ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 014 |
---|---|
管理番号 | 1007828 |
審判番号 | 審判1998-12587 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2000-07-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-08-10 |
確定日 | 2000-01-12 |
事件の表示 | 平成6年商標登録願第46237号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、第14類「貴金属,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製喫煙用具,身飾品(『カフスボタン』を除く。),カフスボタン,時計」を指定商品として平成6年5月12日に登録出願されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、登録異議の申立についての審査の結果、「登録異議申立人が引用する商標(以下『引用商標』という。)は、乗馬の人がポロ競技をしている図形であって、登録異議申立人(以下『申立人』という。)の『ザ ポロ/ローレン カンパニー』がその取扱に係る商品『被服』を始めとする多種の商品に長年使用した結果、『ポロプレーヤーマーク』と称し、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本願商標の登録出願前より、既にわが国の取引者、需要者の間において周知・著名となっていたことが認められる。しかして、本願商標は、これを構成する文字と図形とは、左側半分が『ポロ(POLO)スポーツ競技者』を、右側半分が『クリケット(CRICKET)スポーツ競技者』を、それぞれ文字と図形の組合せにより表現したものと看取される。そして、本願商標を構成する図形中、乗馬の人がポロ競技をしている図形を表す左側部分は、右側部分と対照的に異なる技法によって描かれており、該部分は抜け出て看者に強く印象される。そうとすると、本願商標を構成する図形中、乗馬の人がポロ競技をしている図形を表す部分と引用商標とは、子細に検討すれば細部において差異を有するとしても、ともに乗馬の人かポロ競技をしている図形を描いてなる点において構成の軌を一にするものであるから、両者を時と処を異にして離隔的に観察するときは、かれこれ相紛らわしく外観上類似する商標といわざるを得ない。してみれば、引用商標と外観上混同を生じさせるおそれのある図形をその構成中に有してなる本願商標を、その指定商品について使用するときは、前記事情に照らし、該商品が申立人あるいは申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するとする本件登録異議の申立は理由があるものとすべきである。」旨認定し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)引用商標の周知性について 申立人の提出した証拠を検討し、かつ、職権をもって調査するに、(株)講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケッティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。 ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セー夕ー、靴、鞄、等のデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャッツビー」の主演ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。 わが国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び引用商標の如く馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(以下、一括して「ポロ商標」という。)が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。 そして、(株)洋品界 昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付 日経流通新聞の記事によれば、わが国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデサインに掛かる紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことか認められる。 また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社 昭和55年12月発行「MEN’S CLUB1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」に、眼鏡については、前出「世界の一流品大図鑑’80年版」、前出「ファッションブランド年鑑’80年版」、前出「男の一流品大図鑑’81年版」、前出「世界の一流品大図鑑’81年版」に「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることか認められる。 なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の各文字及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。 以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、「Polo」、「POLO」及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」の各標章は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用され、遅くても昭和55年頃までには我が国において取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められる。 そして、現在においても、ラルフ・ローレンのテザインに係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されているものというのが相当である。 (2)出所の混同のおそれについて 本願商標は、前記したとおりの構成よりなるところ、その構成中に、「馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形」及び「POLO」の文字を有するものと容易に認識、理解されるものである。 そして、本願商標の指定商品と前記した標章に使用されている衣服とは、ともにファッション性を有し、日常、一般需要者にも極めて身近に購入され、使用される商品であるから、両者は、密接に関係する商品であり、その需要者層を共通にするものである。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、構成中の「馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形」及び「POLO」の文字が、その需要者、取引者に印象付けられ、該商品が申立人の業務に係る商品若しくはラルフ・ローレンと組織的・経済的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものというのが相当である。 したがって、本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別記 |
審理終結日 | 1999-10-29 |
結審通知日 | 1999-11-16 |
審決日 | 1999-11-19 |
出願番号 | 商願平6-46237 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(014 )
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 涌井 幸一、村上 照美、中嶋 容伸 |
特許庁審判長 |
小松 裕 |
特許庁審判官 |
大渕 敏雄 平松 和雄 |
商標の称呼 | 1=ポロアンドクリケ+ツト |
代理人 | 石原 庸男 |