• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 更新登録無効(全部) 商21条1項2号登録商標の不使用 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 103
管理番号 1015181 
審判番号 審判1996-12485 
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 1996-07-24 
確定日 2000-01-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第1656534号商標の商標権の存続期間の更新登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1656534号商標権の存続期間の更新登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1656534号商標(以下、「本件商標」という。)は、「カラータッチ」の片仮名文字を書してなり、第3類「つや出し剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和53年3月18日に登録出願、同59年2月23日に登録され、その後、平成6年7月28日に商標権の存続期間の更新登録(以下「本件更新登録」という。)がなされ、現に有効に存続しているものである。
2 請求人の主張及び弁駁
請求人は、「本件商標について為した平成6年7月28日付けの存続期間の更新登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の要旨を次のとおりに述べ証拠方法として甲第1号証ないし同第25号証(枝番号を含む)を提出している。
(1)請求の理由
被請求人は、平成6年2月16日に本件商標に係る商標権存続期間更録出願(商願平6-705349号)(甲第20号証)をなした。その際、商標の使用の事実を示す書類として、商品「自動車タイヤ用塗料」の写真(同号証3頁目)を提出した。
しかしながら、甲第3号証ないし同第17号証の報告書及び各証明書において明らかなとおり、被請求人が平成6年当時又はそれ以前において、前記商品を現実に製造し又は販売したことがあるとの事実は全く存在しない。
(2)弁駁
被請求人は、本件商標の更新登録時に本件商標を使用していた証拠として乙第1号証ないし乙第8号証を提出している。しかしながら、被請求人を原告とし請求人を被告とする大阪地方裁判所平成8年(ワ)第6551号商標権侵害行為差止等請求事件(以下、「別件訴訟」という。)の審理及び証拠調べ過程において、被請求人が提出している上記の証拠のうち乙第1号証ないし第7号証は、別件訴訟における請求人の主張(商標権更新登録無効の主張)に対抗するために、別件訴訟の提起後に作成されたものであることが明らかとなったものである。以下に、その経緯及び理由を述べる。
乙第1号証の報告書には、(株)サンワが平成5年4月頃に作成したとするラベルが添付されているが、被請求人が使用見本として特許庁に提出した写真のラベルとは異なったものである。
甲第22号証の1及び2は、被請求人が本件商標の更新登録時に使用見本として提出した写真をカラー撮影したものである。また、甲第23号の1及び2は、甲第22号証の1及び2の写真を拡大したものであり、甲第24号証は乙第1号証に添付されたラベルの写しを拡大したものである。これらを比較してみると、甲第23号証の1の「PAINT」の文字部分の下部に小さく「タイヤペイント」と記されているが、その位置が甲第24号証の「タイヤペイント」の位置と異なっている。また、「TIRE」のうち「T」及び「カラータッチ」の「カ」の位置も異なっている。さらに、甲第23号証の2と甲第24号証を比較すると、「火気注意」の文字間隔が明らかに異なっている。上記の違いは何を意味するかといえば、甲第20号証の写真にあるような商品は現実には存在しなかったということである。被請求人は、本件商標の更新登録時にその商標を実際に使用していなかったために、形だけ甲第20号証の写真にある商品を作成し、その写真を使用見本として提出したのである。
その外にも、被請求人が本件カラータッチを平成5年の更新登録出願時に製造販売していたとする主張には幾多の矛盾点が存在する。それらを列挙すると▲1▼現在市販されている商品には全てバーコードが付されているが本件カラータッチには何らバーコードが付されていない。▲2▼被請求人の主張によれば本件カラータッチは4色からなるとのことであるが、商品コードは1つしか使用されていない。▲3▼本件カラータッチは、被請求人がゲインズ社のために製造しているタイヤペイント製品と全く同じデザインであり、ゲインズ社に断ることもなく使用されゲインズ社のための色目シールがそのまま流用されている。▲4▼被請求人は、本件カラータッチを200本製造し、その内合計110本を販売したとしているが、それらの110本でさえ、最終消費者には渡らないかたちで、全て廃棄されてしまっている。
