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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) 018 |
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管理番号 | 1019089 |
異議申立番号 | 異議1998-92239 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2001-01-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-12-18 |
確定日 | 2000-04-15 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4181084号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4181084号商標の登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4181084号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年12月5日に登録出願され、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具人れ,鞄金具,がま口口金具,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成10年8月28日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立の理由 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第47号証(枝番号を含む。)を提出した。 平成9年11月13日に登録出願され、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第3類「香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成10年3月27日に設定登録された登録第4127857号商標(以下、「引用商標」という。)は、申立人の業務に係る商品「主としてメーキャップ用品(「M.A.C製品」という。)」について使用され、該商品は、1985年にその企画、製造及び販売を開始、ニューヨークのおしゃれデパート「ヘンリ・ベンデル」を発信地として、瞬く間にアメリカ、カナダ、イギリス、香港等の数多くの有名デパート及びM.A.C製品専門の小売店において販売されるようになり、大メーカーの化粧品をしのぐ人気を獲得するに至っている。日本においては、M.A.C製品の本格的な輸入販売は、平成10年4月、新宿の伊勢丹デパートをはじめとする5店舗で開始されたが、これに先立ち、遅くとも1992年頃には、若い女性の間で人気のある雑誌「JJ」において、海外のスーパーモデルに人気の高い化粧品として既に紹介され始め、その後、同雑誌だけでも、本件商標の登録出願日前である平成8年11月末まで、M.A.C製品を繰り返し紹介又は特集しており、さらにはJJを含めて36誌にも及び各雑誌において、繰り返しM.A.C製品が紹介又は特集され、M.A.C製品及び「M.A.C」は、本件商標の登録出願時までに需要者の間に広く周知、著名となっていたものであり、「M.A.C」は、申立人の名称の略称としても著名になっていたものである。しかして、本件商標は、申立人の名称の著名な略称「M.A.C」を含み、申立人の承諾を得ていないものであり、また、本件商標は、引用商標に類似し、これを本件商標の指定商品について使用するときは、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあり、さらに、商標権者は、申立人の著名な商号の略称を含む商標につき、様々な類について商標登録出願を行っていることからすれば、申立人が本件商標の指定商品について商標登録出願をしていないことを奇貨として、申立人に係る引用商標の著名性を利用した営業を企画するか、申立人に高額で買い取らせるため、又は引用商標の出所表示機能を希釈化させるため等の不正の目的をもって、本件商標の登録出願をなしたものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。 3 当審において通知した取消理由 本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき取り消すべきものと認めるとして、当審において通知した取消理由の概要は以下のとおりである。 申立人の提出した甲号各証によれば、申立人の使用に係る引用商標は、申立人の業務に係る「メーキャップ化粧品」等の商標として、本件商標の登録出願の時前にアメリカ、カナダ、イギリス、香港及び我が国において需要者の間に広く認識されていたものであるところ、本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであり、その構成中の「MAC」を図案化した部分は、同一の構成よりなるものであって、偶然の一致とは認められないものであるから、商標権者は不正の目的をもって使用するものといわざるを得ない。 4 商標権者の意見 商標権者は、取消理由通知に対し、以下のように意見を述べた。 本件商標の出願については、商標権者の出願が申立人の出願より約1年早い訳で、何等問題にはならない訳である。 申立人は、商標権者の商標の出願前に雑誌で紹介され公知であると言及している。申立人の他の商標登録第4025320号、同登録第4028328号、同登録第4028329号の出願日は、商標権者の商標より、約1年早く出願された事は認めるが、登録されたのは、商標権者の出願より1年近く遅いものである。即ち商標権者は申立人の商標の出願を知らずに出願した事になる。 MACに付いて、商標権者のものと、申立人のものとは似ている事は大筋に於いて認めるが、申立人の商標登録第4139137号は、引用商標に比べて、「M.A.C」の「A」の真ん中の「-」が無い態様になっている。 しかも出願が2年早い。引用商標が商標登録第4139137号と同日に出願されていたならば、問題が起こらなかった訳である。 換言すれば、商標登録第4139137号より約1年遅れて商標権者が出願し、1年9ケ月後に登録された。引用商標は商標権者より約1年遅れて出願された。