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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z37 |
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管理番号 | 1029320 |
審判番号 | 審判1999-11016 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-07-02 |
確定日 | 2000-11-29 |
事件の表示 | 平成 9年商標登録願第108108号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、商標の構成を別掲に示すものとし、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,建築設備の運転,映写機の修理又は保守,写真機械器具の修理又は保守,エレベータの修理又は保守,火災報知機の修理又は保守,機械式駐車装置の修理又は保守,浄水装置の修理又は保守,照明用器具の修理又は保守,製材用・木工用又は合板用の機械器具の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナの修理又は保守,ボ類ラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,貯蔵槽類の修理又は保守,電気通信機械器具(電話機・ラジオ受信機及びテレビジョン受信機を除く。)の修理又は保守,ラジオ受信機又はテレビジョン受信機の修理,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,電動機の修理又は保守,土木機械器具の修理又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守,家具の修理,ガス湯沸かし器の修理又は保守,加熱器の修理又は保守,なベ類の修理又は保守,金庫の修理又は保守,錠前の取付け又は修理,洗浄機能付き便座の修理,浴槽類の修理又は保守,畳類の修理,煙突の清掃,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,し尿処理槽の清掃,貯蔵槽類の清掃,道路の清掃,浴槽又は浴槽がまの清掃,電気洗濯機の貸与,床洗浄機の貸与,モップの貸与」を指定役務として、平成9年4月18日に立体商標として登録出願されたものであり、その指定役務については平成10年11月12日付手続補正書をもって第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事」と補正されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、「本願商標は、建築に用いる窓枠と窓を表したものと認識されるにとどまる構成よりなるものであるから、これをその指定役務に使用するときは、単に役務の提供の用に供する物を表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定して本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。 立体商標も商品又は役務に使用されるものでなければならないことは、平面商標と異ならないところ、建材など建築物等の構成部材も立体商標を構成し得るということができるものである。 しかしながら、商標の本質的機能は、商品・役務(以下、「役務等」という。)の出所を明らかにすることにより、自己の業務に係る役務等と他人の業務に係る役務等との質等の相違を認識させること、即ち、自他商品・役務(以下、「自他役務等」という。)の識別機能にあるということができるところ、一般的に建材など建築物等の構成部材は、当該役務の提供によりできあがる建築物等に取り付けられるものであることから、これらの形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、本来当該部材の有する機能を効果的に発揮させたり、あるいはその部材の形状の有する美感を際だたせることを目的として採択されるものであって、本来的(第一義的)には役務等の出所を表示し、自他役務等を識別する標識として採択されるものではない。 そして、当該形状を全体としてみた場合、その機能あるいは美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該役務に係わる物品の形状(例えば、当該役務提供によりできあがる建築物等に取り付けられる部材であることなど)を表示したものであると認識するに止まり、その形状が多少特異なものであっても、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない形状の域を出ないと解するのが相当である。 また、このように本来的には自他役務等を識別するための標識として採択されるものではない指定役務に関係する物品の形状よりなる立体商標については、登録によって発生する商標権が全国的に及ぶ更新可能な半永久的な独占権であることを考慮すれば、その自他役務等の識別力について厳格に解釈することが役務等の取引秩序を維持するということを通じて産業の発達に貢献するという商標法の目的に沿うものといえるところである。 そうとすれば、指定役務に係わる物品と認識される立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標のみをもって、取引者、需要者間において自他役務等の識別標識として明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、自他役務等の識別力を有しないものとして商標法第3条第1項の規定に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。 (2)これを本願についてみれば、本願商標は、建築物等に取り付けられる窓枠の形状としてその一形態を表したものとみられるものであって、これをその指定役務に使用しても、取引者、需要者は、単に、指定役務に使用される部材、すなわち当該役務の提供の用に供する物を表示したと認識するに止まるものと判断するのが相当である。 (3)請求人は、「本願商標のような特殊形状で表現されている場合には通常形態のサッシ窓とは識別可能である。」「形態を縮小モデルとして展示したり、キーホルダーなどとして無料で配布して宣伝広告のために使用することがあり得るため自他役務識別力を発揮する。」「本願商標は、その形態の特殊性ゆえ、Gマークを取得しており、Gマークが付されていない製品にはない良いイメージが形成され、他社製品との差別化が図れる。」旨主張して参考資料を提出している。 しかしながら、窓枠等の建材を取り扱う業界においては、多様なデザインの建材を採択し市場に提供することが一般に行われているところであって、それは、該建材の機能あるいは美感をより発揮させるための範囲のものというべきである。 また、建材など建築物等の構成部材を縮小モデルとして展示したり、キーホルダー等の形態に模して配布したとしても、それは指定役務の質を説明する展示あるいは指定役務に係る景品として認識されるに止まり、それをもって自他役務の識別標識としての機能を果たし得るとは認め難いものである。 さらに、出願に係る立体商標と同一の物品の形状がGマークを得ているとしても、該マークは当該物品のデザインが優れていると認定されたことを表示するものであって、そのことが直ちに本願商標に関し自他役務の識別性に影響を与えるとは認め難く、需要者もまた、指定役務に係わる物品の形状の範囲のものと認識するにすぎないというべきである。 そうとすれば、本願商標は、結局、(2)で示した指定役務の質を表示したものであると認識されるにとどまるというべきである。 そして、指定役務に係わる物品の形状であっても、使用により自他役務の識別力を取得する場合があり、そのときに、識別力を認めて登録することは前記(1)で述べたとおりであるが、請求人はこの点に関し何ら主張・立証するところがない。 4 結 論 したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別掲】 (この商標はカラー写真によって表されたものであるから細部及び色彩については原本を参照されたい) |
審理終結日 | 2000-09-19 |
結審通知日 | 2000-09-29 |
審決日 | 2000-10-12 |
出願番号 | 商願平9-108108 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Z37)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 久保田 正文、和田 恵美 |
特許庁審判長 |
為谷 博 |
特許庁審判官 |
渡口 忠次 宮川 久成 |
代理人 | 中山 寛二 |
代理人 | 木下 実三 |