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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 037 |
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管理番号 | 1048973 |
審判番号 | 審判1999-35550 |
総通号数 | 24 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-12-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-10-06 |
確定日 | 2001-10-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3369734号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件商標 本件登録第3369734号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハイスタック」の文字と「HISTAC」の文字を2段に横書きしてなり、平成4年9月29日に登録出願、第37類「熱絶縁工事,内装仕上工事,建築一式工事,土木一式工事,綱構造物工事,左官工事,大工工事,建具工事,土木又はコンクリートの工事,板金工事,屋根工事,管工事」を指定役務として、平成10年6月26日に設定登録されたものである。 2.請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第18号証を提出している。 (1)請求人は、大正3年(1914年)創設以来85年の歴史を有する我国最古の大手スレート製造販売会社であり、主な製品は不燃建材のボード・押出成形板・複合板・波板・耐火二層管等が主体であり、多くの公共施設、大学、病院、工場、倉庫、個人住宅等の建築材料として使用されている。 また、請求人はこれら製品に多くの商標を所有し、使用している。 そこで、請求人は、自己の所有に係る昭和29年1月23日に登録出願され、「STAC」の文字と「スタック」の文字を併記してなり、第12類「石材、その模造物、及び他類に属しないその製品」を指定商品として、昭和30年2月3日に設定登録された登録第459648号商標(以下「引用商標」という。)を引用する。 請求人は、昭和62年に新規な「スレート型枠」を考案(甲第3号証)し、その後、該型枠は「コンクリート打込み型枠」に「浅野スタック型枠T」として、「浅野スタック波板」とともに型録に掲載され、パンフレット等が作成され、頒布された(型録及びパンフレットの一部を甲第4号証ないし同第9号証として提出する)。 作成年月 型録又はパンフレット 発行部数 平成1年 4月 ’89総合カタログ 10,000部(甲第4号証) 平成1年10月 ’89〜’90総合 10,000部(甲第5号証) カタログ 平成2年 3月 ’90総合カタログ 10,000部(甲第6号証) 平成4年 7月 ’92総合カタログ 5,000部(甲第7号証) 平成1年 3月 AS式地中梁型枠工法 10,000部(甲第8号証) 平成4年 3月 AS式地中梁型枠工法 5,000部(甲第9号証) その後、請求人は、前記型録又はパンフレットに掲載された「浅野スタック型枠T」を以下の工事(省略)に採用し取引者・需要者に周知せしめた。 (2)本件商標は、上述の通りであるが、前半を構成する「ハイ/HI」の文字は、我国の取引社会において、ひいては世人一般に至る迄、英語の「HIGH」に由来する「高い」、「高価」、「高級の」、「高性能の」等を意味する語として広く認識されている(甲第10号証)。 即ち、我国で広く使用されている(株)岩波書店発行「広辞苑」(甲第11号証)、自由国民社発行「現代用語の基礎知識」(甲第12号証)に見られる如く、「ハイ/HI」なる単語は極めて著名な英語の一つであって、該語は今や我国においては最もポピュラーな外来語の一つである。 (3)特許庁における商品分類第7類の登録の拒絶例を見るに、「ハイ/HI」を帯有して成る「文字商標」は枚挙に暇のないほど存在しており該語が特許庁においても商標としての自他識別力を有しない語の一つとして極めて周知されていることは疑うべくもない。 してみれば、本件商標中の「ハイ/HI」の部分は取引者、世人一般をして容易に「高級な」、「上等な」を認識させるものであるから、本件商標中の要部が「スタック/STAC」の語に存することは明らかである。 