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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない 130
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない 130
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 130
審判 全部無効 観念類似 無効としない 130
管理番号 1049110 
審判番号 審判1998-35317 
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-12-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-07-14 
確定日 2001-10-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第2651208号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2651208号商標(以下「本件商標」という。)は、「青柳ういろう」(別掲1参照)の文字を横書してなり、第30類「ういろう」を指定商品として、平成3年4月23日に登録出願、同6年4月28日に登録され、現に有効に存続しているものである。
2 請求の趣旨
本件商標の登録は無効とし、審判請求の費用は被請求人の負担とするとの審決を求める。

3 請求の理由
本件商標、請求人の所有する登録第454581号商標(以下、「引用商標」という。)と称呼、観念において類似し、その指定商品も同一又は類似するものであって、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、無効とされるべきものである。
さらに、本件商標を使用した商品の販売は、請求人の業務に係る商品とその商品の出所について混同を生じるおそれがあり、同法第4条第1項第10号又は同第15号に違反して登録されたものであり、無効とされるべきものである。
(1) 商標法第4条第1項第11号に該当する事由について、
引用商標は、別掲したとおりの構成より成り(別掲2参照)、大正10年法商品類別第43類「菓子の類」を指定商品として、昭和28年9月30日に登録出願、同29年10月28日に登録され、現に有効に存続している。引用商標は、中央やや左寄りに「ういろう」の文字が縦書きされ、背景には、小さい「八ッ棟」の字のある、八棟造りの建物と二人の旅人の絵があり、右下には、「お菓子の」との字が記載されている。この八棟造りの建物及び二人の旅人は、後述のとおり、いずれも小田原の外郎家に関連する絵であり、引用商標は、外郎家のお菓子の「ういろう」を観念する標章である。しかして、引用商標は、菓子類の名前「ういろう」という称呼が中心の商標である。したがって、引用商標は、「ウイロウ」という称呼について、効力が生じている商標である。
前述のとおり、本件商標は、「青柳ういろう」という文字からなる商標であるが、「青柳」と「ういろう」との二つに分割される文字からなっており、両者の間に有機的な結合の必然性はない。このうち、「青柳」については、産地又は販売地を連想し、「ウイロウ」が中心的称呼である。
してみれば、本件商標「青柳ういろう」は、引用商標「ういろう」に類似する商標である。そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品「菓子類」に含まれるものである。
したがって、本件商標は、先願に係る他人の登録商標である引用商標の指定商品の一部について使用されるもので、引用商標と同一又は類似する商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当する商標である。
(2) 商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当する事由について
請求人は、株式会社ういろうの商号で、引用商標に記載されている「ういろう」を使用した菓子を製造販売しているところ、元来は、薬「ういろう」を製造販売している会社である。薬「ういろう」は、室町時代に「外郎家」の始祖の陳延祐(陳外郎とも称する。)の子大年宗奇が、明から薬「霊宝丹」を取り寄せ、国内に伝えたといわれるもので、時の天皇から「透頂香」の名前を賜ったものである。
この薬はその後陳外郎の薬といわれ、「外郎(ういろう)」と呼ばれるようになったものであり、歌舞伎十八番の演じ物の一つである「ういろう売り」でも有名な薬であって、600有余年の歴史を有する小田原の外郎家の家業として、有名な商品である。そして、お菓子の「ういろう」は、外郎家のお菓子から「ういろう」の名前が生じた菓子である。
