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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300362 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 104
管理番号 1037441 
審判番号 審判1999-31455 
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-10-28 
確定日 2001-03-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第2546761号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2546761号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2546761号商標(以下「本件商標」という。)は、平成3年2月12日に登録出願され、別掲(1)のとおり、「SQUARE」の文字を左横書きしてなり、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類 」を指定商品として、平成5年6月30日に設定登録されているものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、請求の理由及び答弁に対する弁駁を、概略次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1号証を提出している。
(1)請求の理由
被請求人は、本件商標を日本国内において、その指定商品「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類 」について継続して3年以上使用しておらず、現在も使用していない。また、本件商標について、専用使用権若しくは通常使用権の登録もなく、別に使用権者による使用も存在しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人が本件商標の使用をしていると主張している使用態様は、商標としての登録商標の使用ではない。
(イ)乙各号証から、次のことが明白である。第1に、被請求人は、本件商標「SQUARE」を商品「化粧品」には、直接的に使用するものでない。第2に、被請求人が販売している各種化粧品の内、特に肌にやさしい化粧品の商標として「dプログラム/dprogram」シリーズ、「ナチュラルズ/naturals」シリーズ、「アベンヌ/Avene」シリーズが存在する。第3に被請求人の化粧品売場には、被請求人のハウスマーク「SHISEIDO」が使用されている。第4に被請求人が使用した乙第1号証ないし第4号証に示されている看板(以下「看板」という。)には、3本の波形の縦棒(緑、青、赤)の図形とその下に欧文字「Pure」「Sensitive」「Square」が表示されている。第5に看板或いは化粧品自体に「Square」の標章が単独に使用されている事実はない。
(ウ)被請求人の本件商標の使用は、化粧品としての自他商品を区別する目印としての商標の使用でなく、化粧品場所表示としての使用にすぎない。
上記(イ)の事実から、被請求人の本件商標の使用は、化粧品について自他商品を識別するための標識としての使用行為でなく、販売場所或いは化粧品コーナーとしての表示にすぎない。すなわち、被請求人の化粧品の自他商品を識別する標識としての商標は、ハウスマーク「SHISEIDO」であり、個別商標の「dプログラム/dprogram」、「ナチュラルズ/naturals」、「アベンヌ/Avene」である。特に看板に使用された欧文字「Pure」「Sensitive」「Square」は、全体として「(肌に)純粋に敏感な空間、広場」の意味合いがあるので、化粧品売り場においては、「肌にやさしい化粧品広場(売り場)」を一般需要者及び取引者に容易に看取されるのである。したがって、「Square」の語は、化粧品について自他商品を識別するための標識としての使用でなく、販売場所或いは化粧品コーナーとしての表示にすぎない。
(エ)我が国においては、「Square」の語は、「空間(コーナー)」或いは「広場」の意味合いを有するものとして熟知されているので、本件の使用方法においては、「Square」の語は、「コーナー、売り場」を指称するにすぎない。判例においても、「売り場を表示するための標識を用い、(中略)商標の使用に当たらない」と判旨している(東地民29判・昭和47年(ワ)2732号)。
(オ)看板に使用されている、3本の波形の縦棒(緑、青、赤)の図形、そしてその下の欧文字「Pure」「Sensitive」「Square」は各々標識の構成要素として認識されるとしても、本件商標「Square」部分を抽出すべき特段の理由は存在しない。すなわち、当該欧文字部分は、いずれも頭文字が大文字で後が小文字と同書、同大そして同間隔で3段にまとまり良く配されているので、特に外観上「Square」部分を抽出すべき特段の理由は存在しない。
全体としての称呼も特に冗長でなく、仮に略称されるとしても上の部分から「ピュアーセンスティブ」であり、観念との関係においては「Square」部分は、「売り場」を意味し、自他商品識別力がないので、その部分で略称されることはない。
また、観念においても、「Pure」「Sensitive」「Square」は、全体として「(肌に)純粋に敏感な空間、広場」の意味合いがあり、化粧品売り場においては、「肌にやさしい化粧品広場(売り場)」の意味合いとなるので、「スクウェア」部分を抽出すべき特段の理由は存在しない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を概略次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし第9号証を提出した。
(1)答弁
(ア)被請求人は、被請求人が販売している各種化粧品の内から、特に肌にやさしい化粧品として「dプログラム/dprogram」シリーズ、「ナチュラルズ/naturals」シリーズ及び「アベンヌ/Avene」シリーズの3種を選定してグループ化し、このグループ商品に本件商標「SQUARE」を使用して、遅くとも平成10年9月4日から現在に至るまで継続して日本国内の各デパートにおいて当該グループ商品を販売している。
(イ)被請求人は、本願商標「SQUARE」を商品「化粧品」の広告に付して展示しており、具体的には、熊本県熊本市桜町3-22 株式会社熊本岩田屋1階の化粧品売場の写真コピー(乙第1号証、平成10年9月4日撮影)、大阪府枚方市楠葉花園町15-5 株式会社松坂屋くずは店1階の化粧品売場の写真コピー(乙第2号証、平成11年2月25日撮影)、兵庫県加古川市加古川篠原町字三ツ升21-8 株式会社加古川そごう1階の化粧品売場の写真コピー(乙第3号証、平成11年3月16日撮影)及び兵庫県神戸市中央区明石町40 株式会社神戸大丸地下2階の化粧品売場の写真コピー(乙第4号証、平成11年6月19日撮影)に見られる通り、本件商標「SQUARE」を表示したパネル(看板)の周囲に商品「化粧品」(前記グループ商品)を陳列している。
(2)弁駁に対する答弁
(ア)商品「化粧品」にはハウスマーク(営業標識)を始め、個別名称標識、シリーズ名称標識及びグループ名称標識などの複数標識が使用されているのが実情であるから、乙第1号証ないし第4号証に示されている態様において商標「Square」と共に商標「SHISEIDO」、商標「dプログラム/dprogram」、商標「ナチュラルズ/naturals」、商標「アベンヌ/Avene」が使用されている事実をもって、商標「Square」が化粧品について自他商品を識別するための標識としての使用行為でないとする論は誤っているといわざるをえない。
(イ)英語「pure」は「純粋」の語意、英語「sensitive」は「敏感」なる語意を有しているが、英語「square」は「空間(コーナー)」なる語意を有しておらず、我が国において外来語「スクエア」は「コーナー、売り場」を指称する語として用いられていないし、デパートの特定売り場を指称する外来語としては、「コーナー」が用いられている(乙第5号証及び乙第6号証)から、「Square」の語が販売場所或いは化粧品コーナーとしての表示にすぎないとする論は誤っているといわざるを得ない。
(ウ)請求人の引用する、東地民29判・昭和47年(ワ)2732号(乙第7号証)の存在は、請求人の主張・理由を支持するものでない。
(エ)看板には、欧文字「Pure」、「Sensitive」、「Square」が3段書きにて表示されており、これに取引者・需要者が接するとき、格段の欧文字が、視覚上、それぞれ独立して視認され、称呼上も、それぞれ独立して「ピュア」、「センシティブ」及び「スクエア」と呼称・聴別されるといえる。取引者・需要者が前記各語から、観念上「純粋に敏感な広場」なる観念を認識する場合があるとしても、「肌にやさしい化粧品広場(売り場)」なる観念とは全く異質のものといえる。
(オ)「Square」の文字が自他商品の識別標識たる商標として認識されることは、英語「pure」が「純粋」なる語意、英語「sensitive」が「敏感」なる語意を有しているため、両語が商品「化粧品」については自他商品識別力を有さないこと(乙第8号証)から明白と思料され、看板に表示されている欧文字「Pure」及び「Senstive」が単独に自他商品の目印として使用されているものではなく、特に本件商標「Square」部分を抽出すべき特段の理由は存在しないとする論は誤っているといわざるを得ない。
(カ)上記事項は、浦和地民4判・昭和62年(ワ)226号(第9号証)の判旨によって裏付けることができる。
(キ)上記3(ア)ないし(カ)において述べたとおり、請求人の弁駁書における主張・理由は成立し得ないものであり、被請求人が本件商標「SQUARE」と社会通念上同一と認められる商標「Square」を商品「化粧品」について使用している事実からして、その指定商品中「化粧品」については、商標法第50条の規定により、商標登録取消の理由が存在しない。

