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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない 009
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない 009
管理番号 1025455 
審判番号 審判1997-20404 
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-12-03 
確定日 2000-08-23 
事件の表示 平成 8年商標登録願第 7049号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本出願に係る商標(以下、「本願商標」という。)は、「FPU」の文字を普通の書体で横書きしてなり、第9類「光伝送装置,電気通信機械器具」を指定商品として、平成8年1月26日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、指定商品との関係において、取材現場からのテレビ中継時に使用される可搬型中継装置「field pickup unit」の略語と認識される「FPU」の文字を書してなるにすぎないものであるから、これを指定商品中上記意味合いに照応する「光伝送装置」に使用しても、単に商品の品質(機構)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記したとおり「FPU」の文字よりなるところ、該文字(語)は、例えば、日刊工業新聞社昭和60年発行ビジネスマンのための欧文略語情報辞典「FPU」の項によれば、「field pickup unit,マイクロ波送受信装置:取材現場で、テレビ中継車のアンテナと向かい合わせて送受信するアンテナ装置」と解説され、あるいは、株式会社三省堂1987年発行コンサイス外来語辞典「FPU」の項によれば、「field pickup unit,マイクロ波送受信装置、テレビ塔などに設置されるアンテナ装置で、テレビ中継車のアンテナと向かい合わせて電波を送受信する。」と解説されている如く、テレビ中継に関して前記意味合いの英略語として一般に理解し得る語と認められる。
また、該文字(語)に関し、関連用語辞典類並びに放送関連の報道記事の用例についてみると、例えば、以下の記述・解説を見出すことができる。
(1)東洋経済新報社1996年発行商品大辞典「テレビ中継装置」の項によれば、「近距離のテレビ中継用、あるいは催し物の現場などから、移動中継するためには、FPUが使われる。FPU(field pickup unit)は移動中継に使われるため、小型軽量かつ全個体化された中継装置で、・・・空中線はパラボラアンテナが使われている。・・・FPUの送信出力は1W程度、・・・」との記述をもって解説されていること。
(2)社団法人電子通信学会昭和42年発行電子通信ハンドブック「FPU」の項によれば、「FPU(マイクロ波局外中継機器)は、局外中継などを目的とするため、小形・軽量で、振動・衝撃などの過酷な条件にも耐え、性能としても、STリンクに劣らぬ特性を要求されている。この中継方式には、広くFM方式が利用され、・・・このようにマイクロ波帯を利用する理由は、・・・マイクロ波固有の特徴を生かし得るからである。・・・現在テレビ映像の移動中継業務に郵政省から割り当てられている周波数を別表『マイクロ周波数割当表』に示す」として、当時の「NHK」、「フジ」、「NET」、「NTV」、「TBS」の各免許局(放送局)のFPU業務の周波数の一覧表とともに解説されていること。
(3)日経産業新聞1987年8月5日付によれば、「ワイヤレスカメラ、撮影を機動的にーNHK、自動追尾装置開発」とする記事見出しのもと、「NHKはワイヤレスカメラ用の超小型FPU(テレビ中継用送受信機)自動追尾装置を開発した。VTRに替えて、テレビカメラに装着しケーブルの制約を受けずにスポーツや緊急取材の映像を生中継できる。」旨解説されていること。
(4)同紙1996年2月5日付によれば、「TV取材用電波機器、日立電子、アジアで拡販ー上海などに拠点新設」とする記事見出しのもと、「・・・アジアで販売を増やす製品は同社の主力製品の一つで、アンテナを搭載してテレビやラジオ放送で報道現場からマイクロ波を送信するFPU(フィールドピックアップ)装置各種。・・・FPU装置は、小型・軽量化が進みスポーツ中継での導入が促進されそうだ。・・・」旨解説されていること。
(5)同紙1998年1月20日付によれば、「長野五輪の中継、自走式カメラで臨場感ーNHKなどが開発」とする記事見出しのもと、「・・・使用するカメラは『リニアカム』と『バードカム』・・・リニアカムは二本のワイヤで支えられた台車にリモコンカメラや小型無線電送装置(FPU)を搭載した。バードカムは・・・カメラとFPUなどを搭載している。」旨解説されていること。
(6)日刊工業新聞1992年6月11日付によれば、「NHK、デジタル多チャンネルTV信号電送装置を開発」とする記事見出しのもと、「NHKは局外マイクロ波中継装置(FPU)や通信衛星一回線を用いて三チャンネル分のテレビ信号を伝送するデジタル多チャンネルテレビ信号伝送装置を開発した。・・・中継現場からの生映像に加え、スロー映像用の別角度からの映像も伝送でき、三チャンネル同時伝送による周波数の効率利用とともに、多彩な映像演出効果が見込める。開発には、日立電子が協力した。」旨解説されていること。
(7)同紙1993年6月10日付によれば、「NHK、ハイビジョンのヘリ中継に成功。デジタル式可搬中継装置を開発」とする記事見出しのもと、「NHKは、ハイビジョン対応のデジタル式可搬型中継装置(FPU)を開発し、ヘリコプターを利用したハイビジョン中継に世界で初めて成功した。・・・FPUの製作は日立電子に依頼」旨解説されていること。
(8)同紙1999年1月28日付によれば、「フジテレビ、デジタルFPU方式を中継に幅広く採用」とする記事見出しのもと、「フジテレビジョンはデジタルFPU(フィールドピックアップ)方式を幅広い分野の中継に採用していく計画である。先にハーフマラソンをデジタルFPU方式で初めて中継放送したところ、好結果を得たため。」旨解説されていること。
(9)同紙1999年11月10日付によれば、「TBS、NTTグループと共同でHDTV伝送実験」とする記事見出しのもと、「TBSはNTT、NTT東日本、NTTコミュニケーションズと共同で、光、無線による高品位テレビ(HDTV)の伝送実験「HDーWAVE」を実施する。・・・NTTの光伝送サービス「ATMメガリンク」を利用することでコストを約半分に抑えることができるとしている。」旨解説されていること。
以上の各解説又は報道記事によれば、「FPU」の文字(語)は、放送・通信の事業分野ないしは同事業関連各種機材を取り扱う取引者、需要者間において以前より「移動式中継機器又は可搬型中継機器」を指称する英語の「field pickup unit」(フィールドピックアップユニット)の英略語として、取引上普通に用いられかつ通用していたものと認められる。そして、現今の通信技術の進展に伴い、これら中継機器は当初のマイクロ波利用の伝送方式から、デジタル伝送方式又は光伝送方式へと展開している状況が顕著であって、光伝送装置、電子管等の製造を業とする請求人(出願人)(願書記載の「出願人業務」より。)を含むこの種商品の取引業界において「FPU」が前記意味合いの英略語として周知せられていたであろうことを推認するのに十分である(請求人は、請求の理由において、「FPU」が放送機器について一般的に使用されている事実は知らない旨述べている。)。
そうすると、「FPU」の文字よりなる本願商標をその指定商品(「光伝送装置,電気通信機械器具」)中の移動式中継機器又は可搬型中継機器及び同関連通信機器について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該商品の用途、機能又は品質を表示したものと理解するに止まり、これをもって商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ない。
したがって、これら法条の規定を理由に本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-04-28 
結審通知日 2000-05-16 
審決日 2000-07-05 
出願番号 商願平8-7049 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (009)
T 1 8・ 272- Z (009)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高野 義三山田 和彦 
特許庁審判長 原 隆
特許庁審判官 野口 美代子
宮川 久成
商標の称呼 エフピイユウ 
代理人 矢野 公子 
代理人 佐藤 英二 
代理人 長谷川 芳樹 

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