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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 014
管理番号 1048843 
審判番号 審判1998-14347 
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-09-16 
確定日 2001-10-31 
事件の表示 平成6年商標登録願第51037号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計,記念カップ」を指定商品として、平成6年5月24日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、登録異議の申立てがあった結果、登録第2697709号商標、登録第2187153号商標、登録第2390936号商標及び登録第2722044号商標(昭和61年商標登録願第83139号)を引用商標として、「引用商標は、欧文字『ESPRIT』を図案化してなる構成からなるところ、該引用商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)であるエスプリインターナショナル及びエスプリ・ド・コーポレーションを中心とするエスプリグループがカジュアルウエア、アクセサリー、バッグ、靴等の商品に長年使用した結果、本願商標の登録出願時には既に取引者、需要者間において著名となり、現在に至っていると認められるものである。そうとすると、本願商標は、『ESPRIT MUR』(エスプリミュール)の文字を書してなるものであり、引用商標と同じ『才気、機知』を意味し、親しまれた外来語の『エスプリ』をも抜け出して印象させる『ESPRIT』(エスプリ)の文字を構成中に有してなるものであるから、本願商標をその指定商品に使用するときは、前記実情とも相俟って、該商品が申立人あるいは申立人と何等かの関係がある者の取扱いに係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとする本件登録異議の申立ては、理由があるものとすべきである。」旨を理由とする登録異議の決定があり、原査定は、その決定の理由によって、本願を拒絶したものである。
なお、上述の引用商標のうち、登録第2697709号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第19類「裁縫用具」を指定商品とするものであり、登録第2187153号商標は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く)かさ、つえ、これらの部品および附属品」を指定商品とするものであり、登録第2390936号商標は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、第23類「サングラス、その他本類に属する商品」を指定商品とするものであり、また、登録第2722044号商標は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋類、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品とするものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、「ESPRIT MUR」の欧文字と「エスプリミュール」の仮名文字を外観上まとまりよく一体的に表してなるばかりでなく、仮名文字が欧文字の表音を書したものであるため、直ちに「エスプリミュール」と一連に読むことが可能であり、その一連の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく称呼し得るものである。しかも、その観念をみても、本願指定商品も関係するファッションの分野ではフランス語も使用され得るところ、「コンサイス仏和辞典第4版(発行所 株式会社三省堂)」、「新スタンダード仏和辞典(発行所 大修館書店)」、「ロワイヤル仏和中辞典机上版(発行所 株式会社旺文社)」、「小学館ロベール仏和大辞典(発行所 株式会社小学館)」等の辞書の「mur(「u」の文字にはアクサン・シルコンフレクスが表示されている)」の欄のいずれにも、「esprit 〜」として「思慮ある人」等の意味が記載されていることを踏まえれば、全体として「思慮ある人」の意味合いを把握する者も少なくないといえる。そうとすれば、本願商標は、その構成文字の全体をもって一連で一体不可分のものと認識、把握されるとみるを相当とするものである。
一方、引用商標は、それぞれ別掲(2)ないし(5)のとおりの構成よりなるものであり、申立人提出の資料においても、同態様の商標が主に使用されているところ、いずれも、全体的には「ESPRIT」の文字を書したものと未だ認識し得るものであるとしても、「E」の文字に相当する語頭部が三本線状に図案化してなる点が特徴のひとつとなっているものである。
そこで、本願商標と引用商標を比較するに、本願商標は、「E」の文字に相当する語頭部を図案化してなるような特徴は有さず、しかも、仮に、引用商標が「ESPRIT」の文字を書したものと認識され、「エスプリ」の称呼と「才気、機知」の観念が生ずるとしても、本願商標は、一連で一体不可分のものとして認識されること上述のとおりであるから、引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても、互いに区別し得る明らかな差異を有するものである。
さらに、たとえ、申立人等を中心とするグループ企業が引用商標をカジュアルウエア、アクセサリー、バッグ、靴等の商品に使用し、雑誌等でとりあげられるなどした結果、本願商標の登録出願時には、引用商標がある程度知られるに至っているといっても、申立人提出の資料をもってしては、外国はともかく、日本国内の状況については、甲第9号証として提出された「インターナショナル・セール・オペレーション」と題された表によれば、日本における店舗数が「STORES」、「FRANCHISES」、「SHOP-IN-SHOP」及び「SHOWROOM」のいずれもがゼロとなっているほか、国内での取引量等の状況も必ずしも定かになっていない。
してみれば、本願商標について、これに接する取引者、需要者が殊更に「ESPRIT」及び「エスプリ」の文字部分に注目し、申立人又は同人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとまでいうことはできない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本願商標

(2)引用に係る登録第2697709号商標

(3)引用に係る登録第2187153号商標

(4)引用に係る登録第2390936号商標

(5)引用に係る登録第2722044号商標

審決日 2001-10-11 
出願番号 商願平6-51037 
審決分類 T 1 8・ 271- WY (014)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中嶋 容伸涌井 幸一 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 岩本 明訓
林 栄二
商標の称呼 エスプリミュール 
代理人 桜井 常洋 

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