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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) 029
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) 029
管理番号 1053646 
審判番号 無効2001-35006 
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-01-11 
確定日 2002-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4214020号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4214020号の指定商品中「食用油脂」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第4214020号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年3月27日に登録出願され、「CLA」の文字を横書きしてなり、第29類「加工野菜及び加工果実,食用油脂」を指定商品として、平成10年11月20日に設定登録されたものである。

2.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件登録無効の根拠条文
本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同第3号、同第6号又は同法第4条第1項第16号に該当するにもかかわらず商標登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とされるべきものである。
(2)本件商標「CLA」の自他商品の識別力
本件商標「CLA」は、食用油脂や健康食品を取り扱う業界においては、Conjugated Linoleic Acid=異性化リノール酸または共役リノール酸を意味する、略称又は普通名称として各種の文献に使用されている。そして、この「CLA」は、当業界では単なる略称にとどまらず、共役(異性化)リノール酸そのものの普通名称に使用されることが慣用されている。
このように、当業者においては、英文の発音をカタカナ文字などで表記すると長くなることが多いことから、例えば、ドコサヘキサエン酸を「DHA」、エイコサペンタエン酸を「EPA」のように、アルファベット数文字(特に3文字)で、表示する慣例がある。
さらに、甲第9号証の3(株式会社健康産業新聞社 1998年9月1日発行「食品と開発」第21頁)には、被請求人に関する記載があり、「共役リノール酸CLA」と記載した後に、「高品質CLA、共役リノール酸の〜」と記載してあり、被請求人もCLA=共役リノール酸として解釈できる使用を行っている。
(3)「CLA」使用の事実
(イ)特許文献での使用
甲第4号証(財団法人日本特許情報機構 昭和63年4月1日発行 PATOLIS キーワード一覧・第3版)は、工業所有権関連データベース「パトリス」の、検索用フリーキーワード集であるが、昭和63年当時すでに「CLA」がフリーキーワードとして存在している。これは、特許又は実用新案公報に、普通名称として「CLA」が使用されていたことを証明するもので、特許庁において「CLA」が特定の商品を示す商標ではなく、普通名称であると判断していることを示したものである。
甲第5号証の1は、甲第3号証に記載されたウイスコンシン大学のパリザ博士が発明したものであり、公表特許公報第2頁に「遊離共役リノール酸(CLA)、」と記載してあり、遊離した共役リノール酸を「CLA」と称することを明記した上で、特許請求の範囲では、同公報第1頁に、請求項9として、「製品中への保存剤としてCLAの使用。」と記載して、CLA=(遊離)共役リノール酸を普通の語として使用している。
また、甲第5号証の2及び甲第5号証の3でも、同様に「CLA」を「共役(異性化)リノール酸」を意味する語として普通に使用している。
したがって、「CLA」が共役(異性化)リノール酸を意味することは特許庁において明らかな事実である。
前記甲第5号証の1ないし3は、「CLA」を有する特許・実用新案公報を検出した3件の公報であり、さらに、その出願人が「ウイスコンシン アラムナイ リサーチ フォンデーション」とすべて同じである。公的に発行される特許公報に、商標を使用することは極力避けるのが原則であり、やむなく使用せざるを得ない場合は、商標である旨を表記する決まりである。例えば、甲第5号証の1の第7頁に「CHEESE WHIZ」の右肩に「丸R」の記号をつけて登録商標である旨を明記している。したがって、このように商標である旨の表記のない「CAL」の表記は商標ではなく、一般の用語として使用したことを示したものであって、それを公報化したことで普通の語であることを公的にも認めたものである。
