• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 033
管理番号 1045450 
審判番号 審判1998-35529 
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-10-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-10-28 
確定日 2001-08-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4046052号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4046052号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4046052号商標(以下、「本件商標」という。)は、「徳福禄寿」の漢字を横書きしてなり、平成7年6月23日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同9年8月22日に設定登録がされているものである。

第2 請求人の引用商標
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第131392号商標(以下、「引用A商標」という。)は、別記(1)に示すとおりの構成よりなり、大正10年3月20日に登録出願、第38類「清酒」を指定商品として、同10年6月30日に設定登録され、その後、5回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第961091号商標(以下、「引用B商標」という。)は、別記(2)に示すとおりの構成よりなり、昭和43年8月26日に登録出願、第28類「日本酒、洋酒、ビール、果実酒、中国酒、薬味酒」を指定商品として、同47年4月28日に設定登録され、その後、2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第523021号商標(以下、「引用C商標」という。)は、別記(3)に示すとおりの構成よりなり、昭和29年6月14日に登録出願、第38類「清酒」を指定商品として、同33年7月4日に設定登録され、その後、3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第420412号商標(以下、「引用D商標」という。)は、別記(4)に示すとおりの構成よりなり、昭和26年7月28日に登録出願、第38類「清酒」を指定商品として、同28年1月22日に設定登録され、その後、3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第616787号商標(以下、「引用E商標」という。)は、別記(5)に示すとおりの構成よりなり、昭和35年7月16日に登録出願、第28類「清酒、合成清酒、焼酎、泡盛、白酒、濁酒、直し、其の他の日本酒」を指定商品として、同38年6月10日に設定登録され、その後、3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第1668631号商標(以下、「引用F商標」という。)は、「ふくろくじゅ」の平仮名文字を横書きしてなり、昭和56年1月29日に登録出願、第28類「酒類」を指定商品として、同59年3月22日に設定登録され、その後、商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第1668632号商標(以下、「引用G商標」という。)は、「フクロクジュ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和56年1月29日に登録出願、第28類「酒類」を指定商品として、同59年3月22日に設定登録され、その後、商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第1668633号商標(以下、「引用H商標」という。)は、「FUKUROKUJU」の欧文字を横書きしてなり、昭和56年1月29日に登録出願、第28類「酒類」を指定商品として、同59年3月22日に設定登録され、その後、商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と申し立て、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番を含む。)を提出している。
1.本件商標を無効とする理由
(1)本件商標と引用商標の対比
本件商標「徳福禄寿」は、「トクフクロクジュ」の称呼を生ずるものである。
本件商標中の「徳」は、岩波書店発行の「広辞苑」1834頁(甲第9号証)によれば、「道をさとった立派な行為」「善い行いをする行為」「人を感化する人格の力。めぐみ。神仏の加護」の意味があるとされている。又、「徳」は、「徳人(とくじん)」「徳行(とっこう)」「福徳(ふくとく)」「道徳(どうとく)」といったように、次にくる語又は前に付く語を修飾するものとして用いられることが多い。
一方、「福禄寿」は、いうまでもなく七福神の一つであり、引用D商標に示す図形で知られるように、短身、長頭でひげが多く、経巻を結びつけた杖を携えている神である。
ところで、神である福禄寿が「徳」を有していることは当然のことであろうし、又、「徳」が上記意味を有していることからすれば、本件商標は特殊な「福禄寿」を意味する「徳のある福禄寿」または「尊い福禄寿」という観念を生ずると共に、単に「福禄寿」の観念も生ずるものである。
従って、本件商標からは、「トクフクロクジュ」の称呼の他に「フクロクジュ」の称呼をも生ずるものである。
これに対し、引用A商標及び引用B商標は、共に「福禄寿」の漢字であって「フクロクジュ」の称呼を生ずるものである。
してみれば、本件商標と引用A商標及び引用B商標は、共に「フクロクジュ」の称呼を生ずることが明らかであり、これらは何れも称呼並びに観念において類似の商標であるといわざるを得ない。
又、本件商標と引用B商標の指定商品は同一又は類似のものである。
次に、引用C商標は「瑞祥福禄寿」であり「ズイショウフクロクジュ」と称呼される。又、引用C商標中の「瑞祥」は「広辞苑」1356頁(甲第10号証)によれば、「めでたいしるし。瑞兆。祥瑞。」と解説されている。
福禄寿が七福神の一つであり、七福神が揃ってめでたいといわれるように、福禄寿は「めでたい神」であるから「瑞祥福禄寿」とすることで「一層めでたい福禄寿」を意味している。
改正前の商標法において、引用C商標は引用A商標及び引用B商標並びに引用D商標から引用H商標の各商標と相互に連合商標として登録されていた。すなわち、「福禄寿」と「瑞祥福禄寿」は称呼及び観念において類似する商標として登録されていたのであり、これらが類似するものであることは現在も何ら変ることがないものである。
この点、本件商標は、「福禄寿」の前に「徳」を付したものであるが、「徳」も「瑞祥」も共にその後に続く「福禄寿」を強調する語であるから、本件商標と引用C商標とは称呼及び観念において類似しているものである。
この他、引用D商標から引用H商標の各商標は、何れからも「フクロクジュ」の称呼及び観念を生ずるものであり、本件商標と称呼及び観念において類似している。
また、引用D商標から引用H商標の各商標と本件商標の指定商品は同一または類似のものである。
(2)請求人の商標「福禄寿」の著名性
請求人は、江戸元禄時代に酒造りを創業した老舗であり現在に至るも「福禄寿」及び「福禄寿の図」の商標を付した清酒を製造販売しており、代表的な1.8リットル詰のビンをはじめ、紙パック、こも樽、徳利など多種類を販売している。なお、商品の種類は商品パンフレット(甲第11号証)に紹介されている。
また、一般書店で販売されている書籍には請求人が製造販売する清酒「福禄寿」が紹介されている。一例として、甲第12号証及び甲第13号証がある。
さらに、請求人は自社商品の宣伝広告を行っており、例えば日刊新聞紙「秋田さきがけ」に継続的に掲載している。請求人が行う広告は長期にわたるので、ここでは平成元年(1989年)分からの広告(甲第14号証の1ないし同第19号)を提出する。
これらの証拠から、「福禄寿」の商標は、請求人の製造販売に係る商品「清酒」を表示すものとして取引者はもとより一般需要者の間に広く知られており著名な商標となっている。
2.むすび
以上述べたように、本件商標は、引用A商標から引用H商標の各商標と類似すると共に、又、その指定商品も同一又は類似のものであり、また、商標「福禄寿」は、商品「清酒」については請求人の業務に係るものとして著名なものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
従って、本件商標は、同法第46条第1項第1号の規定によりその登録は無効とされるべきものである。

