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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Z25
管理番号 1045333 
審判番号 審判1999-8497 
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-05-17 
確定日 2001-07-30 
事件の表示 平成10年商標登録願第 30946号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成10年4月14日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その構成中に、東京都所在の株式会社ニコルが、その取扱いに係る商品(例えば、ジャケット、スカートなど)に使用する『NICOLE』の文字を有するものであるから、これを本願指定商品について使用する場合、あたかもそれが上記の者の業務に係る商品又はその者と何らかの関係がある者の商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張の要点
請求人は、以下の趣旨の主張を述べ、その証拠方法として、甲第1号証ないし同第12号証を提出した。
本願商標の一部に「NICOLE」の文字が含まれていることは確かであるが、ファッション関係のデザイナーやブランドの場合、たとえば、「Nicole St Gilles」と「NICOLE FARHI」や「NICOLE MILLER」のように、他人の別商標であるにもかかわらず、姓か名のどちらか一方が同一の例は珍しくないものである。また、姓か名のどちらか一方を強調するのは適当でない。
そして、「NICOLE」は、欧米人のありふれた名前であって、特定のデザイナーズ・ブランドと決めつけることはできない。また、特許庁の過去の審査、審決例でも一体のものとして判断された例が多い。
本願商標は、請求人自身の関係するフランスのファッション・デザイン事務所「CONCERT」社のデザイナーが創作したブランド名である。
さらに、日本においても「NICOLE」は一般に欧米のありふれた名前であるとの認識が高い。したがって、本願商標は商品の出所の混同は生じない。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
原査定において引用する「NICOLE」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)は、その字音に相当する「ニコル」の文字とともに、東京都渋谷区上原3丁目22番5号に本社を置く法人「株式会社ニコル」(以下「(株)ニコル」という。)が、自己の取扱いに係る商品「被服」等に使用して、本願商標の登録出願前から、取引者・需要者間に広く認識されている商標といえる。
そして、このことは、当審において行った職権による証拠調べの結果、以下の事実により裏付けられる。
(ア)「Fashion Yearbook(おしゃれ年鑑’90春夏編)」(1990年3月15日(株)マガジンハウス発行)の第328頁には、「nicole」、「ニコル」の記事が掲載されていること。
(イ)「装苑」(1993年10月号)(1993年10月1日(株)文化出版局発行)の、第53,58,78,80,81,121,212頁には、「ニコル」の服飾デザインが紹介されていること。
(ウ)「Channeller」(1993年9月1日付第433号)((株)チャネラー発行)の、第50〜51頁には、注目新ブランドを検証する・メンズ編「ムッシュニコルドゥゼェム(ニコル)」の記事が掲載されていること。
(エ)「1996ファッション・ブランド年鑑」((株)チャネラー1995年11月10日発行)の、202〜203頁には、「(株)ニコル」の項目に、代表者:松田光弘、年商:200億円(平成5年8月期)、(ブランド名)「ニコル」(NICOLE)、(服種)スーツ、ジャケット、ワンピース、コート、スカート、パンツ、ブラウス、セーター、Tシャツ、アクセサリー、靴の記事が掲載されていること。
(オ)「ファインボーイズ2000年11月号」((株)日之出出版2000年11月10日発行、通巻第175号)に、「2つのニコルの最新アイテムカタログ」との掲載がなされていること。
(カ)インターネット・ホームページ、http://www.nicole-net.co.jp/Nweb/0_company_profile/company_profile.htmlには、(株)ニコルの記事が掲載されていること。
(キ)インターネット・ホームページ、http://www.nicole-net.co.jp/Nweb/1_news/news.html「Nicole[News]1」(ニコルオリジナル・オンラインマガジン)には、2000年に30周年を迎えたNICOLE。との記載があり、Tシャツをはじめバッグ等に「NICOLE」「ニコル」の標章が掲載されていること。
(ク)インターネット・ホームページ、http://www.nicole-net.co.jp/Nweb/4_original/shop_ nicole/.html(ニコルオリジナル・オンラインマガジン)には、「NICOLE」標章を使用している全国21個所の専門店が紹介されていること。また、http://www.nicole-net.co.jp/Nweb/4_original/shop/shop_seduction.htmlのサイトには、「SEDUCTION de NICOLE」の標章を使用している全国39個所の専門店が紹介されていること。また、http://www.nicole-net.co.jp/Nweb/4_original/shop/shop_boutique.htmlには、「BOUTIQUE nicole」の標章を使用している全国38個所の専門店が紹介されていること。
(ケ)ウィメンズ・ウェア・デイリー・ジャパン2000年7月17日号、インターネット・ホームページ、file://C:¥Program Files¥INinja4¥Temporary Files¥000717.html及びfile://C:¥Program Files¥INinja4¥Temporary Files¥nonsec.htmlには、「デザイナー松田光弘(1934年生)によって、1967年ブティック・ニコル、1971年(株)ニコルを設立。「マダムニコル」「ムッシュニコル」「ニコルクラブ」など人気ブランドを展開、商品のリニューアル等を通してブランドルネッサンスを図っていることが掲載されていること。同じく、インターネット・ホームページ、http://www.cfd.or.jp/collect/97ss/scheduleT.html及びhttp://www.cfd.or.jp/collect/scheduleT.htmlのサイトに、「MADAME NICOLE」、「ニコルギャラリー」の文字とともに、(株)ニコル代表の「松田光弘」のデザイナー名が掲載されていること。
以上の事実を総合勘案すれば、本願商標の出願時、引用商標は、(株)ニコルの取り扱いに係る商品を表示するものとして、被服等の商品分野の取引者・需要者の間において、広く認識されていたものと認められ、かつその状態は現在においても継続しているものと認められる。
(2)出所の混同を生ずるおそれについて
(ア)本願商標は、別掲のとおりの構成のものであり、「NICOLE GERARD」の文字を構成中に有しているものである。そして、この文字部分のみでも自他商品の識別標識として機能すると認められるところ、この文字部分は、「NICOLE」と「GERAERD」の間がやや空いていることが明らかであり、欧文字2語からなるものと看取させるものである。
(イ)本願商標は、その全体をもって、例えば、著名なデザイナーの姓名を表しているなど、特定の知られた意味内容を認識させ、一連不可分に認識されるものとは認められない。
(ウ)本願商標の欧文字構成前半の「NICOLE」の文字部分と、前記の周知著名な引用商標「NICOLE」の綴りが同一である。
(エ)引用商標の使用商品は「被服」等であり、ファッション関連の商品といえるところ、本願指定商品中には、「被服」及び、トータルルックあるいはトータルファッションの面からみて、それと互いに密接な関係のある「ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」が含まれている。
以上を総合すれば、本願商標をその指定商品について使用した場合、取引者・需要者は、本願商標の構成中、欧文字部分前半の「NICOLE」の文字部分より、周知著名な引用商標「NICOLE」を想起し、その商品が、(株)ニコルあるいは同人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本願商標

審理終結日 2001-05-22 
結審通知日 2001-06-01 
審決日 2001-06-13 
出願番号 商願平10-30946 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 純一 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 八木橋 正雄
鈴木 新五
商標の称呼 ニコルジェラール、ニコルジェラード、ニコルジェラルド 

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