そこで、請求人が所有し、使用する前記引用商標は、その使用実績によって、請求人が「コンクリート打込み用型枠」について使用し、請求人の業務にかかる商品を表示するものとして、本件商標の出願時において、取引者、需要者間に広く認識され著名なものになっていたことは疑いのないところである。 従って、本件商標は、これをその指定役務について使用した場合、上記事情によって、これに接する取引者、需要者は、請求人が使用する著名商標「STAC/スタック」を想起し、本件商標を使用した役務が、請求人若しくはその請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。 (4)被請求人の答弁に対する弁駁 被請求人の答弁書における主たる主張点は、以下の通りと考える。 (イ)請求人は我国最古の歴史を有するかどうか見出すことができない。 (ロ)請求人は大手スレート製造販売会社かどうか確認できない。 (ハ)請求人の建築材料が多くの建築物に使用されたことを確認できない。 (ニ)請求人のカタログ、パンフレットがどの程度頒布されたか確認できない。 (ホ)請求書第3頁以降に記載された工事についての事実の証明がない。 (ヘ)請求人が自ら主張するのは、「浅野スタック型枠T」の周知性であって、請求人の引用商標「STAC/スタック」ではない。 (ト)本件商標中の「ハイ/HI」にも識別力がある。 (チ)請求人の多角経営の可能性はない。 (4-1)請求人(旧浅野スレート株式会社)は、浅野財閥の創設者である浅野総一郎氏(甲第13号証)によって大正3年(1914年)に設立され、大正12年に至り浅野セメント株式会社と合併、同社スレート部となった後、昭和26年には日本セメント株式会社(旧浅野セメント株式会社)から独立して浅野スレート株式会社となり、その後発展し、平成5年当時の事業概況は以下の通りである(甲第14ないし同第15号証)。 主な生産販売品種…波板類(屋根、外装用)7、ボード類(外装、内装用)5、無石綿製品類3、加工板類5、複合板類2、押出成形板類3、カラー製品類3、耐火二層管類4、円筒3、その他2 計37 店舗…支店9、出張所31、工場6、関係会社4 計50 納入先及び工事先… 202社 このような会社の沿革、生産販売品種、店舗数、納入先(工事先)等を示した資料から被請求人が疑念を示している上記(イ)、(ロ)等が事実であることは十分に証明されるものと考える。 (4-2)被請求人は、上記(ハ)で、請求人の建築材料が実際に多くの建築物に使用されたか否かを確認できないと述べているが、請求書の請求の理由で述べた工事の実績に関する部分に何ら疑うべきものはないが、今回、新たに甲第16号証として、浅野スレート株式会社(旧名称)の担当者によって作成されてきた「浅野地中梁型枠工法実績表」の写しを提出する。これは、代理人が審判請求の理由で示した実績の根拠としたものである。 また、カタログ、パンフレットについてもそれらの写しを提出しており、その最終頁からはそれぞれ5,000部、10,000部印刷されたものであることが明らかである。これに関し、同じく(ニ)において、被請求人は、それだけでは、実際に配布されたものか否か確認できないと主張している。しかしながら、この主張は、長年に亘り事業を営んでいる企業である請求人の状況を勘案すると現実離れしたものである。甲第4号証から同第9号証の様な資料を上記の部数だけ順次印刷し、年数を追って印刷部数が減少している様な状況でもないことを見れば、多少の配布残りはあったとしても、印刷部数に近い配布がなされていることは、常識の範囲で推測されると考える。逆に、配布先における過去の受取状況を証明することは事実上困難であり、カタログ、パンフレットの配布状況は、このような資料で十分に証明されているものと思料する。 上記(ホ)の審判請求書第3頁中段以降に記載された工事について「浅野スタックT」が工事に実際に採用されたという事実の証明がないという点についても同じく甲第16号証を提出することにより証明され得るものと思料する。 (4-3)上記(ヘ)の請求人が自ら主張するのは、「浅野スタック型枠T」の周知性であって、請求人の商標「STAC/スタック」ではないという点について、以下に反論する。 被請求人は、請求人が「浅野スタック型枠T」の周知性を主張しているものと断じているが、請求人は被請求人の本件商標の使用が、請求人の商品との出所の混同を生ぜしめるという主張の一つの理由として、「浅野スタック型枠T」が実際の工事に多く採用された資料を提出したものである。 