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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない 030
審判 全部無効 称呼類似 無効としない 030
管理番号 1009316 
審判番号 審判1998-35149 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-08-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 1935-04-10 
確定日 1999-07-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第3318261号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3318261号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙(1)に表示したとおりの構成からなり、平成6年2月25日に登録出願、第30類「すし」を指定商品として平成9年6月6日こ設定登録されたものである。
2 請求人の引用する商標
請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第1763473号商標(以下、「引用商標1」という。)は、別紙(2)に表示したとおりの構成からなり、昭和56年2月6日に登録出願、第32類「すし」を指定商品として同60年4月23日に設定登録されたものであり、同じく登録第847485号商標(以下、「引用商標2」という。)は、別紙(3)に表示したとおりの構成からなり、昭和42年11月27日に登録出願、第32類「すし、べんとう、その他の加工食料品、食肉、食用水産物、野菜、果実」を指定商品として同45年3月3日に設定登録されたものであり、同じく登録第1730430号商標(以下、「引用商標3」という。)は、別紙(4)に表示したとおりの構成からなり、昭和54年1月17日に登録出願、第32類「すし、べんとう、サンドイッチ」を指定商品として同59年11月27旧こ設定登録されたものであり、同じ登録第1730431号商標(以下、「引用商標4」という。)は、別紙(5)に表示したとおりの構成からなり、昭和54年1月17日に登録出願、第32類「すし、べんとう、サンドイッチ」を指定商品として同59年11月27日こ設定登録されたものであり、同じく登録第1860194号商標(以下、「引用商標5」という。)は、別紙(6)に表示したとおりの構成からなり、昭和56年1月27日に登録出願、第32類「すし」を指定商品として同61年5月30日に設定登録されたものであり、同じく登録第3116175号商標(以下、「引用商標6」という。)は、別紙(7)に表示したとおりの構成からなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月10日に登録出願、第42類「すしの提供」を指定役務として、同8年1月31日に設定登録されたものであり、同じく登録第4017942号商標(以下、「引用商標7」という。)は、別紙(8)に表示したとおりの構成からなり、平成4年9月10日に登録出願、第42類「すしの提供、ビールの提供、果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として同9年6月27日に設定登録されたものであり、同じく登録第4080267号商標(以下、「引用商標8」という。)は、別紙(9)に表示したとおりの構成からなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月10日に登録出願、第42類「回転台方式によるすしの提供、ビールの提供、果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同9年11月7日に設定登録されたものであり、同じく登録4080268号商標(以下、「引用商標9」という。)は、別紙(10)に表示したとおりの構成からなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月10日に登録出願、第42類「回転台方式によるすしの提供、ビールの提供、果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同9年11月7日に設定登録されたものであり、いずれも現に有効に存続するものである。
3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録は無効とすべきものとする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番を含む。なお、平成10年10月14日付けの弁駁書に添付の甲第25証の表示は甲第26号証の誤記と認められる。)及び資料1の1ないし3を提出している。
