• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効としない 009
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない 009
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない 009
管理番号 1037919 
審判番号 審判1997-15156 
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-09-09 
確定日 2001-04-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第3188701号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3188701号商標(以下、「本件商標」という。」)は、下記に表示したとおりの構成よりなり、第9類「遊園地用機械器具、家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、平成5年3月29日に登録出願、同8年8月30日に設定登録がなされているものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録はこれを無効とする。審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求める。」と申し立て、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同3号証までを提出している。
(1)本件商標は、「ダウンタウン」、「熱血べ一すぼーる物語」及び「野球で勝負だ!くにおくん」の各文字を3段に配してなるものである。そして、その構成自体から明らかな通り、「ダウンタウン」は本件商標の要部である。「ダウンタウン」は、松本人志及び浜田雅功により構成される漫才コンビであり、全国的に大きな人気を有するタレントであり、何本もテレビにレギュラー出演しており、所得番付の1位2位を続けて占めているほどの人気であり、本願の出願された平成5年3月21日当時、ダウンタウンは既に、全国的に著名であった。(この点は公知の事実であり、立証を要しない。尚、証拠を要するときは、何時でも提出する用意がある。)
本件商標は、「ダウンタウン」を含むものであるが、本件商標の出願登録につきダウンタウンは被請求人に同意していない。
よって、本件商標は、商標法第4条1項8号に該当するものであるから、その登録は無効とされるべきものである。
(2)本件商標は、「ダウンタウン」「熱血ベースボール物語」「野球で勝負だ!くにおくん」の各文字からなり、「遊園地用機械器具及び家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品とするものである。即ち、本件商標の指定商品はゲーム関連機器である。かかる指定商品に本件商標を使用するときは、かかる商品が人気タレントである「ダウンタウン」のキャラクタ-を使用したものであるとか、「ダウンタウン」の企画によるものであるとか、その他何らかの意味で「ダウンタウン」の許諾を得て製造、販売されているものであるとかの誤認を需要者に生じさせる虞れがある。
よって、本件商標は、著名な「ダウンタウン」の人気に只乗りするものであり、公正な商標秩序を害するものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当するものであり、また本件商標は、品質を誤認させるものであるから同法第4条第1項第16号に該当するので、本件商標の登録は無効とされるべきものである。尚、請求人らの出願に係る商願平7一54811号は、本件商標を引用して拒絶理由通知が出された。
よって、請求人には本件商標の無効審判を求める利益がある。
(3)被請求人の答弁に対する弁駁
(イ)被請求人の答弁の根拠は、被請求人は登録第2344467号商標を有する、というにつきる。然し乍ら、かかる主張は失当である。第一に、商標登録の無効事由の存否は個々の登録商標毎に判断すべきものであって、類似の商標が登録になっているから、無効理由が存しない、ということにはならない。この点で、被請求人の主張は失当である。
(ロ)第二に、被請求人の商標登録第2344467号自体、本件商標と同じ無効理由がある。
(ハ)商標登録第2344467号は、「ダウンタウン熱血物語」からなり、昭和63年7月4日出願、平成3年10月30日登録である(甲第1号証及び同第2号証)。
