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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 104
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない 104
管理番号 1048874 
審判番号 審判1999-35100 
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-12-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-03-05 
確定日 2001-10-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第2718630号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2718630号商標(以下、「本件商標」という。)は、「トーレジュール」の片仮名文字と「TREAJURE」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成4年3月5日に登録出願、同8年12月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人の引用する登録第2392373号商標(以下、「引用商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第4類「せつけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成1年7月28日に登録出願、同4年3月31日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、同法第46条第1項の規定により、無効にすべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標の称呼について比較すると、本件商標は片仮名文字「トーレジュール」と、欧文字「TREAJURE」とを上下二段に書してなる構成からなり、欧文字部分は「TREA」と「JURE」の2語を結合したものと容易に看取し得るもので、「JURE」からはフランス語の「宣誓して」なる意味合いを生ずるが、両語を結合した結果、特定の観念が形成されるものではなく、造語よりなるものと認められるものである。しかして、本件商標は前記片仮名文字に相応して「トーレジュール」の称呼を生ずるほかに、造語における音調は必ずしも特定されないので、該欧文字からはローマ字式又は英語式発音法を勘案すると「トレージュア」の称呼をも生ずるものと認められる。
一方、引用商標を構成する欧文字の「Tresor」(「e」の文字にはアクサン・テギュを付してある。以下、同じ。)と「LANCOME」(「O」の文字にはアクサン・シルコンフを付してある。以下、同じ。)は書体を異にし、間隔をあけて書してなるから、それぞれ独立分離して観察され、「トレーサア」又は「トーレサア」の称呼と「ランコム」の称呼をもって取引に資されるものと認められる。
そこで、本件商標から生ずる「トレージュア」と引用商標から生ずる「トレーサア」の称呼とを比較すると、両称呼は4音構成からなり、称呼識別上重要な要素を占める語頭音「ト」、並びに第2音の長音「レ」を共通にすると共に、末尾音「ア」の3音を共通にし、第3音において促音を伴う歯茎音「ジュ」と無声子音「サ」の音の差異があるとしても、該差異音は聴取上印象の薄い中間に位置し、共通する語頭部の「トレー」の音が強く響き印象に残るもので、この様に両称呼は語頭部「トレー」の音と、語尾部「ア」の音を共通にする全体として近似した共通性を有する称呼上類似する商標である。
なお、請求人の主張が正当な根拠に基づいたものであることの例証として甲第4号証ないし甲第7号証を提出する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標を構成する欧文字「LANCOME」はフランス国の大手化粧品メーカーたる請求人の最高級化粧品、香水等の出所を表示する著名商標として世界中の人々、特に婦人達に広く知られていることは顕著な事実であるが、その事実を立証するため株式会社研究社発行の「英和商品名辞典」の「Lancome ランコム」の項の該当頁写しを提出する。
しかして、引用商標を構成する「Tresor」の文字は請求人の基本商標であり著名商標である「LANCOME」と共に、商品「香水」について使用し取引者、需要者に周知、著名性を有するものであるから、これと類似する本件商標をその指定商品に使用するときは、あたかも当該商品が請求人の製造、販売に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあること明白である。

4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)本件商標が登録に至るまでの経緯を説明すると、本件商標は平成5年11月2日出願公告されたものであるが、請求人より商標登録異議申立を受けた経緯を有するものである。ところが、この登録異議の申立てについての決定において、「本願商標が商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号又は同第15号に該当するものとする本件登録異議の申立ては、いずれも理由がないものとすべきである。」(乙第2号証)との認定を受けたものである。
(2)そこであらためて、外観、称呼及び観念について、本件商標と引用商標とを比較してみると、本件商標と引用商標とは、外観において非類似であることは明白である。
次に、称呼について比較してみると、欧文字とその読みと認識される片仮名文字とから構成される商標においては、片仮名文字より生じる称呼がその商標の称呼を特定するものであり、本件商標からは「トーレジュール」のみの称呼が生じる。
片仮名文字と欧文字とからなる商標において、片仮名文字より生じる称呼がその商標の称呼であると認められた例を上げる(乙第4号証ないし乙第6号証)。上記登録例より、本商標からも「トーレジュール」の称呼のみが生じることは明らかである。
一方、引用商標の上段の「Tresor」の文字部分は、請求人の製造、販売する香水であることを表示する世界的に著名な商標ではあっても、日本において平成3年5月の発売以来「トレゾア」の称呼をもって取引されているものであり、乙第3号証より明らかなように現在においても変わることなく「トレゾア」の名称により需要者及び取引者に親しまれているのが実情である。すなわち、引用商標の「Tresor」の文字部分からは「トレゾァ」の称呼が生じ、下段の「LANCOME」の文字部分からは「ランコム」の称呼が生じるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは明らかに称呼における音構成を異にするものであり、称呼についても非類似の商標である。
(3)次に、観念について比較してみるに、本件商標は特定の観念を有しない造語であるのに対し、引用商標はフランス語で「宝物、無限の宝庫」等の語義を有するものである。したがって、本件商標と引用商標とは観念においても非類似である。
(4)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念において非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当しない。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「トーレジュール」の片仮名文字と「TREAJURE」の欧文字を上下二段に書してなるところ、下段に書された「TREAJURE」の欧文字は特定の意味を有しない造語であり、「トーレジュール」の片仮名文字は、「TREAJURE」の欧文字の読みとして不自然でないから、片仮名文字部分は欧文字部分の読みを特定したもの判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応し、「トーレジュール」の称呼のみを生ずるものというべきである。
他方、引用商標は「Tresor」と「LANCOME」の欧文字よりなるところ、両文字部分は、その態様を異にし、かつ、大きさも異なり分離して看取されるから、それぞれ、独立して自他商品の識別標識としての機能を有するものと認められる。
しかして、「Tresor」の欧文字よりは、仏語で「宝、宝蔵」等の意味を有する語であり、該文字に相応し「トレゾール」の称呼を生ずるとしても、該語は我が国において外来語として親しまれ使用されているものとはいえないから、請求人も主張するように、世上一般に親しまれ使用されている英語読み風に「トレーサー」又は「トーレサー」の称呼を生ずることは否定し得ないものである。
しかしながら、本件商標より生ずる称呼「トーレジュール」と引用商標より生ずる「トレーサー」又は「トーレサー」の称呼とは、その音構成において明らかな差異を有するものであるから、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、本件商標は、特定の意味を有しない造語よりなるものであり、観念においては比較できない。また、外観上も明らかに区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいづれにおいても非類似の商標といわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人の主張するように、請求人は、標章「LANCOME」を「化粧品、香水」等に使用した結果「LANCOME」の周知著名性は認めるとしても「Tresor」の文字を使用している証拠は提出していないばかりか、前記したとおり、本件商標と引用商標とは、その称呼、外観及び観念のいづれにおいても非類似の商標であり、別異の商標と認識、理解されるものである。
してみれば、被請求人が本件商標をその指定商品に使用しても、商品が請求人又は同人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 引用商標


審理終結日 2001-05-21 
結審通知日 2001-06-01 
審決日 2001-06-12 
出願番号 商願平4-23289 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (104)
T 1 11・ 26- Y (104)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 俊男工藤 莞司和田 恵美 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 大川 志道
高野 義三
登録日 1996-12-25 
登録番号 商標登録第2718630号(T2718630) 
商標の称呼 トーレジュール 
代理人 鈴木 礼至 
代理人 宇佐美 利二 
代理人 浅村 皓 
代理人 浅村 肇 

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