引用商標中、「八ッ棟」又は、八棟造りの建物は、請求人の代表者であり、引用商標の元出願人である、外郎藤右衛門の祖先が居住し、薬の「外郎」を販売していた外郎家の建物である。この建物は、西暦16世紀頃に建てられたといわれる建物で、十六の菊の紋章と五七の桐の紋章が付く八棟造りの建物であり、江戸時代の寛政9年(1797年)刊行の「東海道名所図会」に描かれているといわれる建物の絵と八つ棟の字である。
そして、旅人の絵は、江戸時代の十返舎一九の著作「東海道中膝栗毛」中、小田原のくだりの記載に、「ういろうを餅かとうまくだまされて、こは薬じゃと苦いかほする。」とあるのに因んだ旅人の絵である。
引用商標は、小田原外郎家の菓子である「ういろう」の商標であり、「ういろう」は、外郎家の菓子との概念の文字である。したがって、「ういろう」は、元来お菓子の固有名詞であって、お菓子の中の一種類の普通名称ではない。
以上のとおり、請求人は、外郎家の家業を法人化した会社であり、外郎家の薬と菓子の歴史と商標を承継した著名な会社である。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用するときには、請求人の業務に係る商品と、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものであるから、商標法第4条第1項第10号又同第15号に該当する商標である。
4 答弁に対する弁駁
(1) 被請求人の主張に対して、以下のとおり弁駁する。
(ア) 被請求人は、本件商標の指定商品が「ういろう」であることを挙げて、指定商品は普通名詞で記載されるべきものであるから、「ういろう」は普通名詞であることが証明される旨主張する。そして、登録第4077863号商標の指定商品も「ういろう」であると援用する。
しかし、登録第445527号商標(甲第10号証)の指定商品は、「黒外郎」であり、登録第445601号(甲第11号証)商標の指定商品は、「白外郎」である。被請求人の主張によると、「黒外郎」も、「白外郎」も普通名詞ということになる。「黒外郎」、「白外郎」は、被請求人引用の乙第4号証(「食品表示マニュアル」)には記載がない。「黒外郎」、「白外郎」は、むしろ商品名と見るべきものであり、普通名詞ではないと思われる。そうすると、指定商品として記載されて登録されていても、普通名詞ではないものも特許庁は認容していることとなる。
したがって、「ういろう」は指定商品として記載されているから、普通名詞であるということはできない。
(イ) 被請求人は、「ういろう」が普通名詞であることの客観的証拠の第一に、乙第3号証(株式会社岩波書店発行「広辞苑」)の「ういろう」の記載を挙げている。その記載には、商品名である旨の記載もないので、「ういろう」が普通名詞であることが証明されるという。しかし、前掲「広辞苑」の「ういろう[外郎]」の説明の2に、「菓子の名。米の粉を黄に染め、砂糖を加えて蒸し、四角に切ったもの。形や色が薬のういろうに似る。山口・名古屋の名産。」と記載されているが、この記載内容は誤っている。
まず、薬の「ういろう」(甲第15号証)は、黄色でもなければ、四角でもない。通常、名古屋等で売っている「ういろう」なるものは、直方体のお菓子の「ようかん」ような形をした四角の可なり大きいものであり、類似の形態のものをいうものと思われるが、同「ういろう」の説明の中にある、「江戸時代に小田原から売り出した」といわれる薬の「ういろう」(透頂香)(前掲「広辞苑」「ういろう[外郎]」の説明の1参照。)(甲第15号証)は、森下仁丹株式会社から発売されている薬「仁丹」に似た、銀色の小さい丸薬であり、菓子「ういろう」の説明とは似ても似つかないものである。したがって、前掲「広辞苑」の「ういろう」の記載内容は、まずこの点で大きく誤っている。
次いで、前掲「広辞苑」の「ういろう」の説明によると、「ういろうは、米の粉を黄に染め、砂糖を加えて蒸し、四角に切ったもの」となっているが、甲第12号証(山口県山口市 昭和46年3月30日発行「山口市史」)によると、「外郎の材料は、古来、小豆と砂糖のほかに『せん』という蕨の根からとる澱粉が用いられている。」)とのことである。そうすると、山口地方の「ういろう」は米の粉を黄に染め、砂糖を加えて蒸したものではないことは明らかであり、この点でも、前掲「広辞苑」の「ういろう」の記載内容は誤っていることになる。
以上のとおり、前掲「広辞苑」の菓子の「ういろう」の記載内容は誤っていることは、明らかであり、辞典に記載されているから「ういろう」は普通名詞であると主張しても、その記載に大きな誤りのある記載では、その主張に信憑性もない。しかも、前述のとおり、材料も異なるとなると、普通名詞の「ういろう」とは、どのような菓子を指す言葉であるかも疑問となり、「ういろう」は普通名詞ではないこととなる。現に、被請求人の販売している「ういろう」は、前掲「広辞苑」の定義する、米の粉を黄に染め、砂糖を加えて蒸し、四角に切ったものではないと思われる。結局「ういろう」とは、各業者が自分の作るものが「ういろう」であるといっているだけと思われる。そのように「ういろう」は普通名詞ではない。
