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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 111 |
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管理番号 | 1050493 |
審判番号 | 審判1999-30772 |
総通号数 | 25 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-01-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 1999-06-18 |
確定日 | 2001-11-26 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1476573号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1476573号商標の指定商品「電子応用機械器具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1476573号商標(以下、「本件商標」という。)は、「錢屋」、「ゼニヤ」、「ZENIYA」の文字を上中下三段に横書きしてなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、昭和53年1月13日に登録出願され、同56年8月31日に設定登録され、その後、平成3年11月28日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 1 請求の趣旨 結論掲記の審決 2 請求の理由の要点 請求人の調査によれば、本件商標は上記指定商品中「電子応用機械器具」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。 加えて、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないのであるから、使用権者による使用ということも問題にならないので、ここに請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき本件商標の指定商品中、上記商品について取り消されるべきである。 3 請求人の弁駁 1)被請求人は、平成11年9月14日付答弁書において、登録商標と社会通念上同一の商標を「自動通船ゲート」に使用しているとして乙第1号証ないし同第3号証を提出している。 2)本件商標は、実際の使用においてこれを常に一体として使用する必要はないとはいえ、結合商標である以上、単独の使用は登録商標の使用の範囲を逸脱するものといわねばならない。 そこで実際の使用を検討するに、乙第1号証及び同第2号証においては、表紙に「ゼニヤ海洋サービス株式会社」とあり、乙第3号証は、「ZENIYA」の単独、あるいは「ZENIYA ALUMINUM GROUP」、「錢屋アルミグループ」のように他の言葉と結合的使用をしており、これらの使用態様は社会通念上、又商標法的にも登録商標の使用とは認められない。 3)本件商標を使用しているとする商品「自動通船ゲート」であるが、被請求人は、これを「電子応用扉自動開閉装置」であると主張している。しかしながら、「ダム・湖水」等において設置される「通船ゲート」は固定されたものではなく、「浮き」を利用したものであり、例えば、フローテイングシステムの一つである「浮桟橋」は、旧第9類に属する商品とされている。 一方、「電子応用扉自動開閉装置」は、常識的にいって建物等の出入口に設置されるものであり、これはドア前面の光線(センサー)を通行人が遮断することでスイッチが入るタイプで、本件商標の使用商品とは、使用場所、目的等を異にしており、「自動通船ゲート」は、旧第9類の「その他の産業機械器具」又は「その他の機械器具で他の類に属しないもの」のカテゴリーに含まれる商品である。 4)以上により、本件商標は、登録商標の使用ではなく、又使用商品も「電子応用機械器具」に含まれるものとは考えられない。 第3 被請求人の主張 1 答弁の趣旨 「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決 2 答弁の理由の要点 (1)被請求人は、そのグループ会社であるゼニヤ海洋サービス株式会社に本件商標の通常使用権を許諾し、ゼニヤ海洋サービス株式会社は、その取消に係る指定商品「電子応用機械器具」中の商品「電子応用扉自動開閉装置」について本件商標である「ZENIYA」を使用している。 乙第1号証の1は、ゼニヤ海洋サービス株式会社が発行した商品カタログである。これには「自動通船ゲート」が写真で表示されている。「自動通船ゲート」は、「超音波」を使用したセンサーにより船の入出を確認し、スイッチの入断を自動的に行ってゲート(扉)の自動開閉を行う装置である。 その構造を明らかにするために、取引時に提示される商品の図面(標準装備を示す全体図)を提出する。これには「船舶認識センサーによる自動開閉扉」であることが記載されており、装置には「船舶認識センサーが2組組み込まれていることも記載されている。 「自動通船ゲート」には直接本件商標を表示していないが、カタログの裏表紙に「Zeniya」の文字がやや図案化されて表示されている。 その文字の表現は、登録商標と異なるものではあるが、いずれも「Zeniya」の文字を明瞭に使用しているものであり、登録商標と社会通念上同一の商標を使用しているものである。 (2)また、その取引書類として注文書ならびに商品受領書を提出し、その事実を立証する。 この書類には「通船ゲート設備工事」と記載し、さらに「通船ゲート(手動式)1、通船ゲート(自動式)1、網場(上・下流側)各1式 で設計、製作、据付まで」として、その注文内容が記載されている。 「自動通船ゲート」は、平成9年7月29日に西田鉄工株式会社より発注され、平成10年3月31日に設置完了したことを示している。