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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない 037
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない 037
管理番号 1052005 
審判番号 審判1998-17413 
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-10-29 
確定日 2001-12-07 
事件の表示 平成 6年商標登録願第 88163号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「EPS土木工法」の文字を横書きしてなり、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,舗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事
,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事」を指定商品として平成6年8月31日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、指定役務を扱う業界において「発泡スチロールビーズ」を表す略記として使用されている「EPS」の文字を表示してなり、全体として「EPSを用いた土木工事の工法」の意味合いを理解させる「EPS土木工法」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これをその指定役務中、例えば土木一式工事といった上記意味合いに照応する事項を特徴・目的・内容(提供物の特徴)とする役務に使用するときは、その役務の質(内容等)を表示したものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

第3 請求人の主張の要点
1 請求の趣旨
原査定を取り消す、本願商標は、登録すべきものとする旨の審決
2 請求の理由
(1)発砲プラスチック業界で使用されている「EPS」という用語は、「expandable polystyrene」の略記で、「発泡性ポリスチレン」を意味する用語として使用されてきた。「発泡性ポリスチレン」とは、発砲剤を含有したビーズ状のプラスチックのことであり、発泡能は有するものの、未だ発泡していない状態のビーズ状のポリスチレンである。本願商標を構成する「EPS」の用語は、「発泡性ポリスチレン」を意味し、「発泡スチロールビーズ」という意味ではない。よって、本願商標は、指定役務を扱う業界において「発泡性ポリスチレン」を表す略記として使用されている「EPS」の文字を使用したとしても、全体として「発泡スチロールビーズを用いた土木工事の工法」といった意味合いを理解させることはない。
(2)したがって、本願商標は、その指定役務中、例えば土木一式工事といった上記意味合いに照応する事項を特徴・目的・内容(提供物の特徴)とする役務に使用しても、その役務の質(内容等)を表示したものと認識されることはないので、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当しない。
3 証拠方法
請求人は、証拠方法として甲第1号証を提出した。

第4 当審における職権証拠調べ結果通知
本件審判事件について、当審において職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標が商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当すると認められる下記の証拠を発見したので、商標法第56条第1項において準用する特許法第150条第5項により、その旨を請求人に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

1 「建築物価」1997・5
2 建設通信新聞記事情報 97年11月10日
3 EPS土木工法のページ(インターネット ホームページ)
添付資料
上記1ないし3の書証の写し

第5 請求人の意見の要点
1 「EPS土木工法」の標章は、請求人の創作に係る造語商標である、
請求人は、本願商標と同一の態様をなす商標を昭和63年7月21日に昭和34年法商品区分第7類において登録出願、該商標は平成7年7月31日に商標登録第2708418号として登録された(甲第2号証)。
そして、その出願日である昭和63年7月21日の時点において、甲第3号証のカタログに示すように、請求人は、大型のエスレンブロックを盛土構造の本体として積み重ねていく工法に使用する大型のエスレンブロックの製造及び販売を行い、該大型のエスレンブロックの商標として「EPS土木工法」の標章を採択使用してきた。インターネットが普及するに伴って、請求人も甲第4号証に示すようにホームページを開設して当該営業の宣伝活動に努めた。
ちなみに、昭和63年当時は役務商標の登録は不可能であったため、役務標章の登録制度確立後において本願商標を出願したものである。
以上のとおり「EPS土木工法」の標章は、請求人の創作に係る造語であり、商品商標としての保護を得るに至った。しかし、その当時、役務標章の登録制度がなかったために、「EPS土木工法」の標章が「土木工事」などの役務に使用されることについて、これを抑える何らの権限もなかった。
このような状況を鑑みると、本願商標「EPS土木工法」が、証拠調べ通知書において示された特定の土木工法を表示する資料が存在するとしても、単に役務の質を表示するものと認定され、本願の登録が拒絶されることは当該標章を創作した請求人に対して酷に過ぎるものである。しかも、証拠調べ通知書で示された証拠の日付はいずれも商品商標の出願日である昭和63年7月21日以降の日付であるばかりでなく、このような証拠をもって「EPS土木工法」が役務の質を表示するものと認定されることは妥当でない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。
2 請求人は、証拠方法として甲第2号証ないし同第4号証を提出した。

第6 当審の判断
1 本願商標の識別性について
(1)本願商標は、「EPS土木工法」の文字を横書きしてなるものである。
そして、「EPS土木工法」の文字は、当審において職権証拠調べをした結果、本願商標の指定役務を扱う建設業界においては、上記第4に示した「建築物価」によれば、「軽量盛土材」として「EPS工法ブロック」と記載されていること、同じく「建設通信新聞記事情報」によれば、「前田建設は、発泡スチロールビーズ(EPS)を混入した軽量モルタルを使う水中盛り土工法を研究、開発にめどをつけた。」「発泡スチロールを盛り土材に利用したEPS工法・・・EPSは、盛り土や擁壁などの土構造物として発泡スチロールを使い、軽くて水に強い。」「EPS(軽量盛土工法用発泡スチロール)」「発泡スチロールブロックを盛り土材料として積み重ねていくEPS工法」と記載されていること、同じく「EPS土木工法のホームページ」によれば、「EPSとは、Expanded Poly-Styrolの略であり、簡単にいうと発泡ポリスチレンつまり発泡スチロールのことです。」「EPS土木工法とは、化成材料である発泡スチロールの大型ブロックを土木、建築分野の土木工事、構造物工事あるいは造園工事などに用いる工法です。」「EPS工法とは、ノルウェーで考案された、発泡スチロールを使用した画期的な超軽量盛土工法」「EPS工法(発泡スチロール土木工法)とは、EPSの大型ブロックを盛土材料として積み重ね、一体化していくもの」と記載されていることが認められる。
そうすると、本願商標「EPS土木工法」は、「発泡スチロール(EPS Expanded Poly-Styrol)を盛土材料として積み重ね一体化していく土木工法」を意味するものとして土木、建設の分野においては使用されている語であることは明らかである。
したがって、本願商標は、上述した内容の土木工法であることを表示したものであり、これをその指定役務中「EPS(発泡スチロール)を盛土材料として用いる土木工法、すなわちEPS土木工法、EPS工法による工事」に使用するときは、役務の質(工事の内容)を表示したものであり、それ以外の指定役務に使用したときは役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものである。
(2)請求人は、『本願商標「EPS土木工法」標章は、請求人の創作に係る造語商標である』旨主張するが、請求人提出の証拠を精査しても、本願商標「EPS土木工法」が請求人の創作に係る商標である事実を認めることができないばかりでなく、本願商標が請求人の出所を表示するものとして、取引者、需要者に認識されていた事実も認めることはできない。本件に関する証拠によっても前記(1)において認定した事実を覆すに足りる証拠はない。
2 結語
以上のとおりであり、本願商標は商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-09-27 
結審通知日 2001-10-09 
審決日 2001-10-22 
出願番号 商願平6-88163 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (037)
T 1 8・ 13- Z (037)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 正樹薩摩 純一 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 柳原 雪身
大島 護
商標の称呼 イイピイエスドボクコーホー、イイピイエス 

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