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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て不成立) 037
管理番号 1042415 
判定請求番号 判定2000-60131 
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2001-08-31 
種別 判定 
2000-09-26 
確定日 2001-06-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第3108031号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 役務「屋根工事」に使用する(イ)号標章は、登録第3108031号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 第1 本件商標
登録第3108031号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲(1)に示したとおりの構成よりなり、第37類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、平成4年9月29日に登録出願、平成7年12月26日に設定登録されたものである。

第2 イ号商標
被請求人が役務「屋根工事」に使用するイ号商標は、別掲(2)に示したとおりの構成よりなるものである。

第3 請求人の主張の要点
1 請求の趣旨
「役務『屋根工事』について使用するイ号商標は、本件商標の商標の効力の範囲に属する」旨の判定
2 請求の理由
(1)イ号商標の説明
イ号商標は、平成12年5月頃、埼玉県において頒布されたパンフレット(甲第1号証)に掲載された「やまとリファイン株式会社」という表示である。甲第1号証によると、イ号商標に係る役務「屋根工事」に関する取引書類、広告等に「やまとリファイン株式会社」の表示が付されて頒布されている。なお、被請求人は、前記パンフレットには、「やまとリファイン株式会社」の表示が2箇所あり、そのどちらの表示を指してイ号商標としているのかが不明と主張していが、両方の表示がイ号商標である。
(2)本件商標とイ号商標の類似について
1)本件商標は、「Refine」と略同一の書体、略同一の大きさ、略同一の間隔に表示されてなるものであり、「リファイン」の称呼を生じるものである。そして、指定役務第37類「建築-式工事、屋根工事」等について商標登録されたものである。
2)弊社は、住設建材関係の会社として株式会社リファインを設立後、増改築事業を展開し、昭和57年頃から継続的に本件商標を使用しており、その結果、本件商標は、取引者、需要者等に広く認識されるに至っている。本件商標に関する宣伝費(甲第2号証)によりと、本件商標は、新聞、テレビ等で頻繁に広告宣伝しており、1999年度の実績では、日本全国で2億8906万円、2000年度の実績では、日本全国で2億5331万円の宣伝費を投じている。また、アンケート調査内容(甲第3号証)によると、商標「Refine」の認知率は、30%を超えている。このアンケート調査は、平成12年4月26日〜29日の期間内に、仙台、東京、藤沢、名古屋、大阪、広島において30歳台乃至60歳台の主婦を対象にして行ったものである。尚、新聞広告例(甲第4号証)は、2000年度に、米子市において、日本海新聞に掲載された広告であるが、発行部数は、1日に、16万4千部であった。これらの点からも、本件商標が、取引者、需要者等に広く認議されるに至っていることは明らかである。
3)一方、イ号商標は、「やまとリファイン株式会社」略同一の大きさ、略同一の間隔に表示されてなるものであり、「リファイン」、「ヤマトリファイン」の称呼を生じるものである。被請求人は、イ号商標は、「リファイン」の部分をもって取り引きされることはあり得ない。また、「リファイン」は業務の内容を説明しているか、或いは暗示しているものである等の主張をしているが、前述のように、本件商標が周知であることを考慮すると、取引者、需要者は、「やまとリファイン株式会社」の「リファイン」の部分に出所表示機能があると認識するものである。即ち、イ号商標の要部は「リファイン」の部分である。
4)さらに、「やまとリファイン」の前半部分の「やまと」が平仮名文字であり、後半部分の「リファイン」が片仮名文字であるため、前半部分と後半部分とは、字体を異にし、視覚上分離して看取し得るばかりでなく、観念上もこれを常に一体のものとして把握すべき熟語的意味合いの語とみることはできないため、イ号商標から、「リファイン」の称呼が単独で生じるものである。
5)イ号商標の構成中「やまと」はハウスマークと考えられるので、イ号商標からは、「ヤマトリファイン」の称呼を生ずるほか、構成文字中「リファイン」の文字部分に相応して単に「リファイン」の称呼をも生じる。また、「リファイン」の称呼を有する本件商標が周知であることから、一般消費者は、イ号商標の構成中「リファイン」の部分に役務の出所表示機能があると認識するものである。さらに、甲第10号証等と同様に考えて、イ号商標の前半部分の「やまと」の文字と、後半部分の「リファイン」の文字とは、字体を異にし、視覚上分離して看取しうるばかりでなく、観念上もこれを常に一体のものとして把握すべき熟語的意味合いの語とみることはできないものである。
6)上述の如く、イ号商標からは、「リファイン」の称呼を生じるため、イ号商標と、同じく「リファイン」の称呼を生じる本件商標とは、称呼上類似するものである。即ち、両商標は、類似するものである。
また、本件商標に係る指定役務「屋根工事」と、イ号商標に係る役務とは、類似するものである。従って、役務「屋根工事」について使用するイ号商標は、本件商標の効力の範囲に属するものである。
3 証拠方法
請求人は、証拠方法として、甲第1号証ないし同第10号証を提出している。