(1)本件商標と各引用商標とを比較するにあたって、先に各引用商標についてみると、引用商標1は、「まわる」の構成文字に相応して「マワル」の称呼を生ずること明らかなものである。
また、引用商標2は「MAWARL」「まわる」の各文字を上下二段に書してなるところ、その上段の欧文字は特定の読みを生じ難い一種の造語と認められるのに対し、その下段の「まわる」の文字は、親しまれた平仮名文字であるから、該文字に相応して「マワル」の称呼を自然に生ずるものである。
しかして、かかる判断が正しいことは甲第10号証で示す判定請求事件の判定結果に徴し明らかである。
次に、引用商標3ないし引用商標7は、その構成中の「廻る」の文字は縦書きのものと横書きのものとがあるが、いずれも太字で顕著に書されており、「廻る」の文字が他の「元禄」、「元禄寿司」等の文字とはその構成上分離して看取され、かつ、該文字は、請求人が永年使用して広く知られるに至った文字であって、その他の文字とは独立して、自他商品又(よ役務の識別機能を果たすものと把握されるので、該文字部分に相応して、「マワル」の称呼を生じるものである。 更に、引用商標8及び引用商標9は、サービスマーク登録の特例商標として、使用証明が認められて登録されたものであるところ、その構成文字「廻る」の漢字に相応して、「マワル」の称呼を生ずることは明らかである。
(2)他方、本件商標は、「廻るじんずし」の文字よりなるところ、その前半部を構成する「廻る」の文字と「しんずし」の文字とは、熟語のごとく不可分一体の語として一般に良く知られているものではないので、これを常に一連の語として把握すべき必然性を有しないものである。
しかして、「廻る」の文字が独立して自他役務を識別する機能を果たすものであることは前記各引用商標中の「廻る」の構成文字について述べたと同様である。
したがって、本件商標は、上記両文字の全体を読み込んだ一連の称呼のほかに、「廻る」の文字に相応して、単に「マワル」の称呼をも生ずるものである。
(3)してみれば、本件商標と各引用商標とは、ともに「マワル」の称呼において互いに類似する商標であり、かつ、それぞれの指定商品「すし」において類似し、また、指定役務中の「すしの提供」とは同一事業者によって製造、販売、提供がなされることが少なくなく、その需要者を共通にし、販売場所又は役務の提供場所の一致する場合が少なくないことにより、互いに類似するものである。
(4)ここで、請求人が開発した「廻(まわ)るすし」、「回転寿司(すし)」の由来及び「回転」、「廻(回)る」の文字の識別性についてみるならば、該名称は、元々、請求人の代表者が考案し、実用新案登録を得た権利(コンベヤ附調理食台・甲第22号証)をもとに使用が開始されたものであって、請求人は昭和33年の第1号店のオープン以来、該考案に係る技術をもって提供する「すし」を「廻(まわ)るすし(寿司)」の名称で広告、宣伝し(甲第11号証ないし甲第14号証)、また、実用新案権によって、該方式の寿司の提供は請求人のみがその権限を有するものであった。
更に、請求人は、「回転」の文字についても商標登録を獲得していたのである(資料1の1、2)。請求人の提供する寿司は値段を心配せずに食べられること等の利点によって、各新聞においても屡々取り上げられ、(甲第15号証、甲第16号証、甲第19号証)、請求人の「回転寿司(すし)」及び「回るすし」は、「元禄寿司」又は「元禄産業」の取り扱いにかかる寿司の代名詞のごとく理解され、広く知られるに至ったものである(甲第17号証ないし甲第20号証)。更に、その後も、該名称は、関西地区の直営店のみならず、全国的に展開されている請求人のチェーン店(甲第25号証)によって使用された結果、請求人の商標として需要者間に広く浸透し、広く認識されるに至ったものである。
加えて、「廻(回)転寿司」の語は、広辞苑第4版において商標名であると記載されているものである(甲第21号証)。
したがって、該名称が元々、回転台方式によるすしの一般名称でなかったことは確かである。
しかしながら、請求人は、「回転寿司」の名称が一般に多用されている環境を考慮した結果、前記「回転」商標についてはこれを自由に使用し得るよう元祖として業界に提供することとしたが、「廻る」及び「まわる」の商標権については、特許庁の判定も既に得ており、該商標の無断使用については商標権侵害として提訴する旨を新聞に公表したものである(資料1の3)。
以上の経緯からも明らかなとおり、引用商標中の「まわる」の文字は、この種の業界において、請求人の商標として十分に自他の商品(寿司)又は役務(寿司の提供)を識別し得る機能を有するものであって、請求人の努力によって有名になった商標に類似する商標が請求人の承諾なしに出願され、使用され、登録されることは商標法の目的とする商品及び役務に関する取引の流通秩序を乱すものであるといわなければならない。
