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審決分類 |
審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効としない 032 |
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管理番号 | 1007712 |
審判番号 | 審判1998-35261 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2000-07-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1998-06-05 |
確定日 | 1999-07-19 |
事件の表示 | 上記当事者間登録第4138570号商標の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件商標 本件登録第4138570号商標(以下「本件商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、平成8年2月21日に登録出願、第32類「飲料水」を指定商品として、同10年4月24日に設定登録されたものである。 2.請求人の主張 請求人は、「商標登録第4138570号を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第4号証を提出した。 (1)被請求人は平成10年5月25日付け書留内容証明郵便にて、本件商標登録に基づき請求人に対して商標「志布志の自然水」の即時使用中止を申し入れてきた(甲第1号証)。 (2)請求人は、平成8年5月28日に第32類「鉱泉水」を指定商品として、商標「志布志の自然水」の商標登録出願をした(甲第2号証)が、平成10年1月5日付け拒絶理由通知書を受けた(甲第3号証)。 本来的に特別顕著性に問題のあった上記商標を敢えて出願したのは、当時から被請求人との間には上記商標をめぐっての確執があり、将来の係争も予想されたところから出願したもので残念ながら事態は予想通りとなったのである。 拒絶理由通知書で審査官は、「商標『志布志の自然水』は、鹿児島県東部の志布志から湧き出た自然の水の意を認識させる志布志の自然水の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを本願指定商品に使用しても単に商品の品質を表示するにすぎない」ことを理由に、商標法第3条第1項第3号に該当するとしている。 なお、平成10年4月30日付けにて拒絶査定がなされた。 (3)しかるに、本件商標は「志布志の自然水」を要部にしながら、登録査定になっている。これは請求人には納得のいかない処分であり、ここに審判を請求して本件商標の適格性につき再審査を願うものである。 被請求人は、本件商標を基に仮処分をかけると業界に触れ回っており、その登録以前からも卸売店やスーパーに対し口頭ながら請求人が恰も本件登録を侵害しているかのように宣伝・流布している事実がある。そのため、仕入れを手控える業者が出るなど請求人にとって由々しき事態が起っている。これは正に権利の濫用である。また、ある意味では公益を侵犯する登録商標の不当使用にも該当する。請求人の関連会社の中に、は請求人が受けたと同文の警告書を受けた者もあり波紋は広がっている。 (4)以上の次第であるので、本件商標は、商標法第3条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。 3.被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べた。 (1)請求人は、甲第1号証及び甲第4号証を提出し、本件商標に基づく被請求人の権利の行使に対し、縷々述べているが、このようなことは本件商標の無効理由とは何ら関係のない中傷の域を出ないものである。 (2)また、請求人は甲第2号証及び甲第3号証において、自己の商標登録出願が拒絶査定されたことから、本件商標も無効とされるべきである旨主張しているが、請求人の出願は請求人の出願であり、被請求人の権利は被請求人の出願に係るものであって、夫々、全く別個のものであり、請求人の出願が拒絶になったからと言って、被請求人の本件商標が無効にならなければならないという請求人の主張は理由がない。 もとより、本件商標は、審査官による厳正な審査を経て登録されたものであり、甲第2号証及び甲第3号証に示された請求人の出願と同一視することは適切でない。 4.当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号の規定は、自他商品識別標識としての機能を有さない商標として、商品の産地、販売地、品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標を挙げているのであって、例え商品の品質等を表示する文字を含む商標であっても、商標全体として自他商品識別標識としての機能を有するものは、この法条には該当しないこと明らかである。 (2)これを本件商標についてみるに、本件商標は、別紙に示したとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中の「SIBUSHI」「シブシ」の文字部分は、鹿児島県の志布志(町)を表したと容易に理解されるものであり、「Water」「ウォーター」の文字部分は、「水」を表すものとして一般によく知られているものであることから、「SIBUSHI」「Water」及び「シブシ・ウォーター」の文字部分は、「鹿児島県志布志産の水」の意をもって商品の品質を表示したものと認識されるにとどまり、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであるというのが相当である。 しかしながら、本件商標は、その構成中に白、赤、青、緑、黄の各色で描かれ、看者の注意を強く惹き、指定商品との関係からしても、商品の品質等を表示したものといえない「手形の図形」を有しているばかりでなく、「NIPPON Cha Cha Cha」などの文字も有しているものであって、商品の品質表示と認められる「SIBUSHI」「Water」及び「シブシ・ウォーター」の文字のみからなる商標でないこと明らかである。 そうとすると、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標中の「手形の図形」を捉え、本件商標を自他商品の識別標識として認識し取引にあたると言うべきである。 (3)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効にすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別紙 |
審理終結日 | 1999-04-22 |
結審通知日 | 1999-05-14 |
審決日 | 1999-06-02 |
出願番号 | 商願平8-17562 |
審決分類 |
T
1
11・
13-
Y
(032 )
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 早川 真規子 |
特許庁審判長 |
金子 茂 |
特許庁審判官 |
茂木 静代 森吉 正美 |
登録日 | 1998-04-24 |
登録番号 | 商標登録第4138570号(T4138570) |
商標の称呼 | 1=ニ+ツポンチ+ヤチ+ヤチ+ヤインタ-ナシ+ヨナルシブシウオ-タ-2=ニ+ツポンチ+ヤチ+ヤチ+ヤ3=チ+ヤチ+ヤ4=インタ-ナシ+ヨナルシブシウオ-タ-5=シブシウオ-タ-6=シブシ7=インタ-ナシ+ヨナル |
代理人 | 木村 進一 |
代理人 | 河野 登夫 |