第4 被請求人の答弁の要点
1 答弁の趣旨
結論同旨の判定
2 答弁の理由
(1)イ号商標の表示について
請求人は、イ号商標は平成12年5月頃、埼玉県において頒布されたパンフレットに掲載された「やまとリファイン株式会社」という表示であるとする。このパンフレットには、「やまとリファイン株式会社」の表示は2カ所ある。1カ所は、人物図形の顔付近から広がる吹き出し(漫画などの手法に用いられる会話を記載したもの)の中の「やまとリファイン株式会社でございます。」の部分、他の1カ所は、パンフレットの下方、下から 4行目の「やまとグループ やまとリファイン株式会社」の部分である。請求人がどちらの表示を指して、イ号商標とされているかが不明である。従って、イ号商標が特定されていないので、本件請求は却下さるべきである。
(2)イ号商標と本件商標の類否について
(1)において述べたとおり、イ号商標が特定していないので比較しようがないが、仮に前記パンフレットのいずれかの表示が商標と認定され、類否の判断が行われることがあるとしても、イ号商標(被請求人はイ号商標の表示が商標であるとの主張についても争うが、ここでは商標とされた場合を想定しての議論であるから、「イ号商標」と表示することとする。)とされる「やまとリファイン株式会社」と本件商標は非類似である。本件商標は、わずかにデザイン化された肉太のアルファベットで「Refine」と横着きしてなり、第35類の商標登録原簿記載の役務について登録されたものである。これより「リファイン」の称呼が生ずるとする請求人の主張には異議がない。
一方、イ号商標は「やまとリファイン株式会社」と同一、同大、等間隔に横書きしたものである。請求人は、イ号商標は「リファイン」、「やまとリファイン」の称呼を生ずると主張する。
しかしながら、上記の主張は次の理由により誤りである。
イ号商標の構成は上記の通り、同一、同大、等間隔に、一連に書された「やまとリファイン株式会社」である。構成上このようにいずれの語も同等のウエイトをもって表された表示は一連不可分のものと認識、把握されるものであって、みだりに分断されないのが原則である。ただし、イ号商標は被請求人の商号であるので、「株式会社」の部分は省かれ、忙しい取引者、需要者においては、「やまとリファイン」の部分をもって取り引きする場合があることは否定しない。
しかしながら、イ号商標は「リファイン」の部分をもって取り引きされることはあり得ない。「リファイン」は「REFINE」を音読したものを表記したものである。「REFINE」とは講談社発行「英和中辞典」(乙第1号証)によれば、「1.精錬する、精製する、純化する、〈かすなどを〉取り除く・・」等の意味を有する言葉であり、被請求人の業務である「屋根の修理、吹き替え工事」等はまさに屋根の「REFINE/リファイン」にあたる。即ち、「やまとリファイン株式会社」という表示の中で、「リファイン」は業務の内容を説明しているか、或いは暗示しているものである。「やまとリファイン株式会社」を単に「リファイン」と呼ぶ可能性はないと言うべきである。
即ち、「やまとリファイン株式会社」は略称される場合には「やまとリファイン」と略称されるものである。「やまと」なる商号は複数の商業分野において散見されるので、「やまと」のみで特定する場合も多くはない。
上述のとおりであるから、イ号商標からは「ヤマトリファインカブシキカイシャ」或いは「ヤマトリファイン」の称呼が生ずるものである。
そこで、本件商標の称呼「リファイン」とイ号商標の称呼「ヤマトリファインカブシキカイシャ」或いは「ヤマトリファイン」を比較すると、音節の数が相違し、彼此混同を招来する可能性は皆無である。
したがって、本件商標とイ号商標は称呼上類似しないので、イ号商標が本件登録商標の効力の範囲に属するとする請求人の主張には理由がない。
(4)上述したとおり、本件商標とイ号商標とは称呼において類似するということはないので、請求人の主張には理由がない。
したがって、イ号商標の表示は本件商標の効力の範囲に属さない。
3 証拠方法
被請求人は、証拠方法として、乙第1号証ないし同第4号証を提出している。

