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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2009301101 審決 商標
取消200130551 審決 商標
取消2009301100 審決 商標
審判199930552 審決 商標
取消2007300404 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 104
管理番号 1050503 
審判番号 審判1999-30328 
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-01-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-03-17 
確定日 2001-11-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第1325609号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1325609号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.本件商標
本件登録第1325609号商標(以下「本件商標」という。)は、「マジック」の文字を横書きしてなり、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき,化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類(但し、薫料を除く)」を指定商品として、昭和49年4月19日登録出願、同53年3月9日設定登録、その後、昭和63年3月25日、平成9年11月4日の2回に亘り、商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

2.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(甲第5号、6号は欠号証)を提出している。
請求の理由
本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品について使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきである。
弁駁の理由
(1)被請求人は、答弁書の理由において、本件商標「マジック」は本件審判請求の登録前より継続的に現在においても使用しているものであると述べ、乙第5号証ないし乙第21号証を提出している。
しかしながら、かかる証拠に見られる被請求人の使用商標は、後述のように、商標法第50条にいう社会通念上の同一の商標とは言えない。
以下、被請求人の提出した乙第5号証ないし乙第21号証について検討する。
(2)乙第5号証ないし乙第8号証(「LIP MAGIC」「リップマジック」)について
(A)乙第5号証
被請求人は、乙第5号証として「LIP MAGIC」の英文字及び「リップマジック」のカタカナ文字が表示された「商品およびパッケージ」の写真を提出し、「LIP」「リップ」の文字が付記的な部分にすぎないものであるから、自他商品の識別機能は「MAGIC」「マジック」の文字にあると主張し、明らかに本件商標と同一性を有するものであると主張する。
しかしながら、被請求人の上記主張は、商標の類似性と商標法第50条にいう商標の社会通念上の同一性を同一視した主張であり、妥当ではない。
そもそも商標法第50条にいう登録商標の使用とは、(a)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標(b)平仮名、片仮名及びローマの字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標(c)外観において同視される図形からなる商標(d)その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をいうものであり、「LIP」「リップ」のように識別力の弱い文字を結合させ、商標全体の態様を著しく変更した形での商標の使用は、類似商標と言える場合はあっても、上記にいう社会通念上同一と認められる商標とは言えない。すなわち、被請求人が使用している商標「LIP MAGIC」「リップマジック」は、本件商標と同一の文字からなる商標でもなく、同一の称呼及び観念を生ずる商標でもないから、社会通念上の同一性に欠ける使用であり、本件商標「マジック」の使用と言えるものではない。被請求人の使用商標は、「LIP」「リップ」の文字と組み合わされることによって、外観・称呼・観念すべてにおいて本件商標「マジック」とは異なることとなり、本件商標「マジック」そのものの独立性は完全に失われているものであると言える。従って、被請求人の使用商標「LIP MAGIC」「リップマジック」のように登録商標をその一部に含む商標であっても、他の部分と合体して登録商標そのものの独立性が失われているような場合においては、社会通念上登録商標の使用があったとはいえないから、登録商標の態様がそのまま含まれていても不使用取消の対象とすべきである。
また、仮に被請求人が主張するように、識別力の弱い文字を結合させての使用が社会通念上同一と判断されるならば、「EYE」「アイ」等の指定商品との関係で識別力の弱い文字を結合させた、例えば「EYE MAGIC」「アイマジック」のような類似商標を「MAGIC」「マジック」の商標を1つ持っているだけで社会通念上同一の商標としていくらでも使用することができることとなり、妥当ではない。さらに被請求人は、「LIP」「リップ」の文字が付記的な部分にすぎないものであるからということを主張するのみで、他に指定商品の属する分野において、これらの文字を付けることが社会通念上同一性を有するものと認識され通用していると認めるべき証拠が何ら示されていない。従って、「LIP」「リップ」のように識別力の弱い文字を結合させた商標は、類似商標と言える場合はあるかもしれないが、商標法第50条にいう社会通念上同一の商標と言えるものではなく、「LIP MAGIC」「リップマジック」のような単に類似するにすぎない商標を使用していても、不使用による取消しを免れない。
以上のように、被請求人の上記主張は、商標の類似性と商標法第50条にいう商標の社会通念上の同一性を同一視した主張であり、妥当ではなく、乙第5号証における「LIP MAGIC」「リップマジック」のような社会通念上同一とは言えない形での使用をもってしては、本件商標「マジック」の使用とは言えない。