請求人の上記各主張は、別件訴訟における請求人(被告)の第3準備書面に詳述されているところであり、当該書面の写しを甲第25号証として提出する。
したがって、本件商標の更新登録は、商標法19条2項ただし書2号の規定に違反して為されたものであり、同法48条1項1号の規定により無効とすべきものである。
(3)請求の利益について
なお、請求人は、「COLOR TOUCH」の文字及び「カラータッチ」の文字よりなる商標をそれぞれ商品「自動車補修用塗料」について使用中のところ、被請求人により、本件商標の存在を理由として前記商標の使用の差止及び損害賠償請求の本案訴訟を提起され、更に仮処分を申し立てられた(甲第2号証)。
従って、請求人は、本件審判について請求の利益を有する者である。
3 被請求人の答弁及び再答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たないとの審決を求めると答弁及び再答弁し、その要旨を次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第14号証(枝番号を含む)を提出している。
(1)答弁
被請求人は、本件商標を付した「自動車タイヤ用塗料」(「タイヤペイント」と称されているので以下「タイヤペイント」という。)を平成5年1月頃200本製造し、これを株式会社ナニワに対して95本、株式会社サンクリエイテイブDIYに対して15本販売している。
この事実は、以下の各証拠からも明らかである。
乙第1号証は、製品本体に貼付するタイヤペイントのラベルを製作し、被請求人に納品した株式会社サンウの営業部長宝子冨雄の報告書であり、乙第2号証は、その際製作されたタイヤペイントのラベルの写しである。
乙第3号証は、本件商標を付したタイヤペイント95本を被請求人から販売譲渡を受けた株式会社ナニワの取締役部品部長川那辺泰昌の報告書であり、乙第4号証は、右譲渡の納品書(控)、受領書である。
乙第5号証は、同じく本件商標を付したタイヤペイント15本を被請求人から販売譲渡を受けた株式会社サンクリエイティブDIYの取締役部長城田保司の報告書であり、乙第6号証は、上記譲渡の際の納品書(控)、受領書である。
以上のように、被請求人が、本件商標を付した「自動車タイヤ用塗料」を実際に製造し、販売していたことは上記各証拠からも明らかであり、請求人の審判請求は成り立たない。
(2)再答弁
請求人は、乙第1号証のラベルと、被請求人が使用見本として特許庁に提出した写真のラベル(甲第20、22号証)の細部が若干違うことを指摘し、「被請求人は本件商標の更新登録時に形だけ甲第20号証の写真にあるような商品を作成して、その写真を使用見本として提出し、その虚偽の使用見本を作成提出した事実を糊塗するために、別件訴訟が開始された後に乙第1号証にあるようなラベルを作成した。」と断言する。
しかしながら、乙第1号証のラベルと使用見本として特許庁に提出した写真のラベルとの間に相違が生じたことについては、ラベル試作段階において作成した試作ラベルを貼った製品が、ラベル完成品を貼った製品に混入してしまい、本件商標の更新登録時に被請求人が更新登録の手続担当者に誤ってラベル試作品を貼った製品を渡してしまったというものである(乙第9号証、乙第13号証)。
さらに、本件商品カラータッチにバーコードが付されていないこと、本件商品は4色あるにもかかわらず商品コードが一つしかないこと、本件商品カラータッチはゲインズ社のタイヤペイントと同じデザイン、色目シールが流用されていること等矛盾があると主張しているが、本件商品のように、試験的に比較的少量しか販売されない商品にてついては、商品開発、販売、管理に過分なコストや手間をかけられないのは性質上止むを得ないものである。
なお、本件商標の使用の事実は乙第1号証の納品書における「タイヤペイントカラータッチ8ml」、乙第3号証、乙第4号証の納品書、受領書、乙第5号証の納品書、受領書における「タイヤペイントカラータッチML」と言う表示から明らかである。
さらに、本件商標を使用した商品カラータッチは相当数実際にガソリンスタンドで販売されている。しかも、商標法上の商標の「使用」には当該商標を付すること、商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示することによって充足されるものであり、当該商品が最終需要者たる消費者に渡るか否かは問題でない。
以上のように、被請求人が本件商標更新登録出願前3年以内に本件商標を指定商品に使用した事実は明らかであり、請求人の本件審判請求は成り立たない。
4 判断
本件更新登録は、平成6年2月16日付の商標権存続期間更新登録願(以下「本件更新登録出願」という。)に基づいてなされたものであり、本件商標の本件更新登録前3年以前の使用の有無の事実は添付された登録商標の使用説明書及び商標の使用の事実を示す書類(写真)により認定されたものである。
