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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) 018 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) 018 |
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管理番号 | 1019076 |
異議申立番号 | 異議1999-90145 |
総通号数 | 13 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2001-01-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-01-27 |
確定日 | 2000-05-15 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4195325号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4195325号商標の登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4195325号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年10月3日に登録出願され、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第18類「鞄類,袋物,携帯用化粧道具人れ,かばん金具,がま口口金具,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成10年10月9日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立の理由 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第47号証(枝番号を含む。)を提出した。 平成9年11月13日に登録出願され、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第3類「香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成10年3月27日に設定登録された登録第4127857号商標及び「M.A.C」の文字よりなる商標(以下、これらを合わせて「引用商標」という。)は、申立人の業務に係る商品「主としてメーキャップ用品(「M.A.C製品」という。)」について使用され、該商品は、1985年にその企画、製造及び販売を開始、ニューヨークのおしゃれデパート「ヘンリ・ベンデル」を発信地として、瞬く間にアメリカ、カナダ、イギリス、香港等の数多くの有名デパート及びM.A.C製品専門の小売店において販売されるようになり、大メーカーの化粧品をしのぐ人気を獲得するに至っている。日本においては、M.A.C製品の本格的な輸入販売は、平成10年4月、新宿の伊勢丹デパートをはじめとする5店舗で開始されたが、これに先立ち、遅くとも1992年頃には、若い女性の間で人気のある雑誌「JJ」において、海外のスーパーモデルに人気の高い化粧品として既に紹介され始め、その後、同雑誌だけでも、本件商標の登録出願日前である平成8年11月末まで、M.A.C製品を繰り返し紹介又は特集しており、さらにはJJを含めて36誌にも及び各雑誌において、繰り返しM.A.C製品が紹介又は特集され、M.A.C製品および引用商標「M.A.C」、「MAKEUP ART COSMETICS」及び「メークアップ アート コスメティックス」は、申立人の名称の略称として、本件商標の登録出願時までに需要者の間に広く日本国内の需要者及び取引者間に認識されていたものである。しかして、本件商標は、申立人の名称の著名な略称「M.A.C」、「MAKEUP ART COSMETICS」及び「メークアップ アート コスメティックス」を含み、申立人の承諾を得ていないものであり、また、本件商標は、引用商標に類似し、これを本件商標の指定商品について使用するときは、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあり、さらに、商標権者は、申立人の著名な商号の略称を含む商標につき、様々な類について商標登録出願を行っていることからすれば、申立人が本件商標の指定商品について商標登録出願をしていないことを奇貨として、申立人に係る引用商標の著名性を利用した営業を企画するか、申立人に高額で買い取らせるため、又は引用商標の出所表示機能を希釈化させるため等の不正の目的をもって、本件商標の登録出願をなしたものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。 3 当審において通知した取消理由 本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき取り消すべきものと認めるとして通知した取消理由の概要は以下のとおりである。 申立人の提出した甲号各証によれば、申立人の使用に係る引用商標は、申立人の業務に係る「メーキャップ化粧品」等の商標として、本件商標の登録出願前にアメリカ、カナダ、イギリス、香港及び我が国において需要者の間に広く認識されていたものであり、また、「M.A.C」の文字は、申立人の略称の一つとしても著名になっていたものと認めるのが相当であるところ、本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであり、その構成中の「M.A.C」の文字部分は、申立人が「メーキャップ化粧品」等に使用している著名な商標であり、かつ、申立人の商号の著名な略称でもある「M.A.C」とその綴字を同じくするものであり、しかも、上段部分に書された「MAKEUP ART COSMETICS」の文字部分は、申立人の商号の略称と同一のものであるから、本件商標は、他人の名称の略称であって、著名な略称を含み、かつ、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、容易に申立人の使用する商標を想起し、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 4 商標権者の意見 商標権者は、取消理由通知に対し、以下のように意見を述べた。 