上記の他、甲第6号証及び甲第7号証で明らかなように、本件商標「CLA」は、共役(異性化)リノール酸を意味するものとして、多くの特許文献で使用されてきたものである。
さらに、共役リノール酸の添加が想定することのできる「加工野菜及び加工果実,食用油脂」に独占的な使用権が与えられるならば、混乱が予想され、法本来の目的に矛盾するものである。
(ロ)当業界での使用例
甲第9号証の1(株式会社健康産業新聞社 1996年6月1日発行「食品と開発」第5頁以下に「機能性油脂の開発と利用」と題して特集記事が記載されている。そして、同7頁中央欄に、「共役リノール酸(CLA)の癌抑止作用」の記載があり、該共役リノール酸を「CLA」として表示して使用している。したがって、この食品関連の業界では、この時点ですでに「CLA」は物質名、すなわち、普通名称として広く理解され、使用されるに至っていたことを証明している。
また、甲第8号証(我が国で発表された「CLA」に関する新聞記事の抜粋)及び甲第10号証(現在のインターネットで閲覧できるホームページの「CLA」に関するもの)に提示したごとく、当業界では「CLA」は共役リノール酸を意味する語として略称または普通名称として広く使用されている。なお、これらの各号証は現時点での使用形態を証明するもので、本件商標登録出願前のものではないが、「CLA」は、このように物品名として広く利用されているものであることの証明には充分である。
(4)補足証拠として、甲第11号証を提示する。
すなわち、「DHA」はドコサヘキサエン酸を意味し、「EPA」はエイコサベンタエン酸を意味するものとして、複数件の商標登録願が出願されたが、いずれも拒絶査定となっている。しかして、同じ脂肪酸で、上記例と同じように英文の頭文字を3文字からなる「DHA」=ドコサヘキサエン酸と、「EPA」=エイコサベンタエン酸が、食品類を指定商品する場合は、商標法第3条第1項各号又は第4条第1項第16号で拒絶されており、これに対し、特許庁で公報への使用を認めている語「CLA」が「DHA」や「EPA」と区別される理論的根拠はない。
(5)以上のとおり、本件商標「CLA」は、物質名・原料名を表す略称又は普通名称として通常使用されているものである。

3.被請求人の主張
被請求人は「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べている。
(1)商標法第3条第1項第1号について
請求人は、甲第3号証より「CLA」が脂肪酸の一種である「共役リノール酸」の略称ないし普通名称として普通に使用されていることが認められる旨、主張している。
また、請求人は、甲第4号証において財団法人日本特許情報機構の工業所有権関連データベース「PATOLIS」の検索用フリーキーワード集に「CLA」が使用されていることから、特許庁においては「CLA」が特定の商品を示す商標ではなく、普通名称であると判断していることを示したものである旨、主張している。
確かに、かかる検索用フリーキーワード集に「CLA」の文字が含まれていることは認められるものの、商標法第3条第1項第1号の規定においては「その商品又は役務」の普通名称を問題としているのであって、本件商標の指定商品「加工野菜及び加工果実,食用油脂」についての普通名称であることを示す根拠は何ら示されていない。
また、甲第3号証においても「CLA」が脂肪酸の一種であることを伺わせる記述があるものの、「CLA」が「加工野菜及び加工果実,食用油脂」の普通名称であることを示す記載は見受けられない。
まして甲第3号証は、本件商標に係る商標登録出願における査定日後に出版されたものであり、本件商標が査定時に上記規定に違反して登録されたことを示す証拠として採用できるものではない。
したがって、上記証拠は「CLA」なる語について一定の使用がなされていることを示す証拠足り得ても、本件商標が指定商品「加工野菜及び加工果実,食用油脂」の普通名称であって、かかる普通名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であることを指し示すものではない。
さらに、請求人は、具体的特許公報例として甲第5号証、甲第6号証及び甲第7号証を挙げ、「CLA」が共役(異性化)リノール酸を意味する普通名称である旨、主張している。
