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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z25
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z25
管理番号 1032884 
審判番号 審判1999-10261 
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-06-21 
確定日 2000-12-18 
事件の表示 平成10年商標登録願第 17908号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、平成10年3月6日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を指定商品とするものである。

2 原査定の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、その構成中の欧文字『i』の部分が図案化されているものの、構成全体として普通に使用される程度に書された『spring』の文字を書してなるものであるが、該語は、『春』を意味する英語であり、本願指定商品を取り扱う業界において、『春物商品』として販売等を行っている事情もあることから、これを本願指定商品中『春物商品』例えばスプリング・コートなどに使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎない。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定判断して、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張
本願商標の構成中「i」の文字のレタリングはハート形を変形させて図案化されており、需要者に印象付ける部分である。したがって本願商標は普通に使用される程度に書されているとは言えない。そして、原審の認定のとおり「spring」は単に「春」を意味する英単語であることは認めるが、本願商標の指定商品である「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」の市場において、これらの春物商品について「spring」ということは無い。お店で「春物商品は出ていますか」と聞くことはあっても、「springは出ていますか」と聞くことは考えられない。その意味で、「spring」が「春物商品」を意味する、或いは、想起させるものであるものであるとは言い難い。また仮令、「春夏物」、「秋冬物」、「合服」、「オールシーズン用」といった表現があるとしても、このような表現がされた被服等について何ら共通の品質といえるものは存在しない。これらは、需要者の判断に委ねられているからである。
そして、「春物商品」と言った場合、これは単に春に向けて発売される新商品を意味するにすぎず、その商品が持つ本来的な性質を示すものであるとはいえない。なお、春になると、店舗、雑誌等において「スプリング・セール」「スプリング特集」なる表示が散見されるが、これらは商品を売るための方便であり、商標的な使用とは関係のないもので、これをもって「spring」が商品の品質を表示しているとはいえない。また、本願商標の指定商品である被服等自体に「春物商品」なる表示がついている場合というのはないのであるから、「spring」なる商標が当該指定商品に付されているからといって、これをもって需要者が「春物商品」であると考えることはない。また、被服等を購入する場合は、まず、そのデザインを見て、手で感触をたしかめ、試着をして等の行為を経て購入するのが普通である。したがって、「spring」を本願商標に係る指定商品中の「春物商品」以外の商品について使用した場合であっても、商品の品質を誤認するとは考えられない。
したがって、本件商標は、出願人の商品を表示するものと認識される。

4 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、「spring」の欧文字中の「i」中の縦線の上部の点に代えて、ハートを想わせる図形を表してなるものであるが、この程度のレタリングは今日通常行われている。
したがって、このように「i」の文字がレタリングされていても、これにより一般需要者が格別の強い印象を受けることはないから、本願商標は、「spring」の文字を、普通に用いられる域を脱しない方法で表したものと認められる。
また、本願指定商品「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」中、特に「被服」のデザインは、その使用時期の四季の雰囲気にこたえるものを案出し、これによって流行を生みだし、需要者もその四季各折々の着衣の時期を選んで、商品を選択している実情があるところ、本願商標の「spring」の文字は、四季のうちの「春」を意味する良く知られた英語である。そして、特に衣料品業界においては、スプリングファッション、スプリングモード、スプリンングコート、スプリングセール等の、「スプリング(spring)」を含む用語が広く使用されていることは周知の事実といえる。
そうとすると、本願商標をその指定商品、特に「被服」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「春」「春の」「春向けの」の意味で、単にその指定商品の用途表示、若しくは使用の時期を表示したものと理解するに止まるものと認められるから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当なものであって取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本願商標


審理終結日 2000-09-12 
結審通知日 2000-09-26 
審決日 2000-10-31 
出願番号 商願平10-17908 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z25)
T 1 8・ 272- Z (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 純一 
特許庁審判長 板垣 健輔
特許庁審判官 上村 勉
八木橋 正雄
商標の称呼 スプリング 
代理人 岩堀 邦男 

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