(5)結局、本件商標及び各引用商標は、その構成中に、上記「廻る」の文字を共有するものであるから、互いに「マワル」の称呼において類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
(6)本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定にも該当するので、この点について以下陳述する。
請求人の各引用商標は、前述のとおり、「廻る」の文字を要部とするところ、該商標は、本件商標が登録出願された平成6年2月25日時点において、朝日新聞、流通サービス新聞の掲載記事及び東大阪料飲宿タイムス等の業界紙における掲載記事情報並びに請求人のチェーン店等を通じて関西地区は勿論のこと、全国的にも広く知られるに至っているものというべきである(甲第11号証ないし甲第16号証、甲第23号証の1ないし甲第25号証)。
そうとすれば、本件商標は、その指定商品「すし」について使用するときは、該商品の取引者、需要者は請求人若しくは請求人と資本的、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、該商品の需要者が商品の出所について混同するおそれが多分にあるものといわなければならない。
(7)したがって、本件商標には前記無効理由が存し、同法第46条第1項により無効とされるべきものである。
(8)答弁に対する弁駁
▲1▼ 本件商標は、漢字「廻る」と片仮名「じんずし」との結合(「廻る」十「じんずし」)にかかるものであることは、その構成より容易に把握されるものである。
しかして、請求人は、この種のチェーン店の魁として1958年(昭和33年)4月に東大阪市において「元禄寿司」第1号店を開き、請求人考案にかかる回転台使用の新方式のすしの提供を開始するにあたって、旧ソ連による人類初の人工衛星打ち上げ成功にちなみ、「人工衛星廻るすし」をキャッチフレーズに採用したものである(甲第15号証、甲第19号証)。
また、昭和45年に開催された大阪万博の出店にあたっては、「廻るすしは〜幸運をめぐり廻しています。味は抜群廻る寿司の総本家」及び「廻る 寿司元禄(三段書き)」の広告を使用したものである(甲第11号証、甲第12号証)。更に、昭和47年6月20日、同年8月20日発行の東大阪料飲宿タイムスには、請求人店舗広告について「廻る寿司元禄」の広告文を掲載したものである(甲第13号証、甲第14号証)。
加えて、請求人店舗の看板にも「廻る 元禄寿司」を掲げている(甲第20号証の1ないし3)。
以上のとおり、請求人は「廻る」の文字こそ、自店の特徴として、広告宣伝し、商品「すし」及び役務「寿司の提供」に使用してきたものであって、他に誰も「廻る」の文字を使用していなかったものである。
それ故、請求人は甲第1号証ないし甲第9号証、甲第11号証、甲第25号証の登録商標を獲得したものである。
▲2▼ 請求人の業務は、大阪市を中心とする関西地区を初めとして、その後は全国的に拡張されており、甲第24号証に明らかなとおり、1993年には、直営店11店、大阪チェーン店10店、全国チェ-ン店200店を数えるにいたったものである(甲24号証、甲第20号証の1)。
このように、「廻る」、「廻る寿司」の文字を寿司店「元禄寿司」の最大特徴に掲げて営業を継続した結果、「回るすし」、「廻る 寿司」、「廻る 元禄寿司」、「廻る寿司 元禄」の名は新聞にも再三掲載され(甲第15号証ないし甲第20号証の1)、全国の寿司店並びに寿司愛好者間に知れ渡ったものである。
してみれば、商品「寿司(すし)」及び役務「すしの提供」について「廻(まわ)る」の語は、請求人の使用にかかる前記商標の要部を構成し独立して自他商品並びに役務の識別標識足り得るものである。このことは、指定役務の区分及び指定役務を第42類「飲食物の提供(これには「すしの提供」が含まれている)」とする請求人の出願商標「まわる」が最近(平成10年4月17日)登録されている事実からも窺えるものである(甲第26号証)。
▲8▼「廻る」の文字については請求人が創業以来、いわば、請求人の看板として継続的、かつ、独占的に使用してきた名称であるから、これをチェーン店、系列店以外の第三著が無断で使用することは、商業道徳としても許されないものである。
▲4▼ 被請求人引用の各登録商標は、本件商標と各引用商標との比較に直ちには影響を及ぼさない。
▲5▼ 甲第10号証の判定結果は、(イ)号標章「まわるファミリーずし」の構成は不可分一連に書されているものでありながら、商品「すし」について、「まわる」の文字部分が自他商品の識別力を有することを明言するものであり、この点は請求人の使用実績が反映されたものであって、決して特殊ではなく、妥当な判断といえる。
