」についての使用ではない。
(ハ)また、被請求人は、納品書における「株式会社味工房」の表示について、商品「みそ」について使用されていることは、乙第1ないし同第3号証により明らかである、と述べているが、商品「魚がしからし酢みそ」及び「ダシ入りネリ味噌」に使用されている標章は、別途その包装用袋に表示(印刷)されたものがある筈であって、「株式会社味工房」は前記商品の標章ではなく、納品者の社名表示にすぎない。
つまり、納品書が商品の取引書類に当ることは認めるが、商標と商品との関係が明確に表示されていることが必要であり、乙第1、2号証では明確とは云えない。因に、甲第1号証は、特許庁発行の改正商標法ハンドブック2であるが、この39ページのアンダーラインの部分には、このことが書かれている。
更に、乙第1、2号証は、自らの納品書の控であって、この納品書が客観的に取引書類として使用された事実は、納品書の控のみの提出では立証されていない。
以上の理由から、本件商標は、商標として不使用であることは明白であり、その取り消しは免れようがない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第3号証を提出した。
(1)答弁の理由
(イ)本件商標は、本件審判の請求登録前3年以内に、通常使用権者によって、「みそ」について使用されている。
以下、本件商標の使用事実について、証拠資料とともに説明する。
(ロ)乙第1、2号証として答弁書に添付した書類は、本件商標の通常使用権(未登録)者である株式会社味工房(東京都調布市布田1-26-12-607)によって発行された納品書の「控え」である。
これらの納品書(控)の右上欄には、「味工房」の文字が表示され、本件商標が使用されていることが判る。
また、乙第1号証の「コード・商品名」の欄には、「魚がし からし酢味噌」と記入され、乙第2号証の「コード・商品名」の欄には、「ダシ入りネリ味噌」と記入されており、取引の対象となった商品が「みそ」であること、そして、本件商標が商品「みそ」について使用されていたことが判る。
尚、本件審判の請求登録日は平成12年8月16日であるところ、乙第1号証の右上欄には、「12年6月16日」と記載され、乙第2号証の右上欄には、「12年7月8日」と記載されており、本件審判請求日及び請求登録日以前に、本件商標が使用されていたということが判る。
(ハ)乙第3号証として答弁書に添付した書類は、本件商標の通常使用権者である株式会社味工房の登記簿謄本のコピーである。株式会社味工房が実在する会社であり、また、食品の販売、ソース・惣菜の製造等を目的として設立された会社であることは、この乙第3号証から明らかである。
(ニ)以上に説明したように、本件商標が、本件審判の請求登録前3年以内に、通常使用権者によって、「みそ」について使用されていることは、乙第1号証ないし同第3号証から明らかである。
(2)弁駁に対する答弁
(イ)請求人は、弁駁書において、「この納品書における『株式会社味工房』の表示は、商品『みそ』類似群コード:31AO1ではなく、加工された『みそ』であることは、『魚がしからし酢味噌』及び『ダシ入りネリ味噌』の表示から明白である。したがって、乙第1、2号証は、その取り消しを求めている類似群コード:31AO1の「みそ」についての使用ではない。」と述べている。
しかしながら、このような請求人の主張には、誤解があると思われる。
本件商標の指定商品「みそ」(類似群コード:31AO1)は、商標法施行規則及び類似商品審査基準からも明らかなように、「調味料」としての「みそ」である。したがって、「調味料」として使用される「みそ」であれば、その加工の程度に拘わらず、31AO1の「みそ」に該当すると考えられる。
尚、「みそ」には、類似群コード:31AO1の「みそ」のほかに、「きんざんじみそ」や「たいみそ」等の「なめ物」(類似群コード:32F12)があるが、両者を隔てるものは「用途」であって、「加工の程度」によってこれらが区別されている訳ではない。
乙第1、2号証の納品書に記載されている「からし酢味噌」及び「ダシ入りネリ味噌」は、いずれも「調味料」として使用されるものであり、また、「なめ物」のように、専ら「調味料」以外の用途に使用されるものではないから、類似群コード:31AO1の「みそ」であることは明らかである。
以上に説明したように、「加工されたもの」であることを理由として、「からし酢味噌」及び「ダシ入りネリ味噌」が、類似群コード:31AO1の「みそ」には該当しない、とする請求人の主張は、合理的な根拠に欠けるものであり、到底、容認できないものである。
(ロ)請求人は、弁駁書において、被請求人が提出した乙第1、2号証によっては、本件商標の使用事実は立証されていないと主張している。
しかしながら、本件商標の使用事実は、乙第1、2号証によって十分に立証されている、と被請求人は確信している。
改めて説明するまでもないことであるが、商標法は、第2条第3項において、「商品又は商品の包装に標章を付する行為(第1号)」のほかに、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡等する行為(第2号)」や、「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為(第7号)」も、「標章の使用」であると規定している。
そして、登録商標の取消審判において使用事実を立証しようとする際には、これらすべての態様で登録商標が使用されていることを立証しなければならない訳ではなく、いずれか一つの態様での使用行為が立証されれば足りる。
被請求人が提出した乙第1、2号証によれば、本件商標が、商標法第2条第3項第7号に規定されている態様で使用されていることは明らかである。
より詳細に説明すると、請求人も認めているように、「納品書」というのは、「商品の取引書類」である。そして、乙第1号証の「コード・商品名」の欄には「からし酢みそ」と、乙第2号証の「コード・商品名」の欄には「ダシ入りネリ味噌」と、それぞれ記載されている。これらの商品は、本件審判の取消対象となっている商品「みそ」の一つであるから、これらの納品書が、法第2条第3項第7号にいう「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類」に該当するものであることは多言を要しない。
また、これらの書類には、納品先の会社名、その住所、発行日、商品の数量、単価、金額が明記されていることから、これらの書類が納品先の会社に送付され、実際に使用されたものであることは明らかである。
そして、これらの書類には、本件商標「味工房」と同一の文字よりなる標章が付されている。
そうしてみると、「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に本件商標が付され、展示又は頒布」されたことは明白であり、したがって、乙第1、2号証によって、本件商標の使用事実は十分に立証されている、と考えられる。
尚、乙第1、2号証による使用事実の立証の可否について、請求人は、「『株式会社味工房』は、前記商品の標章ではなく、納品者の社名表示にすぎない」と主張している。
かかる請求人の主張の意義は必ずしも明らかではないが、仮にこれが、「納品書における『株式会社味工房』という表示は、納品者の社名表示であるから、本件商標は、対象商品について使用されていない」という意味のものであるならば、そのような主張は、著しく妥当性に欠けるものであると言わざるを得ない。
「ある標章が社名表示である場合には、それは他のものではあり得ない」というように、「社名表示」が排他的な性格を有しているのであれば、そのような主張も可能であろうが、「社名を表示すること」と、「商標的な態様で使用することにより、商標としての機能(自他商品識別機能、出所表示機能、品質保証機能、宣伝広告的機能等)を発揮させること」とは、決して「相容れない」こと、つまり、「両立し得ないこと」などではなく、ある文字列の表示(標章)が、看者に対し社名を伝達すると同時に、商標としての機能を発揮し得ることは、今日の取引業界において顕著な事実であり、これを否定することはできないはずである。
そうであるとすれば、「社名表示であるから、商標としての使用に該当しない」とする請求人の主張は、著しく妥当性を欠いているものであると言える。
それでは、乙第1、2号証の納品書にそれぞれ表示されている「味工房」の文字が、商標的な態様で使用されているかどうかについて検討してみる。
納品書に表示されている「味工房」の文字は、その左側に表示されている「株式会社」の文字から若干離れた位置に、また、「株式会社」の文字よりも大きな文字(約4倍の大きさの文字)で表示されている。更に、「株式会社」の文字が、一般に広く使用されているゴシック調の活字体によって書されているのに対し、「味工房」の文字は、活字体ではなく、毛筆調の特別な書体によって書されている。(尚、この「味工房」の文字のデザインは、株式会社味工房が、これを商標として使用することを企図して、書道家に依頼して特別に制作した、オリジナルのものである。)
このような事情に鑑みると、納品書に表示されている「味工房」の文字は、その左側に表示されている「株式会社」の文字と一体不可分のものであるとは言えない。したがって、納品書に表示されている「味工房」の文字は、「株式会社」の文字との組み合わせにおいては、納品者の社名を表示することになるが、単なる社名表示には止まらず、特別な書体によって表示されること等により、看者に対し、単独でアピールする力を有していると認められる。
そうしてみると、納品書に表示されている「味工房」の文字は、自他商品識別機能を発揮し得る態様で、即ち、商標的な態様で使用されていると考えられ、継続的に使用されることにより、自他商品識別機能だけでなく、品質保証機能、宣伝広告的機能等も、十分に発揮し得るものであると認められる。

