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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z081416182134
管理番号 1032899 
審判番号 審判1999-3332 
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-03-05 
確定日 2000-12-05 
事件の表示 平成 9年商標登録願第101823号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別掲に示すとおり、商品の包装箱にリボンを十文字状に掛け、上部に蝶結びを施した立体の形状よりなり、第8類、第14類、第16類、第18類、第21類、第34類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成9年4月1日に立体商標として登録出願されたものである。
そして、指定商品については、平成9年12月10日付の手続補正書をもって、第8類「銀製洋食ナイフ,その他のほうちょう類,銀製はさみ,その他のはさみ類,銀製ひげそり,ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,マニキュアセット,角砂糖鋏み,銀製スプーン,銀製フォーク」、第14類「時計,身飾品,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,銀製写真立て,銀製貯金箱,銀製ピルケース,銀製しおり,銀製愛玩動物用名札,銀製ゴルフ用グリーンマーカー,銀製ゴルフ用ティー,銀製がらがら,銀製ペーパーウエイト」、第16類「印刷物,写真立て,遊戯用カード,便せん,封筒,しおり,カード,筆記用具,ペーパーナイフ,その他の文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」、第18類「かばん類,銀製キーホルダー,その他の袋物,携帯用化粧道具入れ,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,愛玩動物用銀製名札,その他の愛玩動物用被服類」、第21類「ガラス製食器類,陶磁製食器,その他の食器類(貴金属製のものを除く。),アイスペール,手動式のこしょうひき,栓抜き,タルト取分け用へら,化粧用具,洋服ブラシ,靴ブラシ,靴べら,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,紙タオル取り出し用金属製箱,せっけん用ディスペンサー,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),ガラス製ペーパーウェイト,クリスタルガラス製の小立像,陶磁製の小立像」、第34類「喫煙用具(貴金属製のものを除く。)」に補正されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、リボンで縛った商品の包装箱の立体的形状からなるものであって、全体として観察しても格別特異とは認め難い商品の一包装形態を表示してなるものと認識されるに止まるものであるから、これをその指定商品に使用しても単に商品の包装の形状を表してなるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。なお、出願人は、本願商標が商標法第3条第2項に該当する旨主張しているが、提出された資料を検討しても、広告の結果、取引者、需要者にどの程度認識されているのかが不明確であり、また、同業他者や、同業組合の証明もないので、前記主張は採用することができない。」旨認定して本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張
請求人は、審査係属時における意見書および本件審判請求の理由において概要以下のように主張し、甲1号証ないし同第35号証および参考資料として審決公報の写しを提出した。
A 商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、商標法上の標章すなわち「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」の構成要素のうちの「立体的形状」のみを構成要素としているものではなく、「色彩」をも要素としているものである。
本願商標における「色彩」は、単一色ではなく、「PANTONE NUMBER 319」と「光沢のある白色」の二色の組み合わせである。この、特徴的な二色の色彩の組合わせが商標の構成要素として加わることにより、本願商標は、全体として自他商品識別力を有するものである。
立体商標登録制度導入に当たり、商標法は、第3条第1項第3号の適用につき、「識別力を有しない立体的形状と識別力を有する文字、図形等との結合からなる商標についても、立体的形状として登録できる」(「平成8年改正 工業所有権法の解説」特許庁総務部総務課制度改正審議室編……甲第1号証)ようにしたのである。従って、本願商標の如く立体的形状に加えて識別力のある色彩が商標の構成要素となっている場合には、第3条第1項第3号には該当しないのであり、登録されるべきである。
加えて、本願商標の、「PANTONE NUMBER 319」および「光沢のある白色」の二色の組み合わせは、日本国内のみならず外国においても、請求人による本願指定商品等についての永年の使用によって、需要者の間には、この色彩の組み合わせを見ただけで請求人の業務に係る商品または役務を表示するものとして、認識することができるに至っているものである。
この事実も相俟って、本願商標の色彩部分には、自他商品識別性が存在するものである。
B 商標法第3条第2項について
仮に、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであったとしても、請求人による本願商標の指定商品についての永年に亘る使用によって、需要者が、請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに到っているものであるので、本願商標は、商標法第3条第2項に該当し、商標登録を受けることができるものである。