(ニ)人気漫才コンビ、タレントである「ダウンタウン」は、商標登録第2344467号出願当時既に、有名であった。即ち、「ダウンタウン」は、昭和56年、吉本興業のNSC(吉本総合芸能学院)に入り、漫才コンビとしてスタートし、吉本興業の劇場に出演する傍ら、昭和59年から大阪ミナミの「南海ホール」で「心斎橋筋2丁目劇場」という定期的なお笑いイベントを開始し、次第に人気を高め、昭和60年10月、「今夜はねむれナイト」という大阪の深夜番組で「ダウンタウン劇場」というコーナーを開始し、「心斎橋筋2丁目劇場」と「ダウンタウン劇場」の相乗効果で人気が高まり、昭和62年にはフジテレビジョンが主催する「日本放送演芸大賞」を受賞し、昭和62年4月からテレビで「4時ですよ〜だ」のメインレギュラー番組を持ち、昭和63年の初めには、「ダウンタウンが心斎橋を歩くと自衛隊が出る」という冗談が出るほど、関西全域で大人気になっており、東京でも昭和63年5月から、「ラフォーレ原宿」で「おでかけでっせ、ラフォーレまつせ」というお笑いの定期イベントを開始し、第1回目から会場一杯の客をわかせていた(甲第3号証)。
従って、商標登録第2344467号の出願時である昭和63年7月には、既に「ダウンタウン」は人気漫才コンビの名称として周知であったのであり、商標登録第2344467号自体にも、商標法第4条第1項第7号、同第8号及び同第16号の無効事由がある。
また、被請求人が商標登録第2344467号を有することは、理論そのものとしても、また、実質上も、本件商標に対する無効審判請求に対する抗弁となるものではない。

3 被請求人の主張
(1)被請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第19号証を提出している。
(イ)本件商標「ダウンタウン 熱血べ一すぼ一る物語 野球で勝負だ! くにおくん」は、被請求人の登録商標である。
(ロ)松本人志及び浜田雅功が漫才コンビであることは承知しているが、全国的人気云々に対してはわからない。被請求人は平成5年以前に、先願登録した「ダウンタウン熱血物語」(昭和63年5月11日 商願昭63-076374号 平成3年10月30日 登録第2344467号商標)が登録済みで有り、これと本件商標とをダウンタウンシリーズとして製造販売しているものである。従って、請求人が主張している、人気にあやかるとか、只乗りについては失当である。
(ハ)本件商標は、請求人の主張するように商標法第4条第1項第8号、同第7号及び同第16号に抵触するものではない。
従って、商標を被請求人が使用するに際し請求人等の同意を受ける必要もない。
(2)請求人の弁駁に対する答弁
(イ)第一に、被請求人の根拠は、それだけに尽きないものであって、その主張は全く事実に反し、否認する。
(ロ)第二に、請求人は、「答弁書記載の被請求人の主張は理由が無い。」と主張するものの、それも理由のない失当なものである。先ず、被請求人は「ダウンタウン熱血物語」についての商標を、第24類の商品を指定して、昭和63年(1988年)7月4日に特許庁へ商標登録申請し、平成2年(1990年)10月30日登録第2344467号として取得しているものであって、これについての権利の取得を受けていないという請求人の主張する本件請求は全く理由がない。仮に、先使用権という点においても、被請求人は、請求人よりも早く先使用をしているものである。
例えば、被請求人は、昭和60年(1985年)から、ファミコン(ファミリーコンピューター。以下、同様)「熱血硬派くにおくん」シリーズの「ダウンタウン(下町)熱血物語」として、日本国及び海外を含めて、大阪上場会社の任天堂株式会社等と提携して、多量に製造・販売しているし、その前年の昭和59年(1984年)の中頃以降から、それを販売する予定である旨の記事を、アスキー社刊の雑誌「週刊ファミ通」や、「週刊少年ジャンプ」等の雑誌に再三、再四、掲載し全国的報道をしているところである。
(3)弁駁に対する補充答弁
被請求人会社は、ゲーム用ファミコンソフト販売会社として、昭和60年(1985年)から、ファミコン「熱血硬派くにおくん」シリーズとして開発して、昭和61年に商標登録申請をし、同シリーズの「ダウンタウン(下町)熱血物語」として、任天堂株式会社(京都市東山区福稲上高松町60番地所在)等と提携して、人気商品として日本国だけでなく、海外にも多量に販売し、且つ、愛好され、我が国においては、小・中・高校生で、所謂知らない子供はいない位の人気商品であったため(従って、請求人の主張するタレントの「ダウンタウン」の比ではない。)、被請求人が開発したファミコン「ゲームボーイ」(この商標は、任天堂が有しているものである。)「熱血シリ-ズソフト」の販売数は、約1000万本にも達しているものである。
被請求人が販売しているファミコン「ゲームボーイ」の人気商品「ダウンタウン(下町)熱血物語」シリーズは、例えば、(a)「ダウンタウンスペシャル くにおくんの時代劇だよ 全員集合」(乙第1号証)(b)「びっくり熱血新記録 どこでも金メダル」(乙第2号証)(c)「熱血ビーチバレーだよ くにおくん」(乙第3号証)(d)「熱血高校 ドッジボール部」(乙第4号証)(e)「熱血高校 サッカー部」(乙第5号証)(f)「ダウンタウン熱血行進曲 どこでも大運動会 さらに過激に新装開店」(乙第6号証)(g)「熱血硬派くにおくん 番外乱闘編」(乙第7号証)の如くである。
