ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) 024 |
---|---|
管理番号 | 1011529 |
異議申立番号 | 異議1999-90052 |
総通号数 | 9 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2000-09-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-01-12 |
確定日 | 2000-01-11 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4188047号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4188047号商標の登録を取消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4188047号商標(以下「本件商標」という。)は、「CHRISTIAN COACH」の文字を左横書きしてなり、平成9年3月14日に登録出願され、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳,シャワーカーテン,布製ラベル,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」を指定商品として、平成10年9月18日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第15号及び同第19号に該当し、その登録は取り消されるべきである。 3 取消理由の通知 平成11年6月28日付けで、商標権者に要旨下記の取消理由を通知した。 本件商標は、「CHRISTIAN COACH」の文字よりなるところ、「COACH」の文字からなる商標は、「コーチレザーウエア カンパニー インコーポレーテッド」が、商品「かばん類、ベルト、財布、革と真鍮を素材にしたアクセサリー」等に永年使用してきた結果、著名なものとなっていると認め得るものである。 してみれば、本件商標はその構成中に他人の著名な商標を含むものであるから、これをその指定商品について使用するときは、該商品が恰も登録異議申立人(以下「申立人」という。)若しくは申立人と何らかの関係を有する者の製造・販売に係る商品であるかの如く、その出所について混同をおこすおそれがあるものとみるのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 4 商標権者の意見 上記3の取消理由に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標権者は、申立人「サラリーコーポレーション」が1995年6月29日、「COACH」をバッグ類に使用していた「コーチレザーウエアー社」との合併により設立された新会社ではないこと、申立人は、1985年、コーチレザーウエアー社を単に買収をしたにすぎず、買収以降も、申立人が事実上「コーチレザーウエアー社」に代わって「COACH」を使用し、これを使用した「バッグ類」を製造、販売することを内外の取引者、需要者に対し広告宣伝したことが無いこと、又、現実に「COACH」を広告宣伝し、かつこれを使用した「バッグ類」を製造販売したことがないこと、したがって、申立人が、合併によって「COACH」を承継し、これを使用し、我が国の取引者間のみならず一般消費者間において著名ならしめるということはその前提において誤っていることを指摘するものである。 (2)「COACH」の周知性取得の障害事由とその周知性について 「COACH」の語は、戦後、我が国において野球が国民的人気となって以来、野球及びスポーツ選手の技術指導を行う人の意味として、又近年は、各種の受験などのための家庭教師、個人教師を意味するものとして我が国民に広く記憶、認識されているものであり、これがテレビ放映の「タイトル」として使用され、かつテレビ、スポーツ新聞等で広く使用されているものである。 その結果、我が国民の7、8割以上がこの意味での「COACH」を知っている状況である。 したがって、我が国の一般人が、「COACH」「コーチ」なる語を聞き、又これを見た場合、直ちに「スポーツの指導員」、「家庭教師」を連想するほど我が国民に強烈な印象を与えており、その結果、この意味合いの「COACH」は、「コーチレザーウエア社」に係わるバッグ使用の「COACH」が、我が国に進出した1988年以前に、全国的、全国民的に周知な語として存在していたものであって、これと同一の「COACH」が後発的に特定の商標として使用されたとしても、我が国の需要者をして容易に特定人の商品に係る商標であると想起せしめることは極めて困難であるというのが一般社会の実情である。 よって、我が国においては、アメリカ合衆国ニューヨーク発の「COACH」を使用したバッグが、我が国の一部特定の若い女性層に支持を得ていたとしても、上記スポーツ指導員等の意味合いとして全国民に広く記憶、認識され、かつ使用されている周知な「COACH」「コーチ」を超えることは、我が国の特別実情からみて極めて困難であるといわざるを得ない。 (3)本件商標と「COACH」との非類似、非混同 乙第2号証のとおり、本件商標は、同書同大に一連に表されているものであって「クリスチャンコーチ」とのみ称呼されるとみるのが相当であるから、その外観はもとより、称呼及び観念のいずれからしても類似しない商標である。 