「廻る(寿司)」、「まわる」商標は、請求人がその取扱商品及び役務の看板の如く永年使用し、その実績が登録商標として認められているものであって、これらの事実を無視してその識別力を否定することは、いわば、無政府状態を容認することに匹敵するものである。
▲6▼ 本件商標を構成する「廻るじんずし」の文字に相応して生ずる「マワルジンズシ」の称呼と引用商標4を構成する「廻る元禄寿司」に相応して生ずる「マワルゲンロクズシ」の一連の称呼において、両者はともに「マワル○○ズシ」の構成形態をとっており、その差異は、中間部の「○○」のみであり、その前後の「マワルズシ」で一致する。そうとすれば、本件商標と引用商標とは、その構成上、看者に強い印象を与える語頭の文字を共有し、その全体的印象が近似することによって、両商標を商品「すし(寿司)」に使用すると、該商品の一般的需要者は、両者が同一のチェーン店若しくは系列店の提供するものであるかのごとく、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれが十分にあるものといわなければならない。
4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
▲1▼ 本件商標は、その構成は商標見本のとおり、ややデザイン化された同一書体、同じ大きさ、同一間隔で書され、外観上は全体が極めてまとまり良く一体不可分の商標として看取できる。
そして、外観から生ずる「マワルジンズシ」の称呼も淀みなく、一連に一気一息に称呼し得るものであり、音数も7音にすぎず冗長といえるものでもない。
更に、「廻る」は「めぐる、回転する」の意味を持ち、「廻る〜」のように後に続く語を修飾する使い方が日常的に為され、聞き慣れていることから、本件商標より「廻っているじんずし」という特定の意味合いを生じさせるものである。
▲2▼ これに対し、請求人の引用する引用商標1及び引用商標2は、その構成より「マワル」の称呼及び抽象的な「回(廻)る、回転する」の意味合いが生ずるのみである。 .
また、引用商標3ないし引用商標5並びにサービスマーク登録の引用商標6及び引用商標7は、いずれも「廻る」の文字と「元禄]又は「元禄寿司」の文字が主従ある態様で結合したものであり、結合した全体の称呼及び観念、或いは分離した夫々の文字の称呼及び観念を生じることもある。
更に、サービスマーク登録の引用商標8及び引用商標9は「廻る」の文字のみより成るものである。
したがって、本件商標とは外観は勿論、称呼及び観念においても互いに類似するものでなく、識別できること明らかであり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
▲3▼ ところで、請求人は代表者が考案し実用新案登録を得た権利(コンベヤ附調理台)をもとに「回転寿司(すし)」及び「回るすし」と銘打った「すしの提供」を開始し、その提供方式は請求人のみが権限を有すること、提供方式の利点が話題になって各新聞に取り上げられたこと、広告宣伝や全国チェーン店で使用されたこと等の結果、「回転寿司(すし)」及び「回るすし」は「元禄寿司」又「元禄産業」の取り扱いにかかるすしの代名詞のごとく需要者に理解され、かつ周知となり、商標中に「廻る」、「まわる」の文字を共有するものは称呼において類似する商標であると主張する。
しかし、飲食物の提供の役務においては、回転する台に載ってくる物を任意に選択して食する方式がなかったため、その提供方式が「回転」、「廻る」又は「まわる」のイメージと一致して認識されたこと、請求人の直営第1号店は昭和35年4月にオープンしているが、請求人代表者が権利取得した実用新案は昭和35年2月20日の出願であり、当該権利に制約を受けない回転方式の営業が可能であること、請求人代表者の実用新案登録は昭和47年7月24日に存続期間満了となった後はさらに当該方式の同業すし店が全国各地に多数現れ、従来のすし店と形態の異なる店として広く一般に認識されたこと、役務「すしの提供」に使用されるものであるから商標の使用が建物、店内設備と密接に関係し、需要者に強く印象づけられたこと、一方、請求人の商標の使用態様は「廻る」と共に「元禄寿司」の文字が常に一緒に使用され、しかも「元禄寿司」より小さい文字で附随させた使用が多く見られること、更に当該同一方式の他の業者も商標中に「廻る」、「まわる」、「回転]の語を用いたこと、当該方式のすし店は店内飲食が主であって、持ち帰りは極めて微小で、それも顧客が店へ直接買いに来るもので、商品が市場を転々とするものでないこと等に照らし、少なくとも本件登録時には「回転」、「廻る」又は「まわる」等の商標中の表示は、需要者間においてすしの提供方式の一形態として強く認識し理解され、「廻る」の文字を有するのみで特定の業者の取り扱いにかかるとの認識はなく、請求人の「すしの提供」又は「すし」と混同を生じさせるおそれは全くないものである。