第5 当審の判断
1 イ号商標の特定及びその役務
請求人の提出したパンフレット(甲第1号証)によれば、「やまとリファイン株式会社」の文字は、該パンフレットの右下方部及び中央右上方部の2カ所にみられる。
しかして、パンフレットの右下方の「やまとリファイン株式会社」の文字は、被請求人の商号を表示したものであり、右中央部の「やまとリファイン株式会社」の文字は、「やまとリファイン株式会社でございます。工事期間中、ご迷惑をおかけする事もあろうかと思いますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。………」等と共に表され、擬人的に表現された大工さんを通じて、被請求人自身を自己紹介したメッセージとみられるものである。該パンフレットには、上記の文字等の他に、「工事着工のおしらせ」「只今、屋根の無料診断実施中!」等の文字並びに施行前及び施行後の文字と共に家屋のシルエットが表されているから、被請求人の取り扱い業務として「屋根工事」等の業務を取り扱っているものと看取される。これらの表示からすると、該パンフレット中にみられる2カ所の「やまとリファイン株式会社」の文字は、被請求人の名称を表示すとともに、被請求人の取り扱いに係る役務を宣伝、広告のためのに用いられたものであるから、「やまとリファイン株式会社」の文字はイ号商標といえるものである。
2 本件商標とイ号商標の類否
(1)本件商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなるところ、これは「Refine」の文字を書してなるものと容易に看取し得るから、該文字に相応し「リファイン」の称呼及び「洗練すること、みがきをかけること」等の意味合いを生ずるものである。
請求人は、取り扱い業務として増改築事業を継続的に展開しているから、本件商標は、取引者、需要者等に広く知られている旨主張し、本件商標に関する宣伝費(甲第2号証)、アンケート調査内容(甲第3号証)及び新聞広告例(甲第4号証)を提出している。
(ア)本件商標に関する宣伝費(甲第2号証)によれば、「1)新聞、2)TV他、3)N劇場、4)Net、5)雑誌、6)タウンページ、7)その他」を媒体として全国で広告、宣伝され、その宣伝費が1999年度実績で2億8906万円、2000年度の実績で2億5331万円であるとしても、例えば、新聞広告例(甲第4号証)にみられるように新聞広告に掲載した商標は、「Refine」の文字と「松下電工のリファインショップ」の文字を併記したものであって、「Refine」の文字よりなる本件商標については、具体的にどの程度の広告費が使われたか定かでない。
(イ)アンケート調査結果(甲第3号証)によれば、これは「Refine」の文字よりなる本件商標と「Refine」の文字と「松下電工のリファインショップ」の文字を併記した商標とを対象にしたアンケートであるところ、「平成12年度Refineブランド調査結果」の「結果まとめ」の項には、「1)Refine自体の認知率は3割を超すが、異業種・競業他社との比較で見るとまだまだ低い。2)Refineロゴに「松下電工」が加わると、最大8ポイントアップする。」等の記載がみられ、同じく、「競合他社ブランドとの比較(全地域の平均)」の項には、「Refine」の文字と「松下電工のリファインショップ」の文字を併記した商標は37.1パーセント知られていることがみられる。そして、「Refine」の文字と「松下電工のリファインショップ」の文字を併記した商標と、2)のRefineロゴに「松下電工」が加わると商標とは、同一の商標とみられるから、「Refine」の文字よりなる本件商標はその知られる度合いが30パーセント弱と推定され、さほど高い数値ということはできず、他の競業他社のブランドのそれに比しても高いといえない。
(ウ)新聞広告例(甲第4号証)によれば、「Refine」の文字と「松下電工のリファインショップ」の文字を併記した商標を広告しており、本件商標が広告掲載されているものとはいえない。