さらに、被請求人会社は、同社のファミコン「ゲームボーイ」の「ダウンタウン熱血物語」の広報販売を、昭和63年(1988年)当時では、我が国において、下記各刊行物雑誌において、毎月のように、繰り返し掲載し続けていたものであり、しかも、(イ)ゲーム専門誌の(a)「週刊ファミコン通信」(b)「ファミリーコンピュータMagazine」(ロ)コミック誌の(a)「週刊少年ジャンプ」(b)「コロコロコミック」等に掲載し、そこには、ファミコン「ゲームボーイ」の「ダウンタウン(下町)熱血物語」の内容を含めてゲーム紹介のコーナーがあって、その各ファミコンソフトの発売2ヶ月前から、ゲーム内容情報を提供しており、この各記載によって、我が国の20才代ー30才代の人で、殆ど知らない人がない程に知られていたものである。
そのため、昭和63年当時、被請求人の開発したファミコン「ゲームボーイ」の「熱血シリーズソフト」は、任天堂ファミコンソフトの中で必ず、ベスト10にランキングされ、各ソフト発売本数も50万本以上の出荷を記録しており、全国の小・中・高校生の中で知らない子供はいない位の人気ソフトであった。かかる事実は、乙第9号証〜同第17号証の「週刊ファミコン通信」から明白に窺われるものである。
従って、「ダウンタウン熱血物語」の認知度は、ゲーム開発会社、流通会社、全国販売店関係スタッフを合わせると国内では、約850万人には達すると推計出来る程、夥しい人々によって知れ亘っているものである。
ファミコンたるゲームソフトウェアの「ダウンタウン熱血物語」は、我が国における人気商品として、被請求人はその一部につき第三者の業者と、ライセンス使用許諾契約の締結をしているだけでなく、平成5年(1993年)3月指定商品並びに商品の区分第9類「遊園地用機械器具、家庭用テレビゲームおもちゃ」「ダウンタウン熱血べ一すぼーる物語 野球で勝負だ!くにおくん」の商標登録出願をし、商標登録第3188701号として、平成8年8月30日、登録済となっている(乙第18号証の1〜10及び同第19号証)。

4 当審の判断
(1)我が国において、「ダウンタウン」は、英語の「downtown」に通じ、「下町」及び「アメリカ合衆国 ニューヨーク マンハッタンのウオール街」、等を意味する語として知られているものである。そして、本件商標中には、その構成中の一部に上記意味合いを有する「ダウンタウン」の文字を有してなるものである。
他方、請求人の代表者である「松本人志」と「浜田雅功」による「漫才コンビ」の「ダウンタウン」の名称は、今日、テレビ、雑誌等を通じ、需要者間に相当程度知られているといえるものである。
しかしながら、本件商標は、下記に表示したとおり、該「ダウンタウン」の文字の下に「熱血べーすぼーる物語」「野球で勝負だ!くにおくん」のレタリング化して表されている文字が併記されているところから、これに接する取引者・需要者は、該商品が「下町の野球の好きな子供『くにお君』の物語」を取り扱ったゲームであると理解・認識するものとみるのが相当である。また、本件商標が使用される「遊園地用機械器具、家庭用テレビゲームおもちゃ」と、請求人の演芸(漫才)とは、前者が主に子供であるのに対して、後者は大人と、その顧客対象を著しく異にするばかりでなく、本件商標は、10年以上も前の昭和63年に販売された「ダウンタウン熱血物語」のシリーズものの一つでもある。
してみれば、本件商標は、他人の著名な名称若しくは芸名を含むものとは言い得ないものである。
(2)本件商標は、その構成がきょう激、卑わいな文字、等からなるものではなく、本件商標をその指定商品に使用することが、社会公共の利益に反し、かつ、社会一般道徳観念に反するものではない。
(3)本件商標は、上記(1)で述べる如く、全体の構成から「下町の野球の好きな子供『くにお君』の物語」を取り扱ったゲームであると理解させるものであるから、商標法第4条第1項第16号で規定する「商品の品質について誤認を生じさせるおそれのある商標」ではない。
(4)結論
したがって、本件商標は、商標法第4第1項第8号、同第7号及び同第16号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項によりその登録を無効にすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


審理終結日 2001-01-18 
結審通知日 2001-01-30 
審決日 2001-02-19 
出願番号 商願平5-30448 
審決分類 T 1 11・ 23- Y (009)
T 1 11・ 272- Y (009)
T 1 11・ 22- Y (009)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎梶原 良子 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 小池 隆
佐藤 久美枝
登録日 1996-08-30 
登録番号 商標登録第3188701号(T3188701) 
商標の称呼 ダウンタウンネッケツベースボールモノガタリ、ヤキューデショーブダクニオクン、ダウンタウン 
代理人 佐藤 睦美 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 高橋 正雄 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 佐藤 睦美 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