4 当審の判断
被請求人は、通常使用権者である株式会社味工房が、本件商標を取消請求に係る商品に使用している実質的証拠として、別掲に表示した商標を付した納品書(控)2葉(乙第1、2号証 別掲の納品書はその一部分を表示した。)を提出しているが、当該書面は、通常使用権者が件外「株式会社 にっぱん」及び「株式会社 三友小網」に宛てたものであり、そのコード・商品名欄にそれぞれ「魚がし からし酢味噌」及び「ダシ入りネリ味噌」と記入されているので、取引の対象となった商品が「みそ」であって、本件商標は、それに使用されていたことがわかると主張している。
しかして、前記納品書の右上付近に見受けられる「株式会社 味工房」の文字は、その下段に郵便番号、住所、電話及びFAX番号を伴っていることよりすれば、たとえ、「味工房」の文字部分の書体が「株式会社」の書体と異なっているとしても、両文字が一体として商号を表示したものと理解されるに止まるというのが相当である。
そして、前記「株式会社 味工房」と本件商標とは、その構成はもとより、称呼、観念を異にするものであるから、これをもって、社会通念上、本件商標と同一のものとみることはできないものである。
そうとすれば、本件商標の使用に係る商品の「魚がし からし酢味噌」及び「ダシ入りネリ味噌」が本件商標の指定商品に含まれるか否かを検討するまでもなく、被請求人は、前記したとおりに判断し得る乙第1、2号証を提出したのみでは、本件商標を本件審判請求に係る商品「みそ」に使用していた事実を客観的に認め得る証左を提出していないものというべきであるから、本件商標を審判請求の登録前3年以内に請求に係る指定商品に使用しているものとは認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の結論掲記の商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲


審理終結日 2001-12-05 
結審通知日 2001-12-10 
審決日 2001-12-25 
出願番号 商願平5-24996 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (030)
最終処分 成立  
前審関与審査官 柴田 良一涌井 幸一 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 滝沢 智夫
中嶋 容伸
登録日 1997-04-25 
登録番号 商標登録第3293795号(T3293795) 
商標の称呼 アジコーボー 
代理人 武田 明広 
代理人 武田 賢市 

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