(ウ) 元来、「ういろう」又は「外郎」という言葉は、請求人代表者外郎藤右衛門の姓である「外郎」(甲第16号証)に由来する言葉である。「外郎」という姓は、請求人代表者である外郎家の始祖である陳延祐が、来朝して、陳外郎と称し、唐音で陳外郎と名乗ったことから、「外郎」称するようになったものであり、そして、「外郎」を「ういろう」と読むようになったのも「陳外郎」と名乗ったことに由来する。もともと漢字の読み方として、「外」を「うい」と読むのは、「外郎」しかない。(前掲「広辞苑」にも、「ういろう[外郎]」しかない。(ウイは唐音)。)と記載している。
前掲「広辞苑」には、「ういろう[外郎]」の説明としては、最初に、薬の「外郎」の記載があり、江戸時代に小田原で売り出した旨の記載があり、薬の「ういろう」こと「透頂香」の記載である。これは請求人代表者の家業の記載である。次に、「ういろううり[外郎売]」の記載があるが、ここには、歌舞伎十八番外郎売の物真似の記載があり、これも請求人代表者の家業に関する記載である。また、甲第13号証(株式会社三省堂発行「広辞林」(第六版))によると、「外郎」の説明としては、最初に、「外郎売り」の説明があり、歌舞伎十八番の記事があり、これも小田原名物の妙薬外郎売りの記載で、請求人代表者の家業に関する事項が記載されており、それに続いて薬「ういろうくすり」として「透項香」の記載であり、今の仁丹の類との記載がある。この薬が請求人代表者外郎家の家業の記載であることは前述のとおりである。続くお菓子「ういろう」については、「ういろうもち」、「外郎餅」の記載であり、これにも薬に似ているのでいう旨の記載がある。しかし、「ういろう」の記載はない。そうすると、前掲「広辞林」には、「ういろう」の記載はなく、「ういろう」が普通名詞とはいえないこととなる。しかしいずれにしても、「外郎」に関する辞典の記載は、殆ど全て、請求人代表者の外郎家に関する記載であり、それ以外に「ういろう」、「外郎」の言葉に関する記述は見当たらない。このことから見ても、「外郎」を「ういろう」と読むのは、請求人代表者外郎藤右衛門の姓である「外郎」に由来する言葉であることは明白である。
本来、お菓子の「ういろう」、「外郎」は、「外郎家のお菓子」といっていたのが、お菓子の「外郎」といわれるようになったことによるものであり、「ういろう」、「外郎」の名前も、請求人の氏名又は家業から派生したことを示す言葉であることが明白である。
(エ) 以上のとおり、被請求人の主張する「ういろう」は普通名詞であるとの主張は理由がなく、「ういろう」は本来、請求人代表者の外郎家に由来する言葉であり、外郎家のお菓子からお菓子の「ういろう」となった言葉であって、請求人代表者外郎家のお菓子の固有名詞である。
(2) 被請求人は、引用商標について、「引用商標からは『ヤツムネ』等の称呼のみが生ずる。」と主張するが、その主張は、牽強付会の主張であり失当である。
(ア) 引用商標は、別掲のとおりの構成より成り、この構成からのみ判断しても、中央やや左寄りにある大きめの「ういろう」の文字が中心の商標であり、被請求人の主張する「八ッ棟」が中心とは考えられない。八棟造りの建物及び二人の旅人は、前述のとおり、いずれも小田原の外郎家に関連する、知る人ぞ知る有名な絵と話を表す絵(図形)であり、引用商標は、外郎家のお菓子の「ういろう」を観念する商標である。
以上のとおり、引用商標は、中央近くにやや大きめの文字「ういろう」が、中心の商標であり、菓子類の名前「ういろう」という称呼が中心の商標である。
したがって、引用商標は、「ウイロウ」という称呼について、効力が生じている商標である。
(イ) ところで、引用商標は、「ういろう」の文字が中心の商標であり、昭和28年9月登録出願し、翌昭和29年10月に登録された登録商標である。もし、被請求人の主張するように、「ういろう」が当時から普通名詞であれば、登緑は拒絶されていた筈である。しかし、昭和29年には.何の問題もなく、登録されている商標であり、登録商標としての効力が現在も持続している。
(ウ) 被請求人は、種々主張するが、理由とするところは、「ういろう」が普通名詞であるからという点である。しかし、元来「ういろう」なる言葉は、本来ならば、無意味な言葉であり、しかも、漢字の「外郎」については、「ういろう」との読み方もない言葉である。唯一「ういろう」に意味があるのは、請求人代表者の外郎家の姓「外郎」のみである。そこで、その姓の「外郎」に由来するお菓子の「ういろう」についての商標登録が認められたのが、引用商標である。
5 答弁の趣旨
本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。
6 答弁の理由
(1) 請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第10号又は同第15号の規定に該当する旨主張している。
しかしながら、請求人の主張は全く失当なものであり、本件商標の登録は無効理由を有していない。
(2) 「ういろう」は菓子の普通名称である。