また、被請求人は乙第5号証の写真について、平成11年8月11日に撮影したと説明するが、この日付は本件審判が予告登録された平成11年8月10日よりも後であり、これをもってしては本件商標「マジック」が本件審判が予告登録された平成11年8月10日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。また、当該写真の撮影者の氏名及び住所を明らかにされたい。
(B)乙第6号証ないし乙第8号証
乙第6号証「化粧品製造製品届書」及び乙第7号証「納品書」及び乙第8号証「納入証明書」には、「リップマジック」との記載があるが、上述したように、そもそも社会通念上同一とは言えない「リップマジック」の使用をもってして本件商標「マジック」の使用であるということはできない。また、被請求人は、乙第6号証として「化粧品製造製品届書」を提出するが、単に「化粧品製造製品届書」をもってしては、本件商標「Magic」の使用を何ら示すものではない。
次に、乙第7号証「納品書」及び乙第8号証「納入証明書」は、いずれも「株式会社ジュテーム」に対するものであるが、「株式会社ジュテーム」の代表取締役である「八木常治」は、被請求人が乙第4号証で提出した「株式会社ピカソ美化学研究所の登記簿謄本」から明らかなように、「株式会社ピカソ美化学研究所」の取締役でもあり、「株式会社ジュテーム」と「株式会社ピカソ美化学研究所」は実質的な関連会社と言えるものである。従って、かかる関連会社による「証明書」は、客観性に欠けるものであり、本件商標「マジック」の使用を示す証拠としては不十分である。
(3)乙第9号証及び乙第12号証(MAGIC COLOR」「マジックカラー」)について
(A)乙第9号証及び乙第10号証
被請求人は、乙第9号証として「MAGIC COLOR」の英文字及び「マジックカラー」のカタカナ文字が表示された「商品およびパッケージ」の写真及び乙第10号証として「パンフレット」を提出し、「COLOR」「カラー」の文字が付記的な部分にすぎないものであるから、自他商品の識別機能は「MAGIC」「マジック」の文字にあると主張し、明らかに本件商標「マジック」と同一性を有するものであると主張する。しかしながら、被請求人のかかる主張は、(2)で請求人が主張した理由と同様の理由により、商標の類似性と商標法第50条にいう商標の社会通念上の同一性を同一視した主張であると言えるから妥当ではなく、乙第9号証及び乙第10号証における「MAGIC COLOR」「マジックカラー」のような社会通念上同一とは言えない形での使用をもってしては、本件商標「マジック」の使用とは言えない。
また、被請求人は乙第9号証の写真について、平成11年8月11日に撮影したと説明するが、この日付は本件審判が予告登録された平成11年8月10日よりも後であり、これをもってしては本件商標「マジック」が本件審判が予告登録された平成11年8月10日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。また、当該写真の撮影者の氏名及び住所を明らかにされたい。
さらに、乙第10号証の「パンフレット」は「’94秋メイクフェア」とあり、かかる日付は5年も前の日付であり、これをもってして本件商標「マジック」が本件審判が予告登録された平成11年8月10日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。
(B)乙第11号証及び乙第12号証
乙第11号証「化粧品製造製品届書」及び乙第12号証「納品書」には、「マジック カラー」との記載があるが、上述したように、そもそも「マジックカラー」をもってして本件商標「マジック」の使用であるということはできないだけでなく、単に「化粧品製造製品届書」をもってしては、本件商標「マジック」の使用を何ら示すものでもない。さらに、乙第12号証「納品書」に記載されている日付は、「94.08.17」とあり、被請求人も答弁書の中で「1994年8月17日付の仕入台帳」と認めている。かかる日付は5年も前の日付であり、これをもってして本件商標「マジック」が本件審判が予告登録された平成11年8月10日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。
また、そもそも実際に使用しているのであれば、5年も前の仕入伝票を証拠として提出する必要は全くなく、3年以内の使用を示す証拠を積極的に示すべきである。さらに、被請求人は乙第12号証「納品書」について、「株式会社ピカソ美化学研究所」より「株式会社ジュテーム」に販売した事実を示すものであると主張するが、上述のように両会社は実質的な関連会社と言えるものであり、本件商標「マジック」の使用を示す証拠としては客観性に欠けるものである。
(4) 乙第13号証及び乙第16号証(「COVER MAGIC」「カバーマジック」)について
(A) 乙第13号証及び乙第14号証
被請求人は、乙第13号証として「COVER MAGIC」の英文字及び「カバーマジック」のカタカナ文字が表示された「商品およびパッケージ」の写真及び乙第14号証として「パンフレット」を提出し、「COVER」「カバー」の文字が付記的な部分にすぎないものであるから、自他商品の識別機能は「MAGIC」「マジック」の文字にあると主張し、明らかに本件商標と同一性を有するものであると主張する。
しかしながら、被請求人のかかる主張は、(2)で請求人が主張した理由と同様の理由により、商標の類似性と商標法第50条にいう商標の社会通念上の同一性を同一視した主張であると言えるから妥当ではなく、乙第13号証及び乙第14号証における「COVER MAGIC」「カバーマジック」のような社会通念上同一とは言えない形での使用をもってしては、本件商標「マジック」の使用とは言えない。また、被請求人は乙第13号証の写真について、平成11年8月11日に撮影したと説明するが、この日付は本件審判が予告登録された平成11年8月10日よりも後であり、これをもってしては本件商標「マジック」が本件審判が予告登録された平成11年8月10日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。また、当該写真の撮影者の氏名及び住所を明らかにされたい。
(B) 乙第15号証及び乙第16号証
