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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z33
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z33
管理番号 1040133 
異議申立番号 異議2000-90581 
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-29 
確定日 2001-05-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第4361718号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4361718号商標の指定商品中、「ウイスキー、但し、スコッチウイスキーを除く。」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4361718号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成10年5月12日に登録出願、第33類「洋酒,果実酒,中国酒」を指定商品として、同12年2月18日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要旨
本件商標は、これを「スコッチウイスキ-」以外の商品について使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、また、公の秩序を乱し、ひいては、国際信義に反するおそれがあるから、商標法第4条第1項第7号及び同第16号に該当するものであり、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由
本件商標中の図形は、英国スコットランド地方の民族楽器として知られているバグパイプを演奏する人物の上半身を描いたものである。我が国において、該楽器が英国スコットランド地方の民族楽器であると認識されていることは周知の事実である。そうすると、本件商標がその指定商品に使用された場合、該図形より直ちに英国スコットランド地方を想起することも少なくないものということができる。
加えて、登録異議申立人の提出に係る証拠によれば、バグパイプを演奏する人物の図形が「スコッチウイスキー」のラベルに表示されているものが多数あり、バグパイプを演奏する人物の図形は、「スコッチウイスキー」を示すものとして慣用されているものと認められる。
そうすると、本件商標がその指定商品中「ウイスキー」に使用された場合、取引者、需要者は、該図形部分より英国スコットランド地方を連想、想起するのみならず、該ウイスキーは「スコッチウイスキー」であると認識する場合も少なからずあるものというべきであるから、本件商標は、その指定商品中「スコッチウイスキー」以外の「ウイスキー」について使用されたときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定商品中の商品「ウイスキー、但し、スコッチウイスキーを除く。」については、商標法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見の要旨
本件商標中の図形が、英国スコットランド地方の民族楽器(バグパイプ)及び民族衣装を認識させること自体、或いは、同地方がスコッチウイスキーの本場であることの事実自体を否定するものではないが、本件商標中の図形が、直ちに ウイスキーの地名(産地)を表示するものではないし、種類(品質)を表示するものでもない。仮に、間接的に「英国スコットランド地方」を連想させることがあるとしても、そのような漠然としたイメージが生じることのみをもって、該図形が地名を表示するものと認定すること、ましてや、特定種類のウイスキー(スコッチウイスキー)を示すものと認定することは誤りというべきである。
また、取消理由では「バグパイプを演奏する人物の図形は、スコッチウイスキーを示すものとして慣用されている」と認定されているが、慣用されているといえるためには、同種類の商品に関して、同業者間で普通に使用されるに至った結果、自他商品の識別力を失ってしまった程度に多数の使用事実がなければならず、甲第6号証の1ないし甲第7号証の2程度では、慣用されているということはできない。
従来の登録例にあっても、直接的に「SCOTLAND」なる地名を表す文字が含まれている登録商標(乙第1号証の1ないし3)や、英国的図形を構成要素とする登録商標(乙第1号証の2ないし6)が存在するが、何れもスコッチウイスキーに限定されているものではなく、又、「バグパイプを演奏する人物の図形」は、ウイスキ-以外の商品の商標としても多数採択使用されている(乙第2号証の1ないし10)。

5 当審の判断
申立人の提出に係る甲第2号証(「地球の歩き方 スコットランド 1999〜2000年版」株式会社ダイヤモンド・ビッグ社 1998年10月23日改訂第3版発行)には、バグパイプを演奏する男性の図柄が掲載されており、同第3号証(「scottish highland games」david weoster著)には、スコットランドの伝統行事であるハイランドゲームにおいてバグパイプを演奏する人々の写真が複数紹介されており、同第4号証(「エリアガイド145 イギリスの旅」株式会社昭文社 1991年9月第4版発行)には、その表紙にバグパイプを演奏する男性の写真があり、同第5号証(「スコットランド風物詩」株式会社徳間書店 1981年6月30日発行)には、「・・・村々ではタータンチェックのキルト(スカート)をはいた若者や老人たちが、バグパイプの音を山々に響かせる。」旨の記載がされている事実を認めることができる。
上記甲号証に照らしてみれば、スコットランドを紹介する雑誌、書140籍等には、必ずといってよいほど、伝統的なスコットランドの衣装を着て、バグパイプを演奏する男性の姿が紹介されているものであるから、この図柄に接する者をして、容易にスコットランド地方を想起させるものということができる。
そして、甲第6号証の1ないし16(スコッチウイスキ-のラベル)によれば、スコッチウイスキーのラベルには、スコットランドの民族衣装を着て、バグパイプを演奏する男性の姿の図柄が数多く用いられていることを認めることができる。
しかして、本件商標の図形部分は、別掲に示すとおり、英国スコットランド地方の民族楽器として知られているバグパイプを演奏する人物の上半身を顕著に描いてなるものであり、これは、甲号証に掲載されている図柄と同様の構成からなるものということができる。
そうすると、本件商標がその指定商品中の「ウイスキー」に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、該図形部分より英国スコットランド地方を連想、想起し、該ウイスキーは「スコッチウイスキー」であると認識する場合も少なからずあるものというべきであるから、本件商標は、その指定商品中の「スコッチウイスキー以外のウイスキー」について使用されたときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
なお、商標権者は、「SCOTLAND」の文字を含む商標や英国的図形を構成要素とする商標の登録例を挙げて主張するところあるが、これらの商標は、いずれも、本件商標とは商標の構成を異にし、あるいは指定商品・取引の実情を異にし、更には、判断時を異にするものであるから、商標権者が主張するような事例があるというだけでは、前記判断は左右されない。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「ウイスキ-、但し、スコッチウイスキ-を除く。」について、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により「ウイスキ-、但し、スコッチウイスキ-を除く。」についての登録を取り消すべきものである。
また、本件商標は、これをその指定商品について使用することが公の秩序を乱すことになるものとはいえず、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではないから、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、同法第43条の3第4項の規定により、登録を維持する。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 本件商標

異議決定日 2001-03-15 
出願番号 商願平10-39359 
審決分類 T 1 651・ 22- ZC (Z33)
T 1 651・ 272- ZC (Z33)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 瀧本 佐代子 
特許庁審判長 佐藤 敏樹
特許庁審判官 上村 勉
板垣 健輔
登録日 2000-02-18 
登録番号 商標登録第4361718号(T4361718) 
権利者 西武商事株式会社
商標の称呼 プリンス 
代理人 野原 利雄 
代理人 小谷 武 

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