また、多量に頒布されたカタログやパンフレットには「浅野スタック波板」という標章も多く記載されており、このような状況を全体的に勘案して出所の混同のおそれが存することについて主張を行っているものである。 さらに「スタック」という標章(請求人に係る登録商標)が、一般名称或いは普通名称化しているような実情は全くなく、請求人のみによる使用状態が確保されてきたと言うことである。 また、上記「浅野スタック型枠T」や「浅野スタック波板」の態様中「浅野」の文字は、長年に亘って使用されてきた請求人会社の商号の一部であること、また、「型枠T」や「波板」は一般名称であり自他商品識別力はないものであること、更に、「スタック」が登録商標であり、他社がこの「スタック」という表示を行っているという実情がないことを考慮すると、「『浅野』の『スタック』」或いは単に『スタック』と認識されて取引されてきたと考えることには合理性がある。請求人は、「スタック」は長年に亘り商標として非常に重要な機能を果たしてきたものと確信する。 (4-4)請求人は、被請求人による指定役務についての「ハイスタック、HISTAC」の使用が、請求人の業務に係る商品との間で出所の混同を生ぜしめるおそれが高いことから、大きな危倶を抱いている。 更に、重要なことは、被請求人の指定役務と請求人の登録商標の指定商品並びに請求人が実際に使用している分野との関連性にある。この点に関し、被請求人は、上記(チ)にて、請求人に多角経営の可能性がない旨を主張しているが、この主張も当を得たものではない。すなわち、請求人の登録商標「スタック」の指定商品並びにその実際に「スタック」という標章が使用されているの取引分野は、被請求人の本件商標の役務の対象物であり、また共通する取引分野である。したがって、「商品」と「役務」との関係であることをもって、混同のおそれなしとすることは妥当性を欠き、取引の実情に反する結果を導くものと考える。取引の実情を勘案するとき、両者の関連性は極めて大きく、商標法第4条第1項第15号の適用を検討するに当たって、請求人の多角経営の可能性まで云々するには及ばないと思料する。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し無効とされるべきものである。以上、請求の趣旨の通りの審決を求めるものである。 3.被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出している。 (1)被請求人は、以下に述べる理由により、本件商標は請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標ではなく、商標法第4条第1項第15号に該当せず、無効理由を有しないと確信する。 (2)請求人の「’99総合カタログ」(甲第1号証)を参照しても、請求人が我国最古の歴史を有するかどうかを見いだすことができない。また、「大手スレート製造販売会社」とあるが、「大手」かどうかは他のスレート製造販売会社との事業規模の比較等がされていないため、この事実を確認できない。更に、「多くの公共施設等の建築材料として使用されている」とあるが、請求人の建築材料が特定の建築物に使用されたことを確認できる記載は、「’99総合カタログ」(甲第1号証)全体を確認してもたった7例に止まり、決して「多くの公共施設等」に使用されているとはいえない。 したがって、請求人の上記理由は、甲第1号証からは確認できず失当であるといわざるを得ない。 (3)次に、請求人は、甲第4号証ないし同第9号証を提出し、「浅野スタック型枠T」および「浅野スタック波板」が掲載されているカタログおよびパンフレットが頒布された、と主張する。 なるほど、「浅野スタック型枠T」および「浅野スタック波板」は、各カタログおよびパンフレットの一部に掲載されている。 しかしながら、甲第4号証ないし同第9号証のみからでは、これらが頒布された事実までを確認することができない。これらの発行部数が記載されているが、同号証には現実に発行されたとの証明がなされていない。また、発行部数を知ることができたとしても、現実に需要者、取引者の手に渡った事実、数量、対象者などを知ることができなければ、これらカタログおよびパンフレットが、どの程度頒布されたのか見いだせない。発行部数が5,000部であったとしても、現実に取引者、需要者に、例えば100部しか配布されていないときは、カタログおよびパンフレットへの「浅野スタック型枠T」および「浅野スタック波板」の使用は、取引者、需要者をして周知に至らしめるまでの使用とはいえない。 