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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z42
管理番号 1042343 
異議申立番号 異議2000-90638 
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-06-16 
確定日 2001-05-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第4368168号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4368168号商標の指定役務中「第42類 はり,きゅう,柔道整復,あん摩・マッサージ・指圧,カイロプラクティック,エステティック(痩身,脱毛,美顔を含む。)」についての商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4368168号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、平成10年11月30日に登録出願、第42類「医業,歯科医業,栄養の指導,健康診断,美容,理容,はり,きゅう,柔道整復,あん摩・マッサージ・指圧,カイロプラクティック,エステティック(痩身,脱毛,美顔を含む。),調剤,家畜の診療,飲食物の提供,宿泊施設の提供,入浴施設の提供,写真の撮影,印刷,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,建築物の設計,測量,地質の調査,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,電気に関する試験又は研究,通訳,翻訳,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,美容院用機械器具の貸与,衣服の貸与,植木の貸与,計測器の貸与,自動販売機の貸与,超音波診断装置の貸与,展示施設の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,布団の貸与,ルームクーラーの貸与」を指定役務として、平成12年3月17日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)申立てに係る指定役務
第42類 はり,きゅう,柔道整復,あん摩・マッサージ・指圧,カイロプラクティック,エステティック(痩身,脱毛,美顔を含む。)
(2)理由
本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標「芝崎プロポーションクリニック」(以下「引用商標」という。)に類似する。また、「芝崎プロポーション」或いは引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識され、しかも図形部分についても申立人の使用する図形と類似するから、本件商標は、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。さらに、本件商標は、申立人が1991年から使用している商標を盗用するものであり、申立人の営業妨害を意図して出願され登録を得たものであるから、商道徳の面から穏当でなく、しかも商標法の法目的及び不正競争防止法にも反するものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中上記「(1)申立てに係る指定役務」に記載した役務についての登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第7号の規定に違反してされたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標は取り消されるべきであるとして商標権者に通知した取消理由は、要旨つぎのとおりである。
<取消理由>
本件商標は、別掲に示すとおりの構成よりなるところ、申立人提出の証拠を徴するに、申立人は、引用商標を「顔の輪郭矯正、O脚矯正、カイロプラクティック、CR矯正(頭蓋骨のゆがみ矯正)、リラクゼーション、足もみマッサージ、頭皮マッサージ、フットケア」等の役務の提供について使用するともに、「JUNON」、「FYTTE」、「MONIQUE」、「CanCan」、「an・an」、「女性セブン」、「JJ」、「ViVi」、「Ray」等の広告、及びインターネットを通じて宣伝、広告してきたものである。その結果、引用商標は、本件商標登録出願時には、この種業界において申立人の役務に係る商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められるものである。
しかして、本件商標は、その構成中に「芝崎プロポーション」の文字を有してなるものであり、該構成文字に相応して「シバサキプロポーション」の称呼を生ずるものである。
これに対して、引用商標は、「芝崎プロポーションクリニック」の文字よりなるものであり、該構成文字に相応して「シバサキプロポーションクリニック」の称呼を生ずるものであるが、該構成中の後半の「クリニック」の文字部分は、その役務との関係において「診療所、(専門)病院、クリニック」等の意味を有し、役務を提供する場所を表す語として使用され、自他役務の識別標識としての機能を果たさないものである。そうとすれば、該構成中の「芝崎プロポーション」の文字部分が自他役務の識別標識としての機能を果たすものとして、把握、認識されるものであるから、取引者、需要者が「芝崎プロポーション」の文字部分より生ずる称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないものと判断するのが相当であり、引用商標よりは、「芝崎プロポーション」の文字部分に相応して「シバサキプロポーション」の称呼をも生ずるものと認められる。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「シバサキプロポーション」の称呼を共通にする類似の商標と認められ、かつ、本件商標の指定役務中「はり,きゅう,柔道整復,あん摩・マッサージ・指圧,カイロプラクティック,エステティック(痩身,脱毛,美顔を含む。)」は、引用商標の使用する「顔の輪郭矯正、O脚矯正、カイロプラクティック、CR矯正(頭蓋骨のゆがみ矯正)、リラクゼーション、足もみマッサージ、頭皮マッサージ、フットケア」等の役務と同一又は類似の役務と認められるものであるから、本件商標の指定役務中「はり,きゅう,柔道整復,あん摩・マッサージ・指圧,カイロプラクティック,エステティック(痩身,脱毛,美顔を含む。)」については、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるといわざるを得ない。

