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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z03050608091014161718202122242526
管理番号 1025941 
異議申立番号 異議1999-91177 
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2001-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-08 
確定日 2000-09-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第4271305号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4271305号商標の指定商品中、「第18類 毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」及び「第25類 ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」についての登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4271305号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年4月1日登録出願、後掲したとおり「ブルックス ゲイト」、「BROOKS GATE」の各文字を上下二段に表してなり、第3類、第5類、第6類、第8類、第9類、第10類、第14類、第16類、第17類、第18類、第20類、第21類、第22類、第24類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年5月14日に設定の登録がされたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、その申立ての理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第15号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、指定商品中、第18類及び第25類については、商標法第4条第1項第15号又は同条同項第19号に該当し、取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1号第15号該当について
申立人(Brooks Brothers Inc.)は、1818年、Henry Sands Brooks氏が、英国の毛織物とファーニッシングを中心とする衣料品店をニューヨーク、マンハッタンに開いたことに始まる。以来、その4人の息子に受け継がれて発展し、ブルックス・ブラザーズの名称が使われるに至った。アメリカ最古のプレステージの高い専門店としてトラディショナル・スタイルのメンズウエアを中心に、ファーニッシング、アクセサリーを加えて全米19店を擁し、品質維持と差別化のため自家縫製工場をもっている。
ブルックス・ブラザーズの紳士服は3つのブランドがあり(「Own Make」、「BROOKSGATE」、「346」)、このうち、「BROOKSGATE」(ブルックスゲイト)は20代から30代前半のヤング・エグゼクティブをねらったモデルであり、スーツ、ブレザージャケット、スラックスからファーニッシングまでのトータルコーディネイト商品である。「BROOKSGATE」の「GATE」は「BROOKS・BROTHERS」の世界への入り口という意味合いである。
我が国には、古くより輸入され多くのファンを有していたが、1979年東京青山に直営店をオープンした。同時期に、「MEN’S CLUB」9月号が組んだ特集記事を甲第2号証として提出する。ここに、ブルックス・ブラザーズの歴史から商品の特徴まで詳しく紹介されている。以後、「BROOKSGATE」ブランド商品は人気を博し、若者向けの雑誌に次々と紹介された。甲第3号証として「HOT・DOG PRESS」(1981年)、甲第4号証として「HOT・DOG PRESS」(1982年)、甲第5号証として「別冊Checkmate/BLAZER/着こなし大図鑑」(1982年)を提出する。1981年、中牟田久敬著「トラディショナル ファッション/TRADEITIONAL FASHON」(タータンチェックからボタンダウンまで)が発行され、「ブルックス・ブラザーズ」のカタログ等が紹介されたので、甲第6号証として提出する。甲第7号証の1乃至7は、申立人の頒布したカタログを提出する。これは年間4万部程度印刷し、顧客に配布したものである。1990年以降は、米国の作成したカタログをダイレクトメールとして配布している。
最近雑誌等で紹介された記事には次のようなものがある。「RECRUITSTYLE BOOK/就職活動の必須アイテム大研究」(1996年)、「RECRUIT STYLEBOOK/就職活動の必須アイテム大研究」(1997年)、「CAMPUS LIFE STYLE BOOK/ひとり暮らしはじめてBOOK」(1997年)(甲第8号証乃至甲第10号証)。
甲第11号証として、現在販売されている「BROOKSGATE」ブランドの背広の写真を提出する。背広上着やジャケットには襟ネームの部分の他、袖口にタグを縫い付けているので、甲第12号証としてタグ現品を提出する。ここには「BROOKSGATE」の文字の他、「GATE」即ち「門」の図形の縫い取りがある。
1997年頃には、我が国において「BROOKSGATE」ブランドの製品を取り扱う店舗は40店舗に至っている。直営店開店以来、我が国においても順調に営業を継続し、高級紳士服の憧れのブランドとして、取引者及び需要者に広く知られ、今日に至っている。
以上の次第であって、本件商標はアメリカにおいて歴史のあるトップブランドとして周知著名な商標であるとともに、我が国においても、少なくとも平成9年4月以前より現在に至るまで、申立人の使用する商標として広く知られている。