また、特許庁は、商標権者が有する本件商標と同一の「CHRISTIAN COACH」(登録第4014335号)に対し、既に認定判断をしているが、これは正当である。 又、「COACH」はスポーツの指導員を意味する語として全国民的に使用され、これに接する者は直ちにスポーツの指導員を想起するほど、この語が我が国民に顕著に記憶されていることは前述した通りである。 したがって、元来、独自性、唯一性を欠いた「COACH」が我が国において使用による顕著性からセカンダリーミーニングを生じ、これが周知性を獲得すること自体極めて困難であるといわざるを得ない。 さらに、商標権者がその代表取締役をしている(株)ケンアンドロン及びこれから使用許諾を得ている業者は、平成1年以降、平成11年8月末日までの間、主商標「CHRISTIAN COACH」又は「COACH HOUSE」とともに、「K&R」標章を併記したバッグ、衣料、雑貨を製造販売し、その主たる販路を大手量販店としたその販売数量は140万枚以上、又その売上高は18億円(小売換算)以上に達しているものであるが、「COACH」とは混同のおそれが全くなく、かつそのおそれの危険性もないというのが、取引社会での実情である。 したがって、本件商標と「COACH」は顕著に異なった外観、称呼、又は観念を生ずるものであり、それ自体類似混同するものでないことは明白である。 してみると、本件商標を指定商品に使用した場合、他人たるコーチレザーウエア社と商品主体混同惹起のおそれも生じ得ないものであり、又これを付した商品を販売して業者があたかも他人たるコーチレザーウエア社の関係会社であるとの混同も生じ得ない。 (4)本件商標の登録は維持されるべきである してみると、本件商標は「COACH」とは類似しないものであり、かつ本件商標を指定商品に使用した場合、その商品があたかもコーチレザーウエア社又はこれと関係のある者の製造、販売に係る商品であるかの如く、その商品の出所について、取引者、需要者に誤認、混同させるおそれのないものである。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。 5 当審の判断 申立人の提出に係る甲第4号証の「英和商品名辞典(第3刷)」(株式会社研究社1991年発行)には、「Coach」について、米国NewYork市の皮革製品メーカー(Coach Leatherware Co.)、そのブランド。同社は1941年創業。同社のバッグ類はNewYorkのキャリアウーマンに人気があると記載されている。また、甲第5号証の2の1の「女性版 月刊ビジオ・モノ」(平成5年6月16日発行)、甲第5号証の3の「フィガロジャポン」(1994年12月号)、甲第5号証の4の「キャンキャン」(1995年3月号)、甲第5号証の5の「LightUp The Quality Magazine」(1995年3月20日発行)及び甲第5号証の6の「マリ・クレール」(1995年5月号)等には、広告及びその商品の紹介記事等が掲載されている事実を認めることができる。さらに、甲第3号証の1及び甲第3号証の2には、商標「COACH」の付されたかばん類のカタログ及びその広告実績が示されている。 そして、本件商標は、「CHRISTIAN COACH」の文字よりなるところ、「COACH」の文字からなる商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク在の皮革製品メーカー「コーチレザーウェア カンパニー インコーポレーテッド」が、商品「かばん類、ベルト、財布、革と真鍮を素材にしたアクセサリー」等に永年使用してきた結果、著名なものとなっていると認め得るものである。 してみれば、本件商標はその構成中に他人の著名な商標を含むものであるから、これをその指定商品について使用するときは、該商品が恰もコーチレザーウエア カンパニー インコーポレーテッド若しくは同人と経済的あるいは何らかの関係を有する申立人等の製造・販売に係る商品であるかの如く、その出所について混同をおこすおそれがあるものとみるのが相当である。 この点について述べる商標権者の意見は、以下の理由により、採用することができない。 商標権者は、本件商標は同書同大に一連に表されているものであって「クリスチャンコーチ」とのみ称呼されるとみるのが相当であるから、その外観はもとより、称呼及び観念のいずれからしても類似しない商標である旨述べているが、上記のとおり本件商標中に他人の著名な商標を含むものであり、その出所について混同をおこすおそれがあることは前記認定のとおりであるから、商標権者の主張は採用できない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-11-21 |
出願番号 | 商願平9-27612 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(024 )
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 高橋 幸志、佐藤 正雄 |
特許庁審判長 |
佐藤 敏樹 |
特許庁審判官 |
上村 勉 板垣 健輔 |
登録日 | 1998-09-18 |
登録番号 | 商標登録第4188047号(T4188047) |
権利者 | 西森 進 |
商標の称呼 | 1=クリスチ+ヤンコ-チ |
代理人 | 岡本 昭二 |
代理人 | 広瀬 文彦 |
代理人 | 高松 薫 |
代理人 | 竹内 卓 |