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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない 029 |
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管理番号 | 1037393 |
審判番号 | 審判1997-21751 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-12-25 |
確定日 | 2001-03-16 |
事件の表示 | 平成7年商標登録願第110663号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「バイオサイエンス」と「BIOSCIENCE」の文字を上下二段に横書きしてなり、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、平成7年10月25日に登録出願されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、『バイオサイエンス』『BIOSCIENCE』の文字を表示してなるものであるが、『バイオサイエンス』(BIOSCIENCE)は、『生命科学』の意味を有する語であって、人間や動物の生命活動を研究する科学である。そして、このバイオサイエンスを食品に応用する研究が行われ、それを用いた食品が実用化されている実情が存在しているところである。そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用するときには、これがバイオサイエンスを応用したものであるとの認識を与えるにすぎず、単に商品の品質を表示するにとどまるものと判断される。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」として、その出願を拒絶したものである。 3 当審の判断 本願商標は、前記1のとおりであるところ、その構成文字中下段の「BIOSCIENCE」は、「生命科学」の意味を有する英語を大文字で、上段の「バイオサイエンス」は、該英語の発音を片仮名文字でそれぞれ表示したと認められるものである。 ところで、「バイオサイエンス」(生命科学)とは、「生物の多様性よりも共通性に注目し、遺伝・発生・免疫など基本的生命現象を解明する科学。また、その成果の技術への応用、さらにそれらの社会的影響に対する倫理面からの検討をも含む総合科学」(広辞苑、「生命科学」の項参照)をいうものであり、そして、近年においては、それが益々注目されていて、作物・食品・医療等の高品質化を図るために、様々な分野において研究(遺伝子組み換え、クローン牛、遺伝子治療等)され、応用されているのが実情である。 このことは、大学や企業におけるバイオサイエンス学科、バイオサイエンス研究部又は事業部等の存在(朝日・平成1年12月16日東京版朝刊、日刊工業・平成3年10月17日、日経・平成12年4月10日大阪版夕刊、等)や「現在、国内にみられるバイオサイエンスの研究は、世界的にみても優れた研究が継続されている。特に、発酵工業を中心とした応用面ではトップレベルにあるとみられる。」(日本食糧、平成4年9月14日)、「バイオテクノロジーの発展にはバイオサイエンスの進歩が欠かせない。・・・酵母などの微生物や昆虫細胞を利用したたんぱく質の生産などにも挑戦している。」(日刊工業、平成10年3月23日)及び「基礎研究では、バイオサイエンスを国の基幹産業として強化しようとの政策論が盛り上がっている。」(日経、平成11年6月29日)等の新聞記事の記載からも是認できる。 そうとすれば、本願商標を構成する「バイオサイエンス」「BIOSCIENCE」の文字は、「生命科学」を意味する語として一般に広く知られているものということができる。 してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、取引者・需要者は、「生命科学(バイオサイエンス)を応用した商品」であること、即ち、単に商品の品質を表示したものとして把握するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。 なお、請求人は、「本願商標がその指定商品の品質等を表示するものとして一般的に使用されている事実は存在しない。」旨主張するが、商標法第3条第1項第3号における商品の品質・原材料等を表示する標章とは、商品の品質・原材料等を表示する標章として認識されるものであれば足り、その標章が現実に使用されていることは必ずしも要求されないものと解すべきであるから、請求人の該主張は採用することができない(東京高裁昭和52年(行ケ)第82号判決参照)。 さらに、甲第23号証ないし同第26号証における登録例は、その判断時点が相違するものであり、その他の各甲号証における登録例、審決例は、いずれも本件と事案を異にするものであるから、前記認定を左右するものではない。 したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-01-04 |
結審通知日 | 2001-01-16 |
審決日 | 2001-01-29 |
出願番号 | 商願平7-110663 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(029)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮川 久成、椎名 実 |
特許庁審判長 |
為谷 博 |
特許庁審判官 |
宮下 行雄 米重 洋和 |
商標の称呼 | バイオサイエンス、ビオサイエンス、サイエンス |
代理人 | 前田 和男 |