申立人は、商標登録第1513460号を所有している。同登録商標は、商標の構成を「BROOKSGATE」とし、指定商品を旧第17類「被服(運動用特殊被服を除く)、布製身回品(他の類に属するものを除く)、寝具類(寝台を除く)」として、1982年(昭和57年)5月25日に登録されたものである(甲第13号証の1及び2)。同登録商標の指定商品である「被服や布製身回品」は本件商標の指定商品のうち、第25類「バンド、ベルト、靴類、運動用特殊被服」及び第18類「かばん類」と性格的に極めて近似する。これを裏付ける最近の傾向として、ファッションのトータル化、コーディネート化が挙げられる。即ち、或る被服がブランドを付けて発売され人気を博すると、その服に傾向を合わせたベルト、靴、鞄などが追随して同じブランドで発売され、また、タウンウエアからスポーツウエアへと発展して行くことも少なくない。
従って、たとえ商品単独では類似するとは言えないとしても、上記のように一連の商品が同じブランドで頻繁に取り扱われる現状に鑑みれば、事実上の誤認、混同の可能性は無視できない。顧客もこのような範囲での商品展開は、同一人の行うものであると認識するのが現状である。事実、申立人も古くから被服を中心に、鞄、靴等に展開していたので、その傾向を証するため昭和58年2月26日付の読売新聞の写しを甲第14号証として提出する。
以上述べたとおり、本件商標が第18類及び第25類の商品に使用された場合には、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について誤認、混同する可能性が高いと言うべきであり、その登録は上記の範囲において商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきである。
(3)商標法第4条第1項第19号該当について
本件商標は、上記のごとく、アメリカにおいて紳士服の老舗として有名な申立人ブルックス・ブラザーズの3本柱である「Own Make」、「BROOKSGATE」、「346」のうちの1ブランドである。当該商標は申立人名称の顕著な要部である「BROOKS」をそのままに含んでいる。申立人にとっては、このような重要な商標が他人に所有されることは極めて遺憾なことであり、許しがたいものと考える。
商標権者がどのような意図をもって、本件商標を出願したものか特定はできないが、少なくとも申立人が紳士服とのコーディネート上密接な関連を有するカバン類、ベルト、履物について、「BROOKSGATE」の商標を使用することができない。従って、商標権者の「BROOKS」を含む「BROOKSGATE」の出願行為には「不正の目的」が認定されてしかるべきである。
従って、本件商標の登録は、第18類及び第25類の範囲については、商標法第4条第1項第19号の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由
登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えつつ示した本件商標の取消理由(平成12年4月17日付「取消理由通知書」)は、要旨次のとおりである。
<取消理由(要旨)>
本件商標は、黒塗り矩形内に白抜きした「ブルックス ゲイト」の仮名文字及び「BROOKS GATE」の欧文字を二段書きに表してなるところ、申立人提出の甲各号証によれば、申立人がその取り扱いに係る商品「スーツ,ブレザージャケット,スラックス」等のファッション関連商品について永年使用している「BROOKS GATE(ブルックス ゲイト)」の標章(以下、「申立人商標」という。)は、本件商標の登録出願前よりこの種商品の取引者、需要者間に広く認識せられたいわゆる周知・著名な商標と認め得るものである。してみれば、申立人商標と同一の文字を表してなる本件商標をその指定商品中の主としてファッション関連分野の商品を含む第18類及び第25類に属する各商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該商品が恰も申立人若しくは申立人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、指定商品中の「第18類 毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」及び「第25類 ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
上記取消理由通知書に対して、商標権者は意見を述べるところがない。

5 当審の判断
本件商標についてしたさきの取消理由は妥当であって、本件商標の登録は、その指定商品中の第18類及び第25類に属する各商品について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ないから、申立人の述べるその余の申立理由について判断するまでもなく、結論掲記の指定商品についての登録は、同法第43条の3第2項により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 本件商標


異議決定日 2000-07-24 
出願番号 商願平9-100994 
審決分類 T 1 652・ 271- Z (Z03050608091014161718202122242526)
最終処分 取消  
前審関与審査官 山口 烈井岡 賢一 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 原 隆
高野 義三
登録日 1999-05-14 
登録番号 商標登録第4271305号(T4271305) 
権利者 株式会社ダイエー
商標の称呼 ブルックスゲイト、ブルックスゲート、ブルックス、ゲート 
代理人 島田 富美子 
代理人 島田 康男 

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