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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z09
審判 全部無効 外観類似 無効としない Z09
管理番号 1025193 
審判番号 審判1999-35406 
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-08-05 
確定日 2000-08-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第4247780号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4247780号商標(以下、「本件商標」という。)は、後掲したとおりの構成よりなり、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」を指定商品として、平成9年11月19日登録出願、同11年3月12日に設定登録がされたものである。

2 引用商標
請求人が本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するとして、引用する登録商標は次のとおりである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
登録第952500号商標(以下、「引用A商標」という。)は、後掲したとおりの構成よりなり、第10類「理化学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具(電子応用機械器具に属するもの及び電気磁気測定器を除く)医療機械器具、これらの部品及び附属品(他の類に属するものを除く)写真材料」を指定商品として、昭和44年3月15日登録出願、同47年2月28日に設定登録がされたものである。同じく、登録第2523868号(以下、「引用B商標」という。)は、後掲したとおりの構成よりなり、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、平成2年4月25日登録出願、同5年4月28日に設定登録がされたものである。同じく、登録第2585695号(以下、「引用C商標」という。)は、後掲したとおりの構成よりなり、旧分類第26類「印刷物、書画、彫刻、写真、これらの附属品」を指定商品として、平成2年4月25日登録出願、同5年10月29日に設定登録がされたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
登録第619183号(以下、「引用D商標」という。)は、後掲したとおりの構成よりなり、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和35年10月29日登録出願、同38年6月27日に設定登録がされたものである。同じく、登録第622881号(以下、「引用E商標」という。)は、後掲したとおりの構成よりなり、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和36年6月7日登録出願、同38年8月15日に設定登録がされたものである。

3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、図案化したローマ字の大文字「D」の起筆部を肉太の直線で表わし、その上部から右廻りに湾曲させ、終筆部を先細にはね上げたように表現した図形よりなるものである。
一方、引用A・B・C商標は、各図形商標の構成中、最も看者の注意を惹く部分は、黒く塗り潰した正方形の図形内に、図案化したローマ字の大文字「D」の起筆部を肉太の直線で表わし、その下部から、左廻りに湾曲させ、終筆部を先細に表現した部分を白抜きの如く表わしてなる「D」の文字が最も強く印象に残る部分といえる。
しかして、両者は子細にみると、ローマ字の「D」の形象において若干の相違は認められるものの、どちらか一方を反転させると、全く同一の形象となり、かかる差異は当該形状の印象にとって、微差というべきものであって、両者を識別する差異に影響を及ぼすものではないといわなければならない。
したがって、これらを時と処を異にして観察した場合には、ローマ字の大文字「D」を図案化したものとの印象において、外観上相紛れるおそれがあるといわざるをえない。
よって、本件商標と、引用A・B・C商標とは、外観上類似の商標であって、かつ、その指定商品も互いに抵触は免れないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用D商標及び引用E商標は、請求人の代表的出所標識の一つとして、本件商標の出願前より、請求人の業務に係る商品に継続使用され、需要者間に広く認識されているものである。とりわけ、引用E商標は、既に24区分に防護標章登録がなされている(甲第6号証)ほか、本件商標の指定商品の分野(第9類の全商品)においても、その著名性が認知され、これを他人がその指定商品に使用すれば商品の出所の混同を生じると特許庁が認定しているところであり(甲第7号証)、あらためて引用E商標の著名性を立証した書面を提出するまでもなく、著名であることが特許庁において顕著な事実であるといえる。
そして、本件商標と引用E商標は、それぞれ前記のとおりの構成よりなるところ、その「D」文字の形状、及び図案化の特徴において共通するところがあり、全体的イメージにおいて酷似しているものであることは前述したとおりである。
よって、以上のような事情からみるとき、この両商標は常に細心の注意を払って観察すればともかく、卒爾の間互いに見誤るおそれがある程度に相紛らわしく、本件商標に接する需要者は、請求人あるいは請求人の関連ある者の取扱いにかかる商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、アルファベット「D」の下部を接点(ニック)せずに曲線部(ボール)を幹線(ステム)下部を回るが如く末尾(テール)状に肉太線によりレタリングされ概形が卵状の図形として看取されるものである。
一方、引用A商標は、天体軌道或いは原子模型と思しき図形の中央部に、同じく、引用B商標及び引用C商標は、上部が切断された円的図形の切断された箇所に、各々黒く塗り潰した正方形内に、アルファベット「D」の上部をニック(接点)せずに曲線部(ボール)を馬蹄形状に描き白塗り又は白抜きした肉太のレタリング文字を配し、これら複数の図形要素を結合して全体がまとまりよく構成された図形よりなるものである。
そこで、本件商標と引用A・B・C商標を比較すると、両者はレタリングされたアルファベット「D」の文字を表現又は一部に有してなるとしても、レタリング手法の相違に加え、単にアルファベット「D」をレタリングした本件商標と他の構成要素とを結合して全体がまとまりよく表わしてなる図形として看取させる引用A・B・C商標の該レタリングされた部分のみを捉えてみても、その黒く塗り潰した正方形と結合された構成において顕著な外観上の差異を有するから、看者に与える印象は著しく相違するものである。そして、これらを反転させた形象をもって取引に資する実情も見出せない。
したがって、本件商標と引用A・B・C商標とは、外観上相紛れるおそれのないものというのが相当である。
また、本件商標と引用A・B・C商標は、特定の観念、称呼を生ずるものでないから、この点においては比較することができない。
その他、本件商標と引用A・B・C商標とを類似のものとすべき事由は見出せない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、引用D商標及び引用E商標は、本件商標の出願前より、出所標識の一つとして、請求人の業務に係る商品(薬剤など)に継続使用され、需要者間に広く認識されているものであり、あらためて引用E商標の著名性を立証する書面を提出するまでもなく、著名であることは顕著な事実である旨主張している。しかしながら、その事実を具備するに至ったと認めるに足りる具体的な証拠の提出がないものであるから、少なくとも、引用D商標が単独で使用され著名性を得ているものと認めることはできない。
また、請求人の業務に係る商品(薬剤など)について引用E商標の著名性を認め得るものであるとしても、本件商標は、前記した構成よりなるのに対し、引用E商標は、黒く塗り潰した正方形内に、アルファベット「D」の上部を接点(ニック)せずに曲線部(ボール)を馬蹄形状に描き、これを白塗りにより表わされた肉太のレタリング文字を配してなるものである。
してみれば、本件商標と引用E商標の構成は、前記した如く外観上の差異をもって看者の受ける印象は相違するものであって十分に区別し得るものである。
そして、引用E商標を反転させた形象にまで著名性を認め難く、かつ、一般の取引の場において反転させた形象をもって記憶、印象付けてこれに資するものとはいえない。
そうとすれば、本件商標を指定商品に使用した場合、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。
(3)結論
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号並びに同第15号の何れにも該当するものではないから、結局、本件商標の登録は、商標法第46条第1項の規定によって無効とすることはできない。
別掲 本件商標




引用A商標(色彩は原本を参照されたい。)


引用B商標、引用C商標


引用D商標


引用E商標(色彩は原本を参照されたい。)

審理終結日 2000-05-31 
結審通知日 2000-06-09 
審決日 2000-07-04 
出願番号 商願平9-178728 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (Z09)
T 1 11・ 261- Y (Z09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 高野 義三
芦葉 松美
登録日 1999-03-12 
登録番号 商標登録第4247780号(T4247780) 
代理人 大房 孝次 
代理人 角田 嘉宏 
代理人 白濱 國雄 

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