4 当審の判断
被請求人が使用の証拠として提出した写真のカラーコピー(乙第1号証ないし乙第4号証)によれば、被請求人は、平成10年9月4日から、別掲(2)のとおりの構成よりなる標章(以下「使用標章」という。)を表示した看板を、化粧品売り場に設置していたものと推認できる。
前記乙各号証中の看板は、特定の化粧品売り場に、需要者の目に留まりやすいように設置されており、商品「化粧品」に関する広告に使用標章を付して展示しているものと認められるから、商標としての使用といえるものである。
そして、使用標章は、別掲(2)のとおり、図形部分と文字部分からなるものであるところ、その構成上、これに接する取引者・需要者は、図形部分のみ、文字部分のみをそれぞれ捉えて取引に資する場合も少なくないといえるものである。
この使用標章の文字部分は、「Pure」「Sensitive」「Square」の語を3段に表示してなるものであり、「Pure」の語は「純粋な、清潔な」の意味を、「Sensitive」の語は「敏感な」の意味を、そして「Square」は「四角、広場」の意味を有する英語であり、全体として特定の観念を生ずるとはいえないものである。また、これらの語は、同一同大の書体で、各語の頭文字を大文字、その後に続く文字を小文字で表し、外観上、全体としてまとまりよい構成といえるものである。そうすると、これに接する取引者・需要者は、使用標章の文字部分全体をまとまりあるものとして捉え、最下段にある「Square」の文字のみに着目して取引に資することはないと認められるから、使用標章はその文字部分から、「ピュアセンシティブスクエア」の称呼を生じ、単なる「スクエア」の称呼及び観念を生ずることはないものとするのが相当である。
この点について、被請求人は、各語はそれぞれ、視覚上、独立して視認され、称呼上も、それぞれ独立して「ピュア」、「センシティブ」及び「スクエア」と呼称・聴別されるといえると主張しているが、前に述べたとおりであるから、これを採用することはできない
一方、本件商標は、「SQUARE」の文字よりなり、「スクエア」の称呼及び観念を生ずるものである。
そうすると、本件商標と使用標章とは、その外観、称呼及び観念において相違し、社会通念上同一性を有する商標とはいえないものであるから、使用標章の使用をもって、被請求人が、本件商標を商品「化粧品」について使用していたとは認められないものであり、他に本件商標をその指定商品中のいずれかについて使用していると認め得る証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本件商標

(2)使用標章

審理終結日 2000-12-18 
結審通知日 2001-01-05 
審決日 2001-01-17 
出願番号 商願平3-12932 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (104)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 俊男和田 恵美 
特許庁審判長 佐藤 敏樹
特許庁審判官 村上 照美
上村 勉
登録日 1993-06-30 
登録番号 商標登録第2546761号(T2546761) 
商標の称呼 スクエアー 
代理人 安藤 順一 
代理人 武田 正彦 
代理人 川崎 仁 
代理人 滝口 昌司 
代理人 中里 浩一 

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