ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない 011 |
---|---|
管理番号 | 1025470 |
審判番号 | 審判1997-11769 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2001-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-07-14 |
確定日 | 2000-08-25 |
事件の表示 | 平成 6年商標登録願第 92636号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本出願に係る商標(以下、「本願商標」という。)は、「フローズンエアーサプライシステム」の片仮名文字を横書きに表してなり、第11類「冷凍機械器具」を指定商品として、平成6年9月12日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、「冷凍空気の供給システム」の意味合いを認識させる「フローズンエアーサプライシステム」の文字を横書きしてなるものであるが、これを本願指定商品の「冷凍機械器具」に使用しても、前記意味合いからそれが冷凍空気を供給する構造の商品であることを需要者は認識するに止まるものと認められるから、単に商品の構造、品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 本願商標は、前記のとおり「フローズンエアーサプライシステム」の文字を普通の書体を用いて表してなるところ、これを構成する「フローズン」、「エアー」、「サプライ」及び「システム」の各文字部分は、それぞれ「凍らせた、冷凍した(frozen)」、「空気、大気(air)」、「供給する(こと)(supply)」及び「方式、方法(system)」の意味合いをもって一般に親しまれ馴染まれている平易な外来語又は英語の片仮名表記であって、これら文字を綴った構成の全体からは、「冷風(冷気)供給方式(システム)」の如き意味合いを容易に感得し得るものと認められる。 ところで、冷凍機又は空気調和機器に関し、その種類、構造及び用途または製品事情等についてみると、(1)一般に、冷凍とは物体を環境温度以下、または普通の水、大気の温度以下に冷却することであるから、冷凍機は冷却装置ともいえる。この装置は、熱を吸収して外部を冷却する蒸発器、熱を運搬する媒体(冷媒)の温度を上げる圧縮機、熱を放出する凝縮器(再液化装置)、高温から低温へ冷媒を戻す膨張弁からなり、これらを共通の台上または枠内に組み立ててユニットとしたもので、冷蔵、冷却、凍結、空気調和などの装置に広く応用される製品であって、その種類も多く、おもな用途としては、クーラー、除湿器、ショーケース、冷蔵庫、冷水機、エアコンディショナーほか各種空気調和装置または冷蔵・凍結・冷却装置等がある。(2)近年冷凍食品の普及によって冷蔵だけでは、食品などの保存がしきれなくなり、冷凍室の必要性がさらに高まり、長期間保存できる独立の冷凍室を有する冷凍冷蔵庫が多く生産されるようになったが、初期のものに比して、最近では品物の貯蔵中でも除霜ができるものや、貯蔵中に冷凍食品に霜がつくことなく、長期間保存できるように温度制御などがうまく行われるようになっている。(3)冷凍・冷蔵ショーケースは、小売店で商品を低温で保存する冷蔵庫としての役目と、商品を陳列するディスプレーケースとしての役目をあわせもっている。したがって、ショーケース自体の形状も対象となる品物が多種多様になり、デザインも重要視されてきている。ショーケースには冷凍機が内臓されているものと、分離されているものとがあり、店舗の規模や用途によってそれぞれ使い分けられている。使用目的による分類としては、冷蔵ショーケース(温度0〜10゜C)と冷凍ショーケース(温度-12〜-25゜C)とがあり、冷却方式による分類としては、冷気、冷水を自然対流させる冷風自然対流式または冷水自然対流式のもの、あるいは、ケース内にファンを設けて冷却器と庫内を循環させる冷風強制循環式、さらには、小型の冷水ポンプを設けて冷水を強制循環させる冷水強制対流式のものがある(以上、いずれも東洋経済新聞社1996年発行商品大辞典「冷凍機,空気調和機器」の項より。)旨の解説にみられるように、冷凍機、空気調和機器または冷凍・冷蔵ショーケースは、食品保存に不可欠の機器、装置として家庭用、業務用へと広く利用されているのが実情である。 そして、前記のような冷蔵・冷凍技術の進展と普及に伴い、各種の冷凍食品の流通も極めて一般化しているのが実情であって、これらのいわゆる冷凍食品を称して、例えば、「フローズンアイス」、「フローズンヨーグルト」、「フローズンデザート」、「フローズンフルーツ」、「フローズンフード」等と呼称していることはすでに顕著な事実であって、「フローズン」または「フローズンエアー」等の用語からは、前述冷凍機器の機能特性と密接に関連づけて認識し把握されるとみるのが相当である。 以上によれば、「冷風(冷気)供給方式(システム)」の意味合いを容易に感得し得る本願商標をその指定商品(「冷凍機械器具」)について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、当該機器の構造、機能または品質(当該機器がファンまたはポンプ機構により冷風(冷気)の供給を強制的に循環させる方式のものという品質)を表示したものと理解するに止まり、それ以上に商品の出所を識別するための標識(商標)とは認識し得ないものといわなければならない。 また、この種冷風(冷気)供給方式の冷凍機械器具を取り扱う事業者であれば、「フローズンエアーサプライシステム」あるいはこれに類した用語は、誰しもその表示を必要としかつその使用を欲するものといえるから、かかるものを商標登録し、特定の者の独占的使用に委ねることは、自他商品の識別機能をその本質とする商標本来の役割並びに商標を使用する者の業務上の信用の維持・保護を図ることを旨とする商標法の法目的に照らし、妥当性を欠くものといわなければならない。 してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものといわざるを得ないから、これを理由に本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-05-09 |
結審通知日 | 2000-05-19 |
審決日 | 2000-07-06 |
出願番号 | 商願平6-92636 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(011)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 飯塚 隆 |
特許庁審判長 |
原 隆 |
特許庁審判官 |
宮川 久成 野口 美代子 |
商標の称呼 | フローズンエアーサプライシステム、フローズンエアーサプライ |
代理人 | 中尾 俊輔 |
代理人 | 伊藤 高英 |