そうしてみると、本件商標は、増改築事業について商標として長年使用されているとしても、取引者、需要者間に広く認識されているとはいい難いところである。
(2)イ号商標
イ号商標は、別掲(2)に示すとおり、「やまとリファイン株式会社」の文字よりなるところ、その構成中の「株式会社」の文字部分は、会社の種類を表すものであり、商号中にあって普通に用いられているものであるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得る部分は「やまとリファイン」の文字部分にあるものである。
そして、イ号商標中の「やまとリファイン」の文字は、その構成中に、本件商標より生ずる称呼と同一の称呼を生ずる「リファイン」の文字を有するとしても、本件商標は取引者、需要者間に広く知られているともいえないから、イ号商標に接する取引者、需要者がその商標中の「リファイン」の文字のみに着目して、これより生ずる称呼のみをもって取引に資するとはいい難いところである。そして、イ号商標中の「やまとリファイン」の文字は、「やまと」の平仮名と「リファイン」の片仮名と異なる文字によりなるとしても、両文字は外観上、まとまりよく一体に構成されているばかりでなく、被請求人の商号の一部を構成するものであるから、観念において被請求人の商号の略称(やまとリファイン)を表したものと理解、把握されることとも相俟って、イ号商標に接する取引者、需要者をして、これを「やまと」の文字と「リファイン」の文字とに分離することなく、むしろ構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識するというのが自然である。
そうとすれば、イ号商標は、その構成文字に相応して、「ヤマトリファインカブシキカイシャ」の称呼を生ずる他、「やまとリファイン」の文字部分より、単に「ヤマトリファイン」の称呼及び「やまとリファイン(商号の略称)」の観念をも生ずるものである。
(3)両商標の比較
そこで、本件商標とイ号商標とをみるに、両者の構成は、前記したとおりであるから、外観において互いに区別し得る差異を有するものである。
ついで、称呼についてみるに、本件商標から生ずる「リファイン」の称呼とイ号商標から生ずる「ヤマトリファインカブシキガイシャ」の称呼及び「ヤマトリファイン」の称呼を比較するに、それぞれの称呼は、その構成音数において差異があるものであるから、称呼上互いに相紛れるおそれはないものである。
更に、本件商標は、「洗練すること、みがきをかけること」等の意味合いを生ずるのに対して、イ号商標は、観念上、商号の略称(やまとリファイン)を生ずるものであるから、観念については比較することができない。
3 結語
したがって、本件商標とイ号商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものであるから、役務「屋根工事」に使用するイ号商標は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものということはできない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 本件商標(1)



イ号商標(2)


判定日 2001-05-29 
出願番号 商願平4-268243 
審決分類 T 1 2・ 9- ZB (037)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦田中 幸一 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 江崎 静雄
大島 護
登録日 1995-12-26 
登録番号 商標登録第3108031号(T3108031) 
商標の称呼 リファイン 
代理人 島田 康男 
代理人 安藤 淳二 
代理人 島田 富美子 
代理人 荒川 伸夫 

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