(ア) 本件商標の指定商品は「ういろう」である(甲第3号証及び同第4号証)。指定商品は、普通名称によって記載されるべきものである。このことから、「ういろう」が普通名称であることが証明される。乙第1号証の1及び2は、第三者が所有する登録商標(登録第4071863号)であるところ、この登録商標の指定商品も「ういろう」であり、「ういろう」が普通名称であることが裏付けられる。
また、甲第3号証(本件商標の公報)に示されているように、本件商標は商標法第3条第2項の規定の適用を受けて登録を受けている。すなわち、本件商標は、審査の過程において、自他商品識別力がない旨の拒絶理由通知を受けた後に、使用による顕著性が認められて登録を受けたのである。乙第2号証はその拒絶理由通知書であり、「ういろう」が普通名称である旨示されている。
(イ) 乙第3号証(株式会社岩波書店発行「広辞苑」)には、「ういろう」が掲載されている。
(ウ) 乙第4号証(食品表示研究会編集「食品表示マニュアル」の「第3章 食品の表示方法」301頁)には、次のように記載されている。
「1共通事項 1名称、品名等」には、「(1)食衛法では、一般商品によっては次のように表示するよう指導されている。 ア 食品及び添加物の名称については、・・・社会通念上すでに一般化したものを記載すること。」と記載されている。そして、305頁の「生菓子 和菓子」の欄に「ういろう」と記載されている。
(エ) 以上から、「ういろう」は菓子の一種として普通名称なのである。
(3) 本件商標について
本件商標は、「青柳ういろう」なる文字が横書きされた態様を有している。そして、「ういろう」が普通名称であるとともに、全体として第3条第2項の規定の適用を受けたものであることから、本件商標から「アオヤギウイロウ」の称呼のみが生ずる。
(4) 引用商標について
引用商標は、「古風な建造物の絵」の図形と、「江戸時代の装束の2人の男性の絵」の図形と、「八ッ棟」の文字と、「お菓子のういらう」なる2行書きの文字が組み合わされた態様を有しており、旧々第43類「菓子の類」を指定商品としている。そして、前述したように「ういろう」は普通名称であることから、引用商標から「ウイロウ」や「ウイラウ」なる称呼は生じない。すなわち、引用商標では図形部分及び「八ッ棟」なる文字部分にのみ商標としての意味があるのであって、「お菓子のういらう」の文字部分には意味がないのである。そして、引用商標からは「ヤツムネ」等の称呼のみが生ずる。
(5) 本件商標と引用商標との比較
前述のように、本件商標からは「アオヤギウイロウ」の称呼のみが生じ、引用商標からは「ヤツムネ」等の称呼のみが生じ、ともに「ウイロウ」の称呼は生じないことから、本件商標と引用商標とは称呼上非類似である。「ういろう」が普通名称であることから、両商標から「ういろう」の観念は生じないため、両商標は観念上も非類似である。また、両商標は外観上も非類似である。
(6) 以上のように、本件商標と引用商標とは類似しないため、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号の規定に該当しない。また、引用商標は周知であるとは全く考えられないとともに両商標が非類似であるため、本件商標の登録は商標法第4条第1項第10号及び同第15号の規定にも該当しない。
7 当審の判断
本件商標の登録に対して、請求人は、商標法第4条第1項第11号、同第10号又は同第15号の規定に違反してされたものであると主張し、甲第1号証ないし同第17号証を提出している。
本件商標の構成は前示のとおりであり、指定商品「ういろう」を指定商品として、平成6年4月28日に登録されたものである。
(1) 請求人は、本件商標中の「ういろう」の文字部分より称呼、観念を生ずることを前提として、引用商標と類似する旨主張し、被請求人は、これを否定する。
本件商標は、甲第3号証から明らかなように、商標法第3条第2項の適用を受けて登録されたものである。そして、乙第2号証によれば、本件商標は、指定商品「ういろう」については自他商品の識別機能を果たさない旨の拒絶理由の通知を受けて、被請求人側が使用による識別機能の取得を立証して、登録されたものである。
また、乙第3号証によれば、「ういろう[外郎]」の説明の2に、「菓子の名。米の粉を黄に染め、砂糖を加えて蒸し、四角に切ったもの。形や色が薬のういろうに似る。山口・名古屋の名産。」と記載されている。甲第13号証に記載された「ういろうもち・外郎餅」も同様の意味合いとみられるものである。
乙第4号証によれば、食品衛生法上の食品の表示方法の指導として、「ア 食品及び添加物の名称については、・・・社会通念上すでに一般化したものを記載すること。」と定め、「生菓子 和菓子」の欄に「ういろう」を表示する旨記載されていることが認められる。
これに対して、請求人は、乙第3号証については、「黄色に染め」、「四角に切ったもの」及び「形や色が薬のういろうに似る。」の記載内容は誤りである旨及び甲第12号証により、山口産の「ういろう」については、「外郎の材料は、古来、小豆と砂糖のほかに『せん』という蕨の根からとる澱粉が用いられ・・・」材料が違い誤りである旨主張する。
