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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z03
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z03
管理番号 1025954 
異議申立番号 異議1999-90809 
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-14 
確定日 2000-11-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第4243141号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4243141号商標の指定商品中「香料類 薫料」についての登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4243141号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年9月16日に登録出願され、「RELAX」の文字と「リラックス」の文字とを二段に左横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,薫料,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤 」を指定商品として、同11年2月26日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、近時一般に広く知られるようになったアロマテラピーで応用されている香りの効果を表す「リラックス」「RELAX」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるものであり、石けん類、香料類及び薫料を取り扱う業界においては、商品の有する香りの効果、効能を表示するために「リラックス」「RELAX」の語を普通に使用している事実がある。したがって、指定商品中の「リラックス効果のある香りを有する石けん類,香料類及び薫料」に使用しても、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号或いは同第6号に該当し、また、当該効能をもたない商品に使用した場合には、商品の効能について「リラックス効果を有する」との誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。


4 取消理由
本件商標は、「RELAX」と「リラックス」の文字を普通に用いられる方法で二段に横書きし、第3類「(省略)」を指定商品としてなるところ、「RELAX」は「楽をさせる」「くつろがせる」「安心させる」等を意味する英語である。
そして、近年「アロマテラピー(AROMATHERAPY)」という芳香療法が注目されているところ、これは香料(特に植物の精油)の香りを利用する健康療法であり、これら香料類の中には、「リラックス効果のある香料」が含まれている事実が申立人提出の甲各号証によって認められる。
してみれば、本件商標をその指定商品中「リラックス効果のある香料を配合した商品」、例えば「せっけん類,香料類,薫料,化粧品」等について使用しても、単にその商品の品質・効能等を表示するに過ぎないものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。

5 商標権者の意見
アロマテラピーという香料の香りを利用する健康療法があること、この療法で使用される香料の中には「リラックス効果のある香料」があることについては争わない。したがって、指定商品中「香料,薫料」については、或いは取消もやむを得ないかもしれないが、これ以外の商品については、商品の品質・効能等を表示するものとはいえない。
商標が法3条1項3号に該当するものであるか否かの検討に際しては、当然、指定商品との関係を考慮しなければならない。そして、商標が商品についての品質・効能を表示する標章のみから成り、需要者においてその商品が何人の業務に係るものであるかを認識できないため、その登録を受けることができないとされる場合の「品質・効能」というのは、需要者の社会通念上、その商品が一般に有している共通の品質・効能をいうものと解すべきである(台所用品・日用品を指定商品とする商標「FRESH」が特別顕著性を有するか否かが争われたケースについての東京高裁の判決 昭和40年4月27日言渡、行裁例集16巻5号817頁参照)。
本件商標の指定商品のうち、「香料,薫料」を除くと、香料を含むことのある商品は「せっけん類,化粧品」のみであるが、これらの商品についての需要者であって「アロマテラピー」についての知識を有している者の中には、「アロマテラピー→アロマテラピーに使用される香料→そのような香料を使用している石鹸・化粧品」という連想で商品に達することがあるかもしれないが、せいぜい、このような感じを連想させるに止まるものである。したがって、「リラックス」を以て「せっけん類,化粧品」の品質・効能を表示するものと認識するというのは飛躍し過ぎであり、本件商標は充分に登録性を具備しているものである。