乙第15号証「化粧品製造製品届書」及び乙第16号証「納品書」には、「カバーマジック」との記載があるが、上述したように、そもそも「カバーマジック」をもってしては本件商標「マジック」の使用であるということはできないだけでなく、単に「化粧品製造製品届書」をもってしては、本件商標「マジック」の使用を何ら示すものでもない。さらに、被請求人は乙第16号証「納品書」について、「株式会社ピカソ美化学研究所」より「株式会社ジュテーム」に販売した事実を示すものであると主張するが、上述のように両会社は実質的な関連会社と言えるものであり、本件商標「マジック」の使用を示す証拠としては客観性に欠けるものである。
(5) 乙第17号証及び乙第22号証(「ALOE MAGIC」「アロエマジック」)について
(A) 乙第17号証及び乙第18号証
被請求人は、乙第17号証として「ALOE MAGIC」の英文字及び「アロエマジック」のカタカナ文字が表示された「商品の正面及び背面」の写真及び乙第18号証として「パンフレット」を提出し、「ALOE」「アロエ」の文字が付記的な部分にすぎないものであるから、自他商品の識別機能は「MAGIC」「マジック」の文字にあると主張し、明らかに本件商標「マジック」と同一性を有するものであると主張する。しかしながら、被請求人のかかる主張は、(2)で請求人が主張した理由と同様の理由により、商標の類似性と商標法第50条にいう商標の社会通念上の同一性を同一視した主張であると言えるから妥当ではなく、乙第17号証及び乙第18号証における「ALOE MAGIC」「アロエマジック」のような社会通念上同一とは言えない形での使用をもってしては、本件商標「マジック」の使用とは言えない。
また、被請求人は乙第17号証の写真について、平成11年8月11日に撮影したと説明するが、この日付は本件審判が予告登録された平成11年8月10日よりも後であり、これをもってしては本件商標「マジック」が本件審判が予告登録された平成11年8月10日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。また、当該写真の撮影者の氏名及び住所を明らかにされたい。さらに、乙第18号証の「パンフレット」は一切日付が示されておらず、そもそもこれをもってしては本件商標「マジック」が本件審判が予告登録された平成11年8月10日前3年以内に使用されたものと認めることはできない。
(B)乙第19号証ないし乙第21号証
乙第19号証「化粧品製造製品届書」及び乙第20号証及び乙第21号証「納品書」には、「マジック アロクリーム」及び「アロエ マジック クリーム」の記載があるが、上述したように、かかる使用態様での使用をもってして本件商標「マジック」と社会通念上同一の使用であるということはできないだけでなく、単に「化粧品製造製品届書」をもってしては、本件商標「マジック」の使用を何ら示すものでもない。
(6)以上の請求人の主張は、以下のことからも明らかである。
すなわち、甲第1号証は、被請求人の関連会社である「ピカソ美化学研究所」が申立人となって「LipMagic」の文字からなる登録第4126786号商標(平成8年2月23日出願、平成10年3月20日登録;甲第2号証)に対して申立てた登録異議の申立についての決定の特許庁ホームページにおける情報である。当該登録異議の申立てにおいては、被請求人の商標である第644077号「Magic」及び本件商標の連合商標である商標登録第431006号「MAGIC/マヂック」と「LipMagic」の文字からなる登録第4126786号商標とが非類似と認められ、登録第4126786号商標は商標法第4項第1項第11号に違反して登録されたものではないと判断されている。同様に、甲第3号証は、被請求人の関連会社である「ピカソ美化学研究所」が申立人となって「NailMagic」の文字からなる登録第4126787号商標(平成8年2月23日出願、平成10年3月20日登録;甲第4号証)に対して申立てた登録異議の申立についての決定の特許庁ホームページにおける情報である。当該登録異議の申立においても、被請求人の商標である第644077号「MAGIC/マヂック」と「NailMagic」の文字からなる登録第4126787号商標とが非類似と認められ、登録第4126787号商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないと判断されている。
請求人は、上記(1)から(5)において、被請求人の使用する各商標「LIP MAGIC」「リップマジック」、「MAGIC COLOR」「マジック カラー」、「COVER MAGIC」「カバー マジック」、「ALOE MAGIC」「アロエ マジック」に対して、「LIP」「リップ」のように指定商品との関係で識別力の弱い文字を結合させ、商標全体の態様を著しく変更した形での商標の使用は、社会通念上同一と認められる商標とは言えないと主張した。然るに、上記異議決定においては、被請求人が使用する商標と同一の文字からなる「LipMagic」及び請求人が使用する商標と同様に「Magic」の文字に指定商品との関係で識別力の弱い文字である「Nail」とを結合させた商標「NailMagic」の文字からなる各商標が「Magic」及び「Magic/マヂック」と非類似と判断されている。従って、上記異議決定に準拠すれば、被請求人が使用する各商標「LIP MAGIC」「リップマジック」、「MAGIC COLOR」「マジック カラー」、「COVER MAGIC」「カバー マジック」、「ALOE MAGIC」「アロエ マジック」は、本件商標「マジック」の社会通念上同一と認められる商標であるどころか、非類似の商標であると判断されて然るべきである。従って、社会通念上同一の商標とはいえない「LIP MAGIC」「リップマジック」、「MAGIC COLOR」「マジック カラー」、「COVER MAGIC」「カバー マジック」、「ALOE MAGIC」「アロエ マジック」の各登録商標」を使用しても、本件商標「マジック」の使用とは言えないから、不使用による取消しを免れないというべきである。
(7)以上述べた通り、被請求人が本件商標の使用の事実を立証するために提出した乙第5号証ないし乙第21号証に見られる商標の使用態様は、社会通念上同一の商標の使用といえるものでないから、かかる証拠に基づく被請求人の主張によっては、本件商標の取消を免れることはできないものである。
(8)さらに、請求人は被請求人の使用する各商標が本件商標「マジック」及びその連合登録商標「Magic」とは社会通念上同一性がない点を立証するために、甲第7号証により平成12年(行ケ)第422号判決、及び甲第8号証により平成12年(行ケ)第498号判決を提出している。
(9)被請求人が提出した乙第24号証ないし乙第27号証について検討する。
(A)乙第24号証「商品写真」について
