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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 009
管理番号 1037415 
審判番号 審判1999-35505 
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-09-14 
確定日 2001-03-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第3370026号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3370026号商標の指定商品中「電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3370026号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第9類「理化学機械器具、測定機械器具、電気磁気測定器、加工ガラス(建築用のものを除く。)、眼鏡、写真機械器具、映画機械器具、光学機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、録音済み磁気カード・磁気シート及び磁気テープ、映写フィルム、スライドフィルム、スライドフィルム用マウント、録画済みビデオディスク及びビデオテープ、製図用又は図案用の機械器具、写真複写機、家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、平成7年5月24日に登録出願され、同10年8月21日に設定登録がなされたものである。

2 請求人の引用する商標
請求人が本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとして引用する登録第3089480号商標(以下、「引用A商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成4年7月17日に登録出願、第11類「冷凍機械器具、暖冷房装置、家庭用電熱用品類、家庭用浄水器、化学物質を充てんした保温保冷具、熱交換器」を指定商品として、同7年10月31日に設定登録されたものである。同じく、登録第2517087号商標(以下、「引用B商標」という。)は、別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、平成1年3月7日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)、電気材料」指定商品として、同5年3月31日に設定登録されたものである。同じく、登録第2517089号商標(以下、「引用C商標」という。)は、別掲(4)に示すとおりの構成よりなり、平成1年3月7日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)、電気材料」指定商品として、同5年3月31日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として別紙1乃至別紙4及び甲第5号証乃至甲第14号証を提出した。
(1)請求人は、平成9年商標登録願第122307号の出願をしたところ、本件商標を引用され、これと類似するとの拒絶理由通知を受けた。
(2)商標の類似について
本件商標は、別掲(1)に示す通り「GAC」の欧文字を横書きにしたものである。一方、引用各商標も、別掲(2)乃至(4)に示すように「GAC」の欧文字を横書きにしたものである。したがって、これらの商標は外観および称呼が類似する。
(3)商品の類似について
本件商標の指定商品中、「電気磁気測定器」は、引用A商標および引用B商標の指定商品「電気機械器具」と、「電気通信機械器具」は、引用A商標の「家庭用電熱用品類」、引用B商標および引用C商標の「電気通信機械器具」と、「電子応用機械器具及びその部品」は、引用B商標および引用C商標の「電子応用機械器具」と、それぞれ同一または類似する。
(4)請求人の弁駁
イ)本件商標と引用A商標の類似について
「類似商品・役務審査基準[改訂第8版]」(甲第5号証)によれば、本件商標の指定商品の内の一つである「電気通信機械器具」の中には「テレビジョン受信機、ラジオ受信機、音声周波機械器具、映像周波機械器具」が含まれおり、これらの商品は「家庭用電熱用品類」に類似することが明確に規定されている。一方、引用A商標の指定商品中には、「家庭用電熱用品」が含まれており、本件商標の指定商品と引用A商標の指定商品とが類似することは明らかである。
また、本件商標は、「GAC」の欧文字を左横書きしてなるものであり、引用A商標も文字書体は若干異なるものの同じく「GAC」の欧文字を左横書きしてなるものであるから、両商標が称呼・外観において類似することは明らかである。
ロ)本件商標と引用B商標の類似について
引用B商標は、各文字が図案化されてなるものではあるけれど、レタリングの発達した今日においては、これに接する取引者、需要者は「GAC」の欧文字を表示したものと認識すると考えるのが自然であり、この程度の図案化は全体として観察した場合、容易に「GAC」の欧文字を表したものと理解し、認識させるものである。
ハ)本件商標と引用C商標の類似について
引用C商標は、特定の文字を想起し得ない程に図案化されているとは到底言えず、欧文字「GAC」を認識することは充分可能であり、両商標は称呼上も外観上も類似すると言わざるを得ない。