第4 被請求人は何ら答弁していない。

第5 当審の判断
本件商標は、上記のとおり「徳福禄寿」の漢字よりなるところ、その構成文字中語頭の「徳」の文字部分は、「道をさとった立派な行為」、「善い行いをする性格」「人を感化する人格の力」等を意味する語であり、それに続く「福禄寿」の文字部分は七福神の一つ「福禄寿」を意味する語である。
ところで、神である福禄寿が「徳」を有していることについては殊更いうまでもないところであるから、本件商標に接する取引者・需要者は、その構成中、人々に親しまれている「福禄寿」の文字を捉え、これより生ずる「フクロクジュ」(福禄寿)の称呼・観念をもって取引にあたる場合も決して少なくないものというのが相当である。
してみれば、本件商標よりは構成文字全体に相応する「トクフクロクジュ」の一連の称呼の外に「フクロクジュ」(福禄寿)の称呼・観念をも生ずるものである。
他方、引用A、B商標は「福禄寿」の文字を、また、引用C、D、E商標は構成中に「福禄寿」の文字を顕著に表してなるものであるから、これよりはいずれも「フクロクジュ」(福禄寿)の称呼・観念を生ずるものと認められる。
してみれば、本件商標と引用A、B、C、D、E商標とは、「フクロクジュ」(福禄寿)の称呼・観念を同じくする類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)引用A商標 登録第131392号


(2)引用B商標 登録第961091号


(3)引用C商標 登録第523021号


(4)引用D商標 登録第420412号


(注、色彩は省略したので原本を参照されたい。)
(5)引用E商標 登録第616787号


審理終結日 2001-05-30 
結審通知日 2001-06-12 
審決日 2001-06-25 
出願番号 商願平7-62998 
審決分類 T 1 11・ 262- Z (033)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 幸一 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 江崎 静雄
上村 勉
登録日 1997-08-22 
登録番号 商標登録第4046052号(T4046052) 
商標の称呼 トクフクロクジュ 
代理人 中山 清 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