a)まず、被請求人は乙第24号証写真について、平成2年11月22日に撮影したと説明するが、この日付けは本件審判が予告登録された平成11年4月7日よりも後であるから、そもそもこれをもってしては1996(平成8)年4月7日から1997(平成9)年3月31日までの期間内の使用を示すものではない。また、当該写真の撮影者の氏名及び住所を明らかにされたい。
b)次に、乙第24号証に見られる各写真について検討する。被請求人は、乙第24号証の使用態様について、『「GN」はアルファベットの2文字であり、また「HAIR」は用途としての頭髪用の意義に慣用されるものであってみれば、自他商品の識別機能は「MAGIC」の英文字にあるものであって、本件商標の連合商標である「Magic」とは実質同一性を有する』と主張する。しかしながら、かかる使用商標は、あくまでも一連一体の商標「GN HAIR MAGIC」として認識されるのが通常である。すなはち、「GN」及び「HAIR」及び「MAGIC」の文字は、三段に同一の書体で同一の大きさ及び同一の色彩からバランスよく配置されており、全体として三段併記の商標として一体に結合した態様となっているものであり、称呼上も「ジーエヌヘアーマジック」と一連によどみなく称呼し得るものである。したがって、かかる使用商標が付された商品の接した取引者・需要者が、三段のうちの一部とのみ認識されるにすぎない「MAGIC」の部分のみを抜き出し、かかる部分が商標の部分であると認識することはない。あくまで三段併記の商標として一体に結合した態様として認識し、その構成から「髪の魔法」といった観念が生ずる造語と認識するのが通常である。従って、三段に同一の書体で同一の大きさ及び同一の色彩からバランスよく一連一体に結合させて使用しているのであるから、かかる一体的な構成をもってして、被請求人の主張するように、自他商品識別機能が「MAGIC」部分にあるとするのは、そもそも無理があるというべきである。
以上のように、被請求人の使用商標は、あくまで一連一体のものと認識されるべきものであり、「GN」及び「HAIR」の文字と組み合わされることによって、外観・称呼・観念すべてにおいて本件商標及び本件の連合登録商標とは異なるものとなっている。従って、かかる態様での使用は、本件商標及び本件の連合登録商標と自他商品識別標識としてとても同一の機能を果たしているとは言い得るものではなく、社会通念上の同一の範囲を大きく逸脱した使用であり、登録商標の態様の著しい変更使用というべきである。従って、被請求人の使用商標は、本件商標「マジック」の連合登録商標「Magic」と同一でないことはもとより、社会通念上も同一とは言えず、異なった外観・称呼・観念を生ずることより、自他商品識別標識として異なった機能を果たしていると言うべきである。従って、本件商標の連合登録商標「Magic」そのものの独立性は完全に失われているものであると言え、全体として社会通念上同一であるどころか、類似を超えてむしろ非類似の商標であると判断されるべきである。なお、上下段に併記された商標の一部の使用が社会通念上同一性のある使用かどうかの点につき、平成11年(行ケ)第196号審決取消請求事件においては、上下段の文字の大きさが異なる場合であっても、外観において緊密な一体性を有し、独立した一個の観念を生じる場合は、上段の文字からなる商標とは社会通念上同一とは認められないと判示している。本件においては、「GN」と「HAIR」と「MAGIC」とが上下三段に同一の書体で同一の大きさ及び同一の色彩からバランスよく配置されていることから、外観においてより緊密な一体性を有していると言うべきであり、さらに全体として「髪の魔法」という独立した1個の観念を表しているものであるから、同様に全体として1個の商標を構成するものと言え、「マジック」又は「Magic」と社会通念上同一のものとは認められないというべきである。次に、被請求人は、『「商品包装用段ボール箱」には、「Let’s HAIR」の英文字が小さく表示されると共に、「MAGIC」の英文字が大きく明確に表示されているものであって、「Let’s HAIR」の英文字が前記と同様に付記的な部分にすぎないものであるのみならず、明確に大書されていることからして、自他商品の識別機能は「MAGIC」の英文字にあるものである』と主張する。しかしながら、係る段ボール箱に見られる使用態様は、「Let’s HAIR」の文字と「MAGIC」の文字とが文字の大きさは異なるものの、一連一体に横書きしてなるものであり、その構成から全体として「レッツヘアーマジック」の一連のよどみない称呼が生じ得るものである。仮に、当該商品包装用段ボール箱が、甲(誤記として「乙」と読み替える。)第24号証の写真において撮影された商品の包装であるとしても、当該商品上には商標として「GN HAIR MAGIC」が明記されており、段ボール上の「Let’s HAIR MAGIC」は、商品上の商標とは異なっている。また、最下段の写真において撮影された商品上には、はっきりと「ヘアーマジックしましょう」との記載がある。以上の事実から、段ボール箱上の記載は、全体として「ヘアーマジックしましょう」といった一つの観念のもとに認識されるキャッチフレーズにすぎず、商品の出所表示ではないことは明らかである。従って、段ボール箱に見られる使用態様は、「ヘアーマジックしましょう」の観念のもとに一連一体に認識されるべきものであるから、これに接した需要者・取引者が単に「MAGIC」の部分のみを抜き出し、かかる部分が商標の部分であると認識することはない。あくまで一連一体のものとして認識し、その構成から「ヘアーマジックしましょう」の観念が生ずるキャッチフレーズと認識するのが通常である。従って、自他商品識別機能が「MAGIC」部分にあるとする被請求人の主張には、そもそも無理があると言うべきである。
(B)乙第25号証の1〜2について
乙第25号証の1「化粧品製造品目追加許可申請書」及び乙第25号証の2「化粧品製造製品目追加許可書」であるが、各証拠に記載されている日付は、いずれも改正前商標法第50条第2項の特別規定が認められる期間前のものであり、また単に「化粧品製造品目追加許可申請書」及び「化粧品製造製品目追加許可書」をもってしては、本件商標及び連合登録商標の使用を何ら示すものでもない。また、被請求人はかかる証拠に記載の「株式会社アリミノ」が通常使用権者であると主張するが、通常使用権設定契約書等その関係を示す書類が一切提出されておらず、かかる点については不明である。従って、この点につき、請求人は被請求人に釈明を求める。
(C)乙第26号証の1〜4について