また、請求人は、「浅野スタック型枠T」を工事に採用し、取引者および需要者に周知せしめた、と主張する。 しかしながら、「浅野スタック型枠T」が現実にかかる工事に採用された事実の証明がない。審判請求書3ページ中段以降に掲げられた工事は、単なる列記にすぎず、「浅野スタック型枠T」が現実に使用されたとの事実の証明ではない。また、これら工事による売上げ、広告宣伝の頻度・普及度等の証明がないため、「浅野スタック型枠T」が果たして周知といえるまでに至ったかどうかを確認することができない。取引界における客観的な請求人の「浅野スタック型枠T」の使用の規模、即ち、客観的に周知といえるほど多量に使用されていたのか、について確認できない。 したがって、請求人の主張からでは、「浅野スタック型枠T」が実際に取引の場において周知に至ったとの事実を確信することができない。 (4)さらに、請求人は本件商標「ハイスタック/HISTAC」中「ハイ/HI」の部分には識別力がないから、その要部は「スタック/STAC」であり、請求人の引用商標「STAC/スタック」と商品の混同を生じるおそれがあると主張する。 しかしながら、請求人が自ら主張するのは、「浅野スタック型枠T」の周知性であり、引用商標(「STAC/スタツク」)自体の周知性ではない。実際に請求人のカタログおよびパンフレットに掲載され、取引者、需要者が目にしているのは、「浅野スタック型枠T」であり、引用商標「STAC/スタック」ではない。実際に使用がされていない引用商標が、具体的に取引者、需要者をして他人の商品又は役務と混同を生じさせる原因になり得るはずがない。 したがって、請求人が「浅野スタック型枠T」を使用している事実をもって引用商標が周知であると主張するのは不当である。 よって、本件商標は、その指定役務に使用した場合であっても、取引者、需要者をして請求人の引用商標(「STAC/スタック」)を想起させることはなく、本件商標を使用した役務が、請求人若しくはその請求人と何らかの関係を有する者の業務にかかる商品であるかのように、商品の混同を生ずることはあり得ず、また混同するおそれもあり得ない。 請求人は英単語「HI」が「HIGH」に由来する旨述べるが、これらの音標記がたまたま「ハイ」と同一であるのであって、その語自体は全く異なる意味合いを有する別の語である(乙第2号証)。英単語として、「HI」は「やあ、こんにちは」、「HIGH」は「高級な」等がそれぞれの第一義的な意味合いであり、それぞれの語の意味合いが異なるのであるから、「HIGH」に識別力がないことをもって、当然に「HI」にも識別力がないとはいえない。よって、「ハイ/HI」との部分に識別力がないとする請求人の主張は理由がない。 加えて、請求人は「ハイ/HIGH」のつく商標が、審査において識別力がないと判断された審査例を列記するが、そのほとんどが「HIGH」についての例であり「HI」についての立証とはならず理由がない。 (5)特許庁商標課における商標法第4条第1項第15号の商標審査基準で、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」であるか否かの判断にあたって、総合的に考慮するものとされている事項を、以下の通り検討する。 (イ)その他人の標章の周知度(広告、宣伝等の程度又は普及度) 請求人の主張からでは、請求人の「浅野スタック型枠T」が周知である事実を確認することができない。 また、広告、宣伝等の程度又は普及度については、その立証がなされておらず、この面からも引用商標が周知であるとの事実を窺うことができない。 (口)その他人の標章がハウスマークであるかどうか 請求人が提出する証拠資料からは、請求人の標章「浅野スタック型枠T」はハウスマークではない。 (ハ)企業における多角経営の可能性 請求人が提出する証拠資料からは、請求人の多角経営の可能性を窺い知ることができない。よって、多角経営の可能性はない。 以上の事実を総合的に考慮しても、本件商標は、請求人の業務にかかる商品又は役務と混同を生ずることはあり得ず、また混同するおそれもないといえるものである。 (6)以上の通り、本件商標は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずることはあり得ず、また混同するおそれもないため、商標法第4条第1項第15号に該当せず、無効とされるべきではない。 したがって、本審判の請求は成り立たない旨の審決を求めるものである。 4.