そこで、先ず、本件更新登録出願と同時に提出されている登録商標の使用説明書をみるに、当該使用説明書において、被請求人(本件更新登録出願人)は、本件商標を商品「自動車タイヤ用塗料」について大阪市中央区南新町1丁目4番6号において現在も使用中であることを述べ、商標の使用の事実を示す書類として「商標が付された写真」(平成6年2月14日に大阪市中央区石町2丁目2番2号株式会社サンクリエイティブハウス内の久安敏彦が撮影)が添付されている。当該写真には「TIRE PAINT」「タイヤペイント」、「カラータッチ」、「SOFT 99 corporation」等の文字が表示されており、これらの各表示は、それぞれ商品の普通名称、商標、製造者または販売者と認められるものである。ところで、被請求人が本件商標更新登録出願と同時に提出している登録商標の使用説明書に添付されている「カラータッチ」の商標の付されている商品「自動車タイヤ用塗料」の写真と、同製品の製作を依頼され、該製品を納入したゲインズ社の「カラータッチ」の商標が付された商品とは1文字のズレ等がありゲインズ社の商品とは異なる商品と認められる。
次に、被請求人は、本件更新登録出願に添付した本件商標の使用の事実を示す資料を補充するものとして、本件審判において乙第1号証ないし同第14号証を提出している。そのうち、乙第1号証及び乙第2号証は、本件商標の使用に係る商品「自動車タイヤ用塗料」のラベルを作成した株式会社サンウの報告書と当該ラベルの写し及び日東化学株式会社(株式会社ソフト九九コーポレイションの旧名称)宛納品書の写しである。これより、平成5年4月9日付けで、乙第2号証に表示のラベルを貼付した「タイヤペイント カラータッチ 8ml(版下製版代共)」200個を日東化学株式会社(株式会社ソフト九九コーポレイションの旧名称)に納品したことを窺い知ることができる。
また、乙第7号証は「タイヤペイント カラータッチ 8ml」の製品仕様書であり、(特記事項)の記載によれば、「タイヤペイント カラータッチ 8ml」は、製品開発当初よりテスト販売のため少量のみの生産しか為されない商品であったことが認められる。
さらに、乙第3号証ないし同第6号証の2は、「タイヤペイント カラータッチ 8ml」の納品書及び受領書であり、該商品は、K.Kナニワの川那辺泰昌に合計95本及び株式会社サンクリエイティブDIYの城田保治に15本納品されたことが認められる。
そして、乙第11号証及び同第12号証は、別件訴訟におけるK.Kナニワの川那辺泰昌と株式会社サンクリエイティブDIYの城田保治両名の証人調書の速記録写しである。該調書には、両者が購入した「タイヤペイント カラータッチ 8ml」は、その殆どが出入りの人に無償で提供されたり、実際の売り上げ量が不明である等、商品として一般流通市場には出回ったものとはみなされないこと、及び、両者ともそれまでに株式会社ソフト九九コーポレイションとは取引がなかったことが証言として記載されている。
さらに、株式会社サンクリエイティブDIYは、広告代理店であり自動車用品及び自動車用部品等を取り扱ってはいない。
以上の事実及び請求人及び被請求人の提出に係る各証拠及び答弁を総合的に勘案すると、被請求人が本件商標を使用しているとする商品「自動車タイヤ用塗料(タイヤペイント カラータッチ8ml)」は、新製品開発若しくは市場動向調査のために試作用としてのみ製造された商品であり、実際に一般の市場において流通されたものとは認め難く、その後、引き続き反復継続して製造販売された事実もない。
そうとすれば、本件更新登録の使用説明書に記載された本件商標の使用に係る商品「自動車タイヤ用塗料」は、単に試作用に一回のみ製造されただけの商品でその後反復製造されず、かつ、一般の市場には流通しなかった商品と認められるものである。
してみれば、本件商標は出願に添付の商標の使用の事実を証明する資料及び本件審判において被請求人が当該資料との関連で提出している乙各証に照らせば、商標権者によって更新登録の出願前3年以内に日本国内において、指定商品中「自動車用塗料」について使用されていたものとは認められない。
なお、請求人は、川那辺泰昌及び八代浩両名の証拠調べを希望する旨述べているが、本件更新登録無効審判の審理に関しては、その必要性が認められないためこれを採用しない。
したがって、本件商標の存続期間の更新登録は、商標法第19条第2項ただし書の規定に違反してなされたものであるから、商標法第48条第1項の規定により、その登録を無効にすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1998-11-16 
結審通知日 1998-10-23 
審決日 1998-12-16 
出願番号 商願平6-705349 
審決分類 T 1 13・ 72- Z (103 )
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩崎 和夫 
特許庁審判長 寺島 義則
特許庁審判官 宮下 行雄
岩崎 良子
登録日 1994-07-28 
登録番号 商標登録第1656534号(T1656534) 
商標の称呼 1=カラータッチ 2=タッチ 
代理人 又市 義男 
代理人 松村 信夫 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