被請求人は、乙第24号証に係る商品の納品計算書として乙第26号証の1〜4を提出する。しかしながら、納品計算書に見られる記載はいずれも、「GNヘアマジックテクニカルR(225)」であり、乙第24号証に見られる商品の納品計算書を示すものとは認めることはできない。また、乙第26号証の1は「滝川株式会社(直送先:(株式会社)立美)」に、乙第26号証の2は「検見川 ホリー美容商事(有)」に、乙第26号証の3は「(有)サン商事」に、乙第26号証の4は「株式会社ほかり」にそれぞれ納品した事実を示すものと主張する。しかしながら、これらの会社がいかなる会社であるか、またその所在場所等について、一切が不明である。所在の事実が不明の会社である以上、これらの会社に納品されたという事実を認めることはできない。従って、これらの会社の所在及び被請求人との関係につき、請求人は被請求人に釈明を求める。さらに、被請求人は、乙第26号証の1は「1996年4月9日付け」、乙第26号証の2〜4は「1997年3月31日付け」が納品期日であると主張する。しかしながら、1996年4月9日は、商標法附則第10条第2項の規定に基づく連合商標の使用の特則期間の開始日である1996年4月7日のわずか2日後であり、また1997年3月31日は同じく特則期間の終了の日である1997年3月31日と同日のものである。かかる特則期間の開始の日のわずか2日後及び終了の日の当日に納品されたという事実がそもそも疑わしいものと言うべきであり、また平成11年9月22日付けの答弁書においてかかる証拠を提出せず、今ごろになって提出してきたという事実も疑わしいと言わざるを得ない。かかる点につき、請求人は被請求人に釈明を求める。
(D)乙第27号証について
被請求人の主張する、平成11年審判第30323号審決については、請求人は原告として、東京高等裁判所に審決取消訴訟を提起し(平成12年(行ケ)第498号審決取消請求事件)、平成13年6月27日に東京高等裁判所により、「特許庁が平成11年審判第30323号事件について平成12年11月6印こした審決を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との認容判決が出された(甲第8号証)。従って、上記判決に準拠するならば、本件審判事件においても同様に被請求人の使用する各商標は、本件商標「マジック」と社会通念上同一と認められる商標ではないと判断されるべきである。
(8)乙第17号証及び乙第18号証についての被請求人の答弁について
被請求人は、乙第17号証及び乙第18号証につき、「ALOE」と「MAGIC」との英文字が上下二段に明確に表示されているものである点を主張するが、上記の平成11年(行ケ)第196号審決取消請求事件においては、上下段の文字の大きさが異なる場合であっても、外観において緊密な一体性を有し、独立した1個の観念を生じる場合は、上段の文字からなる商標とは社会通念上同一とは認められないと判示している。乙第17号証及び乙第18号証においては、「ALOE」と「MAGIC」が上下二段に同一の書体で同一の大きさ及び同一の色彩からバランスよく配置されていることから、外観においてより緊密な一体性を有していると言うべきであり、さらに全体として「アロエの魔法」という独立した1個の観念を表しているものであるから、同様に全体として1個の商標を構成するものと言え、「マジック」又は「Magic」と社会通念上同一のものとは認められないと言うべきである。
(9)以上のとおりであって、乙第24号証乃至乙第27号証によっても、本件商標と社会通念上同一性のある商標の使用の事実を認めることはできないものであるから、かかる証拠に基づく被請求人の使用事実の主張は、明らかに失当であり、本件商標の取消を免れることはできないものである。従って、請求人は、重ねて請求の趣旨のとおりのご審決を賜ることを確信する。
3.被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」と主張し、その理由を下記の通り述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第30号証(枝番を含む。)を提出している。
答弁の理由
(1)請求人は、本件商標は継続して3年以上日本国内において不使用であり、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである旨、主張している。
しかしながら、かかる請求人の主張は以下の理由により失当であり、本件商標が取り消されるべき理由は全くないものである。
(2)請求人は、本件商標は不使用である旨、主張している。しかしながら、本件商標は、本件審判請求の登録前より継続的に現在においても適法に使用しているものである。即ち、本件商標の商標権者である「八木弦三郎」は、添付の登記簿謄本(乙第1号証)から明らかな通り、自から代表取締役を務める「株式会社ピカソ美化学研究所(本店;兵庫県西宮市池田町9番20号、支店;兵庫県西宮市西宮浜3丁目9番1号」)」に対し、本件商標にかかる商標権について「通常使用権」を許諾しているものである。かかる事実を証明するため、株式会社ピカソ美化学研究所の証明書を乙第2号証として提出する。なお付言すれば、商標権者たる八木弦三郎は、上記株式会社ピカソ美化学研究所のみならず、例えば、乙第3号証の1・2からも明らかな如く、他の保有の商標権についても第三者に通常使用権を許諾しているものであり、かかる事実からも前記通常使用権許諾の事実を十分首肯しうるものである。そして、「通常使用権者」である「株式会社ピカソ美化学研究所」は、前記乙第1号証、及び原紙定款(乙第4号証)からも明らかな通り、「化粧品の製造販売等」を業とするもので、本件商標を現に適法に使用しているものである。かかる事実を立証するため、乙第5号証〜同第21号証を提出する。
(A)乙第5号証〜同第8号証
乙第5号証は「商品およびパッケージ」の写真(平成11年8月11日撮影)を示すもので、「商品」には「リップ マジック」の片仮名文字が明確に表示され、「リップ」の文字が付記的な部分にすぎないのであるから自他商品の識別機能は「マジック」の文字にあり、明らかに本件商標と同一性を有するものであって、しかも、使用商品は「口唇化粧品」であってみれば、本件商標の適法な使用事実を明確に示すものである。さらに、本件商標は、本件審判の請求の登録前より継続的に現在にも使用中であり、かかる事実を立証するため乙第6号証〜乙第8号証を提出する。
イ.乙第6号証
乙第6号証は、本件使用商品の製造事実を示す「化粧品製造製品届書(内容の変更により再届)」。
ロ.乙第7号証の1〜8
乙第7号証の1〜8は、通常使用権者たる株式会社ピカソ美化学研究所より株式会社ジュテーム(大阪市西区西本町1丁目10番10号)に販売した事実を示す1998年2月3日〜同年9月7日付の納品書控(直送分及び引取り分)。