当審の判断 本願商標は、前記したとおりの文字よりなるところ、その構成に係る上段及び下段の各文字は同じ書体、同じ大きさの文字で、等間隔に外観上まとまりよく一体的に表示されているものであり、かつ、上段に書された「ハイスタック」の片仮名文字は下段に書された「HISTAC」の欧文字の読みを特定したものと無理なく看取されるといえるものであって、かかる構成において構成中の「スタック」又は「STAC」の文字部分のみが独立して把握、認識されると見るべき特段の理由は見出せないものである。 そうとすれば、本件商標は、これに接する取引者・需要者に、その構成の全体をもって一体不可分のものと理解され、その構成文字に相応して「ハイスタック」の称呼のみを生ずる造語よりなるとみるのが相当である。 そうすると、本件商標からは「ハイスタック」の一連の称呼のみが生ずると解すべきところ、これと引用商標から生ずる称呼である「スタック」とは「ハイ」の有無により明確に区別し得るから、称呼上類似しないものというべきである。また、本件商標の構成と引用商標の前記構成を比較した場合、外観において類似しないことは明らかであり、さらに、両商標は、特定の意味を持たない造語と認められるから、観念においては比較すべくもない。 しかして、請求人より提出された甲第1号証、同第4号証ないし同第9号証は、請求人(会社)発行の総合カタログであり、この中の製品の紹介又は施工手順に「浅野スタック波板」及び「浅野スタック型枠T」との表示はあるが、引用商標の構成文字(「STAC」「スタック」)が単独で使用されているものは見当たらない。また、甲第15号証は、請求人発行の会社案内であり、請求人(会社)の会社概要、沿革を紹介したものであって、引用商標の使用状況を立証するものとは認められない。さらに、甲第16号証は、「浅野地中梁型枠工法実績表」及び「AS式地中梁型枠工法実績表」と題するそれぞれの実績表(写し)と認められるものであり、延べ400カ所以上に上る「建物名、工法、工期」等が記載されている実績表(一覧)であるが、これらの工法の中で引用商標(「STAC」「スタック」)が実際に使用されている状況を証明する証拠(例えば、写真、パンフレット、取引書類等)は見当たらないものである。 以上のことからすると、これら請求人より提出された証拠は、引用商標(「STAC」「スタック」の文字が単独で)が請求人の業務に係る商品「コンクリート打込み用型枠」を表示するものとして、本件商標の出願時すでに需要者の間に広く認識されていたことを客観的に証明する証拠としては不十分なものといわざるを得ないが、これらの証拠によって、引用商標が請求人の業務に係る商品を表示するものとしてある程度知られていたとしても、本件商標と引用商標とは、上記認定のとおり外観、称呼及び観念のいずれからしても十分に区別し得る非類似の商標であって、加えて、本件商標は、前記したとおり第37類に属する「熱絶縁工事、建設工事一式、管工事」等の役務を指定役務とするものであり、引用商標が使用されている請求人の業務に係る商品とは、役務の提供場所と商品の販売場所が一致することが少なく、また、役務の提供と商品の製造・販売が同一事業者によって行われているのが一般的であるともいえないから、本件商標をその指定役務に使用した場合、直ちに請求人を想起させるものとは認められず、その役務が請求人又は請求人と関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれのないものといわなければならない。 5.むすび したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできないから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-08-23 |
結審通知日 | 2001-08-29 |
審決日 | 2001-09-14 |
出願番号 | 商願平4-273060 |
審決分類 |
T
1
11・
271-
Y
(037)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 薫、為谷 博 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
滝沢 智夫 中嶋 容伸 |
登録日 | 1998-06-26 |
登録番号 | 商標登録第3369734号(T3369734) |
商標の称呼 | ハイスタック、スタック、ヒスタック |
代理人 | 江藤 聡明 |
代理人 | 掛樋 悠路 |
代理人 | 中川 博司 |
代理人 | 三枝 英二 |