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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 117
管理番号 1001300 
審判番号 審判1993-12932 
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2000-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1993-06-22 
確定日 1999-08-06 
事件の表示 平成3年 商標登録願 第133655号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「POLOMARK」の欧文字を横書きしてなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く。)、布製身回品(他の類に属するものを除く。)寝具類(寝台を除く。)」を指定商品とし、平成3年12月25口登録出願されたものである。
第2 原査定における拒絶の理由
本願について平成5年5月17日付で「本願商標は、その構成中に米国の服飾メーカーであるポロパイラルフローレン社が同社の商品に使用して世界的に著名な商標『POLO』を有してなるものであるから、このような商標を出願人がその指定商品について使用するときは、上記会社と何らかの関係を有する商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の拒絶の査定がされた。
第3 請求人の主張
1 請求の趣旨
「原査定を取り消す。この出願は商標登録をすべきものとする」との審決
2 請求の理由
(1)ボロバイラルフローレン社の「POLO」商標は、何らかの図形又は文字と併用するなり、さらにはその他色合、大きさ、字体、輪郭模様等の条件が具体的に決められてこそ初めて特定の意味合いを持ち、かつ需要者に対しボロバイラルフローレン社の製品であることを認識させられるもので、無分別に「POLO」の文字があれば全て需要者に対しボロパイラルフローレン社の製品であることを認識させられることはない。「POLO」のマークがポロパイラルフローレン社の商標である等と需要者が理解している現実もない。「POLO」が出願人の商標中に含まれているからとの単純な理由のみで、本願商標が拒絶されるいわれはない。
本願商標は、「POLOMARK」と全体を一連に表示して、特有の称呼及び観念を生ぜしめた点に特徴がある。
(2)一般に「POLO」又は「ポロ」の文字は、本願商標の指定商品中の「ポロシャツ」の略称を意味するため、何人もその商品との関係では自由に使用できるマークである。
(3)過去に「POLO」又は「ポロ」の文字を含む商標が公告決定又は登録査定になっている。
よって、本願商標を出願人が使用しても、ボロパイラルフローレン社の商品と商品の出所について混同を生じさせることはないから、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。
第4 当審の判断
(1)「POLO」の周知性について検討する。
(株)講談社昭和53年7月20日発行「男・の一流品大図鑑」、サンケイマーケッテング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ボロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画[華麗なるギャツビー」の主演ロバ-ト・レッドフォードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったボロ競技のプレーヤーの図形の各標章(以下、一括して「引用標章」という。)が用いられ、これらの標章は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo]の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・パイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」に、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」に「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の標章の下に紹介されていることが認められる。
他にこれを覆すに足りる証拠はない。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の標章について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くとも昭和55年までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品被服類等を表示するものとして引用標章が取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)本願商標は、「POLOMARK」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「MARK」の文字部分は、「しるし、目印、記号、商標」を意味する平易な英語であり、「POLO」の文字部分は、ポロ競技(馬に乗ったプレーヤーによる2チームが互いにマレットで1個のボールを奪いあい、ゴールに打ちこむことを競う球技)を意味するものと認められる。そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして商標全体から「POLO」じるし(商標)の意味合いを看取させるものであるから、「ポロ」(競技)の観念及び「ポロ」の称呼を生じさせるものである。
(3)他方、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして周知となっている引用標章は「ポロ」(競技)の観念、「ポロ」の称呼が生ずることは前記したとおりである。
(4)そうすると、前記認定のとおり我が国において、遅くとも本願商標登録出願(平成5年12月25日)前である昭和55年までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品被服類等を表示するものとして引用標章が取引者、需要者の間に広く認識されていたという取引の実情を考慮すると、本願商標は、その指定商品、とりわけ被服、布製身回品に使用する場合には、引用標章と構成上相違があるものではあっても、時と処を異にしてこれに接する取引者・需要者においては、「POLO」の文字に着目して、「ポロ」(競技)の観念及び「ポロ」の称呼が生じ、引用標章を連想、想起するものと認めるのが相当である。
したがって、本願商標は、ラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(5)請求人は、「POLO」のマークがポロパイラルフローレン社の商標である等と需要者が理解している現実もなく、一般に「POLO」又は「ポロ」の文字は、本願商標の指定商品中の「ポロシャツ」の略称を意味するため、何人もその商品との関係では自由に使用できるマークである旨主張するが、かかる主張は、前記認定判断に照らし、失当であり、採用することはできない。
なお、請求人は当庁における審査例を挙げて種々主張するところあるも、過去にされた審査例等は具体的、個別的な判断が示されているのであって、必ずしも確立された統一的な基準によっているものとはいえず、仮にその中に矛盾や誤りがあるとしても、具体的事案の判断においては、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきものであるから、この点に関する請求人の主張も採用することができない。
第5 むすび
以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別紙

審理終結日 1999-05-12 
結審通知日 1999-06-04 
審決日 1999-06-11 
出願番号 商願平3-133655 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (117 )
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小宮山 貞夫小林 薫 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 小林 和男
小池 隆
商標の称呼 1=ポロマーク 2=ポロ 
代理人 松浦 恵治 

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