▲4▼ このことは、例えば商品「すし」について商標「まわるぽけっと」(登録第1714923号、乙第1号証)、商標「廻る江戸前」(登録第2098470号、乙第2号証)、商標「まわるがってん」(登録第4006411号、乙第3証)、商標「まわるすしぶたい」(登録第4121998号、乙第4号証)等が登録され、また、役務「すしの提供」について商標「まわるお寿司の国マリンポリス」(登録第3112025号、乙第5号証)、商標「廻るすし道楽」(登録第4085837号、乙第6号証)、商標「まわる寿し花館」(登録第4059792号、乙第7号証)、商標「廻る大長寿し舟」(登録第4060434号、乙第8号証)、商標「まわるすしべえ」(登録第4071368号、乙第9号証)、商標「まわるがってん」(登録第4074968号、乙第10号証)、商標「まわるすしぶたい」(登録第4129617号、乙第11号証)等の登録があり、特に役務「すしの提供」では「廻る」、「まわる」と他の文字との一体性が弱い態様と思われる商標も登録されていることとも符合するものである。
▲5▼ 請求人の甲第10号証で示す判定結果は商品の用途向きを表示したものと認識する語の「ファミリー」が「まわる」と結合した特殊な例であり、これをもって事案の異なる本件商標の類否を判断する資料となり得ない。
更に、資料1の3の新聞への公表は、請求人の一方的な宣言であり、その背景には斯かる公表をせざる得ないほど需要者と生産者(商標使用者)が直結した営業形態での多業者の多様な商標の使用によって、「回転」の表示は既に需要者間においてはすしの提供形態を表すものと認識されている事を物語るものである。
▲6▼ 「廻る」、「まわる」及び「回る」も「回転」と同意語であって、かつ多くの同業者が使用していたことも立証するまでもない事実であるから、商標中に有する「廻る」の文字から独立して自他識別力を発揮する格別の意味合いを抽出できず、「廻る」、「まわる」を有する商標から「まわる」のみの称呼も生ずるものでない。
したがって、本件商標からも「まわる」のみの称呼が生ずることはなく、取引の流通秩序を乱すおそれはないのである。
(2) 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は「廻る」の文字部分のみ独立して認識されないことは前述のとおりであって、しかも、請求人の各引用商標の使用態様及び使用役務(商品「すし」に対する使用は不明である。)との関係で、「廻る」の文字を要部とし、「廻る」の文字が単独で請求人の業務に係る商標として全国的に広く知られるに至っているものとは認め難いものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品に使用しても商品の出所について混同を生じさせるおそれのないものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものでない。
(3) よって、本件商標には無効理由が存せず、商標法第46条第1項により無効とされる理由はない。
5 当審の判断
(1)先ず、本件商標と各引用商標との類否について検討する。本件商標は、別紙(1)に表示したとおり、「廻るじんずし」の文字を同一の書体及び大きさで同間隔に一連に書してなるところ、請求人は、本件商標は「廻る」の文字と「じんずし」の文字とは熟語の如く不可分一体の語として一般に良く知られているものではないので、これを常に一連の語として把握すべき必然性はなく、「廻る」の文字に相応して単に「マワル」の称呼をも生ずる旨主張している。
しかしながら、被請求人の提出に係る各乙号証及び職権により調査したところによれば、商品「すし」及び役務「すしの提供」の分野においては、回転台方式によるすしの販売又は提供が一般的に行われており、その場合に、すしの販売若しくは提供の方法又は店名等を示すものとして「回転」、「廻る」、「回る」、「まわる」の文字に他の文字を付加して「回転寿司」、「まわるすし○○」、「回転寿司○○」、「まわる○○寿司」、「廻る○○すし」等の表現が用いられていることが認められる。
この場合、看者は「回転」、「廻る」、「回る」、「まわる」の文字は、他の文字部分を修飾する、いわば付記的な部分として理解し認識するというのが自然である。そして、本件商標もこれらと同様に回転台方式によるすしの販売又は提供をする店名又は回転台方式によるすしについての商標を表したものと認識されるというべきである。
そうすると、本件商標は、全体を一連のものとして又は「じんずし」の文字部分を自他商品識別のための要部として看取されるというのが相当であるから、「廻る」の文字部分のみを分離・抽出してこれより「マワル」の称呼を生ずるということはできない。そして、本件商標は、「マワルジンズシ」又は「ジンズシ」の称呼を生ずるというのが自然である。