4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第12号証を提出した。
(1)本件商標と引用A商標の類似について
本件商標と引用A商標とを比較すると、本件商標の指定商品は、引用A商標の指定商品「冷凍機械器具、暖冷房装置、家庭用電熱用品類、家庭用浄水器、化学物質を充てんした保温保冷具、熱交換器」であるので、引用A商標の指定商品中には、本件商標と同一はおろか類似する商品も見出し得ない。
従って、本件商標と引用A商標とは、商標の類否を論ずるまでもなく、互いに非類似の商標ということができる。
(2)本件商標と引用B商標の類似について
本件商標と引用B商標とを比較すると、本件商標の指定商品中、「電気磁気測定器」は、引用B商標の「電気機械器具」と類似し、本件商標の指定商品中「電気通信機械器具」は、引用B商標の「電気通信機械器具」と同一または類似し、「電子応用機械器具及びその部品」は、引用B商標の「電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。)」と同一または類似であると思料する。
しかしながら、本件商標と引用B商標とは、商標において非類似の商標といわなければならない。
即ち、本件商標と引用B商標の外観についてみるに、本件商標は、「GAC」なる角ゴシック風書体の欧文字をもって横書きしてなるものであるのに対し、引用B商標は、右側が開放された半円弧状であって上側の円弧端部を右方に直線状に若干延長してなる、同じ、円からなる3本の太線部分と、上記延長部の下方に「1」の小文字を付記した前半図形部と、三角形の上方寄りの中間部をスリット2本をもって区切り、三角形の下底部を半円弧状に切り取ってなる中間図形部と、3本の太線からなる同じ、円の三重丸の右端部をスリット状に切り取ってなる後半図形部とからなる。特に、前半図形部にあっては、欧文字の「P」の文字を180゜反転した文字の如き印象を受けるが、むしろ特定の文字を想起し得ない程に図案化されている。
従って、引用B商標より特定の文字を想起するというより、特徴的な図形よりなる構成部分が看者に強く印象付けられるものであるから、普通に用いられる方法で表示する文字商標からなる本件商標とは全く別異の印象を与えるものであり、両者を離隔観察しても、外観上互いに相紛れるおそれはない商標といわなければならない。
そして、引用B商標は、上記のように図形化されてなるものであるため、この図形の特徴を言葉をもって端的に表現するのは、困難であるから、特定の称呼は直ちに生じない、とみるのが自然である。
そうであるとすれば、引用B商標からは、特定の観念も生じ得ないので、結局、本件商標と引用B商標とは互いに非類似の商標といわなければならない。
(3)本件商標と引用C商標の類似について
本件商標と引用C商標とを比較してみるに、引用C商標の指定商品については、引用B商標と同じであるので、上述したところと同様に、本件商標の指定商品のうち、「電気磁気測定器」と「電気通信機械器具」と「電子応用機械器具及びその部品」が引用C商標の指定商品と同一または類似であると思料する。
しかしながら、本件商標と引用C商標とは、商標において非類似である、といわなければならない。
即ち、引用C商標は、右端が開放された半円弧状であって、上側の円弧状端部を直線状に若干延長してなる幅広の図形の輪郭を紬線で描いてなる前半図形部分と、三角形の頭頂部を平行に裁断し、その下底部を小さな三角形状に切り取ってなる図形の輪郭を紬線で描いてなる中間図形部分と、幅広の「U」の欧文字を時計回り方向に90゜倒してなる図形の輪郭を紬線で描いてなる後半図形部とからなっている。
この引用C商標においても文字というよりは図形に近い商標であり、前半図形部分、中間図形部分、後半図形部分のいずれをみても、欧文字そのものを普通に書してなるとはいい難く、前半部分においては2つの図形からなり、強いて言えば、欧文字の「C」と「I」または数字の「1」とを組み合わせたものと理解され、そうであるとすれば、「シーアイ」または「シーワン」なる称呼を発生するものと解される。
また、中間図形部分は、強いて言えば、欧文字の「V」の文字を逆さにしたものといえるが、これから如何なる称呼を生ずるのか疑問といわざるを得ない。
さらに、後半図形部分は、欧文字の「U」の文字を時計方向に倒してなる倒U字状を呈するものであり、これを欧文字の「C」と見るのはいかにも不自然であるといわなければならない。
従って、引用C商標より特定の文字を想起するのは困難であり、その構成部分の図形が看者に強く印象付けられるから、純粋な文字商標からなる本件商標とは全く別異の印象を与えるものであり、両者を離間観察しても外観上相紛れるおそれはない商標といわなければならない。
(4)以上のように、本件商標と引用A商標とは、本件商標指定商品中には、引用A商標の指定商品と同一または類似の商品を包含していないものである以上、商標の類否を論ずるまでもなく、互いに非類似の関係にあることは明らかである。
また、本件商標と引用B商標および引用C商標とは、指定商品については共に同一または類似の関係にあるが、商標については、外観上互いに判然と区別し得る差異を有するものといえ、さらに称呼の点よりみると、引用B商標および引用C商標が特定の文字を直ちに想起し得ない程度に図案化されているため、特定の称呼を生じ得ないか、特定の称呼を発することが妥当でなく、外観上の特徴、印象が看者に強く与えられるものであり、両者を対比観察したときはもとより、時と処を異にして離隔観察しても、外観上互いに相紛れるおそれはない商標と認めるのが妥当と考える。
従って、本件商標は、商標法第4条第1項11号に違反して登録されたものということはできない。

5 当審の判断
(1)本願商標と引用A商標の類似について
本件商標と引用A商標は、別掲(1)及び(2)に示すとおりの構成よりなるものであるから、互いに「GAC」の欧文字に相応し、「ジーエーシー」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。
次に両商標の指定商品についてみるに、引用A商標の指定商品中「電気通信機械器具」に含まれる「テレビジョン受信機、ラジオ受信機」等と本件商標の指定商品中の「家庭用電熱用品類」は、共に「家電製品」として流通しているものであり、取引系統、販売場所、需要者層を共通にする場合が少なくないものといえるから、本件商標の指定商品中の「電気通信機械器具」に包含される「テレビジョン受信機、ラジオ受信機、音声周波機械器具、映像周波機械器具」と引用A商標の指定商品中の「家庭用電熱用品類」とは互いに類似する商品と判断するのが相当である。
(2)本願商標と引用B商標及び引用C商標の類似について
近年の商標採択の実情をみると、商標の文字をレタリング化する傾向が進み、商標の1文字乃至はすべての文字についてレタリングを施すことが、数多く見受けられるところである。しかして、引用B商標及び引用C商標を見ると、その構成は別掲(3)及び(4)に示すとおりであり、該商標は「GAC」の欧文字をレタリングしたものと容易に認識、理解されるものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標と引用B商標及び引用C商標とはその外観において相違するところがあるとしても、「ジーエーシー」の称呼を共通にする称呼上類似の商標といわざるを得ない。また、本願商標の指定商品と引用B商標及び引用C商標の指定商品とは同一又は類似のものである。
(3)結び
したがって、本件商標は、その指定商品中「電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、他の請求理由について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標
別掲(1)


引用商標
別掲(2)


別掲(3)


別掲(4)

審理終結日 2000-12-14 
結審通知日 2000-12-26 
審決日 2001-01-16 
出願番号 商願平7-50393 
審決分類 T 1 12・ 262- Z (009)
最終処分 成立  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 高野 義三
小川 敏
登録日 1998-08-21 
登録番号 商標登録第3370026号(T3370026) 
商標の称呼 ジイエイシイ 
代理人 横沢 志郎 
代理人 真田 修治 
代理人 今井 彰 

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