ハ.乙第8号証
乙第8号証は、通常使用権者たる株式会社ピカソ美化学研究所より株式会社ジュテーム(大阪市西区西本町1丁目10番10号)に販売した事実を示す納入証明書。かかる乙第6号証〜同第8号証からも明らかな如く本件商標の継続的な使用事実を明確に示すものである。
(B)乙第9号証〜同第12号証
乙第9号証は「商品およびパッケージ」の写真(平成11年8月11日撮影)、乙第10号証は「パンフレット」を示すもので、乙第9号証「商品」には、「マジック カラー」の片仮名文字が明確に表示され、また、乙第10号証「パンフレット」には、「マジック カラー」の片仮名文字が明確に表示され、両者共「カラー」の文字が付記的な部分に過ぎないものであるから自他商品の識別機能は「マジック」の文字にあり、明らかに本件商標と同一性を有するのみならず、使用商品は「アイシャドウ」であってみれば、本件商標の適法な使用事実を明確に示すものである。さらに、本件商標は、本件審判の請求の登録前より継続的に現在も使用中であり、かかる事実を立証するため乙第11号証〜乙第12号証を提出する。
イ.乙第11号証
乙第11号証は、本件使用商品の適法な製造事実を示す「化粧品製造製品届書(内容の変更により再届)」。
ロ.乙第12号証
乙第12号証は、通常使用権者たる株式会社ピカソ美化学研究所より株式会社ジュテーム(大阪市西区西本町1丁目10番10号)に販売した事実を示す1994年8月17日付の仕入台帳である。かかる乙第10号証〜同第12号証及び乙第8号証からも明らかな如く本件商標の継続的な使用事実を明確に示すものである。
(C)乙第13号証〜同第16号証
乙第13号証は、「商品およびパッケージ」の写真(平成11年8月1日撮影)、乙第14号証は「パンフレット」を示すもので、乙第13号証の「商品」には、「カバー マジック」の片仮名文字が明確に表示され、また、乙第14号証「パンフレット」には「カバー マジック」の英文字が明確に表示され、両者共「カバー」の文字が付記的な部分に過ぎないものであるから自他商品の識別機能は「マジック」の文字にあり、明らかに本件商標と同一性を有するのみならず、使用商品は「メークアップ化粧品」であってみれば、本件商標の適法な使用事実を明確に示すものである。さらに、本件商標は、本件審判の請求の登録前より継続的に現在も使用中であり、かかる事実を立証するため乙第15号証〜乙第16号証を提出する。
ハ.乙第15号証
乙第15号証は本件使用商品の適法な製造事実を示す「化粧品製造製品届書(内容の変更により再届)」。
ニ.乙第16号証の1〜3
乙第16号証は、通常使用権者たる株式会社ピカソ美化学研究所より株式会社ジュテーム(大阪市西区西本町1丁目10番10号)に販売した事実を示す1999年2月3日、及び同年2月19日付の納品書控である。かかる乙第15号証〜同第16号証、及び前記乙第8号証に示す株式会社ジュテームの納入証明書からも明らかな如く本件商標の継続的な使用事実を明確に示すものである。
(D) 乙第17号証〜乙第21号証
乙第17号証は、「商品の正面および背面」の写真(平成11年8月11日撮影)を示すもので、「アロエ マジック」の片仮名文字が明確に表示され、「アロエ」の文字が付記的な部分にすぎないものであるから自他商品の識別機能は「マジック」の文字にあり、明らかに本件商標と同一性を有するのみならず、使用商品は「スキンケアクリーム」であってみれば、本件商標の適法な使用事実を明確に示すものである。乙第18号証は、「使用商品」のパンフレットを示すもので、商品は「アロエ マジック」の文字が明確に表示され、上記乙第17号証と同様に明らかに本件商標と同一性を有するのみならず、使用商品は「スキンケアクリーム」であって、本件商標の適法な使用事実を示すものである。さらに、本件商標は、本件審判の請求の登録前より継続的に現在も使用中であり、かかる事実を立証するため乙第19号証〜乙第21号証を各々提出する。
イ.第19号証
乙第19号証は、本件使用商品の適法な製造事実を示す「化粧品製造製品届書」である。
ロ.乙第20号証の1〜5
乙第20号証の1〜3は、本件使用商品に係る「容器」につき、石堂硝子株式会社(大阪市東成区大今里西1丁目9番12号)より1998年10月9日、同年10月13日、1999年1月20日付けで通常使用権者たる株式会社ピカソ美化学研究所に納品された事実を示す納品書である。また、乙第20号証の4〜5は、本件使用商品に係る「チラシ」および「アロエマジック比較表(布亀説明会用資料)」につき、株式会社サカモト美術印刷(大阪市都島区都島中通3丁目19ー13)より平成10年11月12日、同年11月13日付で通常使用権者たる株式会社ピカソ美化学研究所に納品された事実を示す納品書である。
ハ.乙第21号証の1〜7
乙第21号証の1〜2は、本件使用商品につき、通常使用権者たる株式会社ピカソ美化学研究所より平成9年4月3日、同年6月30日付で「布亀通商株式会社」に納品した事実を示す「納品書」、乙第21号証の3〜5は平成10年6月29日、1998年11月30日、1999年6月4日付で「株式会社エイチビー(西宮市今津二葉町3ー6)に納品した事実を示す納品書、乙第21号証の6は、1998年10月2日付で「株式会社コスモプラス(福岡市博多区博多駅前2ー6ー10)」に納品した事実を示す納品書、乙第21号証の7は、1999年4月30日付で「株式会社ヤマノ(東京都渋谷区代々木1ー34ー15)に納品した事実を示す納品書の各々一例である。
なお、乙第6号証外にかかる「株式会社ピカソ美化学研究所」の住所が「兵庫県西宮市西宮浜3丁目9番1号」になっているが、これは、「株式会社ピカソ美化学研究所」の支店住所を表示したものである。よって、上記乙第1号〜乙第21号証から明らかな通り、本件商標権者「八木弦三郎」より「株式会社ピカソ美化学研究所」に対して通常使用権が適法に許諾され、かかる通常使用権により本件商標が本件審判請求の登録の日以前より継続的に現在も有効に使用しているものである。
従って、本件商標は不使用である、旨の請求人の主張は明らかに失当である。
(3)以上述べた通り、請求人の主張は明らかに失当であり、本件商標が取り消されるべき理由は全くないものである。
(4)さらに、連合商標の使用に関する特則による使用事実をここに立証する。