他方、各引用商標についてみると、引用商標1、引用商標2、引用商標8及び引用商標9はそれぞれの構成文字に相応して「マワル」の称呼を生じ、引用商標3及び引用商標4はそれぞれの構成態様に徴し「マワルゲンロク」又は「ゲンロク」の称呼を生じ、引用商標5ないし引用商標7は同様に「マワルゲン口クズシ」又は「ゲンロクズシ」の称呼を生ずるというのが自然である。
しかして、本件商標から生ずる「マワルジンズシ」及び「ジンズシ」の称呼と各引用商標から生ずる「マワル」、「マワルゲンロク」、「マワルゲンロクズシ」、「ゲンロク」及び「ゲンロクズシ」の各称呼とは、それぞれの構成音の差異により明瞭に区別し得るものである。
また、本件商標と各引用商標とはそれぞれの構成からみて外観において判然と区別し得る差異を有するものであり、更に、本件商標は全体として既成の意味を有する語を表現したものともいえないものであるから、観念上各引用商標と比較すべくもないものである。
してみれば、本件商標と各引用商標とは外観、称呼及び観念の何れの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(2)次に、本件商標が商品の出所について混同を生ずるおそれのあるものであるかどうかについて検討する。
請求人の提出に係る各甲号証によれば、請求人が昭和30年代にコンベヤー旋回食事台を開発し、回転台方式によるすしの提供について「廻るすし(寿司)」の名称を昭和40年代から使用していたことが認められる。しかしながら、使用例を示す甲第11号証ないし甲第14号証、甲第20号証の1ないし3、甲第23号証の2及び甲第24号証を徴するに、「廻る」の文字のみ単独で使用されたことはなく、「廻る寿司」、「廻る寿し元禄総本店」、「廻る寿司元禄」、「廻る元禄寿司」の如く、他の文字と共に用いられている場合が殆どであって、しかも、その場合においても「廻る」の文字は小さく表されているのに対し、「元禄」、「元禄寿司」等の文字が看者の注意を引くように大きく顕著に表されているものである。
新聞の報道記事においても「一皿100円のすしがくるくるとカウンターを回る」(甲第15号証)、「‥‥などのにぎりずしが赤いカウンターの前でぐるぐる回る」(甲第17号証)、「グルグルと回るすしに‥‥」(甲第19号証)等の説明的な記述がされているに止まるものである。
その他、これを覆すに足りる証左を見出すことができない。
そうすると、「廻る」の文字自体は、商品「すし上又は役務「すしの提供」について使用された結果、「元禄」、「元禄寿司」等の文字とは分離・独立して取引者、需要者間に広く認識されたものとなっていたということはできない。
かかる事情の下においては、上記(1)のように、一連のものとして又は「じんずし」の文字部分を要部として認識される本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が被請求人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如くに商品の出所について混同を生ずるおそれはないというのが相当である。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも該当しないものであって、これらの規定に違反して登録されたものということはできないから、その登録は、商標法第46条第1項の規定により無効とすべきではない。
なお、請求人は当庁における判定を引用して種々主張するところがあるも、同判定は、対比する商標の構成が本件商標とは異なり、事情を異にするものであって、本件の判断に影響を及ぼすものではなく、上記認定判断に照らし、その主張を採用することはできない。
よって結論のとおり審決する。
別掲 別記


審理終結日 1999-04-19 
結審通知日 1999-05-07 
審決日 1999-05-18 
出願番号 商願平6-19000 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (030 )
T 1 11・ 271- Y (030 )
最終処分 不成立 
前審関与審査官 椎名 実内山 進 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 宮下 行雄
大橋 良三
登録日 1997-06-06 
登録番号 商標登録第3318261号(T3318261) 
商標の称呼 1=マワルジンズシ 2=ジンズシ 3=マワルジン 4=ジン 
代理人 小出 俊實 
代理人 宮田 正道 
代理人 石川 義雄 
代理人 鈴江 武彦 
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