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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Z18
管理番号 1033215 
審判番号 審判1999-19176 
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-11-29 
確定日 2001-01-24 
事件の表示 平成10年商標登録願第 77974号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「PHILIPPE BALLY」の欧文字よりなり(標準文字による商標)、平成10年9月14日に登録出願され、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品とするものである。

2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、その構成中に、スイス国在の法人『バリー シューファブリケン アクチェンゲゼルシャフト』が、商品『かばん類、紳士靴、婦人靴』等に使用して著名な商標である『BALLY』の文字を有するものであるから、出願人がこれをその指定商品について使用するときは、これがあたかも前記法人、あるいはこれと何らかの関連を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定判断して、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張の主旨
本願商標は「PHILIPPE BALLY」の欧文字を横書きしてなるものであるが、これを構成する各文字は、同じ書体で、同じ大きさで表示されているものである。また、該商標を構成する「PHILIPPE」と「BALLY」の各文字は、バランスよく表示されてなるものである。そのうえ、全体としての文字構成においても、とりわけ冗長にわたるものではない。このようなことからして、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標を構成する「PHILIPPE」と「BALLY」の各文字は結合一体のものとして、構成文字全体について、無理なく自然に注意を惹かれ印象されるというべきである。それゆえ、本願商標は、これに接した場合、前半部に位置する「PHILIPPE」の文字部分を無視し、省略して、ことさら「BALLY」の文字部分を抽出して、取引に資すると解することは極めて不自然である。したがって、取引の場裡において、本願商標に接する取引者、需要者は、該商標の構成文字に照応して、「PHILIPPE BALLY」(フィリップバリー)の称呼をもって、取引に資されるといい得るものであって、単に「BALLY」(バリー)の称呼を有する引用の商標とは、何ら出所について誤認混同を生じさせるものではなく、それぞれ、判然と識別されて取引に資せられるものといえる。また、既登録例に照らしても、本願と等しく商標の構成中に「BALLY」の文字を含む商標が、本願出願と商品の区分を同じくする第18類の商品を指定商品とし、登録されている事例(甲第1号証ないし甲第4号証)が存するところである。よって拒絶理由通知書で述べられた理由によって拒絶されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
原査定において引用する「BALLY」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)は、スイス連邦シェーネンヴエルト5012に本社を置く法人「バリー シューファブリケン アクチェンゲゼルシャフト(Bally Schuhfabriken A.G.)」(以下「バリー社」という。)が、ハウスマークとして、商品「かばん類、紳士靴、婦人靴」等に使用して、本願商標の登録出願前から、著名な商標といえる。
そして、引用商標の周知著名性は、本件商標の登録出願後、現在まで継続しているものと認められる。
そして以上のことは、例えば、世界文化社1985年発行「家庭画報編 世界の特選品’86」第25頁記載の「Bally バリー(ポシェット)」(別掲引用商標1),同書第32頁記載の「Bally バリー(スイス)靴作り130年の伝統と技術を駆使して、ていねいに作られたバックはさすがバリーならではと定評があります。品質の良さとともに、女らしい柔らかい美しさを感じるショルダー。6万5千円。」、「Bally バリー(スイス)靴メーカーとして名高いバリーが、靴に合うファッション小物を作りだしたのは十数年前。手芸的な味わいのある、フェミニンなポシェットも、伝統技術と質の良さで格調高いものに。6万2千円。」、また、株式会社講談社1991年発行「’91世界の一流品大図鑑」第267頁記載の、「BALLY バリー(スイス)新素材P・V・Cにカーフをトリミングしたイニシャルバッグは、バリーの代名詞です。:ビジネスバッグ(B4サイズ可)73,000円。クラッチ46,000円(別掲引用商標2)」、そして、株式会社講談社1998年発行「世界の一流品大図鑑’98」第82頁記載の、「BALLY バリー(スイス)きめ細かな作業工程と熟練の技から生まれる信頼の品質。デザインに程よくとり入れられた現代性との調和が絶妙です。(別掲引用商標3)」に照らしても裏付けられるところである。
(2)出所の混同を生ずるおそれについて
(ア)本願商標は、「PHILIPPE」と「BALLY」の文字とが、約一文字の間隙を有して一連に表されており、視覚上、2語からなることは明らかである。
(イ)本願商標は、これ全体をもって、例えば、著名なデザイナーの姓名を表しているなど、特定の知られた意味内容を認識させ、一連不可分に認識されるものとは認められない。
(ウ)本願商標の構成後半の、「BALLY」の文字部分と、前記の周知著名な引用商標「BALLY」の綴りが同一であること。
(エ)引用商標を使用の商品は、「かばん類、靴、袋物」等であり、ファッション関連の商品といえるところ、本願指定商品中には、「かばん類」及び、トータルルックあるいはトータルファッションの面からみて、それと互いに密接な関係のある「袋物、携帯用化粧道具入れ、傘、ステッキ、つえ、乗馬用具」等が含まれている。
以上を総合すれば、本願商標をその指定商品について使用した場合、取引者、需要者は、本願商標構成中後半の「BALLY」の文字部分より、周知著名な引用商標「BALLY」を想起し、その商品が、バリー社あるいは同人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがあるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標といわなければならない。
なお、請求人は既登録例(甲第1号証ないし甲第4号証)を挙げているが、本件については、前記のように判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 引用商標1


引用商標2


引用商標3

審理終結日 2000-11-06 
結審通知日 2000-11-17 
審決日 2000-12-05 
出願番号 商願平10-77974 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Z18)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梶原 良子豊田 純一 
特許庁審判長 板垣 健輔
特許庁審判官 八木橋 正雄
上村 勉
商標の称呼 フィリップバリー、バリー、フィリップ 
代理人 岩木 謙二 
代理人 横山 勝一 

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