本件商標は、その商標登録原簿謄本(乙第22号証)から明らかな通り、連合商標登録、すなわち、「Magic」の英文字が左横書きされ、旧第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として登録された商標登録第644077号(商公商38-25090号)(乙第23号証の1〜2)の連合商標として登録されていたものである。そして、かかる乙第23号証に係る連合商標は、平成7年より継続的に現在に至るまで適法に使用しているものであって、「平成12年3月31日までに請求さた不使用取消し審判については、被請求人が連合商標の使用の特則によって使用の証明をしたときは取消を免れる。」旨の商標法改正附則第10条第2項の規定に基づく適法な使用である。即ち、本件商標および乙第23号証の商標権者である「八木弦三郎」は、「株式会社アリミノ(東京都新宿区下落合1-5-22)」に対し、乙第23号証に係る連合商標について平成7年1月1日より「通常使用権」を許諾しているものである。そして、かかる「通常使用権者株式会社アリミノ」は、本件商標を平成7年より現に適法に使用しているものである。係る事実を立証するため、乙第24号証〜乙第27号証を提出する。
A.乙第24号証
乙第24号証は「商品および商品包装用段ボール箱」の写真(平成12年11月22日撮影)を示すもので、「商品」には「GN」「HAIR」「MAGIC」の英文字が3段にわたって明確に表示されているものである。そして、上記の表示態様からみて、「GN」はアルファベットの2文字であり、また「HAIR」は用途として頭髪用の意義に慣用されるものであってみれば、自他商品の識別機能は「MAGIC」の英文字にあるものであって、明らかに乙第23号証にかかる本件連合商標とは実質同一性を有するのみならず、使用商品も「ヘアートリートメント」であってみれば、社会通念上、本件連合商標の適法な使用事実を明確に示すものである。また、「商品包装用段ボール箱」には、「Let’s HAIR」の英文字が小さく表示されると共に、「MAGIC」の英文字が大きく明確に表示されているものであって、「Let’s HAIR」の英文字が前記と同様に付記的な部分にすぎないものであるのみならず、明確に大書されていることからして、自他商品の識別機能は「MAGIC」の英文字にあるものである。してみれば、乙第24号証は、社会通念上、本件連合商標の適切な使用事実を明確に示すものである。
B.第25号証の1〜2
乙第25号証は、通常使用権者である「株式会社アリミノ」の「化粧品製造品目追加許可申請書」、および「化粧品製造品目追加許可書」を示すもので、乙第24号証に係る使用商品の適法な製造事実を示すものである。
C.第26号証の1〜3
乙第26号証の1〜3は、乙第24号証に係る使用商品の納品「計算書」を示すものである。そして、かかる乙第26号証の1は、『1997年3月31日付けで「検見川ホリー美容商事(有)」に納品した事実』乙第26号証の2は『1997年3月31日付けで「(有)サン商事」に納品して事実』乙第26号証の3は、『1997年3月31日付けで「(株)ほかり」に納品した事実』を各々示すものであり、かかる納品期日である「1997年3月31日」は、商標法改正附則第10条第2項の規定に基づく連合商標の使用の特則期間、即ち、本件審判予告登録日(平成11年8月11日)の3年前である平成8年8月11日から平成8年法改正施行目前である平成9年3月31日までの期間内に含まれるものである。なお、乙第26号証の1〜3中、「GNヘアマジックテクニカルR(N)」は本件使用商品の品名を表示するものである。以上の次第で、乙第22号証〜同第26号証の1〜3から明らかな通り、本件商標の連合商標についても特別規定が認められる期間内において適法に使用していたものであり、かかる立証からも本件商標が取消される理由はないものである。
さらに付言すれば、平成11年9月22日付け審判事件答弁書に添付した乙第17号証の写真、及び第18号証のパンフレットの商品は「ALOE」と「MAGIC」との英文字が上下二段に明確に表示されているものである。そして、上記の表示中、「ALOE」は乙第18号証のパンフレットに、「天然保湿成分を豊かに配合し、アロエとホホバがよりお肌をしっとりさせ、肌荒れを防ぎます。」旨、記載されているが如く、商品「クリーム」の品質、原材料を端的に示しているものであるから、自他商品の識別機能は「MAGIC」にあるものである。してみれば、乙第17号証、および乙第18号証も同様に本件連合商標の適法な使用事実を明確に示すものである。かかる被請求人の主張は、『「ALOE」と「MAGIC」と2段に表示されている標章中「ALOE」の文字部分がパンフレットに「天然保湿成分をゆたかに配合し、アロエとホホバがよりお肌をしっとりさせ、肌荒れを防ぎます。」と記載されているように、商品「クリーム」の品質、原材料を端的に示しているといえるから、「ALOE」と「MAGIC」と2段に表示されている標章は、本件商標と社会通念上同一と認めざるを得ない』旨の平成11年審判第30323号審決(乙第27号証)からも十分に首肯し得るものである。
(5)上述の次第で、本件商標はそれ自体のみならず、本件連合商標をも使用しているものであって、本件商標が取消される理由は全くないものである。
(6)さらに証拠を補充して使用事実を立証する。
乙第17号証に係る使用商品、即ち、「ALOE」と「MAGIC」の欧文字が上下2段に明確に表示されて商品は、商標法改正附則第10条第2項の規定に基づく連合商標の使用の特則期間、即ち、本件審判予告登録日(平成11年8月11日)の3年前である平成8年8月11日から平成8年法改正施行目前である平成9年3月31日までの期間内に使用されていたものである。
A.乙第28号証の1〜2
乙第28号証の1〜2は、乙第17号証に係る商品の「容器」の作成事実を示す石堂硝子株式会社(大阪市東成区大今里西1丁目9番12号)より「1996年11月8日」及び「1997年1月21日」付けで通常使用権者である株式会社ピカソ美化学研究所に納品された事実を示す納品書である。
B.乙第29号証
乙第29号証は、乙第17号証に係る商品の「チラシ」の作成事実を示す株式会社サカモト印刷(大阪市都島区島中通3丁目19ー13)より「平成8年11月14日」付けで通常使用権者である株式会社ピカソ美化学研究所に納品された事実を示す納品書である。
C.乙第30号証の1〜2
乙第30号証の1〜2は、乙第17号証に係る商品につき、通常使用権者である株式会社ピカソ美化学研究所より「布亀通商株式会社(兵庫県西宮市今津二葉町2番6号)に対し、平成8年12月13日、同年12月16日、及び同年12月17日に納品した事実を示す「平成8年12月17日」付け「納品書控」、並びに平成9年3月3日、同年3月10日に納品した事実を示す「平成9年3月10日」付け「納品書控」である。