4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べている。
(1)取消理由通知書において、申立人が使用する引用商標の「芝崎プロポーションクリニック」中の「クリニック」語の意味合いを「診療所、(専門)病院、クリニック」と判断している。しかし、「クリニック」の語は申立人も述べているように「相談所」等の意味合いも含むことは周知の事実である。ただし、単に「相談所」ではなく「(心理)相談所」が一般的である。
引用商標の一部を構成する「クリニック」の語が「(心理)相談所」として使用されているのであれば識別標識として機能しないともいえるが、「クリニック」を「病院、医院」として用いる場合は識別標識として機能することは周知の事実である。もし「芝崎プロポーションクリニック」が「医院」であれば、引用商標は、「芝崎プロポーション」だけで判断するのではなく、たとえ冗長であったとしても「芝崎プロポーションクリニック」として判断されるべきものである。
(2)甲第2号証にもあるように、甲立人は「医院」として宣伝を行なっており、2000年10月28日においても継続して「医院」と宣伝している(乙第1号証、商標権者の提出に係る「第1号証」を「乙第1号証」と記載する。他の証拠についても同様に「乙」の文字を冠して表示する。)。また、甲第6号証の2として出された申立人の代表者の著書「顔を小さくする本」及び「骨のゆがみをなおして顔ヤセ&ダイエット」の文中には「芝崎プロポーションクリニック」ではなく、単に「クリニック」の表記が散見される(乙第2号証及び同第3号証)。単に「クリニック」を用いた場合、一般的に「(心理)相談所」として認識されず「病院、医院」という意味合いでのみ認識される。この著書は1994年に出版されているから、少なくとも1994年から申立人は「医院」と宣伝していることが理解できる。
申立人は、「カイロプラクティック」などの民間療法を業としているようであるが、「一民間療法所」と「医院」では需要者に与えるイメージは大きく異なる。取引者、需要者に誤認させる目的で「医院」と宣伝しているといわざるを得ない。「芝崎プロポーションクリニック」は、このような宣伝手法を用いることにより広く需要者に認識されたものであり、不当なものであるから、これを引用した上で本件商標を商標法第4条第1項第10号に違反するとの考えは不適切である。
(3)仮に申立人が「医院」として登録され、その代表者が医師免許を所持しているのであれば、取引者及び需要者が「医院」として使用されている「芝崎プロポーションクリニック」と「医院」ではない「芝崎プロポーション」と混同することはなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたとの判断は一般的ではない。
(4)申立人は、1993年11月より輪郭矯正を始めたとして「世界初の輪郭矯正は芝崎プロポーションクリニック院長、芝崎義夫のオリジナルテクニック」と宣伝しているが(乙第1号証)、この役務は既に商標権者が行なっていた役務で、申立人が始めたとする前年には同じ役務で取材も受けている(乙第8号証)。また「CR療法」の語に関しても、申立人は「1997年から提供する独自の療法の名称を盗用」と述べているが、商標権者は1986年より「体内周期記録療法」の略語として「CR療法」の語を既に使用しており、広く認知されている。また、この語を使用して資料なども作成しており(乙第9号証)、申立人より10年以上古くより使用していることが明らかである。しかも、この語は1993年の「ガン回廊の炎」(講談社発行)にも使用されており(乙第10号証)、申立人の「造語」ではない。
(5)以上のように、申立人は多数の虚偽の内容で異議の申立てを行い、「医院」としての要件を満たさないにもかかわらず「医院」として長期にわたり宣伝を行なっており、このような申立人に係る引用商標をもって本件商標を商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとすることは妥当ではない。本件商標は登録を維持されるべき要件を満たしている。

5 当審の判断
本件商標は、第42類「はり,きゅう,柔道整復,あん摩・マッサージ・指圧,カイロプラクティック,エステティック(痩身,脱毛,美顔を含む。)」について、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものであるとの理由によりその登録を取り消すべきものとした前記3の取消理由は妥当なものであって、これについて述べる商標権者の上記4の意見は、以下の理由により、採用することができない。
申立人の提出に係る証拠によれば、申立人は、「顔の輪郭矯正、O脚矯正、カイロプラクティック、CR矯正(頭蓋骨のゆがみ矯正)、リラクゼーション、足もみマッサージ、頭皮マッサージ、フットケア」に関する役務の提供に係る業務を行っており、その業務に係る役務を表示するものとして引用商標が使用され取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められること上記3の取消理由のとおりである。
そして、「クリニック」の語は、「診療所、(専門)病院、クリニック」等を意味する語としてこれらの施設等の名称の一部として多く使用されていることからすると、引用商標の「芝崎プロポーションクリニック」の文字は、「芝崎プロポーション」の文字に施設名である「クリニック」の語を付したものと理解されるものといえる。しかも、「芝崎プロポーション」の文字部分は独立しても自他役務の識別標識として機能を充分に果たし得るものといえるから、全体の「シバサキプロポーションクリニック」の称呼が冗長なものであることを併せ考慮すると、「芝崎プロポーション」の文字部分のみをもって取引に資されることも多分にあるものと認めざるを得ない。
したがって、引用商標に接した取引者、需要者は、「芝崎プロポーション」より生ずる「シバサキプロポーション」の称呼をもって取引に当たる場合も少なくないものというべきであるから、引用商標は、「クリニック」の文字が「(心理)相談所」で使用されているか「医院」で使用されているかにかかわらず、かかる構成にあっては「シバサキプロポーション」の称呼をも生ずるものといわざるを得ない。
商標権者は、申立人は、医院でないにもかかわら医院として長期にわたり宣伝をし、その結果、引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されたものであり、このような引用商標により本件商標の登録を取り消されるのは妥当性を欠くとも述べるが、仮に商標権者に上記のような行為があり、その行為に違法性があるとすれば、その行為に相応する法令によりその違法性が問われることはいうまでもないことである。
そして、申立人及び商標権者の提出に係る全証拠を検討しても、引用商標を引用して本件商標の登録を取り消すことが妥当性を欠くものであると認め得る証拠はない。
また、商標権者は、事例を挙げて申立人は多数の虚偽の内容で異議の申立てを行なった旨主張するが、本件商標の登録が商標法第4条第1項第10号の規定に違反してされたものと認められる以上、これらの主張により上記判断が左右されるものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その指定役務中「はり,きゅう,柔道整復,あん摩・マッサージ・指圧,カイロプラクティック,エステティック(痩身,脱毛,美顔を含む。)」の登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標

異議決定日 2001-03-28 
出願番号 商願平10-101579 
審決分類 T 1 652・ 252- Z (Z42)
最終処分 取消  
前審関与審査官 為谷 博 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 中嶋 容伸
滝沢 智夫
登録日 2000-03-17 
登録番号 商標登録第4368168号(T4368168) 
権利者 岩崎 仁恵
商標の称呼 シバサキプロポーション、シバサキ、プロポーション 
代理人 齋藤 理絵 
代理人 幸田 全弘 

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