しかしながら、地方の名産については、元は一緒でも、長い時間が経過する間には、例えば、原材料の入手の難易又は土地の人々の好みなどそれぞれ土地の事情から、自然に少しずつ変更が加えられ、現在では色や形、原材料も同じでないものもあることはあり得ることで、菓子「ういろう」についても同様とみるのが相当である。因みに、広辞苑第5版には、形については改訂が加えられている。
そうすると、前示の各証拠にれば、本件商標中の「ういろう」の文字は、少なくとも、その登録時においては、指定商品たる菓子の一種である「ういろう」を表示したものと判断するのが相当であり、このように解することが、本件商標の審査経過や乙第1号証に係る登録例とも符合するものである。
してみれば、本件商標「青柳ういろう」中の「ういろう」はその指定商品を表示したものであり、自他商品の識別機能を果たす文字とはいえず、前掲「ういろう」の文字部分よりは称呼、観念は生じないというべきである。
したがって、本件商標中の「ういろう」の文字部分より称呼、観念が生ずることを前提とし、本件商標の登録が商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものであるとの主張は、理由がない。
(2) 請求人は、本件商標の登録は商標法第4条第1項第10号の規定に違反してされたものであると主張するが、同号は、本件商標と引用商標の同一又は類似を要件とするところ、前示判断のとおり、本件商標と引用商標は同一でも類似するものではないから、請求人の主張は理由がない。
(3) 請求人は、本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものであると主張する。
その理由とするところは、本件商標と引用商標は、共に「ウイロウ(ういろう)」の称呼、観念を生ずること及び「ういろう」は請求人に係る固有の菓子として、周知、著名である旨主張する。すなわち、請求人代表者の先祖が室町時代に創作し、天皇や大名などの庇護の下に、代々代表者外郎家に伝えられた同家固有の菓子とし著名であるとして、本件商標を指定商品に使用すると、請求人の業務に係る商品と出所の混同のおそれがあるという。
請求人主張の菓子「ういろう」については、その由来、歴史等は請求人主張に誤りはないと推認される。
しかしながら、本件商標が商標法第4条第1項第15号の規定に該当するというには、本件商標の登録出願時及び登録時において、同号の要件を満たす必要があるところ、前記(1)において認定したとおり、少なくとも本件商標の登録時においては、「ういろう」は当該菓子そのものを表示する語として認識されるに至ったとみられるものであって、本件商標より「ウイロウ(ういろう)」の称呼、観念が生じないことは前示のとおりであり、また、菓子「ういろう」が、本件商標の登録時、平成6年4月28日において、請求人代表者の先祖に由来するものであることを知る者がいることは認め得るとしても、菓子「ういろう」について、自他商品を識別する請求人に係る商標として、取引者、需要者の間に周知、著名であったとは認めることはできない。
してみれば、本件商標を指定商品に使用したときは、請求人の業務に係る商品の如く、その出所について混同のおそれは皆無ではないにしても、殆どないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものであるとの主張は、理由がない。
8 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号の規定に違反してされたものではないから、その登録は無効とすることができない。 よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標

別掲2 引用商標(色彩省略)

審理終結日 2000-06-21 
結審通知日 2000-07-04 
審決日 2000-07-17 
出願番号 商願平3-42235 
審決分類 T 1 11・ 25- Y (130)
T 1 11・ 263- Y (130)
T 1 11・ 271- Y (130)
T 1 11・ 262- Y (130)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 茂木 静代巻島 豊二 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 大島 護
江崎 静雄
登録日 1994-04-28 
登録番号 商標登録第2651208号(T2651208) 
商標の称呼 アオヤギウイロウ、アオヤギウイロー、アオヤギ 
代理人 岩田 哲幸 
代理人 岡田 英彦 
代理人 中村 敦子 
代理人 池田 敏行 
代理人 小玉 秀男 
代理人 村瀬 裕昭 
代理人 藤井 冨弘 
代理人 長谷川 哲哉 
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