(7)上述の如く、乙第28号証の1〜2の納品日「1996年11月8日」及び「1997年1月21日」、乙第29号証の納品日「平成8年11月14日」、並びに乙第30号証の1〜2の納品日「平成8年12月13日」「平成8年12月16日」「平成8年12月17日」「平成9年3月3日」「平成9年3月10日」は、本件連合商標の使用の特則規定が認められる期間、即ち、「平成8年8月11日から平成9年3月31日」内に総て含まれているものであり、本件連合商標の使用の事実を如実に示すものである。
(8)以上の次第で、本件商標はそれ自体を適法に使用するのみならず、商標法改定附則第10条第2項の規定に基づ連合商標の使用の特則期間内における本件商標に係る連合商標を適法に使用するものであって、本件商標が取消される理由は全くないものである。

4.当審の判断
被請求人は、本件商標を使用している証拠として乙第5号証ないし乙第30号証(枝番を含む。)を提出している。
(イ)乙第5号証ないし乙第7号証の8は「JE T’AIME」、「LIP MAGIC」及び「ジューテーム リップマジック」の文字よりなる商標(以下、「使用A商標」いう。)を口紅に使用している写真、化粧品製造製品届書及び納品書控(株式会社 ジュテーム)である。
(ロ)乙第8号証は、通常使用権者である株式会社 ピカソ美化学研究所が商品「リップマジック」、「カバーマジック」、「マジックカラー」を「株式会社 ジュテーム」に納品した証明書である。
(ハ) 乙第9号証ないし乙第12号証は「JE T’AIME」、「MAGIC COLOR」及び「ジューテーム マジックカラー」の文字よりなる商標(以下、「使用B商標」という。)、また、乙第13号証ないし乙第16号証の3は「JE T’AIME COVER MAGIC」及び「ジューテーム カバーマジック」の文字よりなる商標(以下、「使用C商標」という。)をいずれもメイクアップ化粧品に使用している写真、化粧品製造製品届書及び納品書控(株式会社 ジュテーム)である。
(ニ)乙第17号証ないし乙第21号証の7は「アロエマジック」「ALOE MAGIC」若しくは「マジックアロ」の文字よりなる商標(以下、「使用D商標」という。)をクリーム・乳液に使用している写真、化粧品製造製品届書、チラシ及び納品書控(「石堂硝子株式会社」、「サカモト美術印刷」、「亀通商株式会社」、「株式会社エイチビー」、「株式会社コスモプラス」、「株式会社ヤマノ」宛てのもの)である。
(ホ)乙第24号証は、通常使用権者である株式会社 アリミノが、「GN HAIR MAGIC」の文字よりなる商標(以下、「使用E商標」という。)を商品「頭髪用化粧品」に使用している写真及び「Let’s HAIR MAGIC」の文字よりなる商標(以下、「使用F商標」という。)を商品包装用段ボール箱に付した写真であり、乙第25号証の1〜2は、乙第24号証に係る商品の化粧品製造品目追加許可申請書、及び同許可書である。
(ヘ)乙第26号証の1ないし3は、通常使用権者である株式会社 アリミノの乙第24号証に係る商品の納品計算書(「検見川 ホリー美容商事(有)」、「(有)サン商事」、「(株)ほかり」に納品した際のもの。)であり、これには「GNヘアマジックテクニカル(R)」の文字よりなる商標(以下、「使用G商標」という。)の記載がある。
(ト)乙第28号証ないし乙第30号証は、「マジック アロ クリーム ジャー」「マジック アロ クリーム CAP」の納品書、「アロエ マジッククリーム チラシ」の納品書、「アロエ マジッククリーム」を布亀通商株式会社に納品した納品書控えである。
そこで、本件商標と使用各商標との同一性について検討するに、被請求人(通常使用権者を含む。)が上記各乙号証の「口紅、乳液、クリーム」及び納品書等に使用している「LIP MAGIC」「リップマジック」、「MAGIC COLOR」「マジックカラー」、「COVER MAGIC」「カバーマジック」、「アロエマジック」「ALOE MAGIC」、「GN HAIR MAGIC」、「Let’s HAIR MAGIC」、「GNヘアマジックテクニカル(R)」の各商標は、いずれも全体が同じ書体で左右軽重の差なく一体的に構成されているものであるから、その構成中の「LIP」「リップ」、「COLOR」「カラー」、「ALOE」「アロエ」及び「HAIR」「ヘア」の各文字部分が、それぞれ「唇」、「色」、「アロエ」、「髪」等の意味合いを有する語であるとしても、係る構成においては、全体をもって一つの造語を形成している商標とみるのが相当である。
また、乙第24号証として提出された写真(上段左側)に使用されている使用F商標「Let’s HAIR MAGIC」の構成文字は、文字の大きさを異にして表してなるものの、需要者に全体で「ヘアマジックしましょう、若しくは「髪に魔法をかけましょう」の如き意味合いを表したものと看取されるものであるから、「MAGIC」の文字だけが独立して分離観察されるものではなく、全体をもって一つの商標として把握、認識されるとみるのが相当である。
なお、写真に写っている商品包装用段ボール箱が、上記商標の付されたヘアクリームを入れる箱であるとしても、何時使用されたのか不明である。
そうとすれば、本件商標と本件商標の通常使用権者が使用しているという使用各商標とは、社会通念上同一性を有する商標とはいい得ないものである。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその指定商品ついて使用したものとはいえず、かつ、本件商標を使用していなかったことについて正当な理由があるものとは認められない。
したがって、本件商標は商標法第50条の規定によりその登録を取り消すべきものとする。
よつて、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-09-26 
結審通知日 2001-10-02 
審決日 2001-10-19 
出願番号 商願昭49-51876 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (104)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鳥居 幹治岡村 憲佑 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 上村 勉
山下 孝子
登録日 1978-03-09 
登録番号 商標登録第1325609号(T1325609) 
商標の称呼 マジック 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 中島 正 

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