商標権者は、本件商標の出願当時、申立人であるメークアップ アート コスメティックス インコーポレーテッド 及びその商標については、「無知」でしかも「不知」であった。 本件商標の出願については、商標権者が調査した所、引用商標が出願されていなかったので出願したものである。 商標権者は、申立人会社を知らずに会社を創業した株会社メイク・アップ(設立1986年)と共に、有限会社トタンプクリエイトと「化粧品小売店」に関する業務提携をしているものである。 本件商標構成中の「MAKEUP ART COSMETICS」は普通名詞と普通の動詞の組み合わせである。 商標法第4条第1項第8号は「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標」、同法第4条第1項第15号は「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」であるが、株式会社メイク・アップの業績を上げる目的で、「1)化粧品の卸し、小売 2)化粧品の輸入 3)化粧品の製造 4)前記の付帯関連する一切の事業」を行う為に、企業名の「メイク・アップ」に続いて、普通名詞を二つ付加したもので、商標に於いては「MAC」は類似と見なされるかも知れないが、指定商品が違うことにより商品の出所混同は起こらないものである。 少し著名な商標が総ての指定商品で登録されるとは限らず、「日本一」、「味一番」、「味の友」、「元気・元気の素」「生きがい・いきがい」、「万能」、「世界一・ワールドワ/ONE WORLD」などの商標がそれぞれ複数の者により登録されている。 最後に指定商品について述べると、第18類の指定商品の中で商標権者の 「鞄類、袋物、携帯用化粧道具入れ」は商品の類似に該当するかも知れないが、商標権者はこれらの商品については使用しないものである。 よって、商標権者は株式会社メイク・アップと提携して、化粧品や医薬品を販売、輸入、製造する為に、商標権を取得する者である。 5 当審の判断 申立人の提出に係る甲号各証によれば、申立人の使用に係る別掲(2)のとおりの構成よりなる引用商標は、「メーキャップ化粧品」等の商標として、カナダ、アメリカ、ロンドン、ホンコン等、世界中に広がる人気商品となっていたものであることを認めることができる。 そして、我が国においても、本件商標の出願前から、「J.J」をはじめ、数多くの雑誌において繰り返し紹介又は特集され、取引者・需要者の間において広く知られていたものであることを認めることができる。 そうとすれば、申立人の使用に係る引用商標は、本件商標の登録出願時には、既に、申立人の業務に係る商品「メーキャップ化粧品」等の商標として取引者・需要者の間において広く認識されていたものであり、また、「M.A.C」の文字は、申立人の略称の一つとして著名になっていたものとみるのが相当である。 しかして、本件商標構成中の「M.A.C」の文字部分は、申立人が「メーキャップ化粧品」等に使用している著名な商標であって、かつ、申立人の名称の著名な略称でもある「M.A.C」とその綴字を同じくするものであり、しかも、上段に書されている「MAKEUP ART COSMETICS」の文字部分は、申立人の商号の略称と同一のものであり、その下段の「メークアップ アート コスメティックス」の文字部分は、上段の欧文字の読みを表す振り仮名と認められる。 してみれば、本件商標は、他人の名称の略称であって著名な略称を含むものといわなければならない。 また、本件商標の指定商品と引用商標に係る商品とは、ともにファッションに関連する商品であり、その需要者層を共通にし、密接な関係を有するものであるばかりでなく、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている引用商標と類似の商標であることから、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、引用商標を連想、想起し、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと言わなければならない。 なお、商標権者は、意見書において種々述べているが、引用商標が本件商標登録出願前に需要者の間に広く認識されていたものであること前述のとおりであり、引用商標に係る商品と同一の商品を取り扱う同業者といい得る商標権者が引用商標の存在を知らなかったとは到底認め得ないものというを相当とするから、引用商標の出願日が本件商標の出願日より後であることをもって、本件商標の出願が正当な行為であるとは認め得ないものである。 さらに、商標権者は、同一又は類似の商標が商品の相違により登録されている事例を挙げて、その指定商品中の「鞄類,袋物,携帯用化粧道具入れ」以外の商品について使用するので混同を生ずるおそれはない旨述べるところあるが、本件とは事案をを異にし、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する者をして申立人又は申立人と何らかの関連を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じせしめるおそれがあるものであること前述のとおりであるから、商標権者の意見は採用できない。 したがって、 申立人の主張する他の理由について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものであり、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (2)引用商標 |
異議決定日 | 2000-03-28 |
出願番号 | 商願平8-111850 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(018)
T 1 651・ 23- Z (018) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 岩浅 三彦、深沢 美沙子 |
特許庁審判長 |
大橋 良三 |
特許庁審判官 |
小林 薫 茂木 静代 |
登録日 | 1998-10-09 |
登録番号 | 商標登録第4195325号(T4195325) |
権利者 | - |
商標の称呼 | メークアップアートコスメティックス、エムエイシイ、マック |
代理人 | 福島 栄一 |
代理人 | 高橋 美智留 |