4 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
(2)これを本願についてみるに、本願商標は、別掲に示すとおり、商品の包装箱にリボンを十文字状に掛け、上部に蝶結びを施した立体の形状よりなるものであって、これを指定商品に使用しても、商品の包装の形状の一形態を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎないとみるのが相当である。
(3)請求人は、本願商標は色彩をも構成要素としており、本願商標の如く立体的形状に加えて識別力のある色彩が商標の構成要素となっている場合には、第3条第1項第3号には該当しない旨主張している。
ところで、商標法は第2条第1項柱書きにおいて「この法律で『商標』とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下『標章』という。)であって、次に掲げるものをいう。」として商標の定義をしており、色彩も商標の構成要素としているところである。
しかしながら、色彩は、文字、図形、記号又は立体的形状と異なり、独立して構成要素とはなり得ず、文字、図形、記号、立体的形状又はこれらの結合と結合してはじめて構成要素となることができる、いわば、附随的な構成要素というべきものであり、色彩あるいは色彩の結合それ自体は、標章すなわち商標法上の商標ということはできないものであって、請求人のいうような「識別力のある色彩」というものは、現行商標法上存在し得ないというべきである。
そうとすれば、色彩、色彩の結合あるいは商標中の色彩部分そのものは、自他商品・役務の識別標識としての商標の機能を果たし得るとはいえないから、ある商標の構成要素である、文字、図形、記号、立体的形状又はこれらの結合部分に識別力がない場合には、たとえ、これに、特異な色彩が結合されたとしても、その結合の結果、自他商品・役務の識別標識たる特異な外観を呈する商標と認識されるとか、特定の称呼や観念を生じさせ、これをもって取り引きに資されるなどの特別な事情がない限り、当該商標は、原則として自他商品識別標識としての機能を果たし得る商標ということはできないものである。
よって、「立体的形状に加えて識別力のある色彩が商標の構成要素となっている場合には、第3条第1項第3号には該当しない」との請求人の主張は失当である。
なお、本願商標が上記の、特異な外観を呈するなどの特別な事情を有するものであるかどうかをみるに、本願商標に係る立体的形状に本願商標に係る色彩が結合されたことで、本願商標が識別性を有する外観をことさら呈するとは認められないものである。
また、同様に、本願商標に係る立体的形状に本願商標に係る色彩が結合されたことで、本願商標に自他商品識別標識としての特定の称呼、観念が生ずるともいえないものである。
しかも、色彩を施した包装箱にリボンを掛ける等の飾り付けは、商品の流通過程においてしばしば見受けられるところであり、この場合、これに接する需要者は、施された色彩がどのような種類の色であるか等を深く詮索せず、むしろ美感に係わる形状の一種と捉えて認識するというのが相当である。
したがって、本願商標は、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない商品の包装の形状の一形態に、色彩が結合された、全体として識別力を有しない商標であるというべきである。
なお、請求人提示の審決例は、色彩と結合した図形の配列・組み合わせの態様全体が自他商品識別標識としての機能を有するとされた事例であって、いずれも色彩そのものに識別力があるとされた事例とはいえず、本件の結論に影響を与えるものとはいえない。
(4)請求人は、本願商標が使用により自他商品識別力を獲得しており、商標法第3条第2項に該当すると主張し、甲第27号証ないし同第35号証を提出している。
しかしながら、上記各号証には、商品「イヤリング、時計、指輪、宝玉」などとともに、本願商標に近似した、リボンを掛けた包装箱が表示されてはいるものの、これが、常に同一の形状として取引者、需要者に提供されるものであるかは置くとしても、これらの商品は、この包装箱の立体的形状部分によって出所が識別されているというよりも、むしろ、甲各号証に使用されている「TIFFANY&Co.」、「TIFFANY」、「ティファニー」などの文字により出所が識別されているとみるのが自然であり、かつ、本願商標に係る立体的形状部分はプレゼント用などに極く普通に採用されている包装形態の範囲内のものといえるものであって、需要者に特に強い印象、記憶を与えているとも認め得ず、さらに、請求人の主張を証する公的機関や同業組合等による客観的な証明等もないから、これら甲各号証によって本願商標それ自体が自他商品の識別標識として認識されているとするには十分とはいえないものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第2項に該当すると認めることはできない。

5 結 論
してみれば、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備しないとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】
本願商標


(この商標はカラー写真によって表されたものであるから細部及び色彩については原本を参照されたい)
審理終結日 2000-06-21 
結審通知日 2000-07-04 
審決日 2000-07-18 
出願番号 商願平9-101823 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z081416182134)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 良弘和田 恵美 
特許庁審判長 工藤 莞司
特許庁審判官 宮川 久成
久保田 正文
代理人 河野 昭 

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