これについて、申立人は引用商標は公知公用だったと主張するが、それならば、引用商標は商標登録第4139137号と同日に出願すべきだったと、商標権者は主張したい。 また、商標権者の下段に書かれた「MAKEUP ART COLLECTION」は、申立人の「MAKEUP ART COSMETICS」のGOOD WILLを損ね、商標を希釈化・DILUTIONするとの事であるが、商標権者は、申立人会社を知らずに会社を創業した株会社メイク・アップ(設立1986年)と共に、有限会社トタンプクリエイトと「化粧品小売店」に関する業務提携をしているものである。 申立人の makeup art cos metics は「化粧品の化粧技術」であり、普通名詞と普通の動詞の組み合わせである。 一方、商標権者の makeup artcollection は「化粧技術の集合・寄せ集め」 という意味になる。 商標法第4条第1項第19号は「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的を言う)をもって使用するもの」であるが、株式会社メイク・アップの業績を上げる目的で、「1)化粧品の卸し、小売 2)化粧品の輸入 3)化粧品の製造 4)前記の付帯関連する一切の事業」を行う為に、企業名の「メイク・アップ」に続いて、普通名詞を二つ付加したもので、商標に於いては「MAC」は類似と見なされるかも知れないが、COLLECTIONは商標権者の独創であり、商標の類似に当たらないものである。 最後に指定商品について述べると、第18類の指定商品の中で商標権者の 「携帯用化粧道具入れ」は商品の類似に該当するかも知れないが、商標権者は指定商品の「携帯用化粧道具入れ」については、減縮するものである。 よって、商標権者は株式会社メイク・アップと提携して、化粧品や医薬品を販売、輸入、製造する為に、商標権を取得する者で、奇貨(「奇貨・利用すれば意外の利を得る見込みのある物事や機会」)を目的とする者ではない。 加えて指定商品の第18類においては「化粧品」は含まれていない。 商標権者は本件商標と引例の商標の類似については、詳述しないが、その指定商品中「携帯用化粧道具入れ」については、指定商品の類似及び商品の出所混同を招く恐れがあるので、商標権者は使用する意思はなく、「かばん類、袋物、鞄金具、がま口口金、乗馬用具、愛玩動物用被服類」にのみ限定して使用する事に決定したので、指定商品並びに商品の類似及び商品の出所混同は取り除かれたものである。 5 当審の判断 申立人の提出に係る甲号各証によれば、申立人の使用に係る引用商標は、「メーキャップ化粧品」等の商標として、カナダ、アメリカ、ロンドン、ホンコン等、世界中に広がる人気商品となっていたものであることを認めることができる。 そして、我が国においても、本件商標の出願前から、「J.J」をはじめ、数多くの雑誌において繰り返し紹介又は特集され、取引者・需要者の間に於いて広く知られていたものであることを認めることができる。 しかして、本件商標の構成中の「MAC」の欧文字は、別掲(1)のとおり、その装飾の仕方が細部に至るまで特徴のある引用商標と全く同一の態様からなるものであり、しかも、下段に書された「MAKEUP ART COLLECTION」の文字も申立人の取り扱いに係るメーキャップ化粧品に関係しているもののごとく認識させるものであり、かつ、その指定商品も申立人が現に販売している携帯用化粧道具入れを含むものである。 してみれば、本件商標は、引用商標と偶然に一致したものとは考え難く、商標権者は、本件商標が他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一若しくは類似の商標であることを承知のうえ、当該商標が未だ登録されていないことを奇貨として外国権利者の国内参入を阻止し、又は国内代理店契約を強制する目的、又は引用商標の顧客吸引力を希釈化若しくは便乗し不当な利益を得る等の目的のもとに出願し、権利を取得したものと推認せざるを得ないところであるから、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標に該当するものといわなければならない。 なお、商標権者は、意見書において種々述べているが、引用商標が本件商標登録出願前に需要者の間に広く認識されていたものであること前述のとおりであるところ、引用商標に係る商品と同一の商品を取り扱う同業者といい得る商標権者が引用商標の存在を知らなかったとは到底認め難いというを相当とするから、引用商標の出願日が本件商標の出願日より後であることをもって、本件商標の出願が正当な行為であるとは認め得ないものであること前述のとおりであり、引用商標と全く同一の態様の図案化「MAC」をその構成に有する本件商標を出願し、登録を受け使用することは、不正の目的をもってなしたものといわざるを得ない。 商標権者は、その指定商品中の「携帯用化粧道具入れ」以外の商品について使用する旨述べるところあるが、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する者をして申立人又は申立人と何らかの関連を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じせしめるおそれがあるものであり、引用商標のいわゆる顧客吸引力を利用しようとするもので、その行為は不正な利益を得る目的、又は引用商標の顧客吸引力を希釈化させる等不正の目的で使用するものといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであり、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (2)引用商標 |
異議決定日 | 2000-03-28 |
出願番号 | 商願平8-140186 |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Z
(018)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 飯島 袈裟夫 |
特許庁審判長 |
大橋 良三 |
特許庁審判官 |
小林 薫 茂木 静代 |
登録日 | 1998-08-28 |
登録番号 | 商標登録第4181084号(T4181084) |
権利者 | - |
商標の称呼 | エムエイシイ、マック、メークアップアートコレクション、メーキャップアートコレクション |
代理人 | 高橋 美智留 |
代理人 | 福島 栄一 |