しかしながら、上述したように、仮に「CLA」の語が共役(異性化)リノール酸を意味するものであっても、本件指定商品との関係において本件商標が普通名称であることを裏づける証拠足り得ないものである。
したがって、本件商標が商標法第3条第1項第1号に該当するとの請求人の主張は何ら根拠のないものである。
また、請求人は、甲第9号証の3において、被請求人が自ら「CLA」=共役リノール酸として解釈できる使用を行っている旨、主張している。
しかし、かかる証拠における記述は、株式会社健康産業新聞社が被請求人に対して行った取材をベースに発行者側が書いた文章であって、被請求人が健康食品業界における一種の利用提案をしたことを受けて発行者側が記事として掲載したものであり、被請求人が自ら上記のように解釈し得るよう使用しているとの見解は誤りである。
(2)商標法第3条第1項第3号について
請求人は、甲第9号証の1に関連して、食品関連の業界では「CLA」は物質名、すなわち、普通名称として広く理解され、使用されるに至っていた旨、さらに、請求人は、甲第8号証及び甲第10号証に関連して、当業界では「CLA」は共役リノール酸を意味する語として略称または普通名称として広く使用されている旨、主張している。
しかしながら、被請求人は、食品業界に属する他の企業との間で、本件商標の使用に関する使用許諾契約が締結されていた、との事実を挙げることができる(具体的には、森永製菓株式会社、リノール油脂株式会社等との間で、それぞれ別途に使用許諾契約が締結された)。
請求人は、「CLA」の語が物質名を表す普通名称であり、特定の商品を示す商標ではないと主張しているが、食品業界における上記企業において、本件商標が被請求人に係る「加工野菜及び加工果実,食用油脂」を示す商標であると十分認識されているからこそ、使用許諾契約が締結されたのであって、請求人が食品業界における本件商標の識別性を一方的に否定するのは妥当性を欠くものである。
上記の使用許諾契約書の内容に関しては、当事者間における守秘義務上の観点から、契約書の写しの提出は差し控える。
また、甲第8号証は平成11年4月1日付の記事であり、本件商標登録の査定後に発行された記事であって、本件商標が査定時において商標法第3条第1項第3号に該当することを証明する証拠としては、採用し得るものではない。
甲第10号証として現在のインターネットで閲覧できるホームページの「CLA」に関する記事が提示されているが、いずれも本件商標登録の査定日以降の閲覧に関するものであり、査定時に本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当することを示す証拠としては、採用できない。
そして、インターネットより入手し得る記事の取り扱いに関して言えば、東京高等裁判所平成12年10月25日判決(省略)は、インターネットより入手し得る記事の取り扱いに関しその証拠力が否定される旨判示している(平成12年(行ケ)第164号審決取消請求事件)。
したがって、上記いずれの証拠も、本件商標が商標法第3条第1項第1号又は第3号の要件を欠くとの請求人の主張を裏付けるものではない。
(3)商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号について
上記(2)で述べたように、被請求人は食品業界おける複数の企業と使用許諾契約を締結しているとの事実があり、少なくとも取引者においては本件商標が被請求人の業務に係る商品を示す商標であると認識されており、当該規定に違反して登録されたものではない。
上記のように本件商標は自他商品の識別力を有する商標であることから、これを指定商品「加工野菜及び加工果実,食用油脂」に使用しても商品の品質の誤認を生じさせるおそれがないこと明らかである。
よって、本件商標は商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。
(4)請求人は、補足証拠とする甲第11号証の1ないし5に関連して、「DHA」、「EPA」なる商標が食品類を指定商品として出願され、商標法第3条第1項各号又は第4条第1項第16号を根拠に拒絶されているから、本件商標「CLA」についても区別することなく当該規定に該当すると判断されるべき旨、主張している。
しかしながら、当業界において冗長なカタカナの表記ではなくアルファベット3文字で表示する慣例があるからといって、本件商標についても同様に扱うべきとの主張は一方的な意見であり、ほとんど一般に認識されていない語であってもアルファベット3文字で表示する商標については登録を受けることができなくなる等、却って混乱が生じるおそれがある。
登録例からしても、商標「DHA」(登録第3181705号)については食品類に属する「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として登録されており、この点からしても、本件商標を「DHA」、「EPA」と同一に扱うことの理論的根拠はない。