この商品は、水資源開発公団の「比奈知ダム」(三重県名張市上比奈知)に設置された。 (3)「ゼニヤアルミグループ」の会社案内の表紙には、欧文字にて「ZENIYA」の文字が大きく表示されており、ゼニヤアルミグループの統合商標として、本件商標を使用していることが分かる。また、この会社案内にはゼニヤアルミグループ7社が同一のグループとして掲載されており、被請求人とゼニヤ海洋サービス株式会社とは同じ住所に本店を定め、両者は密接な関係にて営業を続けている。 その第4頁「錢屋アルミグループの製品」の欄 「ダム・湖水開発関連」の部門において、「自動通船ゲート」が記載されており、平成3年12月には「ZENIYA」商標を使用して「自動通船ゲート」が販売されていることが示されている。 以来、今日に到るまで継続して本件商標は、「自動通船ゲート」について使用されているものである。 (4)このように、被請求人は、取消に係る指定商品「電子応用機械器具」中の商品「電子応用扉自動開閉装置」について本件商標である「ZENIYA」を使用していることが明らかであるから、本件請求は、理由がない。 (5)乙第2号証として提出の取引書類に記載された商品が水資源開発公団の「比奈知ダム」に設置されたことを示す「比奈知ダム工事写真」を提出する。 これは、工事現場における設置工事施行の状況を記録したものであり、「自動通船ゲート」(船舶認識センサーによる自動開閉扉)が三重県名張市上比奈知の「比奈知ダム」に設置されたことが容易に理解できる。 (6)被請求人は、取消に係る指定商品「電子応用機械器具」中の商品「電子応用扉自動開閉装置」について、本件商標である「ZENIYA」を使用していることが明らかである。 (7)請求人の弁駁書における主張の内容は、被請求人の使用する本件商標の使用態様について、以下のとおり主張する。 (a) 被請求人の使用する商標は登録商標の使用でない。 文字を上中下三段に書いてなる結合商標であるに対し、使用商標は、構成中の一態様のみの単独の使用で登録商標の使用の範囲を逸脱する。 (b) 商標の使用態様は、登録商標の使用ではない。 乙第1号証ないし同第3号証に使用する商標 (c) 「自動通船ゲート」は、旧第9類の商品である。 (d) 「電子応用扉自動開閉装置」は、「建物等の出入口に使用するもの」である。 3 証拠方法 被請求人は、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証(枝番を含む。)を提出している。 第4 当審の判断 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明確にしない限り、その登録の取消しを免れない。 そこで、被請求人の提出に係る乙第3号証(「錢屋アルミグループの会社案内」)を徴するに、表紙に本件商標と社会通念上同一と認められる「ZENIYA」の文字が表示されていることが認められるもので、その第4頁には、「錢屋アルミグループの製品」の欄があり、「●ダム・湖水開発関連」の中に、「自動通船ゲート」の文字を見出すことができる。 また、同号証の第13頁には、「株式会社錢屋アルミニウム製作所」の文字が表示されていることが認められる。 次に、指定商品の使用についてみるに、被請求人の提出に係る乙第4号証の1ないし4をみると、「自動通船ゲートの出来形確認検査」、「同試運転・調整」及び「同試運転検査」等の施行の状況を記録した写真であり、商品「自動通船ゲート」と認められるところである。 しかして、被請求人は、『本件商標の使用に係る商品「自動通船ゲート」は、浮きを浮力として利用したものであるが、「超音波」を使用した「船舶認識センサー」により船の出入りを確認し、スイッチの入れたり、切ったりを自動的に行って、ゲート(扉)の自動開閉を行う装置であるから、「電子応用扉自動開閉装置」に他ならない。』旨主張するが、本件商標の使用に係る商品「自動通船ゲート」は、浮きを浮力として利用したものであるが、通船ゲートに近接した船が遠隔操作部材(リモコン)を操作し、「超音波」を「船舶認識センサー」に送り、これにより太陽電池を利用してモーターを回転させ、ゲートの開閉を電動で行う装置であると認められるから、「第9類 その他の機械器具で他の類に属しないもの」の範疇に属する商品と認められるものである。 してみれば、「自動通船ゲート」は、「電子応用扉自動開閉装置(電子応用機械器具)」に使用しているとは、認めることができない。 そうとすると、被請求人提出の乙各号証をもっては、本件商標が本件審判請求の登録(平成11年7月14日)前3年以内に本件審判請求に係る商品について、その使用を認めることができないし、他にこれを認めるに足る証拠は、何ら提出されていない。 してみると、被請求人は、本件審判請求に対し、その請求に係る商品について、本件商標を上記期間内に使用していたことを証明したものと認めることができない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。 以上のとおりであるから、請求人の主張は、理由があるから認容することとし、審判費用の負担については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項、民事訴訟法第61条の規定により、被請求人の負担とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-01-18 |
結審通知日 | 2001-01-30 |
審決日 | 2001-10-16 |
出願番号 | 商願昭53-1400 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(111)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中村 欽五 |
特許庁審判長 |
廣田 米男 |
特許庁審判官 |
大島 護 宮下 行雄 |
登録日 | 1981-08-31 |
登録番号 | 商標登録第1476573号(T1476573) |
商標の称呼 | ゼニヤ |
代理人 | 加藤 義明 |
代理人 | 藤田 邦彦 |
代理人 | 福田 進 |