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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 132 |
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管理番号 | 1008008 |
審判番号 | 審判1997-18756 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2000-07-28 |
種別 | 商標取消の決定 |
審判請求日 | 1997-11-04 |
確定日 | 1999-11-24 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2599749号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 商標法第50条の規定により、登録第2599749号商標の指定商品中「食肉」についてはその登録は、取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2599749号商標(以下「本件商標」という。)は、「味の民芸」の文字を縦書きしてなり、昭和54年10月16日に登録出願、第32類「食肉、砂糖きび、てんさい、茶の葉、コーヒー豆、加工穀物、加工野菜及び加工果実、とうふ、凍りどうふ、あぶらあげ、こんにゃく、なっとう、豆乳、乾燥卵、こうじ、酵母、イーストパウダー、ベーキングパウダー、即席菓子のもと、カレーライスのもと、スープのもと、シチューのもと、ふりかけ、お茶づけのり、なめ物、麦芽、酒かす」を指定商品として、平成5年11月30日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べている。 (1)請求人は、当業者として本件商標の使用を強く希望する者であって、本件審判請求と同時に類似とされるおそれのある「民芸」なる漢字を横書きした商標を出願しており、本件商標がその指定商品の一部として該当する商品を含んでいるため、拒絶査定を受けるおそれがあり、請求人が利害関係を有することは明白である。 (2)本件商標は、その指定商品中「食肉」については、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件審判請求時に至るまで少なくとも継続して3年以上日本国内において、商標法第2条第3項に規定される「使用」のなされた事実が全く存しない。 したがって、本件商標は、「食肉」については商標本来の機能を全く果たしておらず、その保護に値しないばかりか、このように使用されない商標が登録商標として存続することは、本件商標の使用を希望する当業者の存在を勘案して、商標制度の趣旨に反しているものである。 よって、本件商標は商標法第50条第1項の規定により当然取り消されるべきものである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1〜第6号証(枝番を含む。)を提出している。 (1)被請求人は「味の民芸」の商標/屋号の下に、うどん料理を中心に供するレストランチェーンを、フランチャイズシステムを基盤として展開している。現在このレストランチェーンは、被請求人の直営店・フランチャイズ店合わせて、全国で119店舗に上っている。 ところで、この「味の民芸」の各店舗では、その商号(屋号)商標たる「味の民芸」の表示の下に「うどんすき(すきうどん)」を供しているが、これは被請求人が特に力を入れる対象であり、被請求人の各店舗はこの「うどんすきの材料セット」を特別にデザインされたパッケージを用いて持ち帰り用の商品として用意している。即ち、当該持ち帰り用の商品は、「味の民芸」が表示されたパッケージに、「うどんすき(すきうどんの材料)」、即ち、持ち帰って自宅で「うどんすき」料理を作る為の素材(材料)を詰め合わせている。その素材の中に「鶏肉、豚肉、牛肉」が含まれ、これらの商品は未調理未加工の状態で詰め合わされて販売されており、事実上「未調理未加工の鶏肉、豚肉、牛肉」が販売された状態である。 要するに、当該「うどんすきの材料セット」は、それぞれの素材(材料)を個別に包んだ商品と性格上変わるところがないのである。 よって、商標「味の民芸」の下に、パッケージに入れられて販売された当該商品において「鶏肉、豚肉、牛肉(食肉)」は、独立の商品として販売されたものであると言える。 (2)被請求人の経営する「味の民芸」の各店舗に、料理用の素材を販売するのは、被請求人と同系列の企業である株式会社民芸総菜である。而して、同社は被請求人の同意を得て、その通常使用権者として、商標「味の民芸」の下に素材を販売・搬入している。その中には、「鶏肉」「豚肉」「牛肉」等が当然含まれていた。乙第5号証の1〜3より明らかなように、商品の販売・搬入は被請求人の各店舗に対してほぼ毎日のように行われている。 (3)叙上の通り、本件商標は被請求人自身、そのフランチャイジー、その他の通常使用権者によって、平成8〜9年の間、そして現在も引き続き「食肉」に使用されてきている。 したがって、本件商標は、本件審判請求予告登録日の前3年内に、適正に使用されていたことが明らかであるから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に該当せず、その登録を取り消されるべき事由はない。 4 当審の判断 被請求人は、被請求人自身、そのフランチャイジー、その他の通常使用権者が平成8〜9年の間及び現在も引き続き「食肉」について本件商標を使用しているとして証拠を提出しているので検討する。 被請求人の提出に係る各乙号証によれば、被請求人は、「味の民芸」の屋号の下にうどん料理を中心に提供するレストランチェーンを展開していること(乙第1号証)、被請求人の各店舗では、「民芸すきうどん」と称する料理を提供する(乙第2号証)ほか、該料理を作るための材料を詰め合わせたものを持ち帰り用商品として用意し、その包装箱及び手提げ袋には別紙に表示したとおりの態様からなる標章が付されていること(乙第3号証の1、2及び乙第4号証)、株式会社民芸惣菜が96年7月〜9月の間に「所沢小手指」、「市原」、「狭山店」宛に料理の素材を販売し、その中には「鶏肉」「豚肉」「牛肉」」等が含まれていること(乙第5号証の1ないし3)、乙6号証の写真には「味の民芸」と記載された積み重ね式のプラスチック搬送箱に「食肉」が収納された状態で撮影されていることが認められる。その他、これを覆すに足りる証拠はない。 しかしながら、乙第2号証のメニューに示された「民芸うどんすき」は、被請求人の提供に係る料理そのものを示したものであり、たとえその材料として鶏肉、豚肉、牛肉が用いられているとしても、これをもって商標法上の商品ということはできない。 また、上記持ち帰り用商品を示した写真(乙第3号証の1、2)はいつ撮影されたものか明らかでないし、食肉を写した写真(乙第6号証)が撮影されたとする平成10年1月27日は本件審判の請求後であるばかりでなく、他にこれらの商品が本件審判の請求の登録前3年以内に実際に取り引きされたことを示すものはない。しかも、上記包装箱及び手提げ袋に付された標章は、別紙に表示したとおり、本件商標とはその態様を異にするものであって、本件商標と社会通念上同一のものということはできない。 更に、株式会社民芸惣菜によって上記「所沢小手指」等に対し「鶏肉、豚肉、牛肉」等が販売されたことが認められるとしても、如何なる商標が使用されていたのか明らかでない。 以上によれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その請求に係る指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。 なお、被請求人は商品の販売の事実を示す証拠資料を後日補充する旨述べているので、審判長は該資料の提出について審尋したが、被請求人からは何らの応答もない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中結論掲記の商品についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別記 |
審理終結日 | 1999-08-27 |
結審通知日 | 1999-09-07 |
審決日 | 1999-09-22 |
出願番号 | 商願昭54-78209 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(132 )
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 関口 博、原 隆 |
特許庁審判長 |
金子 茂 |
特許庁審判官 |
大橋 良三 石田 清 |
登録日 | 1993-11-30 |
登録番号 | 商標登録第2599749号(T2599749) |
商標の称呼 | 1=アジノミンゲイ 2=ミンゲイ |
代理人 | 中谷 武嗣 |
代理人 | 足立 泉 |