6 当審の判断
本件商標は上記のとおりの構成からなるところ、「RELAX/リラックス」の語は、「楽をさせる」「くつろがせる」「安心させる」等を意味する英語、外来語として日常一般にも極めて親しまれて用いられているばかりでなく、香料類,薫料の分野においては、商品の品質・効能等を表わす語として普通に用いられているものである。
これを登録異議申立人の提出に係る証拠についてみるに、登録異議申立人日本香料工業会の提出に係る甲第4号証(フレグランスジャーナル社発行 フレグランスジャーナル1994年1月号「香りの効用の研究動向と今後の課題」)、同第5号証(フレグランスジャーナル1996年11月号「香りのストレス低減効果」)及び同第29号証(日本ヴォーグ社発行 1997年9月20日第1刷「アロマセラピー百科事典」)によれば、香料は、その香りを嗅いだ者に、不安感の低減など特定の作用や効果をもたらす機能を有していることが明らかにされており、これらの効果は脳波を測定する実験においても実証されている旨記載されている。
そして、同第20号証(フレグランスジャーナル社発行 1992年6月10日第2刷「芳香療法のすすめ-ホリスティックアロマテラピー」)、同第21号証(農山漁村文化協会発行 1992年3月30日第1刷「ハーブオイルの本」)、同第22号証(フレグランスジャーナル社発行 1996年7月25日第1版第3刷「最新アロマテラピーガイドブック」)、同第24号証(誠文堂新光社昭和63年9月30日発行「芳香健康法」)、同第25号証(フレグランスジャーナル社発行 1996年8月25日第1版第1刷「心を癒すアロマテラピー」)、同第27号証(フレグランスジャーナル社発行 平成7年9月25日初版第1刷「2週間で美しくなるアロマビューティー」)によれば、「ラベンダー、ネロリ、オレンジ、ジャスミン、サンダルウッド、ローズ、クラリセージ」等がリラックス効果をもつ香料として記載されており、又、同第28号証(フレグランスジャーナル社発行 フレグランスジャーナル1997年6月号「最近のオードトアレ・オーデコロンの開発動向」)によれば、「伽羅」という薫香にもリラックス効果があることが記載されている。
また、一般需要者の間においても、「アロマテラピー(AROMATHERAPY)」という芳香療法が注目されており、同第9号証(角川書店発行「シュシュ」1998.8.11号)には「ラベンダー…緊張や疲労した精神をリラックスさせて安眠をさそいます。」、同第19号証(オレンジページ社発行「オレンジページ」1998年9月2日号)には「殺菌作用やリラックス効果のあるエッセンシャルオイル」、登録異議申立人株式会社クロバーコーポレーション提出に係る甲第2号証(1997年1月28日付け日本経済新聞)には「ハーブなど天然植物の香りの吸引でリラックス効果」、同第3号証(1997年10月8日付け石鹸日用品新報)には「香りでリラックス、アロマテラピー…代表的効果はリフレッシュとリラックス」の如く、女性向けの雑誌や一般紙にも香料の香りにリラックス効果のあることが数多く記載されており、又、日本香料工業会の提出に係る甲第11号証(誠文堂新光社1996年12月20日発行「香りでいきいきアロマテラピー」)、同第12号証(フレグランスジャーナル社発行 昭和62年5月6日初版第1刷「実践アロマテラピー」)、同第13号証(フレグランスジャーナル社発行 平成6年12月10日第1刷「やさしいアロマテラピー」)等のアロマテラピーの入門書・解説書などにも、「リラックス効果のある香料(精油)」としてローズ、ラベンダー、ネロリ、レモンバーム等各種の香料(精油)が挙げられている事実を認めることができる。
以上の甲号各証に徴すれば、香料類、薫料のリラックス効果は、当業者ばかりでなく、一般需要者の間においても広く認識されていたものと認められるから、「RELAX/リラックス」の語は、本件商標の登録査定時には、香料類及び薫料についての品質・効能等を表わす語として、取引者・需要者間において普通に使用されていたものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、上記商品については商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その指定商品中の「香料類,薫料」についての登録を取り消すべきものとする。
しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、提出に係る証拠をもってしては直ちに商品の品質を表すものとまではいい難く、取り消すべき理由は認められないから、同第4項の規定により登録を維持する。
よつて、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-07-07 
出願番号 商願平9-157813 
審決分類 T 1 651・ 13- ZC (Z03)
T 1 651・ 272- ZC (Z03)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 小川 有三 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 滝沢 智夫
為谷 博
登録日 1999-02-26 
登録番号 商標登録第4243141号(T4243141) 
権利者 ジュジュ化粧品株式会社
商標の称呼 リラックス 
代理人 岸本 守一 
代理人 清末 康子 
代理人 渡辺 彰 
代理人 日比 紀彦 
代理人 岸本 瑛之助 

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