(5)以上のように、本件商標は、自他商品の織別力を有するものであり、かつ、商品の品質の誤認を生じさせるおそれのない商標であるから、商標法第3条第1項第1号、第3号、第6号、又は同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではなく、同法法第46条第1項の規定に該当しないものである。

4.当審の判断
本件商標は、前記のとおり「CLA」の欧文字を横書きしてなるところ、甲第5号証の1、甲第5号証の2、甲第5号証の3、甲第6号証の1、甲第9号証の1、甲第9号証の2及び甲第9号証の3によれば、本件商標の登録出願について登録査定がされた平成10年10月23日より前に国内で発行された複数の特許公報及び食品の開発に関する専門誌において、欧文字の「CLA」が「共役リノール酸」(Conjugated Linoleic Acid)の略語として使用されている事実が認められる。
また、甲第9号証の2によれば、共役リノール酸(CLA)は、「リノール酸の異性体であり、分子内に共役二重結合を有する化合物の総称であり、1978年に米国で発見された物質で、近年米国市場でサプリメントとして注目を集めている脂肪酸であって、その機能性については、体脂肪の減少のほか動物実験では抗ガン作用や動脈硬化の抑制、免疫活性化などの報告が行われている。」と掲載されている事実が認められる。
ところで、被請求人は、「CLA」の語が「共役(異性体)リノール酸」を意味するものであっても、本件商標の指定商品「加工野菜及び加工果実,食用油脂」との関係において普通名称であることを裏付ける証拠足り得ないし、本件商標は、食品業界において、その指定商品を示す商標として十分認識されているから、他社と本件商標に関する使用許諾契約が締結された旨主張している。
しかしながら、甲第9号証の2によれば、「共役リノール酸の本格販売開始」との表題で囲み記事があり、その中で「被請求人が他社と共同で国内における共役リノール酸「活性リノール」の製造を開始。原料は紅花油で、製品中の共役リノール含有量は68%と高く、……」と記載されている事実があることからすると、これらの脂肪酸を取り扱う食品業界、とりわけ食用油脂の業界においては「CLA」は「共役リノール酸」を示す略語としてすでに理解、認識されていたものと認められる。
そして、共役リノール酸(CLA)は、食用油脂の含有成分として使用されていることも認められる。
してみると、「CLA」の欧文字が「食用油脂」について使用された場合、この欧文字は共役リノール酸を意味し、その商品の品質(成分)を表したものと需要者、取引者に理解されるとみるのが相当であるから、「CLA」の欧文字からなる本件商標は、「食用油脂」について使用するときは、その品質(成分)を表すものというべきであって、自他商品の識別標識としての機能を有しないものといわなければならない。
そして、共役リノール酸を含まない食用油脂に使用するときは、恰も「共役リノール酸を含む食用油脂」であるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものである。
したがって、本件商標の指定商品中「食用油脂」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
しかしながら、本件商標の指定商品中「加工野菜及び加工果実」については、請求人の提出した甲各号証を検討するも、商標法第3条第1項第1号、同第3号、同第6号又は同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものとする証左は見いだし得ないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-10-31 
結審通知日 2001-11-05 
審決日 2001-11-19 
出願番号 商願平9-32235 
審決分類 T 1 11・ 13- ZC (029)
T 1 11・ 272- ZC (029)
最終処分 一部成立 
前審関与審査官 佐藤 松江 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 野上 サトル
涌井 幸一
登録日 1998-11-20 
登録番号 商標登録第4214020号(T4214020) 
商標の称呼 シイエルエイ 
代理人 小塚 善高 
代理人 田代 和夫 
代理人 筒井 大和 
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