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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 018
管理番号 1048844 
審判番号 審判1998-704 
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-12-29 
確定日 2001-10-31 
事件の表示 平成6年商標登録願第51038号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第18類「なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,傘,つえ,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成6年5月24日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、登録第2111344号商標、登録第2187153号商標、登録第2697709号商標、登録第2474055号商標及び登録第2722044号商標(昭和61年商標登録願第83139号)を引用商標とする登録異議の申立てがあった結果、「登録異議申立人(以下「申立人」という。)が提出した各号証によれば、申立人及び申立人の関連企業グループが、商品『被服、アクセサリー、バッグ』等をはじめその他のファッション関連商品に、商標『≡SPRIT』を使用した結果、本願商標登録出願時既に、申立人等の業務に係るものとして欧米諸国はもとより、我が国の取引者、需要者間においても広く認識されていることが認められる。そうして、引用商標『≡SPRIT』は、欧文字『ESPRIT』をデザイン化したものと容易に認識され、『エスプリ』の称呼と『才気、機知』の意味合いにおいて親しまれているものである。しかして、本願商標は、これが全体として格別の観念を生ずるものともいい得ず、上段に大書してなる欧文字部分は『ESPRIT』と『MUR』の間が一字程度あけてなるものであり、前半の『ESPRIT』の部分が、申立人等の取扱いにかかる商品を表示するものとして広く認識されている『ESPRIT』と構成文字、称呼を同一にするものであるから、引用商標の著名性、申立人の使用に係る商品と本願商標の指定商品との近似性並びに申立人企業グループの多角化等を勘案すると、本願商標をその指定商品について使用するときは、該商品が、恰も申立人若しくは申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとする本件登録異議の申立ては、理由があるものとすべきである。」旨を理由とする登録異議の決定があり、原査定は、その決定の理由によって、本願を拒絶したものである。
なお、上述の引用商標のうち、登録第2111344号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第34類「皮革、その他本類に属する商品(但し、プラスチツクスを除く)」を指定商品とするものであり、登録第2187153号商標は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品とするものであり、登録第2697709号商標は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、第19類「裁縫用具」を指定商品とするものであり、登録第2474055号商標は、「ESPRIT」の文字を書してなり、第24類「運動具」を指定商品とするものであり、また、登録第2722044号商標は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋類、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品とするものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、「ESPRIT MUR」の欧文字と「エスプリミュール」の仮名文字を外観上まとまりよく一体的に表してなるばかりでなく、仮名文字が欧文字の表音を書したものであるため、直ちに「エスプリミュール」と一連に読むことが可能であり、その一連の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく称呼し得るものである。しかも、その観念をみても、本願指定商品も関係するファッションの分野ではフランス語も使用され得るところ、「コンサイス仏和辞典第4版(発行所 株式会社三省堂)」、「新スタンダード仏和辞典(発行所 大修館書店)」、「ロワイヤル仏和中辞典机上版(発行所 株式会社旺文社)」、「小学館ロベール仏和大辞典(発行所 株式会社小学館)」等の辞書の「mur(「u」の文字にはアクサン・シルコンフレクスが表示されている)」の欄のいずれにも、「esprit 〜」として「思慮ある人」等の意味が記載されていることを踏まえれば、全体として「思慮ある人」の意味合いを把握する者も少なくないといえる。そうとすれば、本願商標は、その構成文字の全体をもって一連で一体不可分のものと認識、把握されるとみるを相当とする。
一方、引用商標は、それぞれ上述のとおりの構成よりなるものであるが、その中でも、申立人提出の資料においては、別掲の引用商標と同態様の商標が主に使用されているところ、該商標は全体的には「ESPRIT」の文字を書したものと未だ認識し得るものであるとしても、「E」の文字に相当する語頭部が三本線状に図案化してなる点が特徴のひとつとなっているものである。
そこで、本願商標と引用商標を比較するに、本願商標は、「E」の文字に相当する語頭部を図案化してなるような特徴は有さず、しかも、引用商標が「ESPRIT」の文字を書したものと認識され、「エスプリ」の称呼と「才気、機知」の観念が生ずるとしても、本願商標は、一連で一体不可分のものとして認識されること上述のとおりであるから、引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても、互いに区別し得る明らかな差異を有するものである。
さらに、たとえ、申立人等を中心とするグループ企業が引用商標を被服、アクセサリー、バッグなどのファッション関連商品に使用し、雑誌等でとりあげられるなどした結果、本願商標の登録出願時には、引用商標がある程度知られるに至っているといっても、申立人提出の資料をもってしては、外国はともかく、日本国内の状況については、甲第9号証として提出された「インターナショナル・セール・オペレーション」と題された表によれば、日本における店舗数が「STORES」、「FRANCHISES」、「SHOP-IN-SHOP」及び「SHOWROOM」のいずれもがゼロとなっているほか、国内での取引量等の状況も必ずしも定かになっていない。
してみれば、本願商標について、これに接する取引者、需要者が殊更に「ESPRIT」及び「エスプリ」の文字部分に注目し、申立人又は同人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとまでいうことはできない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本願商標

(2)引用に係る登録第2111344号商標

(3)引用に係る登録第2187153号商標

(4)引用に係る登録第2697709号商標

(5)引用に係る登録第2722044号商標

審決日 2001-10-11 
出願番号 商願平6-51038 
審決分類 T 1 8・ 271- WY (018)
最終処分 成立  
前審関与審査官 滝沢 智夫中嶋 容伸 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 林 栄二
岩本 明訓
商標の称呼